ぷかぷか日記

映画「ぷかぷか」物語

  • 大スクリーンでの上映は、ひょっとしたら最初で最後
     みどりアートパークに行って、5月21日(木)の『ぷかぷか』の上映会の打ち合わせをやって来ました。宮沢さんが30時間もかけて作ったというブルーレイの映像のテストもしました。みどりアートパークホールのスクリーンは映画館のものよりも大きくて、すごい迫力でした。おもしろかったのは、このホールのステージで撮ったものなので、なんか錯覚を起こしそうでした。  これは映像のテストをした時の写真ですが、アートパークのホール担当者が 『あれ、今、スポット当てました?」 と思わず言ってしまったくらい迫力ある映像でした。  これはもう見なきゃ損!です。こんな大きな画面で見られるのは、多分これが最初で最後です。  ぷかぷかのパン、弁当の販売もします。弁当は50個限定ですので、予約をしておいた方が安心です。予約は045-453-8511    pukapuka@ked.biglobe.ne.jp
  • 手話通訳がつきます。
     5月21日(木)、みどりアートパークのホールで映画「ぷかぷか」の上映会と映像作家宮沢あけみさんと「ぷかぷか」代表の高崎のトークがあります。上映会とトークは朝、昼、夜の3回あるのですが、そのすべてに手話通訳がつくことになりました。ですので、お知り合いの「ろう者」の方へ、その旨お知らせください。  
  • こころさむい時代だからなあ
     5月21日(木) 映画「ぷかぷか」の上映をみどりアートパークホールで行います。ぜひ見に来てください。    この映画はぷかぷかで働いている障がいのある人たちと地域の人たちが6ヶ月に渡ってワークショップをやった記録です。  ワークショップというのは、いろんな人が集まっていっしょに作業をやり、その中で新しい何かを発見したり、今までにない新しいものを創り出したりするものです。    昔、2時間くらいのワークショップをやって欲しいという依頼がよくありました。よくやったのが詩の朗読をするワークショップでした。みんなで詩を読むだけですから、道具も材料もいらないすごーく楽なワークショップです。よく使ったのは長田弘さんの詩集『食卓一期一会』に載っている「ふろふきの食べ方」という詩です。    自分の手で、自分の / 一日をつかむ。    新鮮な一日ををつかむんだ。 / スがはいっていない一日だ。   手にもってゆったりと重い / いい大根のような一日がいい。   それから、確かな包丁で / 一日をざっくりと厚く切るんだ。   日の皮はくるりと剥いて、/ 面取りをして、そして一日の   見えない部分に隠し刃をする。/ 火通りをよくしてやるんだ。   そうして、深い鍋に放りこむ。/ 底に夢を敷いておいて   冷たい水をかぶるくらい差して、/ 弱火でコトコト煮込んでゆく。   自分の一日をやわらかに / 静かに熱く煮込んでゆくんだ。   こころさむい時代だからなあ。/ 自分の手で、自分の   一日をふろふきにして / 熱く香ばしくして食べたいんだ。   熱い器でゆず味噌で / ふうふういって。    私の大好きな詩です。これをみんなで読もう、というワークショップです。  この詩は一人で読んでもおもしろい詩です。一人で読む時はたいてい黙ったまま読みます。でも、これを何人か人が集まって、みんなで声を出して読むと、もっとおもしろい読み方ができます。  詩の朗読ワークショップでどんなことをやったか具体的に書いてみます。  まず読み手と聞き手のふたグループに分かれます。読み手になった人たちは一人一行ずつ順番に声を出して読んでいきます。なんとなく声を出すのではなく、はっきりと聞き手に向かって声を出します。誰かに向かって声を出すことで、声の感じ、言葉の感じが変わることが自分でもわかります。  「自分の手で、自分の / 一日をつかむ。」  これを人に向かって読みます。どんな思いで読みますか?人に向かって読む、という緊張感の中で、この一行の言葉の意味が、ぐっと深まります。聞く側も同じです。読み手の思いのこもった言葉を受け止めます。  「手にもってゆったりと重い / いい大根のような一日がいい。」  いい大根を思い浮かべるといい顔になります。そのいい顔でこの一行を読みます。一人で、黙って読む時よりも、はるかに気持ちよくこの一行が読めます。聞く側も同じです。双方がとてもいい気持ちになれる一行です。  「こころさむい時代だからなあ。」  何を思ってこの一行を読みますか?ここは読み手の思いがいちばんよく見えるところ。聞く側も一番言葉がしみるところです。   読み方を変えてみます。椅子に座って読んだり、読んでる途中で椅子から立ち上がったり、あるいは歩きながら読んだり。読む姿勢、あるいは動きが加わることで、言葉の響き、力が全く違ってきます。  音楽もかけます。よく使ったのはエリックサティの「ジムノベティ」でした。ぐっと雰囲気が出ます。いい音楽に支えられ、詩の言葉が更に光ります。そういったことを読み手も聞き手も体感できるところがワークショップのいいところだと思います。    詩をみんなで読むというワークショップ、ざっと駆け足で説明しましたが、いかがでしたか?一人で黙って読む時とは全く違う発見がたくさんあったと思います。何よりの収穫は、このワークショップを通して、知らない人同士が出会えたことです。新しい自分、新しい世界と出会えたことです。そしていろんな人がいたおかげで、ここでしかできないすばらしい「朗読会」ができたことです。    映画「ぷかぷか」に記録されたワークショップでも、たくさんの出会いがあり、その出会いの中で、すばらしい作品ができあがりました。それをぜひ見て欲しいと思っています。  見ることは、あなたと「ぷかぷか」の新しい出会いですね。どんな出会いになるか、わくわくしますね。  そうそう、忘れてました。上映会の日、ホールのロビーで、ぷかぷかのパン、お弁当を販売します。持って行く数が限られていますので、絶対に欲しい!と思われる方は事前にメールで注文してください。  メールアドレスは pukapuka@ked.biglobe.ne.jp              
  • 「あなたがいないと困るんです」という言葉に胸がきゅん
     Youtubeのダイジェスト版を見た横浜シュタイナー学園の先生から映画を作った宮沢さんのところへ   高崎さんの「あなたがいないと困るんです!」という言葉に胸がきゅんと致しました。   という感想が届いたそうです。「胸がきゅんと致しました」なんて言われると、なんだか気恥ずかしい気がするのですが、言葉の表現はともかく、私の言葉が映画を見た人の心をほんの少し揺さぶったのかなと思いました。  これは映画の中で私が知的障がいのある人たちとの関係を語った言葉で、彼らといっしょにワークショップをやっているうちに、彼らに向かって「あなたがいないと困る」と言えるような関係が自然にできた、と語った部分です。  何考えているかわからない、怖い、いっしょに何かやろうとすると面倒なことがいろいろ起こる、効率が落ちる、などを理由に、どちらかといえば彼らは社会から疎外されています。そういった社会的状況の中で、彼らに対し、素直に「あなたがいないと困る」「一緒にいて欲しい」と言える関係が自然にできてくるって、考えてみればすごいことだと思います。  ワークショップの場で,どうしてそんな関係ができてくるのか、彼らといっしょにワークショップをやろうと提案した私自身、うまく言葉で説明できません。そういう関係ができることを予測して提案したわけではなく、彼らといっしょにやれば、何かとてつもなく面白いものができるという予感だけがあって,いっしょにワークショップやってみよう、と提案したのです。  その、とてつもなく面白いものができていく過程の中で、気持ちのどこかに「彼らのために」という思いのあった地域の人たちが  「彼らを支えようという思いで参加したのですが、支えられているのは私たちの方だということがだんだんわかってきました」 とふり返りの中で語ったあたりから、彼らとの新しい関係がはっきり見えてきたのだと思います。彼らに向かって「あなたがいないと困る」「あなたに一緒にいて欲しい」と素直に思える関係です。そういう関係がワークショップ参加者の中で共有できてきた、ということです。映画の中で私が語っている言葉はここから生まれました。  このことの客観的な評価をもっともっとたくさんの人がやった方がいいと思っています。  彼らを社会の中から締め出してしまうとき、締め出した側も、許容できる人間の幅が狭くなり、お互いが生き辛くなります。お互いが息苦しい社会になっていきます。そんな中にあって、「彼らがいないと困る」「彼らに一緒にいて欲しい」と素直に思える関係ができた「場」は、この息苦しさが増す一方の社会にあって、この問題を解決していく手がかりを提案しているように思うのです。        Youtubeのダイジェスト版はこちら。もう340回も再生されています。もっともっとひろがって欲しいと思っています。 映画『ぷかぷか』ダイジェスト - YouTube          
  • 映画を見ながら同じ時間を待つということ
      ワークショップのドキュメンタリー映画は面白い映画ですが、ひとりで見て、「ああ、おもしろかった」で終わるのでは,ちょっともったいない気がしています。見終わったあと、多分、新しいことは何も始まりません。でも、何人かでいっしょに映画を見て、そこで見えてきたことをみんなで共有し、障がいのある人たちといっしょにできることをみんなで探したり、彼らといっしょに生きると、なんで「得」なんだろうねっていっしょに考えたり、彼らといっしょに簡単なワークショップをやってみようか、っていう話になったりすれば、きっと新しい何かが始まり、今よりちょっとだけ前に進むことができます。  そんな上映会のために表現の市場の本番舞台とそれに至るまでのワークショップの記録(メイキング映像)を合わせて3時間近い長編を、1時間から1時間20分くらいに編集し直してもらえないかと宮沢さんに依頼しました。で、昨日それができあがり、宮沢さんの説明を聞きながら映画を見ました。  できあがった新しい映画は表現の市場が43分、メイキング映像が88分、合わせて131分。2時間11分の映画を見たあとみんなで話し合い、というのは結構きついなぁ、と思いながら、ともかく映画を見ました。  ここはこのシーンがいいから短くできない、ここはこの人がこんな事をやっているから外せない、と場面ごとに宮沢さんの思いのこもった解説が入り、自分の撮った映像,被写体になった人たちがいとおしくてしょうがない、もう抱きしめたいような思いでこの映画作ったんだな、とあらためて思いました。  言葉がなかなか出てこない人がいます。でもみんなはせかすこともなく、言葉が出てくるのを待っています。カメラはその「時間」をそのまま写しています。ですから見る人も同じ時間を待つことになります。そうすることで、ワークショップの場で何が起こっているかを見る人にも共有して欲しいというわけです。  ここを編集して短くカットし、その場で起こったことをテロップやナレーションで簡潔に説明する方法もあって、見る方はその方が楽?なのですが、それは違うと宮沢さんは言います。同じ時間を待つこと、それが彼らといっしょに生きていく、ということであり,それを宮沢さんは伝えたいのだと思いました。  私は安易に1時間くらいに編集し直してください、なんて頼んだのですが、宮沢さんと話をしながら映画を見ているうちに、その作業は宮沢さんにとって とても辛い作業だったんだなと思いました。1分の映像に込めた思いを削ることの辛さです。申し訳なかったなと思います。  上映会は主催する方とよくお話をして、1時間半のメイキング映像だけにするとか、43分の表現の市場の映像もいっしょに見るとか、臨機応変に対応したいと思います。 上映をお考えの方は連絡ください。pukapuka@ked.biglobe.ne.jp       新しく編集したメイキング映像で面白かったのは、本番の舞台にも台本を手に持っていたリエさんの発見(!)です。リエさんは台詞がうまく言えるかどうか心配で心配で、本番の舞台にまで台本を手にあがっていました。誰もそのことに気がつかなかった、というところが、いかにもぷかぷかの舞台です。  映像でやたら矢印が出てくるので、なんだろうと思っていると、この台本でした。その台本が、ある場面からふっと消えます。あれ、どうしたんだろう、と思っていると、replayのメッセージが出て、映像が巻き戻されます。何かのアクションの時にリエさんは台本を床に置きます。それを見つけたぷかぷかのスタッフのオダさんが,さりげなく後ろに隠しました。ここはたまたまカメラに写っているのを宮沢さんが見つけたらしいのですが、オダさん自身はよく覚えてないそうです。床に置かれた台本に対し、頭よりも、体が自然に動いたのだと思います。  そういう誰も気がつかないようなフォローがたくさんあって、あの舞台は成り立っていたんだな、とあのreplayの場面を見て,ちょっとじ〜んと来てしまいました。「よく覚えてないわ」なんてさらっと言うオダさんも隅に置けない人だと思いました。       
  • まっすぐに届いた気がしました
     ワークショップの記録映画「ぷかぷか」のDVDを購入された方の娘さんの感想が送られた来ました。     すごかった。引き込まれるように目が離せなくなり、一気に最後まで観た。  あんなに楽しそうに、笑っている、本当に心の底から笑っている、そんな人たちを初めて見たような気がする。みんなすごく楽しそうだった。心から笑っていた。   自分は、学校で相手(クラスメート)は、裏では本当は何を考えているんだろう、腹黒くて、つい裏のことを考えてしまうけど、DVDでは、そんなことは全くなくて、みんな自然体でとても純粋だった。重要なのは、周りからどう思われるかじゃなくて、自分が楽しんでるかだと思った。   この人たちは、なんでこんなこと、ワークショップをやっているんだろうと思った。利益のため?なんでやってるの?と思ったけど、ただ一緒にいたい、表現したいんだとDVDを観ていて思った。    映画は6ヶ月にわたるワークショップの記録をまとめたもので、本番の舞台も入れて3時間弱の長い映画です。 それを夜中に一気に見た,というのですからすごい!のひとことです。   若い方がこんなふうに受け止めてくれて、ほんとうにうれしいです。(高3だそうです)  「本当に心の底から笑っている、そんな人たちを初めて見たような気がする。」  ワークショップでは,障がいのある人もない人も、お互い笑い合っていっしょに生きていけるような仲間ができるといいなと思っていました。そんな思いが若い人の心にまっすぐに届いた気がしました。  
  • 音を消して見てみたら
      映画『ぷかぷか』ダイジェスト版テロップ付きができました。聴覚障害の方にも映画を楽しんでもらおう、ということで映画を制作した宮沢さんがテロップを入れました。 映画『ぷかぷか』ダイジェスト テロップ入り - YouTube    音の聞こえない人にはこのテロップ付きの映画がどんなふうに見えるんだろう、と実際に音を消して見てみました。当たり前のことですが、すばらしいピアノの音や、みんなのざわめきが全く聞こえなくて、とても淋しい気がしました。いろんな人の、いろんな言葉のやりとり、大きな声、小さな声、つぶやき、みんなのざわめき、台詞が出てこない間合い、歌、ピアノ、歩く音,笑い声、などなど、世界は実に様々な音で満ちていて、それ故に豊かなんだと、音を消してみてあらためて気がつきました。  音がある世界が当たり前、と思っている私たちにとっては、音を消した映画はやはり淋しい世界、という風に思ってしまいます。では、音の聞こえない世界に生きている人たちは、いつもこんな淋しい世界に生きているのかというと、どうもそうじゃない、音の聞こえない世界を、もっと違う形で受け止めているんじゃないか、そんな風に思いました。  ワークショップの進行役として参加していただいた『デフパペットシアターひとみ』(音の聞こえない人たちと聞こえる人たちがいっしょに人形劇を作っている)の人たちの舞台に出会う中で、音が聞こえない世界の豊かさを私は教えてもらった気がしています。 <a href="http://deaf.puppet.or.jp" data-mce-href="http://deaf.puppet.or.jp">デフ・パペットシアター・ひとみ - Deaf Puppet Theater Hitomi</a> デフ・パペットシアター・ひとみ - Deaf Puppet Theater Hitomi    昨年11月におこなった『表現の市場』に登場したデフパペットシアターひとみの舞台は、表現される世界の質の高さにおいて群を抜いていました。特に宮澤賢治の人形を使った静謐な舞台は、詩と重なって、背中がぞくぞくするほどでした。プロとアマの違いはあったにせよ、聴覚障害のある人たちの創り出す世界の豊かさを見せつけられた気がしました。    音を消して見ると、聴覚障害の人たちの生きる世界に、ほんの少しふれることができるかも、などとYoutubeの説明に書いたのですが、なんとも浅い感覚だったと、実際に音を消して映像を見てから気がつきました。 音を消してダイジェスト版を見て淋しいと感じるような感性ではなく、音が聞こえないが故に、何か研ぎ澄まされた感覚で世界を感じ取ってるのではないかと思ったのです。  聞こえないが故に感じ取れる世界。その世界をデフパペの人たちにもっともっと教わりたいと思いました。    今年のワークショップにもデフパペットシアターの人たちに進行役としてきてもらう予定です。ワークショップで作った芝居の発表は来年2月14日(日)みどりアートパークのホールでおこなう『表現の市場』でやります。楽しみにしていてください。ワークショップは9月スタート、毎月第三土曜日にみどりアートパークリハーサルルームでおこないます。前日のリハーサルも含め全7回です。詳しい内容はホームページの『ワークショップ』のタグをクリックしてください。問い合わせなどは    pukapuka@ked.biglobe.ne.jp      
  • わくわくすることは…
     朝、完成したばかりの映画のDVDを持ってきた宮沢さんと会いました。  映画の上映会の時に、昔書いた本と、今のぷかぷかを語るような本を書いて売りたい、と話をしたところ、  「タカサキさんは思いが熱すぎるから、第三者の少し冷めた目でぷかぷかを書いた方が、読む人には伝わるんじゃないの」  といわれてしまいました。全くその通りだと思いました。 「じゃあ、宮沢さん書いてよ。文章うまいし(以前、超未熟児で生まれた娘さんのことを書いた『ミラクルベイビー』には、泣かされたことがあります)、映画を見てぷかぷかへの宮沢さんの思いも,すっごくわかったし、宮沢さん書いてくれるとうれしいな」 というと、 「う〜ん、上映会用の映画の編集が終わったら考えてみる」 と、まんざらでもないようでした。  宮沢さんの今回の記録映画には、ナレーションが全くありません。インタビューと、ぷかぷか日記の言葉だけで、メッセージを組み立てています。組み立て方がすばらしくうまいと思いました。  宮沢さんの『ぷかぷか物語』を見た感じがしました。その語り口が、ほんとうにうまいです。  表現の市場での本番舞台の映画を見る前に、カメラを回しっぱなしの映像を見ていたのですが、宮沢さんの編集した映画を見て、  「映画を編集するって、こういうことか」 って、宮沢さんの力をまざまざと見た気がしました。だらだら続く映像が、編集することで、一つの物語になるんですね。その物語は、宮沢さんのぷかぷかへの熱い思いそのものでした。  発表会の舞台は,それ自体が一つの物語であり、すばらしい作品です。でもそれを編集すると、元の作品以上の物語というか、もう一つの物語、つまり『ぷかぷか物語』が見えてくるんですね。『森は生きている』ぷかぷか版、を語りながら、実は、もう一つの物語を語っていた、というわけです。  上映会用に1時間ぐらいに編集してもらえないか、と何度も頼んでいるのですが、本番の舞台の37分間は絶対にさわりたくないので(つまりそのまま見せたい)、1時間に編集するのは無理!と強く言い張っています。本番の舞台の映像はそのままでないと、あの舞台の良さは伝わらない、というわけです。  DVDのdisc1は本番の舞台をそのまま使い、その前後に編集した映像を入れているのですが、それだけで、伝わってくるのものが全く違っていました。  そんなワザを持っている宮沢さんに、ぜひぷかぷかの本を書いて欲しいと思いました。ぷかぷかがやっていることの意味が、客観的に見えてくると思います。  楽しみですね。こういうことは、楽しみにしていると、案外実現するものです。ですから本気で楽しみにしてましょう。私も本気でぷかぷかの本をまとめたいと思っています。二つが並ぶと、すっごくおもしろいと思います。中からの目線で書いた本と、外からの目線で書いた本と。それに映画が重なったら、どれほどおもしろいことになるか、考えただけでわくわくします。  わくわくすることは、実現しないと損!です。またしても「お〜し、やるぞ!」っていう気が起こってきました。      
  • 映画『ぷかぷか』ダイジェスト版 Youtubeで公開
     ワークショップの記録映画のダイジェスト版ができました。Youtubeにアップしたのですが、その説明にこんな事を書きました。 「ぷかぷか」は横浜市緑区霧ヶ丘にあるパン屋。知的障がいのある人たちがたくさん働いています。  今回その街のパン屋が、障がいのある人たちと地域の人たちが一緒になって芝居を作ってみよう、というとんでもない企画を出しました。月一回集まって、6ヶ月にわたり、みんなで芝居作りをしようというわけです。最後にはできあがった作品を、みどりアートパークのホールの舞台で発表する、というほとんど大冒険に近い企画です。  この動画はそのとんでもない企画、大冒険を記録した映画のダイジェスト版です。障がいのある人たちと地域の人たちがいっしょになって、ものすごく楽しい場を作り上げています。そして何よりも最後にすばらしい作品を舞台にあげています。 「ぷかぷか」は「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージを発信し続けています。そのメッセージを具体的な形にしたものがこの舞台です。  この記録映画を見ていると、もう彼らのことを「障害者」などと呼べない気がしています。今、この時代をいっしょに生きる仲間としての新しい呼び方を考えなければいけないなと思っています。  以前「ぷかぷかしんぶん」を配布したとき、迷子になったメンバーさんがいて、地域の方がそのことに気がつき、「ああ、ぷかぷかさんね」と声をかけ、ぷかぷかに「迷子になってますよ」と電話をかけてきてくれたことがあります。  この「ああ、ぷかぷかさんね」というやさしいいい方こそ、彼らに対する呼び方にふさわしい気がしています。  映画のタイトルは『ぷかぷか』です。記録映画のDVDが2月下旬に完成します。dsc1とdisc2の2枚組。dsc1は表現の市場での本番舞台、disc2はそこに至るまでのワークショップの記録です。2枚組で3,000円です。購入を希望される方はぷかぷかまで連絡ください。pukapuka@ked.biglobe.ne.jp  このDVD、dsc1とdsc2を合わせると2時間11分の長編です。制作者の宮沢さんの思いがめいっぱい込められています。  この映画を見て「ああ、おもしろかった」で終わったのでは、あまりにもったいない映画だと思っています。この映画には、障がいのある人もない人も、お互いが気持ちよく生きていける社会を作っていく手がかりがいっぱいつまっているような気がしています。この映画を見た人が,できれば新しい一歩を踏み出せるような、そんな仕掛けを作りたいと思っています。名付けて《映画『ぷかぷか』鑑賞ワークショップ》。  映画は大概ひとりで見るのですが、それを何人かの人たちで見て、見終わったあと話し合いをしてはどうかと思うのです。できれば、今回のとんでもない企画を出した高崎とその記録映画を作った宮沢さんを呼んでいただいて、映画では表現しきれなかった部分の話を聞いていただき、それを踏まえた上で、みんなで更に前に進むような話し合いができれば、と思っています。そのために、3時間近い長編映画を1時間程度に編集し直してもらう予定でいます。  映画を見っぱなしにせず、そこで見えてきたことを手がかりに、更に前に進もうという企画です。明日へ希望が持てるような話し合いができれば、と思っています。  「あっ、おもしろそう!やるやる」と思った方は連絡ください。   pukapuka@ked.biglobe.ne.jp  高崎まで。  と、ここまで来て上映費用とか講師料とかきちんと考えてないことに気がつきました。ま、お互い相談しながら決めましょう。 映画『ぷかぷか』ダイジェスト - YouTube
  • ワークショップの映画に日々の仕事の映像が加わって
     1月22日、宮沢さんがぷかぷかの仕事の現場を撮りたいと朝からやってきて、朝の会から瀬谷区役所の外販まで、ずっとカメラを回していました。もうこれだけで1本の映画になるんじゃないかと思うくらい撮りまくっていました。ワークショップの映像だけで1時間55分もあったので、これに仕事の現場の映像が加わると、優に2時間は超えるのではないかと心配になりました。  でも、できあがった映画は1時間56分。仕事の現場の映像は多分2,3分だったと思うのですが、それだけでこの映画の印象が全く違っていました。映画の幅がひろがった、というか説得力が比較にならないくらい増した感じがしました。記録映画って、こうやって力強い物語になるんですね。この映画はワークショップを語りながら、実は「ぷかぷか」を物語っているんだって、その時はじめて気がつきました。  ワークショップはなんだかんだ言っても、所詮は非日常の世界です。いくらすばらしい舞台ができあがっても、それは日常から切り離された世界のことであって、下手すると「それがなんなの?」と現実の世界から言われかねません。  ところが舞台で大活躍した人たちが、実は日々の仕事でもびっくりするくらい仕事をやっているという映像は、映画全体を引き締まったもの,説得力のあるものにしていました。というより、ふだんしっかり仕事をしているから、あれだけすばらしい舞台ができたんですね。そのつながりがストレートに見えるのです。  宮沢さんは仕事の現場を見て、ほんとうにびっくりしていました。こんなにも真剣に、こんなにもまじめに仕事をやっているとは思ってなかったようです。もうちょっとゆるい感じで仕事をやっていると、そんな風に思っていたようです。カメラを回しながら「すごいね」「すごいね」「かっこいいね」と何度も何度もつぶやいていました。その驚きがそのまま映画に反映されています。  映画の最後、あの「死にたい病」のまーさんが、雨の中で濡れながら仲間に「こっちおいでよ」と一生懸命呼びかけてるシーンがあります。それを見ながら「まーさん、よかったよな、もう大丈夫だよな,もう死にたいなんて言わないよな」って話しかけたいくらいでした。多分ちょっと涙流しながら…
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