映画の中の彼らは、もう、「あれができない、これができない、役に立たない人たち」ではありません。
映画『ぷかぷか』を上映します。第一期と第三期みんなでワークショップの記録映画です。日時は6月17日(土) 10時は第一期みんなでワークショップの記録映画、13時半は第三期の記録映画と、新しいプロモーションビデオ。場所はみどりアートパークホールです。 どうしてこの映画を今上映するのかというと、相模原障害者殺傷事件を超える社会をどうやって作っていくかの手がかりをつかみたいからです。事件の容疑者は「障害者はいない方がいい」とか「生きている意味がない」などと言いました。「それはちがう」「間違ってる」と言葉で反論するだけでは、容疑者のような人間を生み出した社会は変わりません。社会を変えないと、また同じような事件が起きます。横浜市瀬谷区で障がいのある人たちのグループホームの建設計画が住民の反対でつぶされた事件がありましたが、「障害者はここに来るな」「ここに住むな」という主張は容疑者の言っていることと本質的には変わりません。障害者はなんとなくいや、理解力が低い、生産性が低い、社会の負担、と考える人は多いと思います。 そんな中で、社会をいい方向へ変えるにはどうしたらいいのか、ということです。 それはやはり「障がいのある人たちはこの社会にいた方がいい」「障がいのある人たちは生きてて意味がある」という言葉に共感する人を増やすことだろうと思います。そのためには「この社会にいた方がいい」「生きてて意味がある」と誰もが思えるような事実を作り出すことだと思います。 ぷかぷかは街の中に障がいのある人たちの働くお店を作り、「ぷかぷかが好き!」「ぷかぷかのファンです」という人たちをたくさん作り出してきました。それはお店で彼らと出会い「彼らはこの社会にいた方がいい」「彼らは生きてて意味がある」と思った人たちです。そういう人たちを増やすことで、ぷかぷかのまわりの地域社会を少しずつ変えてきました。 映画『ぷかぷか』は障がいのある人たちと地域の人たちがいっしょに芝居作り=演劇ワークショップをやった記録です。あれができない、これができないといわれている人たちと、いっしょに新しい芝居を作ったのです。彼らを「支援」するとか、「やってあげる」関係ではなく、どこまでもフェアに向き合い、いっしょに作りました。 彼らといっしょにやる芝居作りはほんとうに楽しいです。楽しいだけでなく、作り出す芝居の幅が彼らがいることでグ〜ンと広がり、彼らは本当になくてはならない存在です。 「障がいのある人たちは社会にいた方がいい」そのことがよく見える映画です。新しいものを創り出す活動の中で「障がいのある人たちがいた方がいい」と思えることは、障がいのある人たちとの関係に新しい希望、新しい可能性をもたらしたと思います。彼らといっしょにやった演劇ワークショップは、そういった新しい希望と可能性を生み出したと言っていいと思います。 映画の中の彼らは、もう、「あれができない、これができない、役に立たない人たち」ではありません。彼らがいなければ、芝居作りが成り立たないほどの存在なのです。