先々安心の話
進路懇談会があった。今、高等部2年生は卒業後の進路先をある程度決めて実習先を決める。その話の中で「ここに入れれば、いろいろ面倒を見てくれるから、先々安心」といった言葉が頻繁に出た。仕事をするだけでなく、生活面の面倒も見てくれるという意味だ。
「カフェベーカリーぷかぷか」は今、パン屋を維持するには、一日にパンがどれくらい売れればいいのか、コーヒーは何杯、ランチは何食売れればいいのか、そのためにはどれくらいがんばって働かねばならないのか、お客さんをどうやって増やせばいいのか、といったことばかり考えていて、ハンディのある人たちの生活面のフォローまではほとんど考えていなかった。食事とトイレが一人でできれば、あとはまぁなんとかなるだろう、というきわめて楽観的な予測しかない。 もちろんいろいろな問題は出てくるだろう。その時はみんなでどうすればいいか考えるしかない。みんなで考えたり、悩んだりすることで、少しずつ「ぷかぷか」はできていくんだろうと思う。だから「ここに入れれば、先々安心」とはほど遠い。安心どころか、しょっちゅう問題が起こって、その度にみんなで悩んだり、話しあったりで、大変なことばかり。 でも、大変な分、「ぷかぷか」を自分たちで作っていく、という素晴らしい楽しみがある。新しい「場」を作っていく、わくわくドキドキするような楽しみだ。うまくいくかどうかだってほんとうはわからない。わからないからこそ、トライする価値があるし、おもしろい。そこに賭けてみようという気持ちも出てくる。そのおもしろさがわかる人が今少しずつ集まってきている。そんな仲間が少しずつ増えてくれれば、と思う。