ぷかぷか日記

障がいのある人と生きるということ

  • 「hanaちゃんの家」をみんなでつくろうよ
     hanaちゃんとお母さんがぷかぷかにごはんを食べに来たので、久しぶりに色々お話ししました。  hanaちゃんはこの4月から支援学校の高等部に行きます。で、卒業後の行き先をすぐに探さないと、先々困ってしまうとお母さんはお話しされていました。hanaちゃんは重度障がいのお子さんで、学校の終わった後の放課後デイサービスも、面倒見るのが大変だからと、一箇所では預かってくれず、毎日違うデイサービスに行くそうです。そんな苦労をしているので、卒業後の行き先の心配を今からされているようでした。  ま、それも大事なことかも知れませんが、それと並行して、hanaちゃんが気持ちよく毎日過ごせる場所をお母さん自身が作る、ということを考えてもいいんじゃないか、と提案しました。どこかいいところを探したり、誰かにまかすのではなく、自分で作る。  なんといってもhanaちゃんのこといちばんわかっているのはお母さんです。そうであれば、お母さんが作るのがいちばんいいのではないかと思います。  この「自分で作る」ということをなかなかみんな思いつかないし、「そんなの無理無理」とはじめから逃げてしまう人が多いです。  でもトライすることがやはり大事だと思います。トライしてだめなら、どうしてだめなのかを考えればいいし、たとえ失敗しても、そこから得るものは大きいです。何もしないよりは、とにかくやってみた方がいいのです。  「hanaちゃんの家」をみんなでつくろうよ、って呼びかければ、hanaちゃんのファンはきっと集まってきます。みんなでわいわい楽しみながらできたらいいな。 ずいぶんお姉さんになりました。 お母さんの幸せそうな顔! 
  • 世界がhana基準になったら
    hanaちゃんは重度障がいのこども。お母さんが昔「世界がhana基準になったら」 というすばらしい文章を書いています。   ●●●   世界がhana基準になったら 何が起こるだろう   人をことばで傷つけることもない 人に嫉妬したり、恨んだり、 悪口だって言わない 人と比較して見下したり、 卑下したりすることもない   あるのは ただそこに存在することで ありのままで完全な自分、人生。   あるのは 楽しい毎日 喜怒哀楽を自由表現すること   誰からどう思われるからとか考えない 誰がどうしていても気にならない   hanaは ただ自分がそうしたいからそうする   そして自分が そのままで完全であり、 愛されていることを 深いところで理解してる。     世界がhana基準になったら…     もしかしたら すへての悩み、争いごと いじめや不登校、 戦争もですら なくなるかもしれないね。   ●●●      重度障がいの子どもってこういう世界を生きているんだ、とあらためて思いました。こういうことが見えてくると、あれができないこれができないといったことでしか重度障がいのこどもを見ていない私たちって、なんかはずかしい気がします。
  • あらためて養護学校の子どもたちに感謝
     先日静岡から11名もの方が見学に見え、リーダーの方が 「ぷかぷかには福祉の匂いがしない」 とおっしゃっていました。  福祉の匂いがしない、とはどういうことか。  福祉事業所にある「利用者さんがいて、指導者がいて」という、そういう人間関係がぷかぷかにはなかったということだと思います。どこまでも一緒に仕事をする関係。  そういうフラットな関係がどこから生まれたのか、を考えてみます。  ぷかぷかを始める前、私は養護学校(今でいう特別支援学校)の教員をやっていました。教員というのは生徒を指導します。私は30歳で教員になったこともあって〔つまり社会人の生活がまずありました)、この「指導する」という上から目線の学校用語(言葉)がどうもしっくりきませんでした。  生徒たちは言葉がしゃべれないとか、字が書けないとか、うんこの後始末ができないとか、できないことはいっぱいありましたが、それでも彼らを指導する、という言葉には、どうしてもなじめませんでした。  そんなえらそうなこと口にするほどの私は人間なの?と思ったのです。  色々できないことは、ふつうに教えてあげればいいだけの話であって、指導なんてえらそうな言い方しなくてもいいじゃん、て思っていました。ですから、生徒たちとはふつうにつきあっていました。  ふつうにつきあってなんの問題もありませんでした。こちらが教えたいことはちゃんと伝わったし、教わることもたくさんありました。  いちばんの気づきは『こんなステキな人達がいたんだ』ということでした。いろんなことができなくて大変な人達だと思っていましたが、でも毎日つきあっていると、ものすごく楽しくて、そばにいるだけで心が和み、私はいっぺんに惚れ込んでしまいました。色々できないことを突き抜けてしまうような人としての魅力を彼らは持っていました。  人間を見る目を大きく変えてくれましたね。世界が違って見えた感じです。  その時の気づきが今のぷかぷかにつながっています。障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい。そうすることで私たちが、そして社会が豊かになる。  それらはすべて養護学校の子どもたちに教わったことです。あらためて子どもたちに感謝!です。
  • かみ合わないところがおもしろい
     昨日テレビ神奈川が取材に来ました。3月16日(土)18:00〜18:30 ハマナビという番組で「ハマのパン祭り」というタイトルで、四つくらいのパン屋が紹介され、その中の一つに「ぷかぷか」のパン屋が紹介されるそうです。 おもしろかったのは、若い女性のナビゲーターがショーへーさんに色々質問をするのですが、ショーへーさんが相手ですから会話がうまくかみ合いません。ナビゲーターは少し困っていましたね。  私はそのかみ合わないところがすごくおもしろかったのですが、ディレクターはどんな風に受け止めたのでしょう。  かみ合わないところにこそ、障がいのある人達との出会いのきっかけがあります。かみ合わない、ということをどんな風に受け止めるのか、私たちがいちばん問われているところだと思います。  会話は障がいのある人達との大事なおつきあいの一つ。それが楽しめるかどうかはとても大事なことです。  ショーへーさんも、色々指導したりすれば、もう少し会話がうまくいくのかも知れません。でも私は、今のかみあわなさが好きです。ショーへーさんらしさがとてもよく出ていると思うからです。そこを大事にするかどうか、ということだと思います。  ハマナビはこんな感じ。 www.tvk-yokohama.com
  • お互いが生きやすい社会を創り出すために
    心がほっこりあたたかくなるような絵です。  こんな絵を描くぷかぷかさんは、やっぱり町の宝物だと思います。  障がいのある人が町の宝物。みんながそう思えるようになれば、この社会は誰にとっても、もっともっと生きやすい社会になると思います。  障がいのある人達とどうつきあっていくのか、という問題は、結局のところ私たちがどんな社会をつくりたいのか、ということだと思います。  共生社会社会を作ろう、とか、ともに生きる社会を作ろう、ということはかなり昔からいわれていますが、今ひとつ抽象的な言葉でとまっている気がします。  そんな中にあって、ぷかぷかはぷかぷかさんたちといっしょに生きるってどういうことなのか、どんな社会が実現するのか、を具体的に示し、それを発信してきました。  先日おこなった『表現の市場』もそのひとつです。 www.pukapuka.or.jp 日々のFacebookでも、撮りためたぷかぷかさんたちの写真をアップしています。 たとえばこんな写真です。 今日のお惣菜メニュー。すべてヨッシーが考えた絵のメニューです。私たちが作るような活字のメニューの何倍もいいです。 牛めしの宣伝 テーブルクロスにこんな文字が 牛? Tシャツの襟元にちょっと眠そうなネコの刺繍。眠そうな目がなんともいえずいい。   「障害者はいろんなことができない」という偏見がまだまだあります。彼らの創り出すもの、まさに創造したものを日々発信することで、そういった偏見を少しでもなくし、お互いがもっと生きやすい社会を創っていきたいと考えています。
  • うんぷか
     「うんぷか」〔ぷかぷかの運動会)がありました。写真レポートです。ぷかぷかさんたちの元気な姿が何よりです。 マスクしたままでどうやって食べるんだろう www.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com
  • ぷかぷかさんのいる町
     相模原事件の起こった翌年だったか、上智大学の学生さんから事件を超えるための手がかりになるような映像をつくりたい、と連絡があり、何回かぷかぷかに取材に来てつくったのがこの映画『ぷかぷかさんのいる町』 www.youtube.com  10分ほどの短い映画ですが、ぷかぷかさん達がこの町で何をやり、どんな風に耕しているかが、ほんの少しですが見えてきます。  すぐ近くの郵便局の局長さんの話がいいです。地域を耕すってどういうことか、耕される側の言葉です。こうやって地域社会が少しずつ豊かになっていくのだろうと思います。  近くの大学を耕しに行く。  やまゆり園事件に衝撃を受け、なんとかそれを超える手がかりをつかみたいと学生さんはカメラを提げてぷかぷかにやってきたのですが、できあがった映像は特に事件にふれるわけでもなく、それでいてぷかぷかさん達が毎日元気に働くことで、町を耕している、豊かにしていることがなんとなく見えてきます。そういったことをみんなで共有することが事件を超えていくことにつながるのではないかと思いました。  大学で映像の勉強をしている方がいましたら、ぜひ腕試しのつもりでぷかぷかを撮りに来て下さい。いろんな人がいろんな角度からぷかぷかを語ることが大事だと思います。
  • 仕事観
    仕事のエンジンがかからないのか、こんな感じで寝ている人がいました。  こうやって寝てられる雰囲気がぷかぷかにはあります。私自身すぐそばで仕事をやっていたのですが、特に注意するわけでもなく、こうやって写真撮ったりしていました。  これが 「仕事中寝てたらだめじゃないか」 って叱られる雰囲気だと、お互いが疲れます。  そういえば養護学校で教員をやっている頃は、実習に行く生徒に 「仕事中寝たりしてはいけない」 なんて教えていました。今思うと、そういう「仕事観」でやっていたのですね。  ところがぷかぷかを始めてから写真のような人がいても、何も言わなくなりました。何も言わないどころか、こうやっていられる雰囲気こそ大事、と思うようになりました。  ひょっとしたら私自身、学校という管理組織から自由になれたからかも知れません。同時に彼らにあわせた方が、お互いが楽なる、ということが彼らとの日々の暮らしの中でわかってきたからだろうと思います。  いずれにしても、彼らから教わったことです。 「障がいのある彼らから教わる」 というところがポイントです。彼らを支援する、という発想から自由になれないところでは、彼らから何か教わる、といったことはないのでしょうね。ステキな人達がそばにいながらもったいない話だと思います。   
  • ぷかぷかに来るとやっぱりホッとしますよ
    映画『Secret of Pukapuka』の中で、毎日こどもと一緒にクリームパンを買いに来ていた近所のオーヤさんがこんなことを語っています。ぷかぷかさん達とお友達になって色々見えてきたことです。  今まで障がいのある人たちに対して  「ちょっと上から目線で見ていた自分がいたかも知れない」 でも、ぷかぷかさんとおつきあいするようになって  「別に自分がすごいと思わないようになりました」  『共生社会』とか『ともに生きる社会』とかについて、あーだこーだ小難しいことをいわなくても、ぷかぷかさん達との日々のおつきあいが、こんな風に街の人を変えたのです。障がいのある人達といっしょに生きていくことの意味がよく見えます。彼らが社会を豊かにする、というすばらしい仕事をしていることがよく見えます。  ポイントは、彼らとふつうにおつきあいすることです。何かやってあげるとか支援するといった上から目線ではなく、フラットにふつうにおつきあいすることです。  オーヤさんはお店にクリームパンを買いに来て、店員さんとしてふつうにおつきあいしていました。これがよかったと思います。そして何よりも彼らとふつうにおつきあいできる環境がぷかぷかにはあったこと。支援することに熱心な福祉事業所では、なかなかそうはいきません。  以前、利用者さん達がお客さんに対して間違いを起こさないようにと利用者さん達のそばにスタッフがピタッと張り付いてピリピリした雰囲気のお店に行ったお客さんが、 「いやぁ、ぷかぷかに来るとやっぱりホッとしますよ」 とおっしゃったことがありますが、お客さんは敏感に雰囲気を感じ取っています。「ぷかぷかに来るとホッとする」という言葉が、本質を言い当てています。  どうして彼らに任せないのだろうか、と思います。ちょっとくらい間違えたっていいじゃん、そんな風に思えばお互いがもっと楽になるのに、と思います。  映画『Secret of Pukapuka』は障がいのある人達が街を耕している様子がよく見えます。ぜひ地域で上映会をやってみて下さい。いろんな気づきが生まれます。その気づきは自分を、そして地域社会を豊かにします。  問い合わせは高崎まで。takasaki@pukapuka.or.jpにメール下さい。
  • 福祉事業所が、地域の希望を生み出してる
    静岡からなんと15人もの人が見学に来ます。大きな社会福祉法人の人達です。  ぷかぷかの見学を提案した人は ●●●  現在の「何となくどんよりした感じ」(こんなもんだと諦めた境地?=「社会適応」)を変え、「いつでも、どこでも、その人らしく」生き生きと生活する場にするには、考え(理念)だけでなく、「しかけ」(環境創造)が必要ではないかと感じています。  この映画(『Secret of Pukapuka』)を観て、私が思うぷかぷかの「しかけ」は次の2つです。  1つ目は「地域に開く。積極的に地域と関わること」その結果、地域から必要・有意な存在として認められ、好かれてファンが増え、そのことで、ぷかぷかさんも職員もはりあいをもって生き生きしている(地域との好循環)。  2つ目は「不特定の人の前に立ち、承認・達成感を得る機会」です。  販売(事業所・出張)、パン教室などの交流ワークショップ、演劇発表(舞台)など 地域での活動は名前で呼び合う継続的な関係を通じた安心・楽しみ・喜びを、大舞台での発表は緊張をともないスポットライトを浴びてやりとげる達成感を生んでいると思います。  この「しかけ」は真似したいがすぐには真似できないでしょう。 自分たちができる「しかけ」を見つけたい、考えたいです。 ●●●  見学に来る理由に中に、地域との関わりをどうやってつくるか知りたい、というのがありました。  ぷかぷかは、障がいのある人達の社会的生きにくさを少しでも解消したい、というところからスタートしています。地域との関わりは、そういった思いから始まっています。  ぷかぷかが始まった当初は、うるさいとか目障りだとか、散々言われました。そのたびに謝ったり、お詫びしたりしていましたが、苦情の根本的な解決にはなりません。じゃあどうすればいいのか。  あーだこーだ言葉で説得するのではなく、やっぱり障がいのある人達といい出会いをするしかないんじゃないかと思いました。そこで考えたのがパン教室です。彼らといっしょに楽しくパンを作ろうよ、という提案です。   で、やってみたらこんな楽しい場ができました。 パン教室の中で歌を歌う人がいました。何でもありのパン教室なのです。 www.youtube.com  第3回目のパン教室をやったときの日記  今日は地域の方が6名参加、そのうち二人が小学生でした。子ども達が楽しく参加してくれたことがすごくよかったと思います。ここに希望があります。子ども達は地域の未来を作ります。パン教室に参加した子ども達が、社会を担う年齢になったとき、地域社会はきっと変わってくると思っています。ぷかぷかができてから、パン教室に参加した子ども達は軽く100人を超えます。100人は大きいと思います。  パン教室はですから、地域の希望を生み出しているのです。たかがパン教室、されどパン教室、なのです。  地域の福祉事業所が、地域の希望を生み出してるなんて、ステキじゃないですか。  遠く静岡から見学に来て、たくさんの気づきがあればいいなと思っています。
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