ぷかぷか日記

障がいのある人と生きるということ

  • 1,000万円を夢見てーその2
     1,000万円を夢見て岩佐賞にチャレンジ。 「混迷を極める現代社会、その困難な局面だからこそ、持続可能な未来を目指して果敢に取り組む人を応援したい」 という岩佐賞。こういうのは月並みな取り組みではダメです。オリジナリティーがあって、かつ元気な取り組みです。  ぷかぷかは持続可能な未来を目指して新電力に切り替えたり、お弁当のプラスチック容器を紙容器に変えたり、ナイロン製品に代わるヘチマを販売したりしていますが、もっと根本的な大きな取り組みはないものかといろいろ考え(1,000万円がかかっていると、いろいろ考えるものです)、出てきたのが前回のブログです。 www.pukapuka.or.jp   つまり、ぷかぷかの理念そのものが持続可能な社会を作り出している、ということです。  で、申請書にその取り組みの概要を書いてみました。  NPO法人ぷかぷかは知的障がいの人たちを対象にした就労支援の事業所です。ぷかぷかは創業者の高崎が養護学校の教員をやっている時に、知的障がいの子どもたちに惚れ込み、彼らといっしょに生きていきたいと、退職金をはたいて作った事業所です。  彼らと出会った経験を元に、 「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ、その方がトク!」 と言い続けてきました。トク!というのは、彼らとおつきあいすると毎日が楽しく、人間の幅が広がり、人生が豊かになる、という意味です。  なので、お客さん達に彼らに出会って欲しいと、彼らの魅力を存分に発揮できるお店(パン屋、お惣菜屋、食堂、アートスタジオ)を作り、たくさんの素敵な出会いを作り出しました。「ぷかぷかさんが好き!」(ぷかぷかで働く障がいのある人達のことをぷかぷかさんと言います)というファンまで現れました。障害者はなんとなくいや、怖い、生産性が低い、と彼らを排除することの多い社会にあって、彼らのファンができたことは画期的なことだと思います。  お店以外の出会いの場も作ろうと、パン教室や、演劇ワークショップ、アートワークショップなど、一緒にクリエイティブな活動をする機会もたくさん作ってきました。演劇ワークショップでは、一目で「彼らとはいっしょに生きていった方がいいね」と思えるような舞台をたくさん作ってきました。  彼らは支援が必要な人ではなく、街を耕し、社会を豊かにするとても大事な存在です。  SDGsの理念に「誰一人取り残さない」というのがありますが、ぷかぷかは障がいのある人達を取り残さないだけでなく、彼らと一緒に社会を豊かにするものを作り続けてきました。それは「誰一人取り残さない」理由を明確に示すものであり、「誰一人取り残さない」の理念をもう一歩進めるものであると思います。  こんな楽しいラベルのついた商品ができること、それが彼らといっしょに生きること。   彼らがいないと、こんな楽しいラベルはできません。彼らは社会を楽しくする。楽しい社会こそ、持続可能な未来を作っていくのだと思う。
  • 1,000万円を夢見て
    「SDGs岩佐賞が、あなたの活動を応援します」と、先日大きく新聞広告が出ていました。ネットで見ると  新型コロナウイルスの感染拡大、そして先行きの見えないウクライナ情勢と、ますます混迷を極める現代社会。あと8年で期限を迎えるSDGs(持続可能な開発目標)の達成は、これまで以上に難しいものになりつつあると言えるでしょう。 そんな困難な局面だからこそ、持続可能な未来を目指して果敢に取り組む人を応援したい──。公益財団法人岩佐教育文化財団は、そんな思いから、2022年5月、「SDGs岩佐賞」を創設しました。〈医療〉〈教育〉〈福祉〉〈環境〉〈平和〉〈芸術〉〈農業〉の各分野で、SDGsの達成に向けてめざましい功績を残した団体・個人を選出し、支援します。  なんと団体に300万〜1,000万円も出すそうで、こりゃ応募しなきゃソン!と思いましたね。  SDGsの理念は「誰一人取り残さない」。その理念をどんな風に実現しているのか、ということなんだろうと思います。  ぷかぷかは、「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」「その方がトク!」と言い続けてきました。ぷかぷかの活動は、それをそのまま実践することでした。彼らといっしょに生きると社会が豊かになる、ということを目に見える形で表現してきました。  ヨッシーは「おひさまの台所」のメニューを毎日こんな風に描いてくれます。  いっしょに生きると、毎日こんな楽しいメニュー表が上がってくるのです。スタッフが描いたのではこんなメニュー表はできません。  テラちゃんは映画『梅切らぬバカ』の写真を元にこんな楽しい絵を描いてくれました。  絵を描いてくれたぷかぷかさん達と一緒に『梅切らぬバカ』の上映会をやります。映画を手がかりに「やまゆり園事件」についてみんなで話す集まりですが、私たちだけで事件について話をすると、どうしても重い雰囲気になってしまいます。でも、こんな絵を描いてくれる人たちといっしょに話すので、重い雰囲気になりようがなく、ひょっとしたら今までにない展望が開けるのではないかと思っています。  彼らは社会を豊かにする存在だとつくづく思うのです。  SDGsの理念は「誰一人取り残さない」ですが、ぷかぷかは、取り残さないだけでなく、いっしょに生きて社会を豊かにする、というところまでやっています。なので、SDGsの理念よりも、もう一歩先へ行ってる気がします。  そういったことを「SDGs岩佐賞」の応募用紙に書こうと思っています。1,000万円を夢見て。
  • 第7期演劇ワークショップ第2回目をやりました。
     7月16日(土)、第7期演劇ワークショップ第2回目をやりました。コロナ大流行のため、始まる前に参加者全員抗原検査をしました。  プログラムは以下の通り。 9:30  あいさつ by 高崎     諸注意(マスク着用、昼食時のことなど) 9:40  名前のゲーム(ネーム・ウィズ・アクション) 10:00 ミラーゲーム(2人組)→パートナーを変える 10:15 シェイプ 大きな大きな獣あるいは恐竜の復活 (倒れているところから起き上がって、動き出す) 10:40  銀河鉄道の話→白鳥の停車場(プリオシン海岸)の部分(抜粋)を読む     恐竜の骨の発掘のビデオを見る  *プロジェクターとスクリーン     プリオシン海岸のシーンを起こす 二人がプリオシン海岸にやってくると大きな大きな獣の発掘をしている。二人は学者らしい人と話をする。 11:20  発表 11:30 昼食 12:30 歌をうたう 13:00  賢治のオノマトペで動いてみる      チームに分かれ、好きなオノマトペを選んで動いてみる  13:20  新井さん、安井さんの話(高崎さん、近藤さん)*プロジェクターとスクリーン 13:40  新井さん、安井さんの話からシーンを起こす     新井さんの話を起こすチーム(2チーム?) 安井さんの話を起こすチーム(2チーム?) 14:00  発表 14:15  休憩 14:30  身の回りで亡くなった人の思い出を話してみる。     チームに分かれて少し話をする →五行詩「今はもういない人のこと(思い出)」をかく (新井さん、安井さんのことでも、他の人の思い出でも可) 15:00  発表 15:20  歌をうたう 15:50  振り返り 16:30 終了  プリオシン海岸での発掘現場の場面を作るところでは恐竜博士ヨコヤマさんの描いた恐竜の絵をお披露目  恐竜の化石の横たわるところを発掘している場面  発掘途中で恐竜が動き出す。発掘中の恐竜が水を飲みたいだの、何か食べたいだのと言い、水と食べ物を与えると恐竜が動き出し、しかもみんなを背中に乗せて歩き出すという画期的アイデア。 www.youtube.com この歌を歌う予定でしたが、今日はピアニスト欠席のため歌詞を読むだけにしました。 オノマトペをやりました。宮澤賢治の作品の中からおもしろい言葉を選び、それを体で表現します。 「へらへら ばばあ へらへら ばばあ」のオノマトペ。何かと思いきや、どうやらわかめがゆらゆらしているところへ魚が突っ込んできたようでした。 www.youtube.com  病気で亡くなったアライさんとしんごっちの話を聞きました。  しんごっちは自分でピタゴラスイッチを作って動画に残しています。 www.youtube.com  話を聞いて「人間ピタゴラスイッチ」をやったグループがありました。  ピタゴラスイッチの準備。イクミンが仕切っています。みんなイクミンの指示に従って動いています。ワークショップにおけるこういう関係がなんとも楽しい。 www.youtube.com イクミン自らビー玉になって転がります。 www.youtube.com アライさんのお話しを作ったグループでは、アライさんが好きだったジャニーズのメンバーが登場し、ダンスを披露 www.youtube.com 短いお話しを作ったあと、忘れないために各グループともメモに起こしました。ぷかぷかさんが記録係。  今回は演劇ワークショップに初めて参加した人も多かったのですが、シェイプ(体を使って形作り)、オノマトペ(言葉を体で表現)、お話作り等、ずいぶんと盛り上がりました。  初めて参加された方はこんなことをおしゃっていました。  「おつかれさまでした。楽しかったですよー。亡くなったお二人のエピソードを聞いて、みんなで寸劇にするという過程で、新しく知り合いになれた気がしましたし。オノマトペの表現も興味深かったです。」   アライさん、しんごっちのお話しからも、楽しい芝居ができました。二人は銀河鉄道の乗客です。ここで展開するお芝居は、アライさん、しんごっちのこと忘れないよ、というメッセージです。発表会はしんごっちのお母さんが職場の同僚を連れて見に来ます。しんごっちやアライさんもきっとどこかで見てくれると思います。  次回はこういったことをもっとふくらませていきます。  芝居の発表は11月27日(日)の午後2時から、長津田駅前のみどりアートパークのホールです。ぜひ見に来て下さい。
  • ハラハラ、ドキドキが楽しい
    先週 土曜日の「折々のことば」  私は、養護学校の教員になった時、まごまごというか、毎日想定外のことをやってくれる子ども達を前に、どうしていいかわからず、ヒャ〜、どうしよう、どうしよう、とオロオロしていました。  一緒に芝居を作った時は、私が台本を作って、その通りにやるのではなく、どこまでも一緒に作っていったので、この先どうなるのかなかなか見えてこなくて、途方に暮れてしまうことがしばしば、というより、しょっちゅう。  ま、でも、その途方に暮れるような状態が、なぜか楽しかったですね。着地点がわからないからこそ、この先どうなっちゃうんだろうって、わくわくしながら先へ進めます。  全校生200人くらいと一緒に芝居を作った時も、「これ、どうなっちゃうんだろう」というハラハラ感、わくわく感をみんなで共有できたことがよかったと思います。4月にスタートして11月末の文化祭での発表まで8ヶ月にわたる長期間、200人も引っ張っていけたのは、着地点が見えないことの不安であり、それ故のドキドキ感であっただろうともいます。着地点が見えていたら、8ヶ月もわくわくしながら引っ張っていけなかったと思います。  発表会は体育館のフロアが舞台、全校生、保護者、教員、総勢400人くらいが取り囲む舞台で芝居をやります。緊張感のあまり、主役の女の子が本番で泣き出したこともあります。う〜、困った、と思いましたが、お客さんが取り囲む真ん中で芝居やっているので、助けに行くわけにも行かず、もう役者さんにまかすしかありません。400人くらいがハラハラしながら見守っていましたね。女の子がなんとか頑張って泣き止んだ時は、自然に拍手が起こりました。  みんなすごい経験したと思います。こんなにハラハラ、ドキドキする芝居は初めて。あ、こんな風にしても芝居が作れちゃうんだ、という経験、自信。  あのころ、こんな格好で芝居やってました。このいい加減さ満載の雰囲気が、ハラハラ、ドキドキを生んだのだと思います。こいつ大丈夫か、って。
  • ぷかぷかさんの世界に『論座』が追いついたんですね。
    『論座』に載ったことについて ぷかぷかさんの世界に『論座』が追いついたんですね。 というコメント。なるほど、と思いましたが、ぷかぷかのメッセージをしっかり受け止めてくれる人が現れたことはとてもうれしいことです。  1985年に始めた演劇ワークショップでは、障がいのある人たちといっしょに作り出したものは今までにない新しい文化、あるいは新しい価値、といってもいいんじゃないか、と言っていたのですが、何バカなこといってんだ、みたいな雰囲気で、認める人は皆無でした。  障がいのある人達はあれができないこれができない人達であり、そんな人たちといっしょに作るものに新しい文化だの新しい価値だのというのは言い過ぎだよ、という感じでした。  で、ずっと無視され続けてきたのですが、障がいのある人達への社会の評価が少しずつ変わってきたり、エイブルアートが社会に出てきたり、といった社会変化の中で、2015年「読売福祉文化賞」を受賞。ようやく文化として認められたのです。社会が追いつくのに30年もかかった、ということです。  ま、そんなもんですね。社会に認められなくても、自分の思いを大事にし、コツコツやり続けることが大事ですね。   この舞台こそが新しい文化。
  • 授業を受けて、心が軽くなったような気がした。
     先日看護学校で授業をやりました。 www.pukapuka.or.jp  その時の学生さんたちのアンケートが送られてきました。A4の用紙にびっしり書いたアンケートが80枚もあって読むだけで大変でしたが、学生さんたちも今回の授業でいろいろ考えることがあったようでした。(いろいろやることが多過ぎて、まとめるのが遅くなってしまいました。)  前半の『Secret of Pukapuka』の上映は、ぷかぷかさん達の楽しい表情に心ぷかぷかになった学生さんがたくさんいたようでした。後半の映画『不安の正体』に出てくるグループホーム建設反対にどう向き合うのか、という問題は教科書に載っているようなことではないので、みなさんグループごとの話し合いで相当悩んだようでした。結論は出ないまでも、いい経験をしたと思います。  高崎先生は、障害者と共生しなければいけない、なんて思わなくていい、とおっしゃっていた。でも彼らとつきあうのは人生にとってトクだし楽しいから、ぜひ自分なりのつきあい方を見つけて欲しい、という言葉が印象に残った。私は、障がいを持つ方と距離をとってはいけない、受け入れて共に生きなければいけないと、義務のような感情を抱いていた。しかし高崎先生の言葉で心が軽くなったような気がした。  障がいのある人達と義務でつきあうと、そこからは何も生まれないし、つきあうこと事態がだんだんしんどいものになっていきます。そうではなく、楽しいからつきあう、というふうになれば、そのおつきあいからは豊かなものがたくさん生まれます。ぷかぷかの映画からは、そういったものが伝わってきます。気楽に楽しくおつきあいしましょう。  映画を見て、障害を持っていても一人の人として接し、活動をしていることに気づかされた。障害を持っているから優しくするとか、特別扱いをするのではなく、みんなと同じようにおつきあいすることで、お互いを深く知ることができると考えた。もちろんそこではいろんなトラブルもあるのだが、そのトラブルがあることでお互いのことをもっと知ることができ、何よりも楽しい、とおっしゃってて、深く共感した。  特別扱いするのではなく、ふつうにつきあった方が彼らのことがよくわかります。なによりも彼らからたくさんのことを学べます。そして楽しい!  正直私は障害を持っている方に対してあまりよい印象を持っていなかった。小学校の同級生にも特別支援学級の子がいたが、何を考えているのかよくわからないし、突発的に騒いだり、暴れたり…。接する環境はあったものの、それを避けていた。ぷかぷかの映画を見た時に、今まで自分が心の中で抱えていた固定観念が打ち砕かれたかのように感じた。  すばらしい気づきでしたね。ぜひこれからは障がいのある人達とおつきあいして、自分の人生の幅を広げて下さい。楽しいことがたくさんあります。  障害者に対して医療者としてではなく、一人の人間としてもっと彼らの魅力を知りたい!  一人の人間として彼らの前に立つことが大事です。その時、ようやく彼らと人として出会えるのだと思います。  ぷかぷかのメンバーと開催するイベントの中で「トラブルはつきもので、困ったことがあってもなるべく介入しないようにしている」と高崎さんがおっしゃっていたのが印象的だった。想定外の問題が起きた時、その解決の過程がお互いの関係をより深いものにする。困ることを経験することで、与えられた正解ではなく、自分で導き出した答えにたどり着くことができる。これこそが人と人のつきあいで、お互い人として向き合った結果がそこにはある。自ら動くことで習得したものと、与えられたものでは、得るものが全く違う。これから看護師を目指す中にも生かすべきだと感じた。人として向き合ってこそ知ることのできる多くのことがあることに気づかせてもらえた。  トラブルは人を鍛えます。問題としっかり向き合い、悩んで悩んで悩み抜いて欲しい。そうする中で見えてきたものこそ、本物です。  グループワークが授業を受ける前だったら、グループホーム建設反対をいう人たちと同じように考えたかも知れないと思いました。障がいのある人達のことを何も知らないし、関わったこともないので、勝手な偏見を持っていました。でも、ぷかぷかの映画を見て、私も自然に笑顔になりました。  こういう変わりようがうれしいですね。ぷかぷかさん達のおかげです。自然に笑顔になれるような関係をこそ作りたいですね。  元々障がいのある人達に対して怖いといった感情はなかったけど、ぷかぷかさんの映像を見て、こんな素敵で、楽しい人達と関わりたいな、と強く思いました。今まで知らなかったことがもったいないと感じるくらいでした。  とてもうれしい感想です。こんな人達が未来を作るなら、未来に希望が持てます。  小学生の時、一つ上の学年の先輩が授業中に廊下を叫びながら走るのが日常の生活をしていました。今回の授業を通して、障害者と一緒に学校生活を送ることができたのは、とても意味のあることだったと思いました。  生活の中に障がいのある人達との接点があったこと、それが自分の人生の幅を広げてくれたのだと思います。人生の豊かさはそんなところから生まれます。  自分と違うことで、恐ろしいとか、関わりたくないとか、どうしてもマイナスなイメージがあったのですが、ぷかぷかの映画を見てから、自分の考えが凝り固まったよくない考えだと思いました。マンションの中に障害者の方がいるのですが、「こんにちは」と道路の反対側にいても声をかけてくるのがどうしても怖くて、できるだけ避けるようにしていました。でも、よく考えると、あいさつすることは悪いことではないのに、なぜこんなに嫌悪感を抱いているのかと考えた時に、障害者という固定観念で悪く思えてしまうのだと感じました。  ぷかぷかの近くに住んでいるおばあさんは、ぷかぷかさんが道路の反対側から「こんにちは」って元気よく声をかけてくれると、とてもうれしい気持ちになる、といってました。ふだんの暮らしの中でそんな風に親しく声をかけてくれる人なんていないからです。声をかけられて怖いと思う人と、うれしいと思う人。この違いはどこから出てくるのでしょう。やっぱりぷかぷかが作ってきた地域の環境の違いが大きいと思います。  高崎さんの話の中で、医療従事者としてではなく、一人の人間として相手に関わる、という言葉がすごく印象的でした。対等であることを大事にする。何かをしてあげるのではなく、共に何かをする、という関係こそが大事だと学ぶことができました。  相手がこちらに対して心を開くような関係はどうやったらできるのか。それはやはり、一人の人間としてその人の前に立つことだと思います。とりわけ相手が精神を病んだ方の場合は、こういった関係がとても大事です。相手の悩みを自分のこととして一緒に悩むこと。  私は以前霧が丘に住んでいました。上の娘が生後2ヶ月くらいで、お昼寝のタイミングを見計らってベビーカーに乗せ、ぷかぷかのパンを買いに行ったことを思い出しました。映画の冒頭でそのことに気づき、ぷかぷかさん達の変わらぬ様子を見て、タイムマシーンに乗ったような不思議な気持ちになりました。初めての育児で、2時間ごとの授乳や、娘が泣く理由がわからず、戸惑う日々でした。ぷかぷかに行くことで私はすごく救われていました。このご縁に感謝します。  そうでしたか。ぷかぷかに行くことですごく救われた、というところがいいですね。ぷかぷかさん達のおかげですね。  高崎先生の問いに対し、私はうまく言葉が出てきませんでした。精神障害の人のことを知らないからだと思います。建設反対運動を行う人達と私は全く違うと思えませんでした。小学校の時から支援級と普通級に分かれ、「交流」はしても「生活」を共にすることはほぼなかったことが大きく影響しているように思います。いろんな人がいることを知り、お互いを理解しようとすることが大切だなと思いました。人と、ほんとうに出会う、ということを忘れないようにしたいです。  建設の反対を叫ぶ人達と自分があまり変わらないことに気づき、それはどうしてなんだろうと考えたことがすばらしいですね。いろんな人と、たくさんの出会いを作っていって下さい。  授業で見たぷかぷかの映画は、私の中にある障がいのある人達のイメージを大きく変えるものでした。グループで考えた問いは、とてもむつかしくすごく考えさせられるものでした。今まで生活してきた中で障がいのある人と接したり、長い時間一緒にいたりすることがありませんでした。小学校も中学校も同じクラスの一員としてクラスに席はあるものの、ほとんど姿を見ることはありませんでした。その後は学校内に障がいのある人はいなく、外ですれ違い際に見かけるくらいでした。今回の問いを考えることで、私たちは今まで全くといっていいほど障がいのある人達のことを知ろうとしてこなかったのだと気づきました。  すばらしい気づきでしたね。障がいのある人達とはどんどんおつきあいしてみて下さい。最初はいろいろ戸惑うこともあります。でもその戸惑うことこそが大事です。戸惑いの中での気づき。こんなおもしろい人達がいたんだっていう気づき。その気づきは人生を豊かにします。  私は小学校1年生の時に一人の女性に救われたことがあります。その時は男の人が何かガミガミ言ってきて、そこの道を通してくれませんでした。私はどうしたらいいかわからず、その場で固まってしまいました。その時に助けてくれたのが障害を持っている女性です。その女性が救ってくれたおかげで、私はその道を通ることができ、家に帰ることができました。これをきっかけに、私は、障害を持っている人も私たちと何も変わらない同じ人間であると思うようになったのだと思います。この一件がなかったら、私は今でも自分と違う人に対し偏見を持って生活していたと思います。  いい出会いがあったのですね。人との出会いは人生の幅を広げてくれます。世界がずっと広く、楽しくなります。  「私たちが障がいのある人達を支えていかなければならない」と思っていましたが、授業を受けて「私たちが支えられている」ことに気がつきました。     障がいのある人達を支える、支援する、という考えが一般的ですが、ぷかぷかをやっていく中で気がついたことは、彼らにぷかぷかが支えられている、ということでした。彼らがいなければ、どこにでもあるおもしろくもなんともないただのパン屋であり、お惣菜屋であり、アートスタジオです。彼らがいるからこそ、こんなにおもしろいぷかぷかができました。  『ぷかぷかな物語』も、彼らがいるからこそ書けた本です。 www.pukapuka.or.jp  彼らって、新しい文化を作り出しているんじゃないかと思います。  ぷかぷかの映画を見るまで、障がいのある方との接し方や、障がいのある方ってどんな人なんだろうと、わからないことがたくさんありました。でも、ぷかぷかの人たちはみんな明るく、笑顔で、いっしょにいる人はみんな楽しくなれるなと感じました。先生も話していたとおり、この人たちは障がい者と呼ばないでいいと思いました。  いいことに気がつきましたね。「障害者」という言葉には、あれができないこれができない、こんな問題がある、等々マイナスのイメージがつきまといます。でも、ぷかぷかさん達とつきあっていると、そんなイメージはひっくり返ってしまいます。彼らのこと、「障がい者」と呼ばないでいい、という気づきはとても大切です。  高崎さんがおっしゃったように、教科書に載っていないことは、出会って大変だと困惑することが大事…  大変だと困惑するような出会いこそ、自分をほんとうの意味で鍛え、磨いてくれます。それこそがほんとうの勉強だと思います。教科書は自分を鍛えたり、磨いてくれたりしません。  ふだん生活する中で、精神障害者と接することは少なく、たまに目にするニュースでは精神障害者により凶悪犯罪が行われている、というイメージが作られている。学生生活においても健常者のクラスと障害者の特別学級にわけられ、それが当たり前であった。幼い頃から差別することを教わってきたのかと思ってしまう。   とてもいい気づきですね。そこからどうするか、ということが大事です。身近にいる障がいのある人達といい関係、楽しい関係を作りましょう。一緒に楽しいことをやってみましょう。そしてその中で気づいたことを様々な形で発信しましょう。きっと共感する人が出てきます。差別することはおかしい、と気づく人が少しずつ増えていきます。そういったことを続けていけば、あなたのまわりの社会が、誰にとっても生きやすい社会に少しずつ変わっていきます。  映画の最後に、ぷかぷかさんがバームクーヘンをすぐそばにいた方に分けてあげる場面がありました。相手を思いやる気持ちがあり、すごく素敵で、心があたたかくなりました。  私たちは今、人を思いやる心がだんだん失われているように思います。そんな中で、ぷかぷかさん達がやっていることは、本来人間が持っていることであり、今、私たちが思い出さないといけないことだと思います。
  • 第7期演劇ワークショップが始まったよ
    2年ぶりの演劇ワークショップ。新しい人も加わり、かなりの人数。舞台に乗り切れるのかどうか心配になるほど。  新しい人も加わったので、お互いの関係作りと心と体のウォーミングアップでギブミーシェイプ(何人かのグループで体を使って形を作る)。パン、楽器、動物などをグループで作りました。                  楽器を作った www.youtube.com   キリンの鳴き声をスマホで調べながら歩く www.youtube.com 一緒にやった方は    動物の身体表現する場面では、フタミンさんと同じグループになったのですが、フタミンさんがキリンの独特な鳴き声をして、その他の4人がブリッヂをして、足を表現しました。実際にやっていると、あまりにおかしくて面白いんです。そして、とても楽しい。  練習ではうまく行っていたのですが、本番になるとフタミンさんはなかなか始めようとしませんでした。  なぜなら、フタミンさんがキリンの鳴き声を携帯で調べている最中に、私たちの発表がきてしまったからです。  発表中、フタミンさんは練習通りの鳴き声を出さずに、携帯を見て調べ続けていて、その間私達がひたすらブリッジをし続けるという予想できない結果になりました。それが一番印象深くて楽しかったです。   銀河鉄道のイメージをふくらませるために、ぷかぷか旅行で行った四国の「四国まんなか 千年ものがたり」の電車の写真をみんなで見ました。  列車に乗っているシーンを作りました。    『銀河鉄道の夜』に出てくる場面 ジョバンニは、せわしくいろいろのことを考えながら、さまざまの灯や木の枝で、すっかりきれいに飾られた街を通って行きました。時計屋の店には明るくネオン燈がついて、一秒ごとに石でこさえたふくろうの赤い眼が、くるっくるっとうごいたり、いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子の盤に載って星のようにゆっくり循ったり、また向う側から、銅の人馬かゆっくりこっちへまわって来たりするのでした。そのまん中に円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。 それをやってみました。 町は星祭りでとても賑やか。いろんなお店が出ています。ダンスがなかなか始まらないところがいい。 www.youtube.com   このシーンに参加した人の感想 ぷかぷかさんのような個性を持った人たちとあれだけ密に関わったのは初めてだったので、発見の連続でした。 本当、色々な個性なのでひとまとめにはできませんが、やっぱり彼らのピュアさに自分も巻き込まれていった感じです。 はじめましてなのに、とても信頼して寄ってくる彼らと対峙して、自分が普段色々考えていることがバカらしくなったりとか、お互いの個性を尊重し合ってる感じとか、とても居心地が良かったです。   「35億年のサーカス」を歌いました。とても元気の出る歌です。 www.youtube.com  ぷかぷかさん達と一緒にやる芝居作りは、やっぱり楽しいなとあらためて思いました。思ってもみないアイデアが出てきたり、なかなか話が進まなかったり、戸惑ってしまったり…そういうことを全部含めて楽しいなと思うし、いっしょに生きていった方がトク!と思うのです。今年は宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』をベースに、そこに何人かの方の物語を載せていく予定ですが、どんな風にまとまっていくのか、いつものようにドキドキ、ハラハラしながらの展開になりそうです。どんなお芝居ができ上がるのか、楽しみにしていて下さい。11月27日(日)の午後、みどりアートパークのホールで発表します。
  • かなわね
     いい本を見つけました。  ほんとうなら、かな「は」ね、となるはずのこの絵本のタイトル。  小学校の頃に「は」と「わ」の区別がつけられなくて、うまく書けなかった著者の思いが詰まっています。  と本の帯にあって、これは読まねば、と思いました。  私の娘は精神障害と発達障害を併せ持っています。鬱の検査で大学病院に入院した時、発達障害であることがわかり、その検査結果を見た娘が、 「そうだったのか」 と、妙に納得したことを鮮明に覚えています。  大学まで、なんとなく順調にいったように思っていたのですが、多分まわりとの関係の中でいろんな苦労があったのだと思います。       かなちゃんのように泣くことも         苦労の原因がわからないことの漠然とした不安。悲しく思うこともあって、かなちゃんのようにたくさん、たくさん泣いたんだと思います。(私はこの絵を見た時、娘の思いに直に触れた気がして涙が止まりませんでした。)  そんな中で「発達障害」と診断され、今までモヤモヤと自分の中にたまっていたものが、ようやくわかった、という感じでした。  もちろん、そう診断されたことで問題が解決したわけではありません。生きる苦労は相変わらずです。大学に入ってから鬱がひどくなり、ほとんど学校に行けないまま泣く泣く退学しました。鬱はただ単に気分が鬱状態になるのではなく、娘の場合、体が動かなくなりました。  自分の人生が思うようにならなくて、荒れに荒れました。手がつけられなくなり、警察に来てもらったことも何度かあります。今はかなり落ち着きましたが、それでも一日中伏せっている日がたくさんあります。ほんとうに苦労の日々です。  でも、苦労は人間を磨きます。苦労したことで、人生の厚みが増し、それはそのまま自分の財産となります。そんな風に考えながら娘の苦労とつきあっています。  『かなわね』は、かなちゃんの苦労が生み出した社会の財産と言えます。たくさんの人に読んで欲しいです。かなちゃんのような苦労、悲しみを抱えた人はたくさんいます。そんな人達の心を想像できる人が少しずつ増えていって欲しいです。社会は、そんなふうにして少しずつ豊かになっていきます。
  • いつもそばにいてくれて、ありがとう!
    しみじみ幸せな気持ちになる自画像です。  なんなんでしょうね、この幸せ感は。  この幸せ観こそが、彼らといっしょに生きる意味。  だから、いっしょに生きていった方がいい。  その方がトク!  テラちゃんもリエさんも大好きだよ。  いつもそばにいてくれて、ありがとう!  こんな幸せな人生はなかなかないと思うよ。
  • 35億年のサーカス
    6月18日から始まる演劇ワークショップで歌う歌です。第1回目には『35億年のサーカス』と『ブルッキーのひつじ』を歌います。『35億年のサーカス』はとても元気の出る歌です。 www.youtube.com 『ブルッキーのひつじ』は絵本があります。                                    歌っているのは先日ぷかぷかまで歌い聞き手くれた歌役者飯野薫さんです。 www.youtube.com    
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