ぷかぷか日記

障がいのある人と生きるということ

  • 『地に足の着いた幸せ』を感じる本
    『ぷかぷかな物語』を読んで、うれしくなるような感想がお二人の方から届きました。                          ●●● この本を読んで、障がいがある人と一緒にいることは人生を豊かにする、そんな思いを感じました。 こんなにステキな場所があるんだ、と明るい気持ちになりました。 障害のある子を持つ親として、悲しみや悔しさ、羨みや将来の不安といった一通りの気持ちを経験しましたが、 このぷかぷかの人たちや周りの人々はステキだな、人生を楽しんでるな、そんなことも思いました。 わが子の障害がわかってからこれまで関連する本を何冊も読んできましたが、久々に出会えた『手触り感のある』 『地に足の着いた幸せ』を感じる本でした。 私の中では、明石洋子さんの「ありのままの子育て」が何度も読み返したくなる大好きな本ですが、この本もそうなりそうです。 ぷかぷかで、自分も何かできないか、色々と学びたいな、と思いました。 妻がぷかぷかのスタッフとして働く事を応援したくなりました。 娘も機会があったら行かせたいな、と思いました。   ありがとうございました。今度、お伺いさせて下さい。 ●●●      「障害のある子を持つ親として、悲しみや悔しさ、羨みや将来の不安といった一通りの気持ちを経験しました」 とあります。でも、『ぷかぷかな物語』を読んで少し気持ちが楽になったようで、よかったです。  どうして気持ちが楽になったんだろう、とちょっと考えてみます。感想の中に「将来の不安」という言葉があります。障害のある子どもは社会に合わせないとやっていけない、といったことをいろんな場面で言われます。わたし自身、養護学校の教員をやっていた頃は、そうしないと子どもたちは将来困るだろうなと考えていました。そういったことが子どもも親御さんも「将来の不安」に追い込んでいます。  ところが実際にぷかぷかを始めてみると、社会に合わせようとする彼らより、そのままの彼らの方がずっと魅力的であることに気がつきました。そんな話を『ぷかぷかな物語』にはたくさん書いています。そのままのあなたが一番ステキ、社会にあわせる必要なんかなくて、そのままのあなたでいいんだよ、というメッセージ。だから気持ちが楽になったのだろうと思います。  一番いいのはぷかぷかに実際に来てみることです。ぷかぷかの空気感にふれてみることです。ふっと気持ちが緩みます。ぷかぷかさんたちがいることで生まれるゆるっとした雰囲気。この雰囲気こそ、今の社会に必要な気がしています。     「この本を読んで、障がいがある人と一緒にいることは人生を豊かにする、そんな思いを感じました。」  わたしは養護学校の教員をやっている時、彼らと出会ってほんとによかったと思っています。人生の幅が広がり、毎日がほんとうに楽しくなりました。彼らと出会わなかったら、多分しょぼい人生だったのではなかったかと思います。人生をこんなにも楽しく、豊かにしてくれた彼らに感謝感謝!です。  たくさんの人が彼らとこんな風に出会えたら、社会はもっと楽しく、障がいのある人にとってはもちろん、ない人にとっても居心地にいいものになります。そんな風にならないのは、やはり彼らを「支援」するとか、「やってあげる」対象としか見ない社会全体の上から目線が、彼らとの素敵な出会いを阻んでいるのではないかと思います。  「上から目線」をいったん横に置き、一緒に楽しいことをやってはどうでしょうか?そうすれば、今まで気づかなかった彼らの素敵な面がいっぱい見えてきます。    「ぷかぷかしんぶん」の楽しい表紙は彼らの絵のおかげです。彼らといっしょに生きていくことで生まれた表紙です。こんな表紙を見ていると「あなたにいて欲しい」「あなたが必要」って、ごく自然に思えます。そういう思いこそが共生社会を作っていきます。私たちの社会を豊かにしてくれる絵だと思います。                 こんな楽しいありがとうカードを描いてくれた方もいます。こんなカードをもらうと、ちょっと幸せな気持ちになります。彼らはみんなを幸せにするようなチカラを持っているのだと思います。そのチカラを借りて、もっともっとたくさんの人達に幸せになって欲しいと思っています。 もう一人の方の感想 ●●● ●ぷかぷか立ち上げストーリー、はらはらドキドキしながら読みました。 高崎さんの熱意から全てが始まり、多くの方の協力や賛同を得ながら今のぷかぷかが出来上がったのだと思うと本当に凄いことだと思います。 ●相模原事件の件で、事業所側の責任について書かれた記述があり、はっとしました。 テレビ等での報道は犯人の特異性ばかりをクローズアップして事業所の対応の様子はどんなであったかを伝えていなかったことに気づきました。 最初にぷかぷかを訪れて感じたのはぷかぷかさんのフレンドリーで楽しそうな様子とスタッフの人たちのあたたかさでした。それは高崎さんの「障害のある人とは一緒に生きていたほうがいい、楽しい」という気持ちを持っているからだと思いました。福祉の抱えている問題について改めて考えさせられました。 ●言葉だけで共生を訴えるのではなく、試行錯誤しながら実践していくところが素晴らしいと思いました。 口だけならいくらでも立派なことは言えますが、苦労しながら地域の人たちに受け入れられていくことは簡単にできることではありません。本に書かれていた「社会を耕す」という言葉にとても惹かれました。 親として、障害のある子をもっと地域の人たちに知ってもらうようにしていきたいと思います。 このような素敵なコミュニティが各地に広がってぷかぷかな物語がたくさん生まれるといいな、と思います。 ●●●     ●ぷかぷかの立ち上げはほんとうに大変でした。でもその大変さの中で一番支えてくれたのは、やっぱりぷかぷかさんたちでした。彼らはただそこにいるだけでたくさんのチカラをプレゼントしてくれました。ぷかぷかをなんとか立ち上げることができたのは、彼らのおかげです。感謝以外ないです。                ●相模原事件は、結局のところ「支援」という上から目線の関係の行き着く果てで起こったものではないかと思っています。障がいのある人達と人としてきちんとおつきあいしてきたのか、ということです。人としておつきあいしていれば、あのような事件は起こりませんでした。やまゆり園そのものが、人しておつきあいするような環境になかったのだと思います。  事件後もあちこちの福祉施設で虐待が起こっています。あれだけの事件がありながら、福祉施設が何も変わらなかった、ということです。ここに事件の根深さがあるように思います。どうしてなんだろうか、それを問い続けることこそが今大事な気がします。 ●「社会を耕す」という言葉については、5年ほど前、カナダのバンクーバーで開かれた世界自閉症フェスティバルで『Secret of Pukapuka』を上映した時、海外の人たちがとても新鮮に受け止めてくれました。 www.pukapuka.or.jp 「親として、障害のある子をもっと地域の人たちに知ってもらうようにしていきたいと思います。」とありましたが、何人かの友人が障害のある子どものことをSNSで発信し、重度の障害があるにもかかわらず、たくさんのファンを作りました。重度の障害のある子どもにファンがつくなんて今まで考えられないことでした。でもそんなことが実際に起こったのです。いろんな人達に障害のある子どものことを伝えることは、社会を動かす出発点になるのだと思います。  hanaちゃんは重度の障がい児です。でも、たくさんのファンがいます。お母さんはhanaちゃんとの暮らしの中で「hana基準」というものを考えました。hanaちゃんといっしょに生きていく中で見えてきた人としての生き方です。 ameblo.jp 『ぷかぷかな物語』はアマゾンで手に入りますが、ぷかぷかのサイトからも購入できます。 shop.pukapuka.or.jp
  • うんぷか
    土曜日、「うんぷか」がありました。ぷかぷかの運動会です。 パン食い競争 www.youtube.com トレーにピンポン球を乗せて走る 赤と黒のテープを両手に持って www.youtube.com ちょっと休憩 走る 競歩のビデオを見る ジェンカ www.youtube.com 楽しい「うんぷか」でした。
  • アートで社会的な課題を解決
    ヨコハマアートサイト2022報告会「アートから考える横浜の地域文化」がありました。参加団体は以下の通り。 【第1ブロック】 ・任意団体アオキカク ・OUTBACK ・NPO法人スペースナナ ・NPO法人打楽器コンサートグループ・あしあと ・しましまのおんがくたい ・音楽スペースおとむすび ・EduArt ★横浜下町パラダイスまつり実行委員会 ・ティーンズクリエイション組織委員会 ・金沢区舞台芸術サークル「潮の音」 ・to R mansion 【第2ブロック】 ・アーティストネットワーク+コンパス ・「街のはなし」実行委員会 ・特定非営利活動法人美術保存修復センター横浜 ・ROJIURARt実行委員会 ・さかえegaoプロジェクト ・大岡川アートプロジェクト実行委員会 ・特定非営利活動法人シーホース工房 ・一般社団法人横浜若葉町計画 ・WeTT実行委員会 ・認定NPO法人あっちこっち ・黄金町BASE 【第3ブロック】 ・ことぶき「てがみ」プロジェクト実行委員会 ・まちなか立寄楽団 ・六角橋商店街連合会 ・蒼昊美術會 ・STAND Still ・居場所「カドベヤで過ごす火曜日」運営委員会 ・NPO法人ぷかぷか ・紙芝居文化推進協議会 ・横浜シネマネットワーク実行委員会 ・都筑アートプロジェクト 中に性暴力に取り組んでいる団体もあって、社会的課題についての話もありました。 standstill.jimdofree.com                                 ぷかぷかは「障がいのある人達の社会的生きにくさという社会的な課題を少しでも解消する」ことを団体の設立目的に据えています。ヨコハマアートサイトから助成金をもらっている演劇ワークショップは、彼らといっしょに生きると何が生まれるかを芝居の形で表現しています。その舞台を見て、いっしょに生きるといいよね、って思う人が増え、それが社会的な課題の解消に少しでも役立てばと思っています。  いろんなことができない、生産性が低い、効率が落ちる等と障がいのある人達が社会から排除される、という社会的な課題が、彼らはいた方がいいよね、と思う人が増えることで、少しずつ解消されます。  社会的な課題を解決する、なんてなんだか大変な感じがするのですが、演劇ワークショップはみんなが楽しめるアート活動であり、楽しみながら社会的な課題が解決できます。  大事なことは、社会的な課題をいつも頭のどこかで意識するということです。それがあることで、やっていることの目的がはっきりし、表現にも力が入ります。
  • 字を見て、つい買ってしまった話。
    先日「おひさまの台所」店頭にこんな表示ラベルがありました。  こういう字を見ると、つい買ってしまいます。なんなんでしょうね、人をそんな気持ちにさせるチカラというのは。  この字は、どこか人の心をゆるっとさせるものがあります。心がとげとげすることの多い社会にあって、こんな字に出会うとちょっと救われた気分になります。  いっしょに生きててよかったな、としみじみ思うのです。  この字を書いた方は、こんな絵も描いてくれます。  ほっこりあたたかな気持ちになるような絵です。ギスギスした世の中にあって、なおも人間に希望の持てるような絵です。  こういう字や絵は、彼らと「いっしょに生きる」という関係の中で出てきたものです。こういう表現が自由に出てくる関係、であり、その表現を素直に受け止められる関係です。ここが大事です。「支援」という上から目線の関係では、多分こういう自由な表現は出てきにくいし、それを受け止める側も素直に受け止めにくいのではないかと思います。下手すると、もっとこうした方がいい、とか指導を入れたりします。こういうのは最悪です。せっかく生まれた新しい価値が潰されてしまいます。  自分を自由に表現できる環境、自分らしく生きられる環境があるかどうかです。「いっしょに生きる」という関係は、そういう環境を自然に作り出すのだとぷかぷかの実践の中で気がつきました。  彼らといっしょに生きると、そこで生み出されるもので社会が少しずつ変わっていきます。ギスギス、とげとげした社会にあって、彼らとおつきあいすることで、私たちのとがった心が丸くなります。社会を変えるために色々頑張ったりするのではなく、ただ彼らといっしょに生きる、彼らと一緒に「いい一日だったね」ってお互い言えるような日々を積み重ねていく、ただそれだけで社会がゆっくり変わっていくのです。  養護学校の教員をやっていた頃、障がいのある子どもたちに惚れ込んでしまい、こんな素敵な子どもたちを学校の閉じ込めておくのはもったいないと、外へ連れ出し、いろんな人達と楽しいことをいっぱいやりました。その時のことを『とがった心が丸くなる』という本にまとめています。「ともに生きる社会」だの「共生社会」だのといった言葉がまだ社会に定着していない頃、彼らと一緒に楽しいことをやっていくうちに、そういう社会を実際に作ってしまった話です。まさにいっしょに生きると社会が変わる話です。アマゾンで電子書籍販売中です。       www.amazon.co.jp www.pukapuka.or.jp
  • 「歌のワークショップ」やります。(その2)
    2月26日(日)の「歌のワークショップ」で歌う歌の歌詞カードができ上がりました。二曲歌います。  継母の命令で冬の森にマツユキソウを探しに来た娘が、たき火を囲んで12の月(つき)の神様たちが歌っているところへやってきます。 この歌を歌うオペラの場面です。後半はマツユキソウが咲いた場面が編集で入れられています。娘の歌がすばらしくいいです。♪…一瞬の今を、千秒にも生きて、このうれしさを胸に… www.youtube.com    もう一曲は、娘の見つけたマツユキソウが欲しいと、わがままな女王が博士と家来を連れて冬の森へ出かける場面で歌われる歌です。 歌のワークショップをやってくれる歌役者さんが歌ってくれました。 www.youtube.com  歌のワークショップをやってくれるのはオペラシアターこんにゃく座の若い元気な歌役者、沖まどかさんと泉篤史さんです。下記サイトの左側に並んでいる名前をクリックすると写真とプロフィールが出てきます。 konnyakuza.tabigeinin.com  オペラの歌役者さんといっしょに歌うなんて、めったにない機会です。  さぁ、いっしょに歌いましょう!元気になること間違いなしです。 info@pukapuka.or.jp
  • 店員が手伝います
    今朝の東京新聞伊是名さんのコラムが光っていました。  《バリアフリーを×と記載するなら「店員が手伝います」など、別の手段を提示してくれると車椅子での利用をためらわずにすみます》という提案はすばらしいと思いました。  店員が障がいのある人達がお店に入る時にお手伝いすれば、バリアフリーがどうして×なのか、どうすればいいのかがわかります。その気づきはお店が変わり、バリアフリーになるきっかけになります。  そんな風にして変わっていくお店が少しずつ増えていくと、みんながもっと暮らしやすい社会になります。  「店員が手伝います」のささやかな提示は、みんなが暮らしやすい社会の入り口なのかも知れません。  伊是名さん、すばらしい気づきをありがとう!
  • 「歌のワークショップ」やります。
     オペラシアターこんにゃく座の歌役者さんを呼んで楽しい「歌のワークショップ」をやります。  3月18日(土)、19日(日) 神奈川芸術劇場ホールでオペラ『森は生きている』が上演されます。そのオペラに登場する歌役者さんの沖まどかさんと泉篤志さんが来て、『森は生きている』で歌われる歌を2曲、みんなと一緒に歌います。楽しいです。ぜひお越し下さい。  申し込みは info@pukapuka.or.jp    当日『森は生きている』のチケットも販売します。 www.youtube.com 前回やった歌のワークショップの一場面(2022年5月) www.youtube.com
  • 取っ手のゆがんだこのコーヒーカップが好き
    取っ手のゆがんだこのコーヒーカップが好きです。  決して持ちやすいわけではないのですが、既製品の、何の面白みもないコーヒーカップがあふれる中、こんなふうに取っ手のゆがんだコーヒーカップに出会うと、なんだかちょっとうれしくなります。ほっとします。  このゆがみの向こうにあたたかな人を感じるのです。その人の存在をこのゆがみは確かに伝えてくれます。ゆがみはその人の主張です。ここにおれはいるぞ、っていう。  別に意識してゆがめたのではないと思います。自然にこんな風にゆがんでしまった。それでいて、このゆがみにはなんとも味わい深いものがあって、つい見とれてしまいます。これこそがぷかぷかさんの魅力。  ぷかぷかさん達はこうやって社会をやわらかく耕しています。だから彼等は社会にとって、とても大事な人達。 昨日の「ぷかぷかさんのお昼ごはん」のメニュー。このゆがんだ字を見るとホッとするのです。
  • 字を面白がるところから
     先日「おひさまの台所」の店頭で、こんな字を見つけ、うれしくなってつい買ってしまいました。  「これ字が違うじゃん」 ていうよりも、 「あっ、おもしろい!買った!」 という方が、人生、楽しくなる気がするのです。正しいことは時に人生をつまらなくします。  こういう字は私たちにはなかなか書けません。ぷかぷかさんがいてこそ出会える字です。  こういう字を面白がるところから、「ともに生きる社会」とか「共生社会」が始まるのだと思います。「ともに生きる社会」をどうやって作るか、といった小難しい話をいくらしても、新しい社会は始まりません。  でも、  「あ、この字、おもしろい!」 って思えば、ここから彼等とのあたたかな出会いや新しい前向きの関係が始まります。ここから新しい社会を私たちの手で作っていくのです。  こういう字はぷかぷかのあちこちにあります。ぜひ面白がりに来て下さい。                                      
  • みんなで子育てを楽しむ
     北海道江差町のグループホームで、結婚や同居を望む知的障がい者のカップルに施設側が不妊手術や処置を条件付けていたことが昨年末明らかになりました。  批判的意見が多かったのですが、施設を擁護する意見もありました。「自活・自立できず入所し、施設に養育まで押しつける?」「《生む権利》と《育てる義務》はイコール」「両親に障がいがあって生活していけるか」  もし自分が当事者だったら辛くなるような意見です。障がいがあっても子どもを産みたいとか、育てたい、という気持ちはあるのではないでしょうか。子ども好きなぷかぷかさん達は、口にはしないまでも、やっぱりそういう気持ちはあるのではないかと思います。  そういう気持ちを社会のみんなで支えられないかと思うのです。  子育ては大変ですが、それを超える楽しさ、喜びがあります。それをみんなで共有してはどうかと思うのです。いろんな苦労は地域を鍛え、豊かにします。障がいのある人の子育ての共有は地域が大きく変わるチャンスです。  そんな風に発想を変えてこの問題を前向きに考えてはどうでしょうか?
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