たかがしんぶん、されどしんぶん(相模原障害者殺傷事件5年目に思うこと-②)
昨日NHK「おはよう日本」で相模原事件5年目の関連でかずやさんの自立生活が紹介されました。昨年の映像との違いは、地域社会とのつながりができはじめたこと。施設を出て地域で暮らす、というのは、ただ単にアパートで好きに暮らすのではなく、地域社会との様々な関わりの中で暮らすことです。その関わりがほんの少し見えたかな、という映像でした。 「かずやしんぶん」が、いい働きをしていましたね。「かずやしんぶん」は、かずやさんの大声に近所の方から寄せられた苦情に対し、ただ謝罪しただけで終わるのではなく、これを機会に地域の人たちといい関係を作っていこうとスタートした「友達大作戦」の中の1つです。 A5版6ページの小さなしんぶんです。 www.pukapuka.or.jp その小さなしんぶんが映像を見ていると、かずやさんの周りでとてもいい働きをしていました。 いつも買い物に行くスーパーに持っていって店員さんに渡すと こんな関係が生まれました。ただ買い物をするだけでなく、しんぶんを渡すことで、ちょっとだけ前に進んだ会話ができたのです。ここから今までと少し違う関係が始まります。 かずやさんのすぐ近所の自転車屋さんに持っていくと 後日、介護の方から「先日しんぶんを渡した隣の自転車屋さんの若いスタッフの男性が、チョコレートとコーヒーを差し入れに来てくれました。お子さんが、やはり障害をお持ちとの事で、ハートネットTVなども見て感心していたとの話をしてくれました。地域関係少しずつ前進中!」と連絡が入りました。 「かずやしんぶん」は小さなしんぶんです。でもこうやって、人を動かすチカラを持っています。 「たかがしんぶん、されどしんぶん」 なのです。しんぶんがなければ、こういった関係は、多分生まれなかったと思います。小さいながらも、いい働きをしてくれているのです。 「かずやしんぶん」がこれからもっと地域に広がっていけば、もっといろんなおもしろい反応が出てくると思います。 重度障害者の自立生活が地域社会を豊かにすることが目に見えるかも知れません。 苦情が来たというピンチが、地域社会が変わるチャンスになるかも知れません。 相模原障害者殺傷事件から5年、あの時「障害者はいない方がいい」「障害者は不幸しか生まない」などと排除された重度障害者が、今、地域のアパートで自立生活を送る中で、地域社会を豊かに変えていこうとしているのです。あの忌まわしい事件を、こんな風にして超えようとしているのです。