ぷかぷか日記

障がいのある人と生きるということ

  • 授業を受けて、心が軽くなったような気がした。
     先日看護学校で授業をやりました。 www.pukapuka.or.jp  その時の学生さんたちのアンケートが送られてきました。A4の用紙にびっしり書いたアンケートが80枚もあって読むだけで大変でしたが、学生さんたちも今回の授業でいろいろ考えることがあったようでした。(いろいろやることが多過ぎて、まとめるのが遅くなってしまいました。)  前半の『Secret of Pukapuka』の上映は、ぷかぷかさん達の楽しい表情に心ぷかぷかになった学生さんがたくさんいたようでした。後半の映画『不安の正体』に出てくるグループホーム建設反対にどう向き合うのか、という問題は教科書に載っているようなことではないので、みなさんグループごとの話し合いで相当悩んだようでした。結論は出ないまでも、いい経験をしたと思います。  高崎先生は、障害者と共生しなければいけない、なんて思わなくていい、とおっしゃっていた。でも彼らとつきあうのは人生にとってトクだし楽しいから、ぜひ自分なりのつきあい方を見つけて欲しい、という言葉が印象に残った。私は、障がいを持つ方と距離をとってはいけない、受け入れて共に生きなければいけないと、義務のような感情を抱いていた。しかし高崎先生の言葉で心が軽くなったような気がした。  障がいのある人達と義務でつきあうと、そこからは何も生まれないし、つきあうこと事態がだんだんしんどいものになっていきます。そうではなく、楽しいからつきあう、というふうになれば、そのおつきあいからは豊かなものがたくさん生まれます。ぷかぷかの映画からは、そういったものが伝わってきます。気楽に楽しくおつきあいしましょう。  映画を見て、障害を持っていても一人の人として接し、活動をしていることに気づかされた。障害を持っているから優しくするとか、特別扱いをするのではなく、みんなと同じようにおつきあいすることで、お互いを深く知ることができると考えた。もちろんそこではいろんなトラブルもあるのだが、そのトラブルがあることでお互いのことをもっと知ることができ、何よりも楽しい、とおっしゃってて、深く共感した。  特別扱いするのではなく、ふつうにつきあった方が彼らのことがよくわかります。なによりも彼らからたくさんのことを学べます。そして楽しい!  正直私は障害を持っている方に対してあまりよい印象を持っていなかった。小学校の同級生にも特別支援学級の子がいたが、何を考えているのかよくわからないし、突発的に騒いだり、暴れたり…。接する環境はあったものの、それを避けていた。ぷかぷかの映画を見た時に、今まで自分が心の中で抱えていた固定観念が打ち砕かれたかのように感じた。  すばらしい気づきでしたね。ぜひこれからは障がいのある人達とおつきあいして、自分の人生の幅を広げて下さい。楽しいことがたくさんあります。  障害者に対して医療者としてではなく、一人の人間としてもっと彼らの魅力を知りたい!  一人の人間として彼らの前に立つことが大事です。その時、ようやく彼らと人として出会えるのだと思います。  ぷかぷかのメンバーと開催するイベントの中で「トラブルはつきもので、困ったことがあってもなるべく介入しないようにしている」と高崎さんがおっしゃっていたのが印象的だった。想定外の問題が起きた時、その解決の過程がお互いの関係をより深いものにする。困ることを経験することで、与えられた正解ではなく、自分で導き出した答えにたどり着くことができる。これこそが人と人のつきあいで、お互い人として向き合った結果がそこにはある。自ら動くことで習得したものと、与えられたものでは、得るものが全く違う。これから看護師を目指す中にも生かすべきだと感じた。人として向き合ってこそ知ることのできる多くのことがあることに気づかせてもらえた。  トラブルは人を鍛えます。問題としっかり向き合い、悩んで悩んで悩み抜いて欲しい。そうする中で見えてきたものこそ、本物です。  グループワークが授業を受ける前だったら、グループホーム建設反対をいう人たちと同じように考えたかも知れないと思いました。障がいのある人達のことを何も知らないし、関わったこともないので、勝手な偏見を持っていました。でも、ぷかぷかの映画を見て、私も自然に笑顔になりました。  こういう変わりようがうれしいですね。ぷかぷかさん達のおかげです。自然に笑顔になれるような関係をこそ作りたいですね。  元々障がいのある人達に対して怖いといった感情はなかったけど、ぷかぷかさんの映像を見て、こんな素敵で、楽しい人達と関わりたいな、と強く思いました。今まで知らなかったことがもったいないと感じるくらいでした。  とてもうれしい感想です。こんな人達が未来を作るなら、未来に希望が持てます。  小学生の時、一つ上の学年の先輩が授業中に廊下を叫びながら走るのが日常の生活をしていました。今回の授業を通して、障害者と一緒に学校生活を送ることができたのは、とても意味のあることだったと思いました。  生活の中に障がいのある人達との接点があったこと、それが自分の人生の幅を広げてくれたのだと思います。人生の豊かさはそんなところから生まれます。  自分と違うことで、恐ろしいとか、関わりたくないとか、どうしてもマイナスなイメージがあったのですが、ぷかぷかの映画を見てから、自分の考えが凝り固まったよくない考えだと思いました。マンションの中に障害者の方がいるのですが、「こんにちは」と道路の反対側にいても声をかけてくるのがどうしても怖くて、できるだけ避けるようにしていました。でも、よく考えると、あいさつすることは悪いことではないのに、なぜこんなに嫌悪感を抱いているのかと考えた時に、障害者という固定観念で悪く思えてしまうのだと感じました。  ぷかぷかの近くに住んでいるおばあさんは、ぷかぷかさんが道路の反対側から「こんにちは」って元気よく声をかけてくれると、とてもうれしい気持ちになる、といってました。ふだんの暮らしの中でそんな風に親しく声をかけてくれる人なんていないからです。声をかけられて怖いと思う人と、うれしいと思う人。この違いはどこから出てくるのでしょう。やっぱりぷかぷかが作ってきた地域の環境の違いが大きいと思います。  高崎さんの話の中で、医療従事者としてではなく、一人の人間として相手に関わる、という言葉がすごく印象的でした。対等であることを大事にする。何かをしてあげるのではなく、共に何かをする、という関係こそが大事だと学ぶことができました。  相手がこちらに対して心を開くような関係はどうやったらできるのか。それはやはり、一人の人間としてその人の前に立つことだと思います。とりわけ相手が精神を病んだ方の場合は、こういった関係がとても大事です。相手の悩みを自分のこととして一緒に悩むこと。  私は以前霧が丘に住んでいました。上の娘が生後2ヶ月くらいで、お昼寝のタイミングを見計らってベビーカーに乗せ、ぷかぷかのパンを買いに行ったことを思い出しました。映画の冒頭でそのことに気づき、ぷかぷかさん達の変わらぬ様子を見て、タイムマシーンに乗ったような不思議な気持ちになりました。初めての育児で、2時間ごとの授乳や、娘が泣く理由がわからず、戸惑う日々でした。ぷかぷかに行くことで私はすごく救われていました。このご縁に感謝します。  そうでしたか。ぷかぷかに行くことですごく救われた、というところがいいですね。ぷかぷかさん達のおかげですね。  高崎先生の問いに対し、私はうまく言葉が出てきませんでした。精神障害の人のことを知らないからだと思います。建設反対運動を行う人達と私は全く違うと思えませんでした。小学校の時から支援級と普通級に分かれ、「交流」はしても「生活」を共にすることはほぼなかったことが大きく影響しているように思います。いろんな人がいることを知り、お互いを理解しようとすることが大切だなと思いました。人と、ほんとうに出会う、ということを忘れないようにしたいです。  建設の反対を叫ぶ人達と自分があまり変わらないことに気づき、それはどうしてなんだろうと考えたことがすばらしいですね。いろんな人と、たくさんの出会いを作っていって下さい。  授業で見たぷかぷかの映画は、私の中にある障がいのある人達のイメージを大きく変えるものでした。グループで考えた問いは、とてもむつかしくすごく考えさせられるものでした。今まで生活してきた中で障がいのある人と接したり、長い時間一緒にいたりすることがありませんでした。小学校も中学校も同じクラスの一員としてクラスに席はあるものの、ほとんど姿を見ることはありませんでした。その後は学校内に障がいのある人はいなく、外ですれ違い際に見かけるくらいでした。今回の問いを考えることで、私たちは今まで全くといっていいほど障がいのある人達のことを知ろうとしてこなかったのだと気づきました。  すばらしい気づきでしたね。障がいのある人達とはどんどんおつきあいしてみて下さい。最初はいろいろ戸惑うこともあります。でもその戸惑うことこそが大事です。戸惑いの中での気づき。こんなおもしろい人達がいたんだっていう気づき。その気づきは人生を豊かにします。  私は小学校1年生の時に一人の女性に救われたことがあります。その時は男の人が何かガミガミ言ってきて、そこの道を通してくれませんでした。私はどうしたらいいかわからず、その場で固まってしまいました。その時に助けてくれたのが障害を持っている女性です。その女性が救ってくれたおかげで、私はその道を通ることができ、家に帰ることができました。これをきっかけに、私は、障害を持っている人も私たちと何も変わらない同じ人間であると思うようになったのだと思います。この一件がなかったら、私は今でも自分と違う人に対し偏見を持って生活していたと思います。  いい出会いがあったのですね。人との出会いは人生の幅を広げてくれます。世界がずっと広く、楽しくなります。  「私たちが障がいのある人達を支えていかなければならない」と思っていましたが、授業を受けて「私たちが支えられている」ことに気がつきました。     障がいのある人達を支える、支援する、という考えが一般的ですが、ぷかぷかをやっていく中で気がついたことは、彼らにぷかぷかが支えられている、ということでした。彼らがいなければ、どこにでもあるおもしろくもなんともないただのパン屋であり、お惣菜屋であり、アートスタジオです。彼らがいるからこそ、こんなにおもしろいぷかぷかができました。  『ぷかぷかな物語』も、彼らがいるからこそ書けた本です。 www.pukapuka.or.jp  彼らって、新しい文化を作り出しているんじゃないかと思います。  ぷかぷかの映画を見るまで、障がいのある方との接し方や、障がいのある方ってどんな人なんだろうと、わからないことがたくさんありました。でも、ぷかぷかの人たちはみんな明るく、笑顔で、いっしょにいる人はみんな楽しくなれるなと感じました。先生も話していたとおり、この人たちは障がい者と呼ばないでいいと思いました。  いいことに気がつきましたね。「障害者」という言葉には、あれができないこれができない、こんな問題がある、等々マイナスのイメージがつきまといます。でも、ぷかぷかさん達とつきあっていると、そんなイメージはひっくり返ってしまいます。彼らのこと、「障がい者」と呼ばないでいい、という気づきはとても大切です。  高崎さんがおっしゃったように、教科書に載っていないことは、出会って大変だと困惑することが大事…  大変だと困惑するような出会いこそ、自分をほんとうの意味で鍛え、磨いてくれます。それこそがほんとうの勉強だと思います。教科書は自分を鍛えたり、磨いてくれたりしません。  ふだん生活する中で、精神障害者と接することは少なく、たまに目にするニュースでは精神障害者により凶悪犯罪が行われている、というイメージが作られている。学生生活においても健常者のクラスと障害者の特別学級にわけられ、それが当たり前であった。幼い頃から差別することを教わってきたのかと思ってしまう。   とてもいい気づきですね。そこからどうするか、ということが大事です。身近にいる障がいのある人達といい関係、楽しい関係を作りましょう。一緒に楽しいことをやってみましょう。そしてその中で気づいたことを様々な形で発信しましょう。きっと共感する人が出てきます。差別することはおかしい、と気づく人が少しずつ増えていきます。そういったことを続けていけば、あなたのまわりの社会が、誰にとっても生きやすい社会に少しずつ変わっていきます。  映画の最後に、ぷかぷかさんがバームクーヘンをすぐそばにいた方に分けてあげる場面がありました。相手を思いやる気持ちがあり、すごく素敵で、心があたたかくなりました。  私たちは今、人を思いやる心がだんだん失われているように思います。そんな中で、ぷかぷかさん達がやっていることは、本来人間が持っていることであり、今、私たちが思い出さないといけないことだと思います。
  • 第7期演劇ワークショップが始まったよ
    2年ぶりの演劇ワークショップ。新しい人も加わり、かなりの人数。舞台に乗り切れるのかどうか心配になるほど。  新しい人も加わったので、お互いの関係作りと心と体のウォーミングアップでギブミーシェイプ(何人かのグループで体を使って形を作る)。パン、楽器、動物などをグループで作りました。                  楽器を作った www.youtube.com   キリンの鳴き声をスマホで調べながら歩く www.youtube.com 一緒にやった方は    動物の身体表現する場面では、フタミンさんと同じグループになったのですが、フタミンさんがキリンの独特な鳴き声をして、その他の4人がブリッヂをして、足を表現しました。実際にやっていると、あまりにおかしくて面白いんです。そして、とても楽しい。  練習ではうまく行っていたのですが、本番になるとフタミンさんはなかなか始めようとしませんでした。  なぜなら、フタミンさんがキリンの鳴き声を携帯で調べている最中に、私たちの発表がきてしまったからです。  発表中、フタミンさんは練習通りの鳴き声を出さずに、携帯を見て調べ続けていて、その間私達がひたすらブリッジをし続けるという予想できない結果になりました。それが一番印象深くて楽しかったです。   銀河鉄道のイメージをふくらませるために、ぷかぷか旅行で行った四国の「四国まんなか 千年ものがたり」の電車の写真をみんなで見ました。  列車に乗っているシーンを作りました。    『銀河鉄道の夜』に出てくる場面 ジョバンニは、せわしくいろいろのことを考えながら、さまざまの灯や木の枝で、すっかりきれいに飾られた街を通って行きました。時計屋の店には明るくネオン燈がついて、一秒ごとに石でこさえたふくろうの赤い眼が、くるっくるっとうごいたり、いろいろな宝石が海のような色をした厚い硝子の盤に載って星のようにゆっくり循ったり、また向う側から、銅の人馬かゆっくりこっちへまわって来たりするのでした。そのまん中に円い黒い星座早見が青いアスパラガスの葉で飾ってありました。 それをやってみました。 町は星祭りでとても賑やか。いろんなお店が出ています。ダンスがなかなか始まらないところがいい。 www.youtube.com   このシーンに参加した人の感想 ぷかぷかさんのような個性を持った人たちとあれだけ密に関わったのは初めてだったので、発見の連続でした。 本当、色々な個性なのでひとまとめにはできませんが、やっぱり彼らのピュアさに自分も巻き込まれていった感じです。 はじめましてなのに、とても信頼して寄ってくる彼らと対峙して、自分が普段色々考えていることがバカらしくなったりとか、お互いの個性を尊重し合ってる感じとか、とても居心地が良かったです。   「35億年のサーカス」を歌いました。とても元気の出る歌です。 www.youtube.com  ぷかぷかさん達と一緒にやる芝居作りは、やっぱり楽しいなとあらためて思いました。思ってもみないアイデアが出てきたり、なかなか話が進まなかったり、戸惑ってしまったり…そういうことを全部含めて楽しいなと思うし、いっしょに生きていった方がトク!と思うのです。今年は宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』をベースに、そこに何人かの方の物語を載せていく予定ですが、どんな風にまとまっていくのか、いつものようにドキドキ、ハラハラしながらの展開になりそうです。どんなお芝居ができ上がるのか、楽しみにしていて下さい。11月27日(日)の午後、みどりアートパークのホールで発表します。
  • かなわね
     いい本を見つけました。  ほんとうなら、かな「は」ね、となるはずのこの絵本のタイトル。  小学校の頃に「は」と「わ」の区別がつけられなくて、うまく書けなかった著者の思いが詰まっています。  と本の帯にあって、これは読まねば、と思いました。  私の娘は精神障害と発達障害を併せ持っています。鬱の検査で大学病院に入院した時、発達障害であることがわかり、その検査結果を見た娘が、 「そうだったのか」 と、妙に納得したことを鮮明に覚えています。  大学まで、なんとなく順調にいったように思っていたのですが、多分まわりとの関係の中でいろんな苦労があったのだと思います。       かなちゃんのように泣くことも         苦労の原因がわからないことの漠然とした不安。悲しく思うこともあって、かなちゃんのようにたくさん、たくさん泣いたんだと思います。(私はこの絵を見た時、娘の思いに直に触れた気がして涙が止まりませんでした。)  そんな中で「発達障害」と診断され、今までモヤモヤと自分の中にたまっていたものが、ようやくわかった、という感じでした。  もちろん、そう診断されたことで問題が解決したわけではありません。生きる苦労は相変わらずです。大学に入ってから鬱がひどくなり、ほとんど学校に行けないまま泣く泣く退学しました。鬱はただ単に気分が鬱状態になるのではなく、娘の場合、体が動かなくなりました。  自分の人生が思うようにならなくて、荒れに荒れました。手がつけられなくなり、警察に来てもらったことも何度かあります。今はかなり落ち着きましたが、それでも一日中伏せっている日がたくさんあります。ほんとうに苦労の日々です。  でも、苦労は人間を磨きます。苦労したことで、人生の厚みが増し、それはそのまま自分の財産となります。そんな風に考えながら娘の苦労とつきあっています。  『かなわね』は、かなちゃんの苦労が生み出した社会の財産と言えます。たくさんの人に読んで欲しいです。かなちゃんのような苦労、悲しみを抱えた人はたくさんいます。そんな人達の心を想像できる人が少しずつ増えていって欲しいです。社会は、そんなふうにして少しずつ豊かになっていきます。
  • いつもそばにいてくれて、ありがとう!
    しみじみ幸せな気持ちになる自画像です。  なんなんでしょうね、この幸せ感は。  この幸せ観こそが、彼らといっしょに生きる意味。  だから、いっしょに生きていった方がいい。  その方がトク!  テラちゃんもリエさんも大好きだよ。  いつもそばにいてくれて、ありがとう!  こんな幸せな人生はなかなかないと思うよ。
  • 35億年のサーカス
    6月18日から始まる演劇ワークショップで歌う歌です。第1回目には『35億年のサーカス』と『ブルッキーのひつじ』を歌います。『35億年のサーカス』はとても元気の出る歌です。 www.youtube.com 『ブルッキーのひつじ』は絵本があります。                                    歌っているのは先日ぷかぷかまで歌い聞き手くれた歌役者飯野薫さんです。 www.youtube.com    
  • いい人生だったね
    映画『Secret of Pukapuka』を見た方からまたまた素敵な感想が届きましたので紹介させていただきます。 ●●●  エンジェルの会でのお知らせを通して、ぷかぷかさんの映画を初めて拝見しました。私は8歳のアンジェルマン症候群の息子を持つ親です。息子が産まれて8年が経ち、障害者の生きる世界について、良くも悪くも悟ったような心持ちでおりましたが、映画を拝見して、成長した彼らが、こんな風に生きている世界もあるのかと、正直驚きました。  食に、芸術に、地域とのコミュニケートに、こんなにも鮮やかな人生を送る可能性を秘めているのかと。なんとなく、私がイメージしていた息子の成人後の人生は、色味がグレーでしか表現できませんでした。それが、むしろ私個人が息子と関わる前に生きてきたこれまでと比べても、とても彩りがあり、眩しいものに見えました。  もちろん、映画という形で綺麗にまとめられた部分以外に、大変なご苦労もあることとお察しします。ですが、私は息子自身が歳をとって、アンジェルマンとして生まれたが、最期には「いい人生だった」と思ってほしい。そのために、親として私にできることは何だろうか?と、常々思っています。その命題に、ぷかぷかさんの活動は、ヒントを与えて下さったような気がします。  是非、ぷかぷかさんのところに所属したいと願う障害者の家族は多いでしょうが、本当に必要なのは、ぷかぷかさんのような団体がひとつでも増えて、固い地域社会をひとつひとつ耕すことなのだと、あらためて考えさせられました。     ●●●  【私は息子自身が歳をとって、アンジェルマンとして生まれたが、最期には「いい人生だった」と思ってほしい。】  というお母さんの言葉がいいですね。「いい人生だった」ってみんなが思えるように、ぷかぷかでは「一緒にいい一日を作る」ことを日々の目標にしています。今はコロナで中止にしていますが、帰りの会では仕事の反省のほか「いい一日でしたか」という質問をしていました。いろんないい一日をぷかぷかさん達は発表してくれるのですが、中に  『「ぷかぷかしんぶん」をポスティングした時、ポストに嵐の相葉君と同じ名前を見つけて、それがいい一日でした。』  と発表した人がいて、ああ、なんていい一日だったんだろう、って思ったことがあります。  こういういい一日の積み重ねがいい人生を作っていくのだと思います。そういういい一日をぷかぷかさんとスタッフが一緒になって作り出す。それがぷかぷかです。『Secret of Pukapuka』はそれがよく見えます。  【なんとなく、私がイメージしていた息子の成人後の人生は、色味がグレーでしか表現できませんでした。私個人が息子と関わる前に生きてきたこれまでと比べても、とても彩りがあり、眩しいものに見えました。】  と感想にありましたが、何か特別なことをやったのではなく、ただいっしょにいい一日を積み重ねてきただけです。その気になれば誰にでもできることです。さぁ、明日からお子さんといっしょにいい一日を作っていきましょう。  「ともに生きる社会」とか「共生社会」という言葉がやたら語られる昨今ですが、どうも抽象的な言葉だけで終わることが多い気がします。そんな中でぷかぷかは彼らといっしょにいい一日を作ることにこだわっています。「ともに生きる」が具体的なのです。そこから生まれるものこそ、リアルな「ともに生きる社会」なのだろうと思います。障がいのある人もない人も、みんなが「いい人生だったね」って言える社会です。
  • 自分の人生を彩り豊かにしてくれた
    『Secret of Pukapuka』を見た方から素敵な感想が寄せられました。 ●●● ぷかぷかさんの映画視聴いたしました。 本当素敵な映画でした。 印象に残ったシーン、、、、 ○谷川俊太郎さんの作品に取り組んでいる皆さんの緊張とキラキラした表情、 ○具材がごろごろのピザ、 ○心に響くチェロの音、ダウン症のお子様のお母様のお話、(泣いてしまいました) ○地域との皆さんとの交流、日常、、、 私は音大を出てピアノの教師をしています。 大学生の頃まで障害を持った方々と接した事はなかったのですが、たまたまNHKスペシャルで 障害児が生き生きとピアノを弾いている番組を見て、衝撃を受けました。 若かった私は勢いでNHKに電話して、その子たちを指導している先生の連絡先を聞きました。 その後レッスンを見学させていただき、縁がありダウン症の男の子をピアノ教えることになりました。私にとっては本当に世界が広がった時でした。 その子とはピアノだけでなく一緒にデートしたり、ご家族との交流、そこからご縁をまたいただき障害の子を今何人か教えています。 最初に教えたダウン症の子とは20年付き合いました。毎週会うわけですから親戚以上です! その子からは本当にいろんなことを学ばせてもらいましたし、人としても尊敬していました。優しくて、面白くて、気遣いが出来て、、、 3年前その子が34歳で癌になり亡くなりました。 亡くなる1週間前まで普通の生活がしたいと本人の強い希望で酸素呼吸器つけたままレッスンに来てくれた事が本当に懐かしいです。最後は連弾でとなりのトトロを弾きました。 長々と書いてしまいましたが、障害児との出会いがそのテレビであったからこそ私の人生は彩り豊かになり、また私の関わる人たちまで障害について自然に理解してくれ(私の生徒たちもみんな障害の子に優しいです!)縁が広がっているように思います! ですから今回のこの映画は、若かった私の胸に響いたように、若い世代たちの子がたくさん観てくださるといいな!!と思ってしまいます! 本当にぷかぷかの皆さんはぷかぷかという場所があって幸せですね!!! 周りの方々に映画勧めます! ●●●  障がいのある子どもたちとの出会いが、自分の人生を彩り豊かにしてくれた、というところがいいですね。そんな風に語る人がもっともっと増えて欲しいです。そうすれば社会全体がもっともっとお互い生きやすいものになる気がします。  そういう意味でも、あちこちにある福祉事業所が「支援」という上から目線ではなく、フラットな関係で障がいのある人達と向き合うようになれば、社会はもっともっと豊かになる気がします。上から目線の果てに虐待をするなんて、あってはならないことです。    障がいのある人達を虐待をするような人生ではなく、彼らと一緒に彩り豊かな人生こそ生きていきたいものです。 ★『Secret of Pukapuka』見たい方、高崎まで連絡いただければギガファイル便で送ります。見ていただいて「おもしろい!」って思われたら、ぜひ自分の住む町で上映会やってみて下さい。たくさんの出会いがあります。たくさんの気づきがあります。世界がグ〜ンと広がります。日程が合えば私も参加します。一緒に障がいのある人達を巡っていろんな話をしましょう。  連絡先 takasaki@pukapuka.or.jp
  • いい映画を見てきました
     いい映画を見てきました。『かぐやびより』という映画です。  障がいのある人達がいっぱい登場するのですが、福祉の匂いが全くしません。ただただ人への愛おしさがあふれています。愛がてんこ盛り!って感じ。だからみんな幸せ。みんなの日々が輝いてる。  その幸せ感がビリビリ伝わってきて、こういうことこそ大事だよな、とあらためて思う。  それと、あたりに漂うなんともいえない泥臭い雰囲気。これがものすごくいい。気持ちがふわっと安らいで心地いい。今、社会に必要なのは、この雰囲気だよな、と思う。  私たちが見落としてきたもの、福祉が取りこぼしてきたものが、この映画にはいっぱいある。ぜひ見て下さい。小田急鵠沼海岸駅近くの「シネコヤ」という小さな映画館で19日までやっています。  虐待で騒がれている施設の職員はこの映画をしっかり見た方がいい。虐待をする施設と何が違うのか、何が施設で抜け落ちているのか、映画を見ながら自問して欲しいと思う。 www.youtube.com さんわーくかぐやのホームページ www.sunwork-kaguya.com 小田急鵠沼海岸駅近くの「シネコヤ」という小さな映画館で上映中。19日まで cinekoya.com
  • またまた満額回答
    ヨコハマアートサイトの申請した演劇ワークショップの助成金、126万円の満額回答でした。  ●選考委員会より  「課題への深い理解があり、当事者の思いをアートを通して社会にひらく活動として評価します。個人の問題から普遍的な問いが表出することを期待します。事業再掲へ向けて満額回答とします。」  演劇ワークショップは当事者の思いを芝居を通してストレートに伝えます。ワークショップの進行は演劇ギルドの人達ですが、でき上がった舞台の進行はぷかぷかさん達です。最後のリハーサルから先は、もう彼らにすべてをまかすのです。彼らの思いがそのまま爆発します。解き放たれたような彼らの姿を見て下さい。  ●審査のポイント 【芸術性】芸術的要素に対象活動項目の推進を期待できるか。  障がいのある人たちといっしょに生きていった方がいい、その方が社会が豊かになる、と言葉でいろいろ語っても、それが伝わっているかどうかはよくわからない。生きるというのは、極めてリアルなことであり、その生きるリアルを通して伝えるのがいちばんいい。そういう意味で、芝居というのはいっしょに生きる理由と、その結果何が生まれるのかを伝える手段としては、言葉よりもはるかに優れていると思う。何よりも参加した人たち全員が、芝居作りを通して、ごく自然に、いっしょに生きていった方がいい、ということを身体で納得できる。 ぷかぷかさんのアートが伝えるものは、社会の価値観をひっくり返すほどのものを持っている。このアートを見ると、彼らはもう「あれができないこれができない」人達ではない。新しい文化を作り出す人達だ。 【地域共働】地域との連携・協力関係、または地域への貢献に期待できるか。  地域の人たちといっしょに広場の真ん中に見えない柱を立てる。「障がいのある人たちといっしょに生きていこうよ」っていう柱。小学生のナナちゃんのかけ声で、ヨイショ、ヨイショ、とみんなで柱を立てた。 【将来性】実地活動により、活動または地域において将来的な発展や成長が期待できるか。  第4回表現の市場。チラシの裏には相模原障害者殺傷事件への思いを書いた。事件は障がいのある人たちの全面的な否定。それに対して表現の市場は障がいのある人たちの全面的な肯定を舞台で表現するもの。  栃木県で農業をやっている上野さん(ぷかぷかのライ麦パン、お昼ごはんのいろいろ米は上野さんの作品)はそのチラシの裏を読んで、これは行かねば、と思ったという。お話を聞くと、事件のあと、みんな障害者を「守る 」と言っているけど、結局は「囲い込む」わけで、彼らを「生かす」なんてことは全く考えていない。それを考えると、表現の市場でやっていることは彼らを全面的に生かすというか、積極的な「攻め」ですよね。それがいいと思ってきました。  こういう舞台を見ることで、障がいのある人達を見る目が明らかに変わってきた。 【実現性】経験・技術・人材など事業実現のためのリソースを有し、具体的な計画があるか。  演出の攝さん(演劇デザインギルド)と打ち合わせしながら舞台の準備  本番の3日前からホールを貸し切り、舞台監督のナルさん(演劇デザインギルド)を中心に舞台を作っていく。  このシーンを作るために、演出家、ピアニスト、パーカッション奏者、フルート奏者、舞台監督が見守る。 【収支バランス】適正かつ実現可能な収支予算か。  いろいろ切り詰めて、総額252万円の事業。その半額の126万円の助成金をもらえることになったのだが、残りの126万円をどうやって作り出すか。思案のしどころ。 【地域性の把握】地域の課題や魅力など地域性を把握しているか。  3年ほど前すぐ隣の区で障がいのある人たちのグループホーム建設の反対運動が起こった。行政の強い力でグループホームは建ったものの未だにまわりに建設反対ののぼり旗が立っている。それを記録したドキュメンタリー映画には説明会で飛び交うすさまじいばかりの怒号が記録されている。  障がいのある人とちゃんとおつきあいもせず、ただの思い込み、偏見だけで、地域社会の安全が保てないだの、子どもが危ないだのと言い立てる。そうやって障がいのある人たちを地域社会から排除して、快適な社会が実現できるのだろうか。社会がどんどん貧しくなっていく気がする。  そんな中でぷかぷかは「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」「そうすることで社会は豊かになる」というメッセージを発信し続けている。ぷかぷかの活動を通して障がいのある人たちと出会う人が増え、地域社会が少しずつ変わってきている。  今期の演劇ワークショップは6月18日(土)スタート、6ヶ月かけて芝居を作り、11月27日(日)の午後にみどりアートパークのホールで発表します。ぜひ見に来て下さい。  芝居作りの進行状況は毎回ブログでまとめますので見て下さい。Facebookにリンクを張ります。
  • 「あ、今日もいい笑顔だね。」
    先日の虐待の記事が気になって、また書きます。 digital.asahi.com 「虐待通報すべし」とした5事案として次のようなものが揚げられていました。  ・服薬用の水などに塩や砂糖が入れられた(身体的虐待)  ・利用者の肛門(こうもん)にナットが入っていた(身体的虐待)  ・利用者に数百回のスクワットをさせた(身体的・心理的虐待)  ・職員の粗暴行為で、利用者が頭を打ち失神した(身体的虐待)  ・利用者の食事に多量のシロップをかけて食べさせた(身体的・経済的虐待)  いずれも気分が悪くなるような事案で、ふつう人間はこんなことはしません。こういうことはしないのが人間です。  介護の現場にいるのは人間のはずですが、虐待の実態を見る限り、そこには、もう人間を感じることができません。  厚生労働省が「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き(施設・事業所従事者向けマニュアル)」というのを出しています。人間が人間でなくなっている現場で、こんなマニュアルがどれだけ役に立つのだろうかと思います。現場の荒廃のレベルの認識が甘いのではないかと思います。虐待の現場になっている神奈川県でさえ、このマニュアルを県のホームページに揚げています。こんなことやって虐待がなくなると本気で思っているのでしょうか? https://www.pref.kanagawa.jp/documents/22574/saishin.pdf  重度障がいの人たちを相手にする現場がどうしてこんなにもすさんでしまったのか。そのことにきちんと向き合っていかない限り、虐待はいつまでたってもなくなりません。向き合ってないからこそ、あのやまゆり園事件以降も、一向に虐待がなくならないのだろうと思います。  事件の直後から「支援」という上から目線こそが事件を引き起こしたのではないかと私は言い続けています。虐待の事件を受けて、あらためて、相手を蔑むところから出発している「支援」という関係の問題性を思います。  相手を蔑むことは、蔑む側の人間の荒廃を産みます。こいつらには何やっても許される、みたいな… 「利用者の肛門(こうもん)にナットが入っていた」などという事例は、その際たるものです。人間のすることではありません。これはもう「虐待」といったレベルではなく「犯罪」です。どうして「犯罪」として追求しないのでしょうか?ここにも社会の大きな問題があるように思います。  福祉の現場で「人間を回復する」「人の心を取り戻す」、そのためにはどうすればいいのか。  いつも書いていることですが、障がいのある人達と「フラットにつきあう」「ふつうにつきあう」ことです。  東北の花巻に住んでいる大好きな青年達です。昨日お母さんのFacebookにこんな素敵な写真がアップされていました。見ただけでキュンと幸せな気持ちになってしまいます。  二人ともアンジェルマン症候群といって、重度障がいの青年達です。重度障がいなので、何もできないのかというと、そんなことはなくて、こんな素敵な顔をして、まわりの人たちを幸せな気持ちにさせてくれます。私には絶対にできないことです。彼らにしかできないことなのです。そのことを謙虚に認めることから、彼らとの新しい関係が生まれます。  こんな笑顔をする人は街の宝だと思います。社会の中で一番大切にしたい人たちです。  施設にはこんな笑顔をする人はたくさんいるはずです。そんな笑顔を見つけた時、 「あ、今日もいい笑顔だね。」 って笑顔で言える関係を作ること。それが虐待をなくす、一番大事なことだと思います。そして楽しいことがあった時は、一緒にこんな笑顔になる。楽しいことを彼らと共有するのです。  彼らと一緒に本心で笑えるようになった時、失った「人の心」が戻ってきます。重度障がいの人たちが、失った「人の心」を取り戻してくれるのです。
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