ぷかぷか日記

みんなでワークショップ

  • ぷかぷかさんたちから、人生は楽しまなくちゃね!と言われたような気がした。
     ぷかぷかさんを本気で叱ったりする近所の素敵なお母さんが「表現の市場」を見に来てくれ、すばらしい感想を寄せてくれました。直球の感想です。彼女の中にあったガチガチなものを「表現の市場」は少ーし解きほぐしたように思います。 「表現の市場」へ  とにかく連日体調が悪かったこともあって、「表現の市場」の観劇?に行くことは大変だった。それでも、「行きます」と約束したし、なんとなく「今回この舞台に行かないと、私は一生後悔するかもしれない」とオーバーにも思って、電動自転車をかっとばし会場に向かう。一言でいえば、私の勘は的中で、行ってよかった!と…。  障がいの人たちがつくる舞台というものをこれまで観たことがなく、始まる前からなんとなくソワソワするし、居心地が悪い。どうゆう風に観るのが正解なのかが、よくわからない。他のお客さんは常連さんなのか、割りとニコニコ楽しそうに開演を待っている。舞台をもう何回か観ている私の友人たちは前方の席に陣取っていたけれど、私は体調も悪いし、なんとなく雰囲気に吞み込まれたくなくて、最後方の席に陣取る。私はたぶんちょっとひねくれているので、「この舞台が、フツーに楽しいのか、どうか」ということを感じたいと思っていた。“障がいの人たちがやっているから”素晴らしいとか、素敵だとか、感動する…というものには私はあまり魅力を感じない。良い意味でも差別することは、私はあまり好きじゃない。(これを書き出すと長くなってしまうけれど、障がいの人を必要以上に美化するような発言は、障がいの人が身近にいない人の特権のようなものだろうな…と思っているから)そんなこんなで緊張していた私をよそに、開演の時間を迎えた。  高崎さんとぷかぷかさん(辻さん?)が壇上に上がる。高崎さんが相模原の事件の話をする。相模原の事件のことをぷかぷかさんたちはどのくらい知っていて、どのくらい理解しているのだろうか?と不安になる。今から、さぁ楽しい舞台を!と思っている彼らにとって、相模原のことを思い出して、パフォーマンスができなくならないだろうか?と心配する。話のあとに、ぷかぷかさんの独唱があり、演目表がめくられて第一部の和太鼓へと進む。さぁ、和太鼓が始まるぞ、という暗転の中、客席にいたぷかぷかさん(たぶん辻さん)が「表現の枠を超えた…」と叫ぶ。これは演出なのか!?と疑うほど、モノローグ的で、ちょっとカッコイイ!と思う私。和太鼓は正直「どの子に障がいがあるんだろう?」と思うほど、あっけにとられてしまった。迫力もあったし、きっと「こうしたらカッコいいんじゃない?こうした方がうまくいくんじゃない?」と色々練習で挑戦したんだろうな、と思えるパフォーマンスだった。そして何よりも、彼らは明るくて、楽しそうで、輝いていた。それから私はとてもとても反省する。障がいの人は、もっと寂しい感じなんじゃないか、と勝手に思い込んでいた。イメージを勝手に持っていた自分に気づいて、反省した。それでも、障がいのある人みんながこんなに楽しそうに生きているわけでもないだろうということも同時に考え、でもどうせならば、こんな風に楽しく生きた方が人生はいいんじゃないかな、と想いを馳せる。太鼓の音は心臓の鼓動のようで、まさしく〝生きる“ことがそのまま体現されていた。客席にいた小さい子(おそらく障がい児)が舞台に駆け寄って行って、今にも上がりそうな勢いだった。素直な心がそこにもあって、感情に素直なことは素敵だなと思う。その子が舞台に駆け寄って行く様を見ても、他のお客さんがそれに動じることはない。そんなお客さんも含めて、会場を温かく感じた。私の緊張も解けて和太鼓が終わった後には、隣りに座っていた息子が「もっと前でみたい!」と言い張り、前方にいる友達の席へと移動してしまった。私は体調の悪さもあったし、そのまま一人で最後方で見続ける。ほぼ最前列へ移った息子は、やっぱり私より数倍素直なんだろうなぁーと感心する。  次のラップも、楽しさがビンビンに伝わる。とにかく楽しくて仕方ないし、喜ばせたい、楽しませたいというサービス精神が前面に出ている。ここでの私の反省点というか気づきは、そうか、彼らもコミュニケーションをこんなに取れるんだ!ということ。よく、障がい児を「コミュニケーションが難しい」と巷では言っているような気がして、私もそう思って疑わなかった。でも、それってそうなのかな?と考えた。そもそもコミュニケーションって、私がいてあなたがいる訳で、相手に合わせることも大事なことの一つならば、自分とちょっと違う相手だったとしても相手に合わせるよう、頑張ればいいだけじゃないのかな?と…。とにかく、舞台を観ている間、私の頭の中は考えることが次から次へ襲ってきて、本当に忙しかった!知らなかったことが山盛りで、自分の中でそれをかみ砕こうとするのだけど、舞台は舞台で面白くてつい笑ったりしていると、考えていることがどこにポーンと飛んでいく…そうゆう体験は久しぶりで本当に来て良かった。ラップ隊の一人の子が、たぶんあまりにも楽しくなって列を乱して前方へ行こうとしたら、それをバシッと止める仲間もいたりして、色んな性格があって面白いなと思った。自由にやりたい子、ちゃんとやりたい子、自分の中でひそかに満足して嬉しさがこみあげている子、振り付けに自信がなくてキョロキョロする子、色んな子の表情がそこにはあって、この子たちが同じ教室(学校?)にいた時は、どんな毎日だったのかな、と、いつか話を聞いてみたいなと思った。  第二部のチェロ×太鼓。ここに“本物の”チェロが響くことに、感動する。プロの音がこの会場を包む重厚感が、そのまま、色んな人を認めようよと言っているような気がする。そしてぷかぷかさんによる太鼓が決してお飾りや情け的なものではないことも、演者二人から伝わる。何か多くを語るわけではないのに、強さを感じる演奏だった。ぷかぷかさんの真面目な姿は、決して誰かにやらされている訳ではなくて、彼の内面からにじみ出たものだと思った。神聖なと言ったら大げさかもしれないけれど、私にはそう感じた。次の「蜘蛛の糸」は急に本格派だったので、この「表現の市場」は面白いなぁと思う。なんでもアリな感じが、自由でいい!この時に、一部のラップ隊の人たちが、身を乗り出して舞台を観ていたのが印象的だった。  長い休憩時間になったので、ロビーに出る。販売していたまち針が私好みだったので3セットお買い上げ。ロビーでLIVEが始まる。「あ、懐かしい!」と思ったらRCサクセションの歌だった。RCは高校時代に大好きだった。高校時代のやさぐれていた時をちょっと思い出したりしながら、今日は家に帰ったらRCを聴こう!と強く思う。(そして、この日から急にRCを聴きまくる)  さて、いよいよ「セロ弾きのゴーシュ」が始まった。すごい人数だったけど、どの人もこの瞬間を楽しみにしていたんだろうなという〝気“が伝わる。何人かからは、「成功させたいの!」という想いも伝わる。「表現の市場」なのだから、この”伝わる“ということは重要だと思う。舞台に立っている人だけが楽しくて満足というのでは、ちょっと残念だ。表現するからには、やっぱり何か伝えるんだと思う。ワークショップの事は私には知る由もないけれど、のびのびと舞台に出ているぷかぷかさんたちから、とても自由さを感じた。ピアノの方がこれまた楽しそうに弾いていて、それに合わせて歌うぷかぷかさんたちから、人生は楽しまなくちゃね!と言われたような気がした。高崎さんが出てきた場面では、舞台の上のぷかぷかさんからも、客席にいるぷかぷかさんからも、熱いまなざしがあったように思う。みんながみんなといることが大好きで、ここに今日もみんなでいれて嬉しい!と高崎さんにメッセージを送っているようだった。舞台の最後に高崎さんが真面目に「障がい者との社会」の話をした。その時に、「あ、そうだ、今日はそうゆう舞台を観に来たんだった」と私は思い出した。観ている最中、何か特別な特異なものを観ているような感覚は全然なかった。最初のソワソワした居心地の悪い感じは、もうどこにもなかった。本当に楽しい週末を私は過ごせたし、この舞台を観に来て良かったと思う。なにより、自分自身にまだまだ素直な息子が「あー今日は楽しかった!」と言ってその日は寝た。それでも、その日の夜に思ったことは、どんな人のことも特別扱いしない社会にどうしてならないんだろうか、ということ。今日の会場は温かい空気があって、和やかで、笑顔がたくさんあって幸せに満ちていた。だけど、社会はどうだろう?ひとたび電車に乗れば、ちょっと障がいの子がいると、ジロリと怪訝に見る大人がいる。障がい児を引き連れているお母さんが暗い顔でその子の後ろに立っている。その現実と「表現の市場」の幸福感の距離がまだまだかなりあることに、悲しくなる。でも、それは社会にいる大人たちの想像力の乏しさが原因かもしれない。現に私だって、今回気づいたことや、知ったことが沢山あった。またこの「表現の市場」が開催されて、私みたいな人が、一人でも二人でも増えることを望みます。私にもまだまだ知らない彼らの魅力がたくさんあるんだと思う。相手を知りたいと思う本能に、障がいもフツーの人も関係ないんじゃないかと思う。ありがとうございました。
  • 今日、舞台へ
     第3期第7回目ワークショップ。 本番前日、まだまだ不十分ながらも、場のテンションはぐんぐん盛り上がっていました。   楽長にしかられたゴーシュは壁の方へ向いて涙をこぼしますが、 ♪…気を取り直して自分だけ今やったところをはじめから静かにも一度弾き始めました…♪に続いて江原さんのチェロと安見ちゃんのピアノが入ります。ほんとうに息をのむほどのすばらしい演奏でした。 www.youtube.com オーヤさん、ますますがんばっていました。 デフパペットシアターひとみの善岡さんは耳が聞こえません。アルゴリズム体操を一緒に踊るため、みんないろいろ工夫していました。こういうことがワークショップの中ではとても大切です。一緒に生きるにはどうしたらいいか、それをみんなで考えるのです。 hanaちゃんもいっしょにグールグル 賢治の人形  デフパペットシアターひとみ制作 舞台では照明の仕込み 背景画を貼るパネルのセッティング 照明のテスト 舞台へ www.youtube.com ピロティではパネルの準備 なんかもう抱きしめたくなるような字です。   こんな味のある字を書く人とは一緒に生きていった方がトク!  表現の市場のお知らせはこちら http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?第3回表現の市場チラシ
  • ワークショップの映像
     1月21日のワークショップを映像制作をやっている吉田さんがまとめてくれました。ワークショップの場の混沌とした様子がよくわかります。これがどんなふうにまとまって行くのか、29日の本番舞台を楽しみにしていて下さい。 www.youtube.com  ふつうに考えれば、こんな状態で、あと1回のワークショップでまとまるのだろうかと不安になるのですが、そこがワークショップという場の不思議なところ。最終的には、場の熱気がみんなの背中を押し、すばらしい舞台に仕上げてくれます。
  • 本番まであと一週間
       1月21日(土)、今期6回目のワークショップがありました。芝居の元になる台本がだいたいできあがり、それをたたき台にしてみんなで金星音楽団の練習風景とグループごとの場面を作りました。台本通りにやるのではなく、それを元にみんなで創っていくのがワークショップです。最終的にどうなるかは、発表会当日の朝のリハーサルまでよくわからない、というなんともハラハラドキドキする芝居作りです。  段ボールのにぎやかな楽器をわんどで更に追加製作したため、金星音楽団らしい雰囲気が出てきました。 www.youtube.com  この楽長が怒鳴るシーン、いまいちの感じだったので、午後の芝居作りで、「アキちゃんがやってみたら」と突然、演出のせっちゃんがふってきました。あたふたしながらも、久しぶりに大声出していい気持ちでした。芝居をやるって楽しいですね。ちょっとやってみただけだったのですが、せっちゃんが「これおもしろい、これで行こう」と言い出し、私は記録の写真を撮るつもりだったので、困ったことになりました。どなたか写真撮っていただけると助かります。  『 セロ弾きのゴーシュ』にはネコが登場するシーンがあります。でも、どういうわけかネコがトラに変わりました。このへんの自由さがぷかぷからしい作り方です。原作ではシューマンのトロイメライをリクエストするのですが、ゴーシュは何を思ったか「インドの虎刈り」という曲を弾いてネコはくたくたになります。このくたくたになるところから「アルゴリズム体操」を思いつき、ゴーシュぷかぷか版ではゴーシュにその曲をリクエストします。2回繰り返してトラたちはくたくたになります。 www.youtube.com   トラグループ、カッコウグループ、タヌキグループ、ネズミグループに分かれて芝居作り。リハーサル室が手狭でした。  子どもと一緒にパン屋にクリームパンを買いに来るお客さんの関係から、いつの間にか「ぷかぷかさん」たちと一緒に芝居を作る関係になり、今度一緒に舞台に立つことを目指すオーヤさん、今日はグループのみんなをリードするように芝居作りに張り切っていました。こういう変わりようがおもしろいですね。パン屋のお客さんが、パン屋で働いている人たちといっしょに舞台に立ってしまうなんて、ふつうはあり得ないですから。そこがぷかぷかの不思議なところ、おもしろいところです。活動の幅の広さ、創り出しているものの豊かさがよく見えます。  ファッションモデルのお姉さんたちとダンスの練習。  全く頼んでもいないイクちゃんが、お姉さんたちに負けないくらいエネルギッシュなダンスを披露してくれました。ダンスのすばらしいセンスを持っている方です。  セロを弾く音が按摩の代わりになって動物たちの病気を治します。その夜は病気になった子ネズミたちがやってきて、按摩をしてもらおうとチェロの穴に飛び込みます。そのときに歌うのがこの歌。東北地方で行われている剣舞に宮澤賢治が魅せられ、詩を書きました。その詩に林光さんが曲をつけ、『セロ弾きのゴーシュ』のオペラのこのシーンで歌わせました。初めてゴーシュのオペラを見たとき、ゴーシュ役をやった大石さん(歌役者)の朗々とした歌いっぷりに圧倒されたことを覚えています。      夜風とどろきひのきはみだれ      月は射(い)そそぐ銀の矢並(やなみ)      打つも果てるも火花のいのち      太刀の軋り(たちのきしり)の消えぬひま      太刀は稲妻萱穂(たちはいなずまかやほ)のさやぎ      獅子の星座(ししのせいざ)に散る火の雨の      消えてあとない天のがはら      打つも果てるもひとつのいのち  ファッションモデルのお姉さんたちと一緒にパレードしたあと、舞台で一緒に踊りたいと考えていました。そのときに頭に浮かんだのがこの歌です。  www.youtube.com  イクちゃんの自由奔放なダンスに比べると、まだまだ平板な感じがするので、もっとダイナミックな振り付けを考えたいと思います。  誰かが寝っ転がってるのかと思ったら、デフパペの持ってきた賢治の人形の足でした。このリアルさは、ちょっと怖いものがありました。  フィナーレで歌う「てぃーちでぃーる」スペシャル版です。 www.youtube.com  さぁ、いよいよ1月29日(日)発表会です。どんなゴーシュになるか、楽しみにしていてください。 『セロ弾きのゴーシュ』の舞台は以下の人たちによって作られます。1月27日(金)の朝から製作に取りかかります。この日の夜にピアノの調律をします。背景画は27日の朝に搬入します。 舞台監督                            成沢富雄              舞監助手              シアターサポ       北原修     ピアノ調律  渡辺幹雄               大道具27日のみ              シアターサポ       渡辺敬吉                             音響       シアターサポ       石田昌弘             音響ステージ助手              シアターサポ       大島伎右助                          照明       SHOW-YA projecT 都野 直人(ツノ ナオト)             照明       SHOW-YA projecT 酒井 松八(サカイ ショウヤ)   みどりアートパークホール                                                                       館長       藤井ゆずる                                        担当者    遠藤美香                          舞台       上條拓也                                           照明       光野直美                                           音響       山田  なんとも豪華な舞台です。ぜひ見に来てください。
  • 途中寝っ転がる人がいても平気なぷかぷかです。
      第3期第5回目のワークショップ。『セロ弾きのゴーシュ』は金星音楽団が演奏会に向けて練習をするところから物語が始まります。で、ワークショップの中で練習風景をやってみたのですが、みんな適当に手を動かしているだけなので、どんな楽器を弾いているのかさっぱりわかりません。リアリティがないのです。それで段ボールで楽器を作り、それを持ってやってみることにしました。  楽器の製作はぷかぷかのアート屋わんどに依頼しました。チェロ以外は平面の楽器です。たとえ平面であっても、それを手に持つことで、リアリティが出てきます。ヨッシーの持ってる楽器は平面ですが、いかにも吹いている感じがします。プロのチェロ奏者の江原さんから見ても、すごいリアリティを感じたそうです。リアリティを感じたところから、この合成写真ができました。製作は江原さんです。  チェロは存在感があって、すばらしいできあがりでした。デザインはぷかぷかのショーへーさんです。わんどのスタッフもデザインしたのですが、ショーへーさんの方がはるかにおもしろいものができました。この『おもしろい』という感覚は、世界をなめらかに動かしていく上でとても大事なものだと思います。「あ、おもしろい!」と、新しい価値を発見していく感覚が私たちに求められている気がします。 段ボール製の楽器のおかげで、一気に楽団らしくなりました。こういうことを繰り返していく中で、だんだんみんな芝居のおもしろさがわかってきたようです。 この場面からこんな合成写真も生まれました。江原さん製作。この写真に江原さんの曲を重ねて、おもしろい動画を吉田さんが作ります。  楽長にしかられたゴーシュは壁の方へ向いて口を曲げてぼろぼろと涙をこぼします。気を取り直してたった一人今やったところをはじめから静かにもう一度弾き始めます。ここで日本フィルのチェロ奏者江原さんの演奏が入ります。すばらしい演奏でした。(音が小さいのでボリュームを上げて聞いて下さい) www.youtube.com  各シーンの配役を決めて、場面を作りました。  途中寝っ転がる人がいても平気なぷかぷかです。  モリー王子たちはネコのシーンなのですが、ネコよりもトラがいいと言い張り、トラが出てくることになりました。で、トラが何をやったかというと「アルゴリズム体操」をゴーシュにリクエストします。お互い動きを合わせるのが大変だったようです。今日初参加のモーリー王子が張り切っていました。 ネズミのお母さんが病気の子どもを連れてゴーシュのところへやってくるシーンでは「夜風とどろき」の歌を歌います。歌詞はむつかしいのですが、メロディがすばらしいです。林光さん作曲です。 こんにゃく座のオペラ『セロ弾きのゴーシュ』ではゴーシュが朗々と歌います。その歌いっぷりが大好きで、今回ゴーシュの中でどんな歌を歌うかの選定の時、ピアニストのあみちゃんにぜひこの歌を、とお願いしたのでした。簡単な歌ではないので、安見ちゃんは渋っていましたが、絶対歌いたい!と押し通したのでした。 イントロのところを江原さんが弾きました。 www.youtube.com   この日初参加のモーリー王子のお父さんモーリー大王も、初めてにもかかわらず、ファッションモデルさんと一緒に楽しそうに踊っていました(一番奥の黄色いモデルさんです)。ふだんはまじめなサラリーマンのおじさんが、こうやって自由になれる場がワークショップです。こんなことは日常生活ではあり得ないですね。1月29日にはモーリー大王もモーリー王子といっしょに舞台に立ちます。大きなホールの舞台、しかも舞台費用40万円もかけたプロ仕様の舞台です。大王も王子も多分なにか新しいものを見つけるのではないかと期待しています。 www.youtube.com  ファッションモデルのお姉さんたちの動きがいまいちなので、デフパペットシアターひとみの役者さんたちにかっこいい振り付けを考えてもらう予定です。  ネズミのシーンの最後は大盛り上がり。青いズボンのイクミさんの即興のダンスがいいですね。この自由さは何なんでしょう。    ワークショップはこのあと1月21日と28日の2回だけ。あと2回でうまくまとまるのかどうか、いつものことながら、はらはら心配しつつ、ワークショップという場のエネルギーに期待しています。1月29日(日)の午後、発表です。  今回日本フィルの江原さんが「ぷかぷかさん」たちに惚れ込んで、毎回参加してくれるようになりました。これはとてもラッキーでした。ワークショップの場に本物のチェロの演奏が毎回流れ、とても豊かな空間になっているように思います。
  • 未来はもっと素敵だと思って作ってきた物語の本
     ぷかぷかの本の原稿、ようやく書き上げ、今出版社に送ったところです。400字詰め原稿用紙約260枚です。この6年間でぷかぷかが作ってきた物語です。    前書きにはこんなことを書きました。    「ぷかぷか」は私が養護学校の教員をやっているときに、障がいのある子ども達に惚れ込んでしまい、「こんなすてきな人たちのそばに一緒にいたい、いっしょに生きていきたい」と思ったことが最初のきっかけです。養護学校を定年退職後、彼らと一緒に働く「ぷかぷか」を立ち上げて6年がたちました。   お店を運営しながら見えてきたのは、社会に合わせた彼らではなく、彼らのありのままの姿にこそ魅力があり、その魅力は仕事を進めていく上でのチカラになり、社会を変えていくチカラになる、ということです。  彼らの魅力は人を癒やし、「ぷかぷかが好き!」というファンを生み出しました。ファンが増えれば売り上げが増えます。つまり彼らの魅力は収益を生むチカラがあるのです。ぷかぷかのファンになった人は、ぷかぷかで働く障がいのある人たちに出会った人たちです。ですから、ぷかぷかのファンを増やすことは、街を耕すことになります。彼らの魅力は、社会を変えていく、社会を豊かにするチカラがあるのです。  そういったことが見えてくると、彼らはもう何かをやってあげるとか、支援するとかの対象ではありません。一緒に働く仲間であり、一緒に街を耕し、お互いが住みやすい社会を作っていく仲間です。   ぷかぷかは「障がいのある人たちのチカラ(魅力)で収益を上げ、同時に社会的課題(彼らの生きにくさ、社会における疎外)を解決する、社会を豊かにする」という今までにない新しい発想、カタチでのソーシャルビジネス、福祉事業をやっているのです。   いろんな人がいること、そのことを「いいね」ってみんなで思えること、それが地域の豊かさだと思います。いろんな人が、お互い気持ちよく暮らせる豊かな社会を、障がいのある人たちが作り出しているのです。彼らのために始めた事業が、彼ら自身が主人公になって回り始めているのです。  そしてこの本は、その記録です。   目次はこんな感じです。 第1章 ぷかぷかを立ち上げる 1−1 「養護学校でもいい」から福祉の世界へ 1−2 障がいのある人たちに惚れた  1−2−1 ゲハハ ガハハ  1−2−2 カンカンカン あたりぃ!  1−2−3 社長の方が何倍もいい顔 1−3 みんなでパン屋やろうぜ 1−4 夢の始まりーNPO法人の申請書を書く 1−5 とにかくやりたいからやるーそれが福祉起業家 1−6 あこ天然酵母で勝負する 1−7 毎日パンを作ることで社会貢献 1−8 650万円ゲット 1−9 お店を霧ヶ丘に 1−10 2000万円を超える見積書にじわっと冷や汗    第2章 パン屋を始める 2−1 商売のことを何も知らずに始めた「素人パン屋」 2−2 近隣から苦情の電話が入り、半年間は針のむしろ 2−3 この1枚の写真を撮るために4年間がんばってきた 2−4 事業は続けることが大事 2−5 プロから見れば、もう見てられない 2−6 ようやくみんなと山に   第3章 彼らがありのままの自分でいられること 3−1 気色悪くて接客マニュアルはやめた 3−2 ひとときの幸せをいただきました 3−3 ウィルスに感染したお客さんの話 3−4 見当違いの努力 3−5 彼らに社会を合わせる   第4章 ぷかぷか三軒長屋 4−1 ぷかぷか三軒長屋は街に必要な場所 4−2 カフェベーカリーぷかぷか 4−3 おひさまの台所 4−4 アート屋わんど   第5章 福祉事業所でもビジネスでやった方が得! 5−1 知的障がいの人には単純作業が向いている? 5−2 一大決心で飛び込んだぷかぷか 5−3 まっすぐ前を向いて生きています 5−4 人生への配慮が抜け落ちているんじゃないか 5−5 仕事の持つ意味が、ぐ〜んと豊かに 5−6 ビジネスの面白さでルンルン気分 5−7 一石六鳥のソーシャルビジネス   第6章 たくさんのつながりを作る 6−1 パン教室 6ー2 ぷかぷかしんぶん 6−3 ありがとうカード 6−4 子ども達にオペラをプレゼント   第7章 あたらしい文化を作る 7−1 地域の人たちと一緒に芝居作り 7−2 「悪意」のない人たちが「悪意」のある芝居を作る       ー第一期みんなでワークショップ「森は生きている」ぷかぷか版  7−3 心の底から楽しいって思えた舞台  7−4 げんさん、タケちゃん、じゅんちゃん 7−5 まーさんの物語 7−6 なぜ彼らといる時に、ゆるっと心地よいのか、わかった気がします。       ー第一期みんなでワークショップの記録映画を見た人たちの感想 7−7 「むっつり大王」は私たちの中に       ー第二期みんなでワークショップ「みんなの〈生きる〉」 7−8 何かができないことが新しいものを生み出した。      ー第三期みんなでワークショップ「セロ弾きのゴーシュ」ぷかぷか版   第8章 ヨッシーワールド全開「田貫湖電鉄物語」   第9章 思いつきのひとことが思ってもみない広がりを生んだ話 9−1 区民まつりでブースのデザイン 9−2 大きな絵地図を作ることに 9−3 大きな絵地図が区役所のロビーに 9−4 区長、副区長が名刺に似顔絵 9−5 人権研修会講師に「ぷかぷかさん」   第10章 「ぷかぷか」が創り出した物語 10−1 ほっとけないと思ったのは、人としてそこに立ってしまったから 10−2 赤ちゃんはお母さんを救ったのかも 10−3 ぷかぷかは明日もがんばりません 10−4 みんなでパンをかついで 10−5 迷惑を掛け合いながら人は一緒に生きているのだと思います。 10−6 「障害者はいた方がいい」という映像を作ります。 10−7 希望があるからまた書ける 10−8 その子の手が柔らかくて、あたたかいんですね          10−9 名前のない死は、悲しいです 10-10 楽しむ時間が倍に 10-12 この寝っぷりがいいよな 10-13 ぷかぷかとおんなじだよ 10-14 街を耕す 10-15 この子が大きくなったとき、こんなふうに笑顔で見つめ合える社会を     作ってくれるんだろうなと思います。 10-16 どうして彼らといっしょだとこんなに楽しいんだろうね。 10-17 しんごっちのメッセージ 10-18 人は誰でもそのままで生きていていい 10-19 未来は今よりもっと素敵に    第11章 福祉事業所を立ち上げる 11−1 事業計画 11−2 手続き 11−3 自分の生き方が問われる 11-4 根拠なんか別にない。ただ、やれると思う気持ちがあるだけだ。     だいたいこんな感じです。ぷかぷかは現在進行中なので、まだまだまとめきれない感じですが、とりあえずの中間報告、といった感じです。 あとがきにはこんなことを書きました。    ソーシャルデザインの本に「未来はもっと素敵だと思いますか?」あるいは「自分の手で、未来をもっと素敵にできると思いますか?」という問いがありました。その問いにYESと答え、ひたすら突き進んできたのが「ぷかぷか」です。  障がいのある人たちの人柄に惚れ込み、彼らといっしょに生きていきたいと思い、彼らといっしょに働く場「ぷかぷか」を街の中に作りました。  街の中に作ることでたくさんの人たちが彼らと素敵な出会いをしました。お互いの心がぽっとあたたかくなるような出会い。こんな出会いを見ていると、「未来はもっと素敵だ」と本当に思えるようになりました。   そう思える物語をこの6年間でたくさん創ってきました。この本はそのいわば中間報告です。物語はまだまだ続きます。たくさんの人が「未来はもっと素敵だ」と思えるような物語です。    年内に手直しをし、年明けには本ができるのかな、と思っていますが、ま、そううまくはいかないだろうと思っています。また報告します。 
  • 言葉をそのまま書いただけなのに
     『セロひきのゴーシュ』の背景画に使おうと思っている絵をカフェの壁に飾ってみました。すごくいい感じになりました。  「セロひきのゴーシュ」の言葉をそのまま書いただけなのに、それがそのままアートの作品になってしまうところが、彼らのすごいところだなと思います。私が書いたのでは、多分作品にはなりません。そこの違いはなんなんだろうと思います。  夕方日が落ちてから見ると、すごくいい雰囲気になっていました。  席に座ってお茶を飲みながら見ると、すごくいいです。ぜひ見に来てください。
  • 普段見慣れている風景が…
    「セロ弾きのゴーシュ」背景画作りの第二弾の映像ができました。制作は映像作家吉田さんです。一作目よりもはるかにいい作品に仕上がっています。  普段見慣れている風景が、全く違う世界に見えます。ここが映像作品のすごいところですね。新しい世界を作ってしまうのですから。  「ぷかぷかさんたち」の振る舞いが、すごくいいですね。集中している姿が本当に素晴らしいです。  1時間とちょっとでこれだけの作品を作り出すのですから、「ぷかぷかさんたち」のチカラってすごいなって思いました。その力をうまく引き出した金子さんの力量に拍手!です。 www.youtube.com  木曜日にカフェの壁に出来上がった作品を飾ります。ぜひ見に来てください。
  • ゴーシュの勢いがそのまま出ているような描きっぷり
     アートディレクター金子さんをお呼びして、ゴーシュの背景画の材料を描きました。 ♪ それから 頭を ひとつふって 椅子へかけると まるで トラみたいな いきおいで 昼の譜を ひきはじめました  オペラシアターこんにゃく座のオペラ『セロ弾きのゴーシュ』で、練習が終わって自分の家に帰ってきたゴーシュが水を一杯ごくごく飲んで練習を始めるシーンです。  まるでその時のゴーシュの勢いがそのまま出ているような描きっぷりです。  ここに添えた絵がいいですね。 絵がどんどん出来上がっていきます。 木曜日の朝、前回書いた絵と合わせてカフェの壁に飾ってみようと思っています。ぜひ見に来てください。
  • そんな想いの伝わる舞台になればいい
    第3期4回目のワークショップの記録映像です。制作は映像作家の吉田拓史さんです。 ワークショップの雰囲気がよく伝わってきます。あと3回でまとめる予定ですが、どんな風になっていくのか。大変ですが、この大変さこそがワークショップの楽しいところです。来年1月29日に発表です。 www.youtube.com  障がいのある人たちとは一緒に生きていったほうがいい、ワークショプをやっているとしみじみそう思います。そんな想いの伝わる舞台になればいいな、と思っています。 「障害者はいないほうがいい」のではなく、「いたほうがいい」「一緒に生きていったほうがいい」と、いい続けます。
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