ぷかぷか日記

みんなでワークショップ

  • 台本にはなかったのですが、突然ダンスをやることに
      1月13日(土)、第4期第6回みんなでワークショップがありました。  「あの広場のうた」は今度の発表会のメインになるほどの歌です。ぷかぷかがやってきたこと、創ってきたことをとてもうまく表現している歌だと思うからです。   歌が生まれ  人は踊り出し   物語がはじまる  あの広場がここに  ぷかぷかはまさにあの広場を霧ヶ丘に創ったのではないかと思うのです。そして広場の中心に柱を立てたのは、ぷかぷかさんです。ぷかぷかの企画を立てたのはタカサキですが、歌が生まれ、人は踊り出し、物語がはじまる あの広場の中心に柱を立てたのは、やっぱりぷかぷかさんだと思うのです。ぷかぷかさんがいなければ、歌は生まれなかったし、人は踊り出したりしなかったし、まして人がホッと心を温めるような物語は生まれませんでした。 ♪ いまはいつだろう  いつもの朝    ここはどこだろう   いつも場所     いまはいつだろう  いつもの夜   ここはどこだろう  いつもの場所     でもどこかちがう   ここはどこかに似ている     おとなもこどもも  犬も鳥たちも    虫たちも集まる   あの広場みたい     耳をすませば見えてくる   目をみはれば聞こえてくる   少しずつ 少しずつ     歌が生まれ  人は踊り出し   物語がはじまる  あの広場がここに     昔 広場に一本の柱   ここに立てよう  目には見えない柱を     昔 広場に一本の柱   ここではじまったぷかぷか  いまここで ♪ 柱は本当はもっと太くて高い  『注文の多い料理店・ぷかぷか版』でどんなことをするかを説明 『注文の多い料理店・序』デフパペットシアターひとみのエノさんが手話でやります。字はぷかぷかさんが書きました。 「きれいにすきとおった風をたべ」なんて美しい言葉だろうと思います。 そのきれいな言葉たちを、エノさんが手話で表現。 台本見ながら打ち合わせ、イメージする、やってみる。 実際にやってみる 小道具たち この西洋料理店山猫軒というのは、西洋料理を出すお店ではなく、自分たちを西洋料理にして食べてしまうお店であることにだんだん気づいていきます。 ハッパにはさんでハンバーガーに ♪ つぼのなかの〜 www.youtube.com ようやくおかしいことに気がつきます。 山猫たちがナイフやフォークを持って飛び出してきます。 ダンスの先生が見本を見せます。台本にはなかったのですが、突然ダンスをやることに。盛り上がるところだし、ま、いいか、ということになりました。ここがぷかぷかのワークショップのおもしろいところ。 www.youtube.com どこかペテン師のような帽子をかぶった紳士たち 手話通訳の方と手話 1月21日(日)午後、みどりアートパークホールの舞台で発表します。ぜひ見に来て下さい。見なきゃソン!ですよ。
  • つぼのなかのぉ〜くりぃ〜むを〜
    『注文の多い料理店・ぷかぷか版』に出てくる扉の言葉の歌。 ♪ ちゅうもんは おおいでしょうが どうか いちいち こらえてください ♪ この歌、コサックダンスのように踊ったらおもしろいんじゃないか、という提案が今日のピアニスト湯田さん(オペラ『ロはロボットのロ』の時のピアニスト)からあり、やってみました。 www.youtube.com ♪ つぼのなかの クリームを 顔や手足に すっかり塗って下さい ♪ www.youtube.com 自分たちが食べられてしまうことがわかり、紳士は泣き出します。ハヤチャンの相手はデフパペットシアターひとみの役者善岡さん。二人とも泣き顔がいい。 www.youtube.com 泣いて泣いてくしゃくしゃになった顔は東京に帰ってお風呂に入ってもなおりませんでした、という歌があるのですが、録画し忘れました。
  • 障がいのある人たちと楽しいことをやって、相模原障害者殺傷事件を超える
     表現の市場のチラシの版ができ、ただ今印刷屋で印刷中です。下記サイトでチラシの表と裏を見ることができます。ダウンロードボタンを押して下さい。 pukapuka-pan.xsrv.jp   表も裏も、味のある文字はミズキさん。ねこの絵はぷかぷかさんたちの共同作品です。裏の下の絵はショーヘーさんです。全体のデザインはわんどスタッフのコンドーです。  裏の文章は高崎が書きました。去年に続き、相模原障害者殺傷事件について書いています。  相模原障害者殺傷事件を起こすような社会は、事件以降変わったのかというと、ほとんど変わっていなくて、相変わらずあちこちでグループホームの建設反対運動が起こったりしています。グループホームの建設反対運動は、障がいのある人たちを地域社会から締め出してしまう運動です。障害者はいやだ、怖い、といった思いがあります。彼らとのおつきあいがないところでの不安が、そういった反対運動の根っこになっています。  いやだなと思っている障害者を地域から追い出せばすっきりすると思っている人が多いのですが、本当にそうでしょうか。地域社会から障がいのある人たちを締めだしてしまうことは、許容する人間の幅を狭めることです。地域社会で許容する人間の幅が狭まると、結果的にはお互いが窮屈な思いをすることになります。お互いが息苦しい地域社会になっていきます。  いろんな人がいること、それが社会の豊かさです。障がいのある人たちを締め出すことは人の多様性がなくなることです。社会はどんどん痩せこけていきます。  だから障がいのある人たちを地域社会から締め出してはだめだ、というのではありません。彼らを締め出すのは、地域社会にとってソン!だと言いたいのです。社会の損失だと言いたいのです。彼らとはいっしょに生きていった方が絶対にトク!だと思っています。社会が豊かになります。  「表現の市場」は、いろんな人がいることの豊かさを舞台で表現します。障がいのある人たちがいてこそできる豊かな世界を目に見える形で表現します。  この豊かさを障がいのある人たちといっしょに作り続けること、それが相模原障害者殺傷事件を超えることだと思っています。事件を超えるというのは、誰かを排除したりしない社会を作ることです。障がいのある人もない人も、お互いが気持ちよく生きていける豊かな社会を実現することです。  障がいのある人たちとの演劇ワークショップは、すごく楽しいです。楽しいことをやりながら、相模原障害者殺傷事件を超えるなんて、なんか一石二鳥という感じがします。障がいのある人たちと楽しいことをやって、相模原障害者殺傷事件を超えるのです。  相模原障害者殺傷事件というと、なんとなく話が重くなり、みんな敬遠してしまいます。でも、事件を超えるカギは、障がいのある人たちといい関係を作ることです。彼らとおつきあいすることが楽しいと思える関係を作ることです。  障がいのある人たちと楽しいことをやるなら、誰にでもできます。彼らといっしょに楽しいパン教室やったり、いっしょに大きな絵を描いたり、ぷかぷかのお店で楽しいお話をしたり、いっしょに楽しい芝居を作ったり、そんなことの一つ一つが、相模原障害者殺傷事件を超える豊かな社会を作っていくことにつながるのです。  表現の市場は、来年1月21日(日)午後2時〜、みどりアートパークホールです。ぜひ来て下さい。  
  • 目を凝らすと 見えない柱が きっと 見えます
      12月16日(土)第5回「みんなでワークショップ」がありました。  オペラシアターこんにゃく座の「あの広場のうた」を聞いたとき、「ああ、これはぷかぷかのことだ」って思いました。ぷかぷかにはたくさんの大人、子どもが集まります。ぷかぷかさんたちといろんなことをやり、たくさんの物語を生み出しました。「あの広場のうた」そのままです。  というわけで、今回は舞台の冒頭に「あの広場のうた」をうたいます。広場に一本の柱を立てるところから広場ははじまります。   おとなもこどもも  犬も鳥たちも  虫たちも集まる   あの広場みたい    耳をすませば見えてくる  目をみはれば聞こえてくる  少しずつ 少しずつ    歌が生まれ  人は踊り出し  物語がはじまる  あの広場がここに    昔 広場に一本の柱  ここに立てよう  目には見えない柱を   エノさんがスコップで穴を掘ります。 柱を運んできます。 エノさんがロープで引っぱり、柱を立てます。  でも柱がなかなか見えなくて、何度もやり直し。目には見えない柱なので、見えなくてもいいのですが、それでも去年のデフパペットシアターひとみの『蜘蛛の糸』の舞台のように、糸が本当に見えるくらいの舞台にしたいと思うのです。見えない柱が見えるようにするにはどうしたらいいか。  イメージをつかむために、ホームセンターに行って紙の柱を買ってきました。直径20センチ、長さ2メートルです。1700円もしたので、どうしようか迷いましたが、これで大事な柱が見えるなら、と思って「えいや!」っと買いました。  本番の舞台を楽しみにしていて下さい。「歌が生まれ 人は踊り出し 物語がはじまる あの広場がここに」出現するのです。「昔 広場に一本の柱 ここに立てよう  目には見えない柱を」。目を凝らすと 見えない柱が きっと 見えます。  『注文の多い料理店』は猟に来て怪しい世界に迷い込んだ紳士と、山猫のお話です。山猫のお面で遊んでみました。 紳士たち 三つのグループに分かれ、台本を使って舞台作り  『注文の多い料理店』には扉がたくさん登場します。その扉をどう表現するか、いろいろ話し合いました。扉のいちばん一般的なものは段ボールに描いたもの。 体の前と後ろに段ボールの扉をぶら下げる「人間扉」は、なんだかおかしい動きをします。  更にアルミのパイプを利用したカチッとした扉。  『注文の多い料理店』は山猫が作った怪しい料理店です。扉にいろいろ注文を書き、いい気になって注文を解釈するバカな人間を食べてしまおうというお話。最後犬が登場して、山猫と大げんか。犬が勝つと、料理店は煙のように消えてしまいます。ならば扉も山猫が作った怪しさとおかしさを表現するために、動きがなんともおかしい「人間扉」を使うのがいいんじゃないか、ということになりました。山猫がやっている間抜けな扉、という感じです。  背景画をどうするかでも話し合いました。  大きな山が山猫に変わるイメージ  これはベニヤ板を30枚も使う巨大な背景画。製作費がバカにならないことと、作業スペースの確保がむつかしいことが問題になりました。毎年ホールを3日間貸し切りで舞台装置を作っていますが、3日間でも作りきれない恐れがあります。  結局、物語は『かしわばやしの夜』の「歌会」からはじまりますので、こんな感じにしようということになりました。高さは約3メートル。後ろに台を2段重ね、人が乗って顔を出します。「赤いしゃっぽのカンカラカンのカアン」と叫び、歌会が始まります。  この木の裏に、怪しい山猫の目が光ります。  どんな舞台になるか楽しみにしていて下さい。
  • 『注文の多い料理店・ぷかぷか版』が少しずつ形になり始めています。
     第4期第4回目ワークショップ。『注文の多い料理店・ぷかぷか版』が少しずつ形になり始めています。  全体の構成はこんな感じです。  「あの広場のうた」ずいぶんうまくなりました。 www.youtube.com       耳をすませば見えてくる     目をみはれば聞こえてくる  耳をすませば見えてくるものがある。目をみはれば聞こえてくるものがある。深い言葉だなと思います。作詞・作曲の萩京子さんの思考の深さを思いました。        歌が生まれ  人は踊り出し    物語がはじまる  あの広場がここに      昔 広場に一本の柱    ここに立てよう  目には見えない柱を  本番ではデフパペットシアターひとみのエノさんに、この見えない柱を舞台に立ててもらおうと思っています。           写真は昨年の表現の市場ですさまじい集中力を見せるエノさん  ぷかぷかさん「昔ここに一本の柱」  ぷかぷかさん「あの広場のうた」  そして客席から歌を歌いながら舞台に向かって集まってくるような、そんな始まりを考えています。      序文はエノさんの手話  きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝のひかりを飲むことができます。  注文の多い料理店を三つのパートにわけ、グループで形にしました。 www.youtube.com www.youtube.com 大道具が今年は大変です。山のイメージが山ねこのイメージに途中で変わります。高さが7メートルもあるそうです。 その制作に頭を悩ます舞台監督の成沢さん  発表は来年1月21日(日)午後2時から みどりアートパークホールで開かれる「表現の市場」でおこないます。
  • ここに来ると、歌が生まれ、人は踊り出し、物語がはじまる、あの広場がここに
     10月21日(土)、第四期の第三回目のワークショップ。私の熱いリクエストで歌うことになった「あの広場のうた」、みんなすごくのって歌っています。原曲よりもかなりゆっくりで、音も下げ、とても歌いやすくなっています。むつかしい手拍子も、あみちゃんの手にかかると、みんなできるようになりました。シャキシャキした手拍子がみんな気に入っています。 www.youtube.com ♪ いまはいつだろう  いつもの朝   ここはどこだろう   いつも場所    いまはいつだろう  いつもの夜  ここはどこだろう  いつもの場所    でもどこかちがう  ここはどこかに似ている    おとなもこどもも  犬も鳥たちも  虫たちも集まる   あの広場みたい    耳をすませば見えてくる  目をみはれば聞こえてくる  少しずつ 少しずつ    歌が生まれ  人は踊り出し  物語がはじまる  あの広場がここに    昔 広場に一本の柱  ここに立てよう  目には見えない柱を    昔 広場に一本の柱  ここではじまったぷかぷか  いまここで ♪ 安見ちゃんが最後の「ここではじまったオペラを」のところを「ここではじまったぷかぷか」に変えてくれました。私のこの歌に込める思いをくみ取ってくれたのだと思います。  ぷかぷかは単なる福祉事業所の枠を超えて、みんなにとって、とても大切な場所になっています。ここに来ると、歌が生まれ、人は踊り出し、物語がはじまる、あの広場がここにあるのです。  さてその広場で今回もいろんな物語が生まれました。どんな物語が生まれたか、写真を見ながら想像してみて下さい。  『注文の多い料理店』は森にある大きなかしわの木からはじまります。 西洋料理店『山猫軒』にやってきた紳士のひげを作りました。 紙袋を使って動物のお面を作りました。 手につけるお面です。 紳士が西洋料理店『山猫軒』を見つけたシーンをやってみました。セノーさんがなかなかいい雰囲気を出しています。そこに立っているだけで、物語が生まれます。    ひげとお面を作るだけで、これだけの物語が生まれました。これが「ぷかぷか」です。  ここに来ると、歌が生まれ、人は踊り出し、物語がはじまる、あの広場がここにあるのです。
  • 全員のばらばらな祝祭感!
     9月17日(日)秋田県の大館で第三回演劇ワークショップ記録映画の上映会をやりました。そのときに来ていた方が、昔友人が「高崎明を呼ぶ会」を作っていた話をしてくれました。以下はそのお話です。 ●●●  大館で10年も続いている「ゼロダテアート展」。商店街で開催され、毎年多くのファンが空き店舗となった、かつて栄えた商店街に集まってくる。今年は会場を郊外の旧工場跡に移し、「ゼロダテ少年芸術学校」として開催された。  チラシに《ドキュメンタリ−映画「ぷかぷか」上映会》を発見し、映画ファンとしてはまず目を引いた。更にそこに発見した「高崎明」の名前。聞いたことのある名前だ。しばし考えて思い出した。  高崎明。ともに絵夢人倶楽部という映画サークルを運営していた親友、故湯沢照昭さんが語り続けて名前だ。「高崎明を呼ぶ会」を立ち上げよう、と。  湯沢さんはドキュメンタリー映画に特に関心があり、三里塚や水俣や山谷についてのドキュメンタリー映画を自主上映していた。その彼がどのような経緯で高崎明さんに強い関心を持ったかは失念したが、とにかく、その彼から刷り込まれた名前が高崎明だ。    9月17日、上映会場に向かった。獅子が森というところにあるその会場は30年前「ハチ公物語」の撮影が行われた場所だ。エキストラで訪れた当時とは景色が全く変わっている。大いなる月日の流れに感無量だった。  会場でゼロダテの松渕さんから高崎明さんを紹介された。そのお顔を拝見し、この方とはどこかでお会いしていると感じた。そう、かつて湯沢さんが自主上映した映画の中でお会いしているのだ、と納得した。  映画「ぷかぷか」が始まった。横浜のパン屋さんに集う人たちが作る芝居のドキュメンタリーだ。パン屋さんで働く障がいのある方とお客さん達が一緒に芝居を作る、そのプロセスが楽しく描かれる。これで本番が迎えられるのだろうかという心配を吹き飛ばすような全員のばらばらな祝祭感!それが僕らを圧倒する映画だ。  この楽しさ、ゆるさ、パラダイス感はなんだ?それをずっと考えながら映画を見終わった。そしてその答えを高崎さんと高島祐太さんのトークを聞いてよくわかった。障がいのある方達の中にある、私たちの忘れてしまった「人間が生来持っている幸福を求める力」とでもいったものが映画の中に満ち溢れるのだと思った。そして、それを私たちに伝えてくれているのが高崎明さんの長年にわたるぶれない生き方であることも…    家へ帰って、湯沢さんと高崎明さんのことを調べてみた。それは1988年の手帳に載っていた。「3月31日、中央公民館、高崎明、みんなでワークショップ」とある。  高崎明さんは30年前、大館を訪れていたのだ。私は高崎さんとすでにお会いしていたのだった。だからあんなにお顔をちゃんと憶えていたのだ。当日は公民館でワークショップを実施しただけなのか、映画「みんなでワークショップ」の上映もしたのか、手帳の記録だけではわからない。でも、高崎さんが30年前、大館に来られたのだけは判明した。  湯沢さんは「高崎明を呼ぶ会」を立ち上げただけではなく、ちゃんとご本人をお呼びしたということがやっとわかった。同じ頃、彼はチェルノブイリ原発事故に始まる反原発運動に精力的に取り組んでいたことも思い出した。彼を通して如何に多くの人と出会い、多くのテーマを学んできたかを、高崎さんに再会して、ゆくりなくも思い返している。 ●●●  湯沢照昭さんのことは、鮮明に覚えています。ふっくらした丸い笑顔が印象的でした。大学の友人が湯沢さんを紹介してくれ、一晩中語り合ったことを覚えています。ちょうど養護学校の生徒達と地域の人たちでワークショップをやり始めた頃で、障がいのある人たちとワークショップをやることの意味などを熱く語ったのだと思います。その2年後に『みんなでワークショップ』と題した記録映画が完成し、湯沢さんは「高崎明を呼ぶ会」を立ち上げ、上映会を企画したのだと思います。   その映画がこれです。 pukapuka-pan.hatenablog.com  湯沢さんは大館で映画の自主上映を通して、人が集まり、みんなが元気になる「広場」を作ろうとしていたのだと思います。だから障がいのある人たちを軸にしたワークショップで「広場」を作ろうとしていた私に激しく共感したのではないかと思います。「高崎明を呼ぶ会」は、その共感の表現ではなかったかと思うのです。   原稿を寄せて下さった越前さんもその「広場」の一員だったのだと思います。30年前の「高崎明を呼ぶ会」をはっきりと憶えているのですから。そしてその「広場」の熾火のようなものが、まだ越前さんの中でかすかに渦巻いていて、今回の演劇ワークショップ記録映画を見たとき、「全員のばらばらな祝祭感!」とか「この楽しさ、ゆるさ、パラダイス感はなんだ?」といったものを感じたのだと思います。映画の感想を書いた人で「祝祭感!」という言葉を使った人は初めてです。  湯沢さんは志半ばで亡くなりました。でも、彼の熱い思いは、今回この記録を書き起こしてくれた越前さんの中でしっかり生き続けているようでした。大館でまたワークショップの記録映画の上映会をやります!って言ってくれました。ひょっとしたらまた「高崎明を呼ぶ会」を立ち上げるのかも知れません。
  • 「広場」がここからはじまりました。
     ぷかぷかさん達といっしょにやってきたワークショップの場は、人々がみんな元気になり、新しい物語を生んだ「広場」だったのではないかと、オペラシアターこんにゃく座の「あの広場のうた」を聞きながら思いました。   ♪ いまはいつだろう  いつもの朝   ここはどこだろう   いつも場所    いまはいつだろう  いつもの夜  ここはどこだろう  いつもの場所    でもどこかちがう  ここはどこかに似ている    おとなもこどもも  犬も鳥たちも  虫たちも集まる   あの広場みたい    耳をすませば見えてくる  目をみはれば聞こえてくる  少しずつ 少しずつ    歌が生まれ  人は踊り出し  物語がはじまる  あの広場がここに    昔 広場に一本の柱  ここに立てよう  目には見えない柱を    昔 広場に一本の柱  ここではじまったオペラを  いまここで ♪      30年前、ぷかぷかさん達とワークショップやると絶対面白いものが生まれると、演劇集団黒テントの協力で始めたワークショップの記録映画が復活しました。   1986年10月〜1987年3月の6ヶ月の記録です。「広場」がここからはじまりました。あの時、広場に一本の柱を立てたのだと思います。彼らと一緒に生きていこう、という柱。  始めた当初は、やはりぷかぷかさん達を応援しようとか、そんな思いもどこかにあって、地域の人たちも集まってくれたのですが、2回3回と繰り返すうちに、ワークショップの場の中心にいるのはぷかぷかさん達であり、彼らが場を支え、私たちを支えてくれている、ということが見えてきたのです。そして彼らがいるからみんなが自由になれ、元気になれる、ということも見えてきました。何よりも彼らのおかげで、たくさんの楽しい物語が生まれました。  ここに来ると元気になれる「広場」、自分を取り戻すことができる「広場」が、ぷかぷかさん達のおかげでできたのです。その原点ともいえる貴重な映像です。    映像をまとめたのはドキュメンタリー映像作家の四宮鉄男さんです。短いコメントと映像だけで作られています。地域の大人達、子ども達、養護学校の生徒達による演劇ワークショップの記録、とあるだけで「障がいのある人」とか「障害者」という言葉はひとこともありません。そういう人たちとどうこうしようというメッセージもありません。淡々とした記録映画です。  四宮さんは私が養護学校の子ども達を連れて武蔵野の原っぱに通っていた頃から「あそぼう会」(私と地域の人たちで作った障がいのある人たちと一緒にあそぼうよ、という会)の活動に注目していて、いつか映像にしたいと思っていました。    1時間50分もの長い映像です。前半後半に分かれていて、後半の最後に発表会の映像が入っています。ここ3年やっているみどりアートパークホールでの立派な発表会ではなく、生活クラブの配送センター2階の会議室を借りた手作り感満載の、それでいて熱気ムンムンの発表会の映像が入っています。涙を流す人もいました。     ★カビだらけだったビデオを富士フイルムの技術で復活させた映像です。冒頭部分の映像が荒れていますが、あとは多少色が劣化している程度で、十分見られます。 ★ 6ヶ月にわたる記録映画の途中に、ワークショップで作ったお面をかぶって原発反対のデモをやったときの映像が挟まっていました。子ども達も一緒の、極めて平和的なデモなのに、警官がしっかりついていましたね。のどかな時代でした。のどかな時代の中で、それでも原発は危ない、といっていたことが、30年後、本当に大変な事故を起こしました。人間は、この30年、何をやっていたのかと思います。 ★「あの広場のうた」は表現の市場で歌います。   「みんなでワークショップ」第1部 www.youtube.com  「みんなでワークショップ」第2部  
  • ぷかぷかさん達と過ごす空間がとても柔らかくて心地が良かった
       土曜日のワークショップに参加された方の感想です。埼玉県からわざわざ見えた方で、感想がとても新鮮です。いつものように、ふつうにやったワークショップなのですが、こんなふうに受け止めてくれる人がいるって、うれしいですね。ぷかぷかさん達が作り出す空間、場の豊かさを思いました。  「ぷかぷかさん」は「障害者」ではありません。どこまでも「ぷかぷかさん」であり、「いっしょにいると、心ぷかぷか」になる人たちなのです。いっしょにいないともったいない人たちです。  カナダでは第三期演劇ワークショップの記録映画も上映してきます。1時間半も時間を取ってくれているので、思いっきり演劇ワークショップの話をしてこようと思います。カナダの人たちがどんなふうに受け止めてくれるのか、とても楽しみです。  演劇ワークショップに初めて参加させていただいて感じたこと。 まず、ぷかぷかさん達と過ごす空間がとても柔らかくて心地が良かったということ。 すぐに彼らのリズムに溶け込むことができたのはどうしてなんだろう? それはきっと。ぷかぷかさんが裸のままのまっすぐなエネルギーを放っているから。 そして、ひとりのひととしてお互いを大切にし合っている感じが伝わってきました。 ぷかぷかさん達のそばにいると自然と纏ったものを脱がされてしまう感覚があり、 うまく表現できないのですが、頭からの指令を介さずに体が勝手に動いてしまうようでした。 素のままの自然なエネルギーの交流を楽しめる喜びを感じましたし、 さりげなく起こっている共振がとっても心地良かったです。   昨日のワークショップを振り返りながら、そんなことをしみじみと感じています。   跳んだり、歌ったり、くっついたり、離れたり、手を叩いたり、足を鳴らしたり。   格好つけたりしようとしても、どうやったってその時の自分以上のものは表現できない。 というか、その瞬間に自然と生まれる感情や衝動をそのまま切り取る清々しさや楽しさを今回のワークショップで感じさせて頂きました。   丸裸の自分を写真や映像で見るのはちょっと恥ずかしくてかなり面白いです。   これから本番まで続くワークショップを心から楽しみにしています。   みんなのエネルギーを混ぜ合わせて。 何倍にもなったものをステージの向こうに届けられたら嬉しいですね!      
  • 第4期みんなでワークショップがはじまりました。
     第4期みんなでワークショップがはじまりました。月一回集まって、6ヶ月かけて芝居を作ります。できあがった芝居は来年1月21日(日)にみどりアートパークホールの舞台で発表します。  今期は宮澤賢治『注文の多い料理店』に挑戦します。もちろん原作を忠実に芝居にするのではなく、演劇ワークショップの中で作るので、どこまでも『注文の多い料理店・ぷかぷか版』になります。ぷかぷかさん達がいてこそできる、オリジナルな楽しい芝居ができあがります。  『注文の多い料理店』はセノーさんが養護学校高等部の2年の時に、私が担当で舞台を作りました。作品の登場人物は紳士二人だけ、それにねこの声が入るくらいです。学年に30人くらい生徒がいたので、全員が舞台に立つために、いろいろ工夫をしました。セノーさんはその中で、顔にクリームを塗る場面の紳士の役をやりました。もう10年くらい前のことですが、セノーさんはしっかり覚えていて、今回、『注文の多い料理店』をやることを聞いて、ワークショップにはじめて参加することになりました。さて、どうなりますか…  その初日。ネーム&アクションで自己紹介したあと、モンチさんと渡辺さんによるリズム遊びをやりました。  「パン パン パン パン ぷかぷかパン」 を歯切れのいいリズムで表現します。歯切れはいいのですが、ぴょんぴょん跳び上がりながらやるので、息が切れました。 www.youtube.com  お互いの似顔絵を描きました。紙を見ないで、ひたすら相手の顔を見ながら描きます。紙を見ないので、どういう絵が描けているのか全くわかりません。でも、意外と相手の特徴を捉えた絵が描けるのです。 あみちゃんが描いたコンノさんの似顔絵 タカサキの描いたヒロシさんの似顔絵 似顔絵を描いた相手にいろいろインタビューし、自己紹介ならぬ「他己紹介」をしました。 注文の多い料理店「山猫軒」を経営(?)する山猫を体で表現しました。  体で形を作ることを演劇ワークショップの中では「ギブ・ミー・シェイプ」といいます。一人でやることもあるのですが、こうやってみんなでやることで、表現について学ぶだけでなく、お互いのつながりを作ります。  今回は形を作っただけでしたが、これに動きをつけると、そこから簡単な芝居がはじまります。たとえば、この山猫のそばへ間抜けな人間がやってきました。山猫はどうするでしょう、実際に動きを作って下さい、と問題を出すと、そこから物語が生まれ、芝居がはじまります。  これが演劇ワークショップの面白いところです。これがみんなでお芝居を作る、という意味です。ここにぷかぷかさん達がいると、ふつうの人たちだけの演劇ワークショップよりもはるかにおもしろい芝居ができあがります。  今回も歌をたくさん歌いたいと、オペラシアターこんにゃく座のオペラ『注文の多い料理店』のDVDを見ました。オペラの前のソング集の中に「ボレロ」が入っていて、うまいなぁ、としみじみ思いました。こんにゃく座の歌のチカラみたいなものを感じました。  『注文の多い料理店』10年くらい前の舞台でしたが、原作の言葉をほぼそのまま使っていて、面白い作品でした。   二人のイギリスの兵隊のような格好をした紳士が鉄砲をかついで森の中をウロウロしているとき、ふと後ろを見ると立派な一軒の西洋造りの家がありました。  玄関には                   RESTAURANT                   西洋料理店      WILDCAT HOUSE                     山 猫 軒 という札がでていました。オペラの中ではこんな歌が歌われます。  この歌を歌い、西洋料理店「山猫軒」を体で作ってみました。  注文の多い料理店「山猫軒」で散々な目に遭った紳士は、恐怖のあまり顔が紙くずのようになります。   その顔をやってみました。 そしてオペラの中の歌です。 「東京に帰っても、お湯に入っても、もう元の通りには直りませんでした。」で物語は終わるのですが、こんな歌です。 www.youtube.com 今回の芝居の最後に宮澤賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」を歌おうかなと思っています。  今日初めて歌ったのでまだまだという感じですが、それでもみんなすぐに覚えたようでした。 www.youtube.com さて今期はどんな芝居に仕上がるのか、楽しみにしていて下さい。
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