第五期演劇ワークショップの6回目。
青い目のミツバチたちの踊りを作るためにプロのダンサー伊藤多恵さんに来てもらいました。
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ほらくま学校の「なんでもいいからいちばんになれ」の目標にみんな振り回されている社会にあって、青い目をしたミツバチたちは全くマイペースで日々を送っています。
赤い手の長い蜘蛛と、銀色のナメクジ、顔を洗ったことのない狸がそろってほらくま学校を卒業し、謝恩会などをやりながらも、腹の中ではお互い
「へん、あいつらに何ができるもんか、これから誰がいちばん大きくえらくなるか見てゐろ」
と思っていました。かたくりの花の咲く春です。
《ちゃうどそのときはかたくりの花の咲くころで、たくさんのたくさんの眼の碧い蜂の仲間が、日光のなかをぶんぶんぶんぶん飛び交ひながら、一つ一つの小さな桃いろの花に挨拶して蜜や香料を貰ったり、そのお礼に黄金いろをした円い花粉をほかの花のところへ運んでやったり、あるいは新らしい木の芽からいらなくなった蝋を集めて六角形の巣を築いたりもういそがしくにぎやかな春の入口になってゐました。》
赤い手の長い蜘蛛が、なんとか一番になろうとがんばってがんばって巣をどんどん広げ、えさをとりまくり、ため込みすぎたえさがどろどろに腐って、蜘蛛もいっしょに腐って地面に落ちてしまいます。つめくさの花の咲く夏です。
《ちゃうどそのときはつめくさの花のさくころで、あの眼の碧い蜂の群は野原ぢゅうをもうあちこちにちらばって一つ一つの小さなぼんぼりのやうな花から火でももらふやうにして蜜を集めて居りました。》
銀色のナメクジは、やってきたかたつむりをとトカゲを相撲で投げ飛ばしたり、うまいこといって食べてしまいます。ぐんぐん大きくなって、カエルが来たときも相撲で投げ飛ばすのですが、塩をまかれ、溶けてしまいます。蕎麦の花が咲く秋でした。
《さうさうこのときは丁度秋に蒔いた蕎麦の花がいちめん白く咲き出したときであの眼の碧いすがるの群はその四っ角な畑いっぱいうすあかい幹の間をくぐったり花のついたちひさな枝をぶらんこのやうにゆすぶったりしながら今年の終りの蜜をせっせと集めて居りました。》
顔を洗ったことのない狸は「山猫大明神様の思し召しじゃ」とか、うまいこといってウサギとオオカミを食べてしまいます。オオカミが持ってきたもみの袋も食べてしまい、そのもみがおなかの中でどんどん育ち、おなかが破裂します。冬の始まりの頃でした。
《このときはもう冬のはじまりであの眼の碧い蜂の群はもうみんなめいめいの蝋でこさへた六角形の巣にはひって次の春の夢を見ながらしづかに睡って居りました。》
この、春、夏、秋、冬の場面のミツバチたちの踊りを考えました。
伊藤さんは季節ごとのちょっとしたエピソードを拾い上げ、一人一人から表現を引き出していきます。
たとえば春の場面で
《日光のなかをぶんぶんぶんぶん飛び交ひながら…》の「ぶんぶん」はどうする?
《一つ一つの小さな桃いろの花に挨拶して蜜や香料を貰ったり》の「もらったり」波動する?
と、みんなに聞き、アクションで返してもらいます。そのアクションを今度はみんなでやります。そういったことを繰り返しながら、その場面での振り付けをどんどん作っていきます。わずか2時間足らずで春、夏、秋、冬の場面の振り付けを作ってしまいました。
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この振り付けにチェロとピアノが入ります。チェロは日本フィルハーモニーの江原さん、ピアノはオペラシアターこんにゃく座の湯田さんです。春、夏、秋、冬を同じ楽譜でイメージを変えて即興で演奏してくれました。
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花岡さんの感想です。
久々にダンスなるものをやりました。
講師の振り付けをひたすら覚えるダンスしか経験なかったので、
ブンブンはどうする?
もらうはどうする?
あげるはどうする?
とみんなで考えた振りをつなげてダンスにしてしまう流れがとっても楽しかったです。
面白い振りを考えるのには、結構自信がありましたが、
二見さんの振り付けが、もう天才的に面白く、どう頑張っても、逆立ちしてもマネできないレベルでとっても悔しかったです笑
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金沢から参加した菊池さんは
ダンスつくるプロセス。あんなに自由にそれぞれの内から出てくる動きをつなぎ合わせて。 個人から出た動きをみんなの動きに変化させるマジックみたいでした。
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今回初参加のMiyanoさんは
ダンス、とにかく楽しかったです。もともとダンスには苦手なのですが、ひたすら楽しくできました。うまくやらなきゃ、とかいいとこ見せなきゃ、という気持ちを持たずにできたからかと思います。それもやはり、ミツバチチームボルトさん、いくちゃん、さらにななちゃんのおかげです。全力で取り組んでいたので、私もただ全力で楽しむことができたんだと思います。朝、ゆみっちさんに会ったとき、ずっとやってたいくらい楽しいよと言われたのですが、本当にそうでした。 他のチームも、1人ひとりの存在がすごい・・。 改めて、表現するってどうゆうことか、考えてしまいました。 あまりに楽しかったので、来週のワークショップも参加できるように調整しております。
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蜘蛛の場面はデフパペットシアターひとみの人たちとの影絵とのコラボになります。
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子どもの蜘蛛たち
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怪しい山猫大明神のお祓いの練習
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ダンスの打ち合わせ
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ちょっと休憩
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音楽ディレクター藤木さんと
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金沢から参加した菊池さんの感想です。
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今回で2回目の参加でしたが、 練習回数が残り少ないをわかっていたので、ちょっとした焦りも漂う雰囲気を感じていました。 自分らしさというか、お茶目さなのか。それぞれなぷかぷかさん達をみていて、本番を経験したことのない私は、正直 「このままでいいの?!」 というきもち… それでも、ワークショップが終わる頃には失敗とか成功ではなくて、今、この場に様々な人がいることが、まず素晴らしいことなんだ。 と思いました。 ずっと近くにいて、お昼ゴハンも一緒に食べようと誘ってくれたぷかぷかさんと関わる中で、ぷかぷかさん達だけじゃなく、参加しているみんなや観てくれる人でつくるのが 「表現の市場」なのかもしれない。 “私たちが共に在るという表現” それは、ぷかぷかさん達と一緒じゃないと完成しないよなぁ。 と思います。 …そうだとしても、何十人という多様な人を一緒にステージに立たせようとする高崎さんたちのパワーを感じずにはいられませんでした。
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26日にもう一回ワークショップをやり、27日午前中舞台でリハーサル、午後本番です。ほんまにうまくできるんか、とはらはらしながら先へ進めるこの時期が一番楽しいです。
27日「表現の市場」で発表します。
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