ぷかぷか日記

ライ麦の味は。

今日、高崎さんと話をしていたら、パンの話になりました。

そんな中で、高崎さんから

「ぷかぷかのハードのパンは何もつけなくても美味しいんだよ」

という言葉を聞きました。

ハード系のパンと言えば、熊本天草の河野さんの甘夏ピールがたっぷり入ったものや、ぶどうとくるみが入ったパンなどはそのまま食べたりもするのですが、何もはいっていないものは普段はジャムやパテなどをつけるか、トーストしてバターを塗ってから食べていました。

高崎さんはこうも言いました。

「そのまま食べると小麦の味がするんだよ。美味しいんだよ。」

ずっと、自分で生地をこね、パン作りをしている高崎さん。

ほんもののパンの味を知っている人です。

そういえば、毎日食べているぷかぷかの食パンも、そのまま食べたら本当に美味しい。

美味しい、という言葉だけではなく、きめ細やかにお伝えをするにはどうしたら良いのかと思うのですが、ぷかぷかの食パンを食べた時に感じるのはつながっている感じ、というのでしょうか。1枚のパンを手で割ったときから伸びが良く、口に含んでもパラパラというのではなくどこまでもつながる感じがするのです。そしてその味わいはお塩しかいれていないのに深い甘さを感じるのです。

ハード系のパンの本当の味を知らなくては!と、思い、早速、上野さんのライ麦を使ったライ麦パンを購入。食べて見ました。

濃厚で強い香りが口の中で広がっていきます。食パンとは違うまさに濃くつまった感じ。これが高崎さんがいう小麦の味なんだなあ、と思いながら一口一口噛み締めました。

食べ物は、食べるだけではつまらない。しっかりと噛んで味わう。そのものの味を知る。するとその食べ物の出どころ、どこで作られたものなのか、どんな方がどんな思いで作っているのか。そんなことにまで思いが至る。

なんだかかっこいいな。

そんなことを考えながらライ麦パンを食べ、栃木の上野さんの笑顔を思い出したのでした。

 

 

 

 

「ぷかぷか」の日々の積み重ねから豊かな社会が見えてくる。

 アマゾンで『ぷかぷかな物語』の予約受付が始まっていて、ちょっとびっくり。

 内容説明は編集者の小林律子さんが書かれたものです。小林さんは長年障害者問題に関わってこられた方で、現在川崎市で普通学級で学びたいと裁判を起こした重い障害を持った和希くんを応援して、裁判の様子をいろいろとこまめに伝えてくれています。

 

 そんな小林さんの書かれた内容説明は、短い文章で『ぷかぷかな物語』をとてもうまく表現してくれています。

 ●●●

「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がトク」というメッセージを様々な形で発信し、障がいのある人もない人も、お互いが暮らしやすい地域を作る。そんなNPO法人「ぷかぷか」の日々の積み重ねから豊かな社会が見えてくる。

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 本の原稿は、最初、別の出版社に持ち込んでいました。でも、あーだこーだとクレームばかりつけていっこうに話が進みませんでした。ほとほと困っていたところで、『そよ風のように街に出よう』の編集者が現代書館の小林さんを紹介してくれ、原稿を読んだ上で

 「本にしましょう」

といっていただきました。

 長年障害者問題に関わってこられた小林さんの目で「ぷかぷか」の日々の積み重ねを書いた原稿に、これは本にしなければ、と思うものがあったのだと思います。

 障害者問題は、どこへ行ってもしんどい話が多いです。そういうしんどい話を全部背負い込みながら小林さんはやってきた方です。小林さんから送られてくるメールは結構重くて堅い話が多く、ぷかぷかの「ぷかぷかした話」が伝わるかどうか、最初はちょっと心配していました。でも、言葉は堅くても、本質を見抜くやわらかい視点があったのだと思います。「ぷかぷかした話」ながらも、今までにない新しい発想で展開する物語がとても新鮮であり、そこに豊かなものを見つけたのだと思います。

 

 小林さんはこの3月末で定年退職を迎えられました。在職中『季刊福祉労働』28号~162号、単行本200タイトル以上を世に出し、『季刊福祉労働』や単行本の編集を通じて障害者運動に伴走してきたそうで、とにかくすごい方でした。そして最後に『ぷかぷかな物語』を出したことになります。

  《「ぷかぷか」の日々の積み重ねから豊かな社会が見えてくる。》

という言葉には、最後となった本の編集に注ぎ込んだ小林さんの福祉への思いを見る気がしました。

 

 ★アマゾンに対抗するわけではありませんが、ぷかぷかでも『ぷかぷかな物語』販売します。お知らせをご覧ください。
www.pukapuka.or.jp

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『ぷかぷかな物語』がいよいよ出版

 ぷかぷかは就労支援の事業所です。でも、ぷかぷかの活動は、単なる就労支援ではなく、今までにない新しい物語を作ってきたと思っています。障がいのある人も、ない人も、みんなが未来に向かって希望が持てるような物語です。「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージが作り出した物語です。

 その物語をまとめた『ぷかぷかな物語』がいよいよ出版されます。店頭に並ぶのは18日頃です。アマゾンその他ネット書店でも手に入ります。

 ぷかぷかには11日に送ってくる予定なので、12日からパン屋、わんどで販売の予定です。(11日にFacebookでお知らせします)

 表紙、裏表紙の絵はタカノブさん、題字はコンちゃん、バックの絵はぷかぷかさんたちです。

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『ぷかぷかな物語』がいよいよ出版

 ぷかぷかは就労支援の事業所です。でも、ぷかぷかの活動は、単なる就労支援ではなく、今までにない新しい物語を作ってきたと思っています。障がいのある人も、ない人も、みんなが未来に向かって希望が持てるような物語です。「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージが作り出した物語です。

 その物語をまとめた『ぷかぷかな物語』がいよいよ出版されます。店頭に並ぶのは18日頃です。アマゾンその他ネット書店でも手に入ります。

 ぷかぷかには11日に送ってくる予定なので、12日からパン屋、わんどで販売の予定です。(11日にFacebookでお知らせします)

 表紙、裏表紙の絵はタカノブさん、題字はコンちゃん、バックの絵はぷかぷかさんたちです。

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僕はぷかぷかさんにあそんでもらっているんですよ

 大ちゃんが江原さんと一緒に日本フィルハーモニーの舞台に立ったときのことを書いたブログをfujikiさんがシェアしていて、そこに書いてあった言葉がすごくいいと思いました。

 

 僕はぷかぷかさんにあそんでもらっているので江原さんと知り合うことが出来ました。2人が音楽するときは2人の関係自体が音楽になっちゃうかんじ。

 

 「僕はぷかぷかさんにあそんでもらっている」といういい方がすごくいいですね。障がいのある人に対しては「何かやってあげる」とか「支援する」という上から目線の関係がほとんどで、そこには相手とのおつきあいを楽しむ、といったことが欠けています。こういった関係に対して「あそんでもらっている」という言葉で表現される関係はどこまでもフラットで、なによりもぷかぷかさんとの関係を楽しめます。

 というのも、私自身「毎日ぷかぷかさんにあそんでもらっている」感じがすごくするからです。

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 こんな感じでセノーさんに毎日のようにあそんでもらっているのですが、すごく幸せを感じる時です。こういう至福の時があるから毎日ぷかぷかに行く、と言っていいくらいです。

 セノーさんにとっては「こいつとあそんでると、ほんとおもしれーな」になるのだと思います。だからセノーさんにとっても楽しい時間です。セノーさんの顔見てください。

お互いが

「楽しいな」

って思える時間を共有できること、それがいっしょに生きることだと思います。

 そんな風に考えると、いっしょに生きる、という感覚は、養護学校の教員になった頃からありました。

 

 養護学校の教員になって最初に受け持った重度障害のサトくんには、毎日のようにあそんでもらっていました。

 サトくんはおしゃべりはできません。でも、何やっても大きな口を開けて「ゲハハ、ガハハ」と豪快に笑う子どもでした。新米の私の下手くそな授業も、何をしゃべっても

 「ああ、おもしれぇ、おもしれぇ、いいよいいよ、その調子、よくできました!」

とばかりに

「ゲハハ、ガハハ」

と手をたたきながら笑うのでした。

「そうか、おもしれぇか」

と、笑い声聞きながら、楽しい気分で授業ができたのでした。

 サトくんにとっても、私にとっても、本当に楽しい時間でした。いっしょに生きることの楽しさを教えてくれたのは、このサトくんだったように思います。重度の障害を抱えたサトくんが、人生のとても大事なことを教えてくれたのです。

 

 サトくんはいつも立派なうんこをしました。立派すぎて流れないこともありました。

 箱根に修学旅行に行ったとき、芦ノ湖を横断する船のトイレに詰まってしまい、狭いトイレの中で悪戦苦闘しました。サトくんは、その悪戦苦闘する姿がおかしかったのか、私のそばでひたすら

「ゲハハ、ガハハ」

と笑い転げていました。汗びっしょりになりながら、こんな時はもう一緒に笑うしかありません。ようやくうんこを流した頃には船の旅は終わってしまい、せっかくの風景はほとんど見ずじまいでした。それでも、未だに覚えているくらいいい旅だったのです。

 

 サトくんにはこんなふうにして。毎日あそんでもらいました。あそんでもらいながら、彼といる時間がなんとも言えない幸せな時間になりました。

 もし私がサトくんにいろいろ「指導」していたら、彼と一緒にいても幸せなんて感じなかったと思います。もちろんサトくんも。

 一緒にいて幸せを感じる関係って、人とおつきあいする上ですごく大事なことだと思います。

 

 fujikiさんは、ぷかぷかさんといるとき、あそんでもらいながら、幸せを感じているのだと思います。

もっと広がりのある世界、 人がもっと自由になれる世界、 多様な価値が生まれる世界、それを伝えたくて。

 新しいホームページ、公開しました。

 以前のホームページに比べ、ぷかぷかが何をやっているかがとてもわかりやすくなったと思います。

 トップページに鯨の絵があります。どうして鯨の絵なのか。ホームページをデザインした田中さんはこんなふうに書いています。

 

・目指すべき世界、というかそもそも世界はこんなふう

・多様・グラデーション・ごちゃまぜ

・意味があるものと意味がわからないものの同居

 

 田中さんはママボノから引き継いでぷかぷかに関わるようになったのですが、ぷかぷか日記を読んで、「なんとしてもやりたい」と思ったそうです。思いがいっぱいあるのに、それを伝えきっていないことが、前のホームページを見るとすぐにわかったのだと思います。これはもったいない、と。

 この「なんとしてもやりたい」という思いが、とてもうれしいです。もちろんウェッブデザイナーの仕事としてやるのですが、そういったものを超えるような思いがある、と何度もおっしゃっていました。

 田中さんは福祉の人ではありません。でも、こんなにも思いを込めてぷかぷかのホームページを作ってくれました。それはなんだったのだろうと思います。田中さんの心を動かしたものです。

 トップページの鯨の絵を見ていると、田中さんの気持ちが少しだけわかる気がするのです。

 鯨の絵はぷかぷかさんと地域の子ども、大人たちがごちゃ混ぜになって作ったものです。

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 これはもうよくある福祉の世界ではありません。

 

 もっと広がりのある世界です。

 人がもっと自由になれる世界です。

 多様な価値が生まれる世界です。

 

 そこを田中さんは見抜いたのだと思います。それをホームページから伝えたいと思ったのだと思います。

 

  

新しいホームページ、アップします

 ぷかぷかの活動の幅がぐんぐん広がって、今までのホームページでは、その活動の内容をうまく伝えられなくなっていました。

 今のホームページは高崎がぷかぷかを作りながら、とにかく情報を詰め込んでいった、という感じで作ったので、情報がうまく整理できていません。情報のてんこ盛り状態です。

 てんこ盛り状態のところへ、更に新しい情報がどんどんたまって、はじめてホームページを訪れた人にとっては、何をやっているところなのかよくわからなかったのではないかと思います。3年ほど前、サービスグラントのママボノさんに情報の整理をお願いし、かなり整理はできたのですが、新しいホームページの構築、というところまでは行きませんでした。

 今回はウェッブデザイナーの田中さん、考藤さんのアドバイスを受けながら、てんこ盛り状態の情報を整理し、お二人にすばらしく見やすいホームページを作っていただきました。

 パンで検索しても、お惣菜や焼き菓子、アートで検索しても、ぷかぷか全体で何をしているかがすっきり整理されて見えます。

 

 新しいホームページは3月31日、お昼にアップします。

 URLは

 https://www.pukapuka.or.jp/

 

 まだまだ建設途中です。

 新しいことも始まります。

 ぷかぷかがこれからどんな風に発展していくのか、楽しみにしていてください。

 

 今朝の朝日新聞読書欄で『まともがゆれる』という本の書評に

 

《 いまの社会では障害者はまさに障害を背負った弱者である。だけど、私たちを疲れさせ、重たくしているのは、彼らを「障害者」としてネガティブに位置づける社会の規範と価値観なのだ。だとすれば、まず私たちが変わるために、彼らをネガティブに見ることをやめなければいけない。彼らのためにではなく、私自身のために。》

 

という言葉がありましたが、まさにぷかぷかが今まで発信してきたことです。

 彼らをネガティブに見ることをやめた時、何が生まれるのかも、ぷかぷかはすでに発信してきました。

 

 ぷかぷかはですから、ぷかぷかさんと一緒に新しい歴史を作っているのだと思います。

 

だから人はまた、人に近づいていく

『道草』という映画の解説がすばらしいです。

 

 

  はみ出していく

  よし、はみ出していこう

 

 暮らしの場所を限られた人たちがいる。

 自閉症と重度の知的障害があり、自傷・他害といった行動障害がある人。

 世間との間に線を引かれ、囲いの内へと隔てられた、そんな世界の

 閉塞を、軽やかなステップが突き破る。

 東京の街角で、介護者付きの一人暮らしを送る人たち。

 タンポポの綿毛を飛ばし、ブランコに揺られ、季節を闊歩する。

 介護者とのせめぎ合いはユーモラスで、時にシリアスだ。

 叫び、振り下ろされる拳に伝え難い思いがにじむ。

 関わることはしんどい。けど、関わらなくなることで、私たちは縮む。

 だから人はまた、人に近づいていく。

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www.jackandbetty.net

 

michikusa-movie.com

 

 障害が重い人が相手の場合は、そのおつきあいはいろいろ大変です。しんどいです。でもそのしんどさこそが、人間を磨き、人として、そこに立たせるのだと思います。

 障害に関する知識は、こんな時、ほとんど役に立ちません。素手で、裸で彼らの前に立つのです。殴られても、蹴られても、無防備のまま、彼らの前に立つ。立ち続ける。

 昔、そんな風にして私は生徒の前に立っていました。

笑顔は魔物だったのかも

なんの理屈もありません。人はそうやって、重い障がいのある人の前に立つのだと思います。立つことで人になることができた。そんな風に、今、思います。

 

すさまじい格闘の日々であっても、その、ちょっとした隙間に、相手との人としての出会いがあります。ちょっと目が合ってしまったり、思わず笑ってしまったり、手を握ってしまったり…。その出会いが、相手との関係を支えてくれます。

映画「道草」の予告編を見ても、そういうものを感じます。

 

相模原障害者殺傷事件の犯人は、そんな風に重い障害を持った人の前に立っていたのか、という疑問。いや、犯人は、というより、津久井やまゆり園という施設が、そういう姿勢だったか、ということです。

 

映画は重い障がいのある人とおつきあいすることの深い意味を私たちに問いかけているようです。

彼らとおつきあいすることで、人はまた、人に近づいていく、と。 

若い感覚で見つけたぷかぷかを語ってもらいます

 8月3日(土)みどりアートパークホールでぷかぷかの映画の上映会をおこないます。上映するのは『ぷかぷかさんカナダをゆく』(50分)、『Secret of Pukapuka』(27分)、『第5期演劇ワークショップの記録』(60分)、『ぷかぷかすごろくワークショップ』(17分)、『ぷかぷかさんのいる町』(9分)、のなんと5本立て!

 全部いっぺんに見るとすごく長くて疲れるので、『ぷかぷかさんカナダをゆく』と『Secret of Pukapuka』は午前10時から、あとの映画は午後1時半からにします。

 

 『ぷかぷかさんカナダをゆく』は一昨年カナダのバンクーバーで開かれた世界自閉症フェスティバルに参加したとき記録映画ですが、まさにぷかぷかさんのカナダ珍道中。ドキドキわくわくハラハラと次々にいろんなことが起こります。最後のとどめは、ちょっと怪しい雰囲気の夜のダウンタウンで、なんとぷかぷかさんが行方不明!あのときはほんまに青くなりました。

 世界自閉症フェスティバルはドレスコードが決められている、ということだったので、パリッとした服で緊張して乗り込んだのですが、実際にいってみたら運営がすごくずさんで、予定通りに物事が進まず、戸惑うことばかりでした。そんな中でもぷかぷかさんたちはいつものマイペースで、本当に救われました。 

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 映画のエンディングは「おとなりさん」の作ってくれたぷかぷかの歌をぷかぷかさんたちみんなで歌います。ぷかぷかのお店の前で歌いました。カメラマン3人、音楽プロデューサーなど7名もの撮影隊がやってきて収録しました。

 みんなが歌っている場面は、ぷかぷかさんがいることの幸せ感がわ〜っと怒濤のように襲ってきて、試写会の時はもう涙ぼろぼろでした。あれはやはり映像のチカラですね。カナダの珍道中と、最後のぷかぷかさんたちの歌の映像が妙にマッチして、心を揺さぶったのです。何で?と思う方は、ぜひ見に来て下さい。

 

 カナダで上映した『Secret of Pukapuka』は、その後スロベニアでも上映しました。このときは大評判でDVDがほしいという人がたくさんいたそうです。そのときの様子をスロベニアまで出かけた辻さんに語ってもらいます。ぷかぷかのメッセージが世界にどう受け止められたか、が少し見えてくると思います。

 ゲストとして『ぷかぷかさんカナダをゆく』『Secret of Pukapuka』を編集した信田さん、『Secret of Pukapuka』をスロベニアで上映した辻さんを予定しています。カナダに行ったぷかぷかさんたちにも壇上に上がってもらいます。

 

 

  午後の上映会のテーマは「相模原障害者殺傷事件を超える社会を作るー若い目線で見つけたぷかぷか」です。事件から3年たちましたが、どんどん忘れられていく一方で、障がいのある人たちの置かれている社会的な状況はそれほど変わったとは思えません。

 つい最近もぷかぷかさんが電車の中でとてもいやな思いをしています。

●●

大学生くらいの人でしょうか、成人男性5名が車内で

「おい、アレ障がい者じゃね?眼鏡の、眼鏡の」

と少し大きな声で言ってるのがわかりました。

その時は、自分のことではないのだろうと思い無視を最初にしていたのですが

他に眼鏡の人、障がい者の方は見渡してもおらず

私は「もしかして、私のことを言ってるんだろうか」と少し戸惑いました。

もちろんあまり反応しても相手の図に乗るだけなのでひたすら無視をしました。

でも、その人たちが次に発した

「アイツ、足悪いの?なんで優先席(爆笑)」

「障害手帳持ってんのかな?障害手帳持ってれば席座れんのマジウケるー笑」

というのを車内でゲラゲラと話してました。

●●

 当事者の前で、こんなことを言う感覚を疑ってしまいますが、それを誰も止めなかった、という現実も、とても悲しいです。

 

 あれだけの事件が起きながら、結局社会は何も変わってないじゃないか。そんな風に思ったりもします。

 そんな中でぷかぷかは「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」「その方がトク!」と言い続け、「トク!」と思えるような関係を、事件のはるか前からたくさん作ってきました。

 

 最近うれしく思うのは近くの大学の授業に呼ばれたこともあって学生さんとのおつきあいが増えたことです。学生さんはぷかぷかさんたちと出会い、自分の人生を振り返るほどの感想を書いたりしました。ぷかぷかさんと一緒にワークショップをやり

 「こんなふうに自由に生きてていいんだ」

という気づきは、自分の生き方をも問い直す気づきです。自分の人生が小さく縮こまっていたことに気がついたのだと思います。

 ぷかぷかさんと楽しい時間を一緒に過ごした学生さんたち。みんなの顔が本当に楽しそうです。一緒にいるとこんなにもいい時間を共有できるのだと思います。

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pukapuka-pan.hatenablog.com

 

 今年の上映会はこんな学生さんたちに何人か壇上に上がってもらって、若い感覚で見つけたぷかぷかを語ってもらおうと思っています。ここで語られる言葉こそ、事件を超える社会を作っていくのだと思います。スペシャルゲストとして神奈川新聞の論説記事「時代の正体」で相模原障害者殺傷事件を何度も書いてきた成田洋樹記者に来ていただく予定ですが、成田さんには若い学生さんの言葉がどんな風に事件を超えていくのか、といったあたりを語ってもらう予定でいます。 

 いずれにしても若い人たちがぷかぷかさんと出会い、そこから新しいものが生まれ始めているというのは、大きな希望だと思います。

 

 8月3日(土)、まだ先の話ですが、今から予定空けて置いて下さい。

 そうそう、上映会のあと「ぷかぷかさんとの握手会」もやります。相模原障害者殺傷事件を語る集まりでは、こういう握手会こそ大事と思っています。

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

一人の演奏者としてちゃんとギャラを払って

 日本フィルハーモニーの「みる、きく、さわる オーケストラ!」に出演した大ちゃんと江原さんのコラボを見に行きました。

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 地下の小ホールでの演奏で、日本フィルメンバーによるソロコンサートの中で江原さんとコラボ演奏しました。持ち時間が10分と限られていたこともあって、大ちゃんの紹介は特になく、ひたすら演奏をしていました。江原さんにとっては大ちゃんはもう障害者ではなく、紹介する必要もない大切なパートナーなんだと思います。お客さんはダウン症の青年が演奏しているのを見るというのではなく、ただただ一人の青年がすばらしい太鼓の演奏をしている、という感じで見たのだと思います。それくらい大ちゃんの演奏はすばらしいものでした。ちゃんとギャラももらっていました。日本フィルもえらいですね。一人の演奏者としてちゃんとギャラを払っているのですから。こんなふうに相手に敬意を払うようなふつうのおつきあいが広がっていくといいなと思いました。

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