ぷかぷか日記

周りにたくさんいる子どもたちと、ふつうにつきあう。たったそれだけのことなのに

「あの空気感はどうして生まれたんですか?」と題したブログをシェアした人が

 

《 そんな空気感に少しでも近づけるといいな、と特別支援学校にいてますます思う今日この頃 》

 

と書いていました。この方は福岡で私の話を聞いた特別支援学校の先生です。

 ぷかぷかさんがたくさんいるのに、あの空気感が生まれないなんて、すごくもったいない話だと思いました。

 どうして生まれないのか。それは学校というところが、何するにしても「指導」「指導」の上から目線のつきあいだからだと思います。私は教員を30年やりながら、この「指導」というものについになじめませんでした。

 

 重度障害の子どもたちに出会ってから、なんか自分の方がえらいとか思えなくなりました。そんな風に彼らと比較して思うこと自体が、おかしいというか、ばかばかしくなったのです。この人たちのそばにずっといたいと思うような気持ちで彼らを見ていたので、そんな彼らを「指導」するなんて、全く思えなかったのです。

 もちろんいろいろ教えたりはしました。でもそれを「指導」という上から目線の言葉で表現することには引っかかりがありました。だって、相手が知らないから、あるいはできないから教えているだけで、そういう当たり前のことはふつう、「指導」とはいいません。ただ黙々と服の着方を教えたり、うんこの拭き方を教えるだけなのです。こちらがえらいわけでも何でもありません。うんこの拭き方教えたくらいでえらそうにするな、というわけです。

 自分の方がえらいと思わなければ、相手との関係は自然にフラットなものになります。そうするとお互い居心地がいいのです。居心地のいい空気感はここから生まれたのだと思います。

 

《 そんな空気感に少しでも近づけるといいな、と特別支援学校にいてますます思う今日この頃 》

 「ますます思う」ほどに、困難な状況なんだと思います。

 周りにたくさんいる子どもたちと、ふつうにつきあう。たったそれだけのことなのに、と思います。

 

 ふつうにつきあうと、こんな楽しいことができちゃうのです。

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こんなの、やらなきゃソン!です。 昔、私が教員をやってた頃の「芝居小屋」。サングラスかけた怪しい男が私です。 

 

 

 

 

 

あの空気感はどうして生まれたんですか?

 4月6日(土)に茅野で「LIght Up Blueちの」の「ドキュメンタリー映画上映&トークセッション」に参加します。

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実行委員長の山室さんがFacebookにこんなふうに書かれています。

●●

ぷかぷかさんにお訪ねした時に感じた ”素のままの心地よさ“ が伝わる時間になればいいなと思います。

 

ありのままの自分にかえる時間
ありのままの姿を見留める時間
見えているのに、見ようとしなかった姿に気づけるかも。
いろいろな個性が集まって、その凸凹が繋がったとき、きっとすてきなカタチの ”まぜこぜ“ の社会への入口が見えてくる… (かも♪)

●●

 その居心地のいい場所をどうやって伝えるかが、とてもむつかしいなと思っています。

 ぷかぷかに来れば、この居心地のいい空気感はすぐにわかるのですが、言葉でそれを伝えるのは至難の業。

 「あの空気感はどうして生まれたんですか?」

とあちこちで聞かれるのですが、どう語ってもうまく伝わったとは思えないのです。

 

 どうして生まれたかみたいなことは、時々ブログで書いたりしていますが、ま、これも私が勝手に思っているだけで、本当にそうなのかはよくわからないのです。もう、ぷかぷかさんに聞くしかないんだと思います。

 基本的に彼らはそういう雰囲気を持っていて(みんなが居心地がよくなるような雰囲気です)、それが発揮できるかどうかなんだと思います。

 

 養護学校の教員になって最初に受け持った子どもたちは重度の知的障がいの子どもたちでした。着替えができない、トイレの始末ができない…とできないことだらけでした。それでも、彼らのそばにいると、すっごく楽しくて、ほっこりあたたかい気持ちに満たされて、妙に居心地がよかったのです。ずっとそばにいたいな、と思いました。そんな風に思える人と、養護学校に来て初めて出会ったのです。それまでいた社会にはそういう人がいなかったということです。社会の方が劣化しているのだと思います。

 あれができないこれができないと一番言われていた重度障害の子どもたちに、人間のよさ、というのか、人間の一番大事なところを教わった気がしています。

 ぷかぷかの居心地の良さは、このときの体験が出発点になっていると思います。

 

 居心地のいい場所をどうやって作るかは、彼らの持っているそういう雰囲気が存分に発揮できるかどうか、ということだと思います。支援するとか管理する関係ではなく、どこまでもフラットな関係をどこまで築けるか、です。

 

 

 

 

そういうエネルギーと魅力を発信しなきゃ

 昨日ヨコハマアートサイトの2018年度の事業報告会「アートの取り組みから地域文化を考える」がありました。

 27もの団体が集まり、1グループわずか3分でしたが、全部終わるのに3時間もかかる、長丁場の報告会でした。

 ぷかぷかは若手のホープ近藤が報告しました。若い新鮮な言葉で報告してほしい、と報告会の直前に無茶振りしました。引き受けてくれた近藤さんに感謝、です。

「金沢文庫芸術祭」「心に響く打楽器作っちゃおう」「横浜下町パラダイスまつり+よこはま若葉町多文化映画祭」「手作り紙芝居コンクール」「石川町ストリートアートプロジェクト」「大岡側アートプロジェクト光のぷろむなぁど」「カドベヤ・オープンDAYーつどおう・かたろう・つながろう」「アーモンド凸凹コミュニティアート・プロジェクト」「会社丸ごとギャラリー」「藤棚シネマ商店街」等々、アートを使った多彩な事業が報告されました。

 中でもおもしろかったのはモン族の衣装を着た家族が登場した「横浜下町パラダイスまつり+よこはま若葉町多文化映画祭」。チラシを見ただけでわくわくします。

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 チラシの右の方に写っている家族がモン族の人たちです。衣装がすばらしかったです。あんまりすばらしかったので少しいろいろお聞きしました。

 恥ずかしい話、モン族ってどこの国の人かよくわかりませんでした。聞いてみたらラオス、ベトナム、カンボジアの国境の山岳地帯に住む人たちなんだそうですね。ベトナム戦争当時アメリカ軍に味方したため、戦後北ベトナム政府の弾圧を受け、アメリカに逃げた人が多く、昨日英語であいさつしたお父さんもアメリカにいて日本人の女性と知り合い、今、横浜下町パラダイスをやっているようでした。

 世界の歴史が深く関わっているというところがすごくおもしろいと思いました。昨日は英語のあいさつだったので、私はほとんどわからなかったのですが、過酷な人生を生きてきた人だったのだと思います。今年はぜひ下町パラダイスに行ってお父さんの話をじっくり聞きたいと思いました。ま、英語なので、じっくり聞くという風になるのかどうかわかりませんが、ま、行けばなんとかなるのでしょう。

 いやそれ以前にこのグループがヨコハマアートサイトの審査に通るかどうかがとても大事なのですが、審査に通っても通らなくてもこのグループはまた今年やるのだと思います。そういう力強いエネルギーと魅力を感じました。「多文化」というものが生きてる気がしました。

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 ぷかぷかもそういうエネルギーと魅力を発信しなきゃ、と思いました。

 よーし、やるぞ!!

社会をもう少しのどかな、あたたかいものに

 『pukapukaな時間』Vol.2ができました。

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 『PukaPukaな時間』は、ぷかぷかさんがいることで生まれるほっこりあたたかな、豊かな時間です。

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 この写真から感じる幸せ感こそ大事にしたいと思うのです。赤ちゃんも安心してテラちゃんにもたれかかっています。赤ちゃんが感じた「安心感」は、どこから来るのかな、と思います。

 

 近所の子どもが何か聞きに来たようです。リエさんがのんびり対応しています。

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 なんとものどかな時間が流れています。幸せを感じます。

 

 訓練、指導、支援しないと社会に適合できない、といわれることの多い彼ら。そのままではだめだ、というわけです。

 その圧力は当事者の方、保護者の方たちに大変なプレッシャーになっています。ツジさんはおしゃべりが止められないので、それを止めないと社会ではやっていけない、と養護学校でも、卒業後勤めた福祉事業所でも言われ続け、お母さんは大変な努力をしてきました。でもツジさんのおしゃべりはなかなか止まりません。無理に止めようとすると調子がおかしくなって元気がなくなります。

 そんなツジさんでしたが、ぷかぷかに来てから、「あ、仕事中おしゃべりしていいですよ」なんていわれたり、外販の販売部長として「彼のおしゃべりが売り上げを生み出しているんですよ」とほめられたりして、今まで努力してきたことはなんだったのか、見当違いの努力をしてきたんじゃないか、と思ったそうです。

 おしゃべりを止めなくても社会でやっていけるのです。ツジさんはおしゃべりのおかげでたくさんのファンがつき、それが売り上げを生み出しています。

 こうなると、障がいのある人はこういう努力をしないと社会でやっていけないと言われているものはいったい何なのか、ということになります。そこをやはりどこかできちんと考えていかないと、社会の息苦しさはなかなか変わらない気がしています。

 

 ぷかぷかはそういう努力をしなくても、彼らのそのままがいいよ、っていっています。そのままの魅力が、たくさんのファンを作り、売り上げを生み出しています。

 売り上げを生みながら、お客さんとぷかぷかさんの出会いをつくっています。彼らのありのままの魅力は、そんな風にして社会を耕し、社会を豊かにしているのです。

 

 

 彼らがそこにいること、そのこと自体に「意味」があり「価値」があります。モノクロの2枚の写真は、そのことを物語っています。

 そして、ここから生まれる物語こそ、社会をもう少しのどかな、あたたかいものに変えてくれるように思います。『PukaPukaな時間』Vol.2は、そんな思いを込めて作りました。

 

 1冊500円、ぷかぷかで販売しています。お問い合わせはアート屋わんど魚住までお願いします。045-923-0282 wando@pukapuka.or.jp 

 

 

 

 

ぷかぷかすごろくワークショップ

  昨年12月におこなった青葉区役所での人権研修会の映像がまとまりました。人権研修会は人権について研修するのですが、人権についての抽象的な話よりも、人権問題の当事者、つまり障がいのある人たちと直接ふれあうのがいい、と「すごろくワークショップ」をやりました。

 人権研修会、という堅い名前の研修会で、みんなでサイコロを振って、楽しいすごろくゲームをやるのです。あちこちで笑い声や歓声が上がります。歌を歌いながら手を繋いでぐるぐる回っている人たちもいます。輪になって飛び上がりながら足のじゃんけんをしているグループもあります。必死になって腕相撲をしている人たちもいます。みんな楽しそうです。みんなすてきな笑顔です。

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 「え?これが人権研修会?」と思う方がいるかもしれません。

 でもね、この雰囲気の中で「彼らって、すごく楽しい!」ということがだんだん見えてくるのです。「彼らとはおつきあいした方が、ひょっとしたらトクかも」といったことも。ここまで思う人が出てくれば、人権研修会は大成功です。

 従来の堅い人権研修会の中で「彼らって、すごく楽しい!」とか、「彼らとはおつきあいした方が、ひょっとしたらトクかも」なんて思う人がいましたか?彼らって、障がいのある人たちのことです。人権問題の当事者です。知識として当事者のことを知るのではなく、当事者と直接ふれあい、当事者へ思いを寄せることこそ人権研修の一番大事なところではないかと思います。障害者としてではなく、一人の人として出会う、そういう機会をすごろくワークショップは作ってくれます。

 障がいのある人たちは、同じ社会に暮らしながら、なかなかおつきあいする機会、出会う機会がありません。おつきあいがない、出会わない、知らない、ところから偏見、思い込みが生まれ、彼らを社会から排除してしまいます。そういったことを考えると、短い時間でそんな風に思える人が出てくるなら、これはすばらしいツールです。

 共生社会作ろうとか、共に生きる社会作ろう、なんてカッコいいこといわなくても、彼らといっしょに生きる社会が、フツーにおつきあいできる社会が、すごろくワークショップをわいわい楽しくやりながら自然にできあがってくるのです。

 なんとなく構えたような特別なおつきあいではなく、お互いが自然に笑いあえるような、ふだんの暮らしの中のフツーのおつきあいです。何かやってあげるとか支援するとかではなく、 このフツーのおつきあい(フラットな関係)こそが、お互いを豊かにします。

 すごろくワークショップの人権研修会は、お互いが豊かになる社会のはじめの一歩なのです。

 

www.youtube.com

 

 区役所、市役所の人権研修会、障害者雇用を考える企業の研修、大学の授業、小学校、中学校、高校の職員研修などで、ぜひお使いください。「すごろくワークショップ」「映画『Secret of Pukapuka』の上映」「高崎とのトークセッション」の組み合わせがいいと思います。

 詳しくはぷかぷかまでお問い合わせください。

 045−453−8511 ぷかぷか高崎 

  メールはpukapuka@ked.biglobe.ne.jp

 

コラージュで巨大な顔を作ろう

3月9日(土)にアートディレクターの金子光史さんをお招きして、ワークショップ「コラージュで巨大な顔を作ろう」を行いました。

 

大きな顔のベースを目の前に、金子さんのナビゲートが始まります。

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今回目指すのは、画家の「アルチンボルド」のようなアート。

紙を野菜や果物や魚の形に切り取り、それらを貼り合わせて「顔」を作ります。

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最初にふたごの目玉焼きを顔の真ん中に貼りました。

何に見える?

鼻の穴!

 

次に紫色の野菜が登場。

これは何ですか?

ナス!

顔に付けると何に見える?

鼻!

次は目玉焼きで目を作ってみよう…

そんなふうに始まり、制作を進めていきます。

 

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パーツを描いて切り取り、くっつけていきます。

人参のくちびる、ラディッシュのほくろ…青い大根は涙でしょうか?

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小さい子が貼りやすいように、テーブルの上に寝かせてみました。

金子さんが絵筆を取り出し、何か描き始めています。

ワークショップでは使う場所、画材もどんどん変化していきます。

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みんなも絵の具で描き始めました。

描きやすいように、今度は床に移動。

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苺のほっぺた、キャベツの耳、バナナのヒゲ…絵の具の線も加わりどんどんにぎやかになってきました。

 

小さなマナちゃん、上手に塗っています。

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足でも絵の具をぺたぺた。枠にとらわれず楽しめる子どもたちってすごいですね!

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気持ちのいいお天気だったので、外で乾かして記念撮影をしました!

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アルチンボルドもびっくりの大迫力!

 

 

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小さな子どもから、高校生、大人まで、10人のお客様が参加してくださいました。

ありがとうございました。

今回もぷかぷかなチームワークで素敵な顔ができましたね。

 

27年前のワークショップの記録

 本棚を整理していて、27年前の養護学校の生徒、卒業生と地域の人たちのワークショップの記録の本が出てきました。

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 第8期なので、1984年から始めたワークショップの8回目の記録です。6ヶ月かけて芝居を作る、というのは第1期からやっていて、最後の発表会の前日は会場の生活クラブ旭センター2階の集会室に泊まり込んで、合宿のような雰囲気で芝居を作りました。台所があったのでみんなで自炊しました。布団は貸し布団です。明け方までかかっても、まだ芝居ができないときもあって、本当にふらふらになって本番に臨んだこともあります。いい思い出です。

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ぷかぷかさんたちと地域の人たちがいて、そこにフラットな関係があれば、いつの時代であってもこういう楽しい場、時間ができるのです。

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 写真左側のめがねの女性はピアニストの安見ちゃんです。若い! 安見ちゃんとは第2期からのおつきあいです。ですからもう34年もつきあっていることになります。

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施設に勤めている方の感想です。施設の不自由さがよく出ています。この不自由さは何年たっても変わらないようですね。

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あとがきに卒業生たちの職場の問題を書いています。社会のあり方がそこには反映している、と。27年前と社会はちっとも変わっていないと思いました。

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 全部一人で作った記録写真集です。あの頃はフィルムカメラですから全部自分で現像し、引き延ばし、手作業で版下を作り、印刷屋に持ち込みました。最後のページは小さめの写真を斜めにレイアウトしました。A4変形版28ページです。

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一点、違和感を覚えるところがありました

 日曜日深夜1時からあったTBSラジオの報道ドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』はすごく聞き応えのある番組でした。ヘイトスピーチとか、国会議員による生産性発言とか、この平成の時代にある差別の構造と相模原障害者殺傷事件をうまく結びつけて語っていました。全体の構成といい、音楽の使い方といい、緊張感のある間の取り方といい、ラジオで伝えることのすばらしさを感じさせる番組でした。ふだんラジオをほとんど聞かないので、新鮮な思いで聞きました。テレビよりもはるかに集中して聞くので、伝えようとしていることが体にしみこんでくるような感覚でした。

 

 ただ一点、違和感を覚えるところがありました。最後の方で事件直後に神戸金史さんの書かれた詩が紹介されたのですが、その中にこんなことばがあります。

 「誰もが健常で生きることはできない。誰かが、障害を持って生きていかなければならない。……今、自分が障害を背負っていないのは、誰かがそれを背負ってくれたからだ」という「物語」。

 

   息子よ。
   君は、弟の代わりに、
   同級生の代わりに、
   私の代わりに、
   障害を持って生まれてきた。

 

 お父さんの思いはともかく、本人にとってはどうなんだろうかと思いました。

 たとえば日々すごい痛みを伴う障害とか、手足が不自由で、ご飯食べるのもすごく大変な人にとって、その障害は誰かの代わりだった、といわれても納得する人は多分いません。違和感を感じたのは、そこです。誰かの代わりにすごい痛みや生活の大変さを背負い込む人はいません。当事者の立場になれば、納得できない物語なのです。お父さんがお子さんの障害を認めるための、自分自身を納得させるためのファンタジー、物語のような気がしました。

(参考までに詩の全文です)

私は、思うのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
あなたはもっと、普通の生活を送れていたかもしれないと。

私は、考えてしまうのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
私たちはもっと楽に暮らしていけたかもしれないと。

何度も夢を見ました。

「お父さん、朝だよ、起きてよ」
長男が私を揺り起こしに来るのです。
「ほら、障害なんてなかったろ。心配しすぎなんだよ」
夢の中で、私は妻に話しかけます。

そして目が覚めると、
いつもの通りの朝なのです。
言葉のしゃべれない長男が、騒いでいます。
何と言っているのか、私には分かりません。

ああ。
またこんな夢を見てしまった。
ああ。
ごめんね。

幼い次男は、「お兄ちゃんはしゃべれないんだよ」と言います。
いずれ「お前の兄ちゃんは馬鹿だ」と言われ、泣くんだろう。
想像すると、
私は朝食が喉を通らなくなります。

そんな朝を何度も過ごして、
突然気が付いたのです。

弟よ、お前は人にいじめられるかもしれないが、
人をいじめる人にはならないだろう。

生まれた時から、障害のある兄ちゃんがいた。
お前の人格は、
この兄ちゃんがいた環境で形作られたのだ。
お前は優しい、いい男に育つだろう。

それから、私ははたと気付いたのです。

あなたが生まれたことで、
私たち夫婦は悩み考え、
それまでとは違う人生を生きてきた。

親である私たちでさえ、
あなたが生まれなかったら、
今の私たちではないのだね。

ああ、息子よ。

誰もが、健常で生きることはできない。
誰かが、障害を持って生きていかなければならない。

なぜ、今まで気づかなかったのだろう。

私の周りにだって、
生まれる前に息絶えた子が、いたはずだ。
生まれた時から重い障害のある子が、いたはずだ。

交通事故に遭って、車いすで暮らす小学生が、
雷に遭って、寝たきりになった中学生が、
おかしなワクチン注射を受け、普通に暮らせなくなった高校生が、
嘱望されていたのに突然の病に倒れた大人が、
実は私の周りには、いたはずだ。

私は、運よく生きてきただけだった。
それは、誰かが背負ってくれたからだったのだ。

息子よ。
君は、弟の代わりに、
同級生の代わりに、
私の代わりに、
障害を持って生まれてきた。

老いて寝たきりになる人は、たくさんいる。
事故で、唐突に人生を終わる人もいる。
人生の最後は誰も動けなくなる。

誰もが、次第に障害を負いながら
生きていくのだね。

息子よ。
あなたが指し示していたのは、
私自身のことだった。

息子よ。
そのままで、いい。
それで、うちの子。
それが、うちの子。

あなたが生まれてきてくれてよかった。
私はそう思っている。

父より

 

  私はかつて養護学校の教員をやっていた頃、目の前の重い障がいを持った子どもたちに惚れ込んでしまったことがあります。家族でもないのに、重い障がいのある子どもたちが好きになってしまったのです。一緒に生きていきたいと思うほどに。

 トイレの始末ができなかったり、しょっちゅう逃げ出したりで、本当に手のかかる子どもたちでしたが、でも、その大変さを超える「人としての魅力」を彼らは持っていました。彼らとの毎日はほんとうに「格闘」といっていいほどの日々でした。それでも彼らのそばにいると、ふっと心が安らいだり、ほっこり心があたたまるのです。ずっとそばにいたいな、と思うようになりました。いつの間にか彼らに惚れ込んでしまったのです。

 養護学校では障がいのある子どもたちが社会に適合できるように、いろいろ指導したり訓練したりします。そのままの彼らではだめだといってるわけです。でも私はそのだめな彼らに惚れ込んでしまったのです。

 全くこれは想定外の出来事でした。彼らに惚れ込んだ、言い換えれば「出会った」おかげで、人間の幅が、人生の幅がぐ〜んと広がりました。それ以降、人生が本当におもしろくなりました。

 そしてそんな彼らとずっといっしょに生きていきたいと、養護学校を定年退職の時、彼らと一緒に生きる場、働く場「ぷかぷか」を立ち上げました。ぷかぷかでは彼らを社会に合わせるのではなく、そのままの彼らの魅力で勝負しています。私の心をわしづかみにした彼らの魅力です。彼らの魅力に出会ったたくさんの人たちが、彼らのファンになりました。彼らの魅力に出会い、「彼らとはいっしょに生きていった方がいいね」「その方がトクだよね」って思うようになったのです。

 彼らの魅力は、ただそれだけで、社会を耕し、社会を豊かにしています。

  ぷかぷかにファンができて9年。ファンを作った一番のチカラは、彼らの魅力です。決して物語ではないのです。

 

  番組の最後に息子さんが仕事の稼ぎをこつこつ貯めてiPhoneを買いに行ったときの話が紹介されました。1円も間違えず、きっちり持って行ったことに店員さんが驚いていました。息子さんの性格、生き方ががよく見える、心あたたまるエピソードでした。

 iPhoneを買うと決めてから、作業所での少ない工賃の中から少しずつ貯金していったのだと思います。毎月毎月、わくわくしながらお金を貯めていったのだと思います。たくさんお金を稼いでいる人が、なんの苦労もなく買うことを思えば、息子さんははるかにいい人生を生きている気がします。

 自分の人生を懸命に生きている、すてきな生き方だと思いました。こんな魅力ある生き方をしている息子さんなら、もう物語なんか必要ないのではないかと思いました。

あおばおもちゃのひろば出張WS〜ビー玉・アート〜

2月17日(日)に、あおばおもちゃのひろばの皆さんと一緒に、「ビー玉・アート」のワークショップを行いました。

あおばおもちゃのひろば」は、おもちゃと遊び場を子どもたちに提供してくださっているボランティアグループで、ときどきこうしてワークショップを一緒にやらせていただいています。

 

今回の「ビー玉・アート」は、箱にビー玉と絵の具を入れて転がし、ビー玉の足跡を模様にしていく作品です。

大きな箱をみんなで持ってゴロゴロ転がしています。

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ぷかぷかのお兄さん、お姉さんたちが、「次、こっちを上げて〜」と子どもたちをリードする姿も見られました。

一緒に箱をゆらして作品を仕上げるうちに、初めて会ったみんなの気持ちが一つになっていきます。

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躍動感のある線が生まれました。

勢いよく動かしすぎて、ビー玉が箱から飛び出すことも、、、でもそんな慌ただしさも楽しんでしまうみんなです。

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たくさん色を重ねていくと、こんなにきれい!

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太鼓の名人だいちゃんは、BGMに合わせて太鼓で場を盛り上げます。

太鼓に合わせて楽しくジャンプするお子さんもいました♪

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みんなで共同作品を作った後は、個人制作。

小さな箱でコロコロします。

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 絵の具は6色でしたが、選ぶ色、使う色の順番で一人一人作品の個性が違います。

勢いよく箱をゆらすと迫力ある線に。ゆっくりゆらすとトツトツとしたおもしろい線ができます。

ずらりと並べて見てもおもしろいです。

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こちらは共同制作の完成品。ダイナミックです!

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最後に大きな作品の前で写真撮影。お疲れさまでした!

 

今回作った作品は、たまプラーザ地域ケアプラザのギャラリーで展示していただいています。

3月21日(木)までです。ぜひご覧ください。

↓詳しくはあおばおもちゃのひろばさんのブログをご覧ください。

https://aobatoy.exblog.jp/239125747/

 

パン教室ーじんわり心温まる時間になりました。

  2月23日(土)にあったパン教室の報告です。10名を超える地域の人たちの参加があり、いつものように歌あり踊りありの楽しいパン教室でした。

 作ったのはナン、豆カレー、さくら蒸しパン、レーズンスティック、スープでした。

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 「このなんとも言えない自由な雰囲気が最高!」っていっていた参加者の方の感想です。

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高崎さんの講演会を拝聴したのは5年くらい前だったと思います。

私の心の中で、ずっと気になっていたパン屋さんの存在でした。

 

長女が霧が丘にある習い事のお教室に通い始めたのをきっかけに、やっとぷかぷかさんの所在地を発見することが、出来ました💞

甘いものが苦手な彼女が、ぷかぷかさんのクリームパンを一口食べたら

美味しい~⭐️と叫んで、あっという間に食したのが印象的でした!

 

一昨日のパン教室では、皆さんの生き生きとした、ありのままの姿を見て

じんわり心温まる時間になりました。

彼らの姿を見て、気づかぬうちに自分で自分の気持ちを小さくしている自分にふと、気がつきました。

小さな時から人に迷惑かけない、と社会に教えこまれたルールは、自分自身を縮こませる作用があるのではないかと。

自分を振り返るきっかけにもなりました。

 

パン教室では、みんなが自由に歌い、踊り、おしゃべりしながらゆかいなミュージカルを観ているかのようでした💞

ありのままの姿で生きていく、まさに天才集団ですね!

 

彼らと一緒にいると、自然と心の調和が整うかのよう。

PCやスマホが普及する世の中。

もっともっと対話や、人と社会と繋がっていく必要性を感じ、考えさせられるきっかけになりました!

また是非とも、パン教室に参加させてもらいたいと思います!

世界にもっともっとぷかぷかさんの世界観が広がっていく事を願って!

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  今回もたくさんの笑顔があふれた楽しいパン教室でした。お疲れ様でした。

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