ぷかぷか日記

第6回「表現の市場」ーなおも未来への「希望」を私たちはつくり出したい

 6回目の「表現の市場」やります。

「障がいのある人たちとは、いっしょに生きていった方がいいね」ってみんなが思える舞台を、ことしも作ります。

 彼らの舞台からは、たくさんの元気をもらえます。

 素直に生きる彼らの舞台を見ていると、「ああ、明日も生きていこう」って思えます。明日に向かう「希望」をもらえます。

 そんなふうにして、彼らは新しい歴史を作っているのだと思います。

 「なんだ、助けられてるのは、私たちの方じゃん!」

て思えるような彼らの舞台は、お互いの関係が逆転し、新しい歴史を作ります。

 障がいのある人たちを排除してしまうような不寛容な時代を、小むつかしいことは一切いわず、彼らはさらっと塗り替えてしまうのです。

 

 「表現の市場」は、いっしょに生きていくことで生まれる新しい価値を表現します。その価値は、障がいのある人もない人も、お互い気持ちよく生きられる、新しい歴史を作ります。

 

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 先日の毎日新聞によれば、グループホームなどの障害者施設が住民の反対で建設できなくなったり、建設予定地の変更を余儀なくされたりしたケースが、過去5年間に少なくとも全国21都府県で計68件も起きていたそうです。障害者を排除する空気が蔓延する社会の中で、3年前、相模原障害者殺傷事件は起きました。あの事件は社会の反映であったと思います。

 あれだけの事件があったので、障がいのある人たちを取り巻く社会はきっと変わる、と思っていましたが、全くそうではなかったですね。毎日新聞の報道は、そのことを物語っています。

 それでも、いや、そんな社会だからこそ、私たちは、

「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」

「その方がトク!」

と、言い続けてきました。ぷかぷかのまわりの社会は、少しずつ変わってきています。

 

 弱いものをバッシングし、排除するような時代です。でも、ひどい時代になった、と嘆くよりも、この時代にあって、尚も未来への「希望」を私たちはつくり出したいと思っています。ひどい時代であっても、私たちはそこで生きるしかないのですから。

 「表現の市場」は、障がいのある人たちといっしょに作り出した「希望」を表現する市場です。「希望」があるから、私たちは未来に向かって生きることができます。

 

 

第5回「表現の市場」

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小学校で人権に関する授業

 12月19日(木)、十日市場小学校で人権について考える授業をやりました。1年生から6年生まで600人くらいが相手。低学年、高学年に別れて、体育館で2時間の授業でした。

 障がいのある人について、アーダコーダしゃべっても子どもたちは多分聞いてないだろうな、と思い、ぷかぷかさんを何人か連れて行って、得意技を披露してもらいました。それぞれ達人の域に達するような人たちです。彼らの得意技を見て、思わず

 「おお、すげー!」

って思うような出会いをしてほしいと思ったのです。 

 障がいのある人のことを理解してほしい、といった話よりも、彼らととにかくいい出会いをすること、それが大事だと思っています。彼らとのおつきあいが始まるきっかけです。

 

 障がいのある人たちとおつきあいもしないで「障害者は何するか分からないから怖い」「障害者は犯罪を犯す」という思い込みだけで、たとえばグループホーム建設反対を叫ぶ大人達がたくさんいます。そういう形で彼らを排除すると、社会は許容できる幅が狭くなります。お互いが窮屈な思いをします。多様性がなくなり、社会は貧しくなっていきます。みんなの心が貧しくなります。

 こういう社会は長続きしません。持続可能な社会は、障がいのある人たちも当たり前のように社会の一員として活躍していることがあって、ようやく実現できるのだと思います。

 

 相模原障害者殺傷事件の容疑者は

「障害者はいない方がいい」

といい、それに同調する社会があります。

 子どもたちは、そんな社会に巻き込まれてほしくないと思っています。だからこそ、ぷかぷかさん達といい出会いをして、

「ぷかぷかさん達って楽しい!」「また来てほしい」「一緒に楽しいことやりたい」

って思ってくれたらいいなと思って、今回の授業を企画しました。

 

 

 ボルトさん、大ちゃんには忍者ダンスを踊ってもらいました。

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 この二人だけでもすごかったのですが、途中から若い先生たちが一緒に踊り出すと、子どもたちは大喜び。

 

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 舞台から降りて、フロアで踊り始めたら、子どもたちにが次々に加わって、すごい盛り上がり。低学年の時は、ざっと見て5、60人の子どもたちがぷかぷかさん達のまわりで踊っていました。高学年は多分踊らないんじゃないか、と先生達はいってましたが、ま、ダメ元でやってみましょう、と子どもたちに声をかけたら、なんと30人くらいの子どもたちが前に出て踊っていました。すごい熱気でした。

 子どもたちがこの熱気の中でひとときを過ごしたこと、それが今回の授業の大きな成果だったと思います。「ともに生きる社会を作りましょう」と言葉で言うのではなく、こういう熱気を一緒になって作り出すことこそ大事な気がしています。

 この熱気は、一緒に踊りたい、一緒に踊ると楽しい!という子どもたちの思いが作り出したものです。この熱気こそ、一緒に生きると何が生まれるか、を物語っていると思います。

 

 ツジさんは「ふきのとう」の朗読をしました。2年生で習っていますが、誰もなんとなく覚えているだけで、朗読はできません。先生達もでした。それは記憶力の問題というよりも、もう少し別の問題だと思います。

 30年ほど前にならった「ふきのとう」を何も見ないで朗読できる、というのは、記憶力がすごいこともあるのですが、それ以上に、「ふきのとう」という作品が心に響いたことが大きいと思います。30年たっても忘れないくらい、ツジさんの心に響いたということです。なによりも作品を深く受け止める感性をツジさんが持っているということ。私たちよりもはるかに豊かな感性です。そのことに私たちは気がついた方がいいと思っています。

 美輪明宏の「ヨイトマケの歌」は紅白歌合戦で一回聞いただけで覚えてしまいました。どうしてあの歌が好きなのか、ツジさんは説明しません。でも、ツジさんが「ヨイトマケの歌」を歌うと、歌が心に響いてほろっとなることがあります。緑区役所の人権研修会で歌ったときは、副区長が涙を流していました。

 

 計算大会もやりました。計算の得意な人に3人ほど出てきてもらって、ツジさんとトレーにのったパンの値段の計算の競争をします。はじめは4個、次は8個くらいに数を増やします。低学年の子どもは計算機を持ってもいいことにしました。高学年はみんな暗算で勝負しました。最後には暗算が得意な先生にも出てきてもらい、勝負しました。

 記憶する力、計算する力のすごさを、子どもたちはまざまざと感じたと思います。障害者は自分達よりも力が劣っている、と多くの子どもたちは思っています。その思い込みを、ほんの少し、ひっくり返したと思います。

 こんなすごい人もいる!という発見は、子どもたちにとって、ものすごく大きいものだと思います。

 

 そしておなじみ大ちゃんの太鼓。

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 文句なしにすばらしい演奏で、これはもう会場を圧倒しましたね。障害者がどうこう、といった話をはるかに超えたすばらしい演奏でした。

 

 子どもたちはぷかぷかさんと出会って、何を思ったのだろう。すごく楽しみです。

なんとももったいない話

 障害者を雇用する、というのは、障害者とおつきあいする、ということです。おつきあいの経験がなければ、いろいろ苦労します。言葉がうまく伝わらなかったり、仕事がうまくこなせなかったり、いろんな問題を抱えることになります。

 その問題と根気よく向き合うのかどうか、というところで企業が試されます。

 そこに目をつけた新しいビジネスを展開する会社が現れました。お金を払えば、その面倒くさい問題を全部引き受けますよ、というビジネスです。

 その会社は障害者を集め、農園をやっています。土を使わない「養液栽培」という方法で野菜を育てるため、種まきや水やり、収穫などの軽作業ですむそうです。

 企業側は、その農園で働く障害者と雇用契約を結び、給料だけ払います。雇用契約を結んだだけで、その人とのおつきあいは全くありません。でも雇用契約を結んだので、企業は障害者を雇ったことになり、法定雇用率が達成できる、というわけです。障害者を雇うことの面倒くささを避けたい企業にとってはうれしい話です。

 

 ごまかしとは言え、うまいところに目をつけたビジネスだな、とは思います。

 でも、中身が全くなくても、障害者法定雇用率が達成できるような社会は、いずれどこかで壊れていきます。こういうことをあちこちの町の行政が後押しするなんて、何を考えてるのか、と思います。障害者を雇用する意味、彼らとおつきあいする意味をきちんと考えてない、ということなのでしょう。

 障害者雇用は、障害者とおつきあいするとてもいい機会です。いろいろ大変なことはありますが、それを超える豊かなものが、彼らとのおつきあいにはあります。そういったせっかくの機会を、お金を払って放棄してしまうなんて、なんとももったいない話です。

 

gendai.ismedia.jp

自分の視線の先にゆきちゃんの見ているけしきを表現

 第六期演劇ワークショップ第5回。

 ある日、一郎は山猫から、こんなはがきを受け取ります。

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 翌日、わくわくしながら出かけていきます。

♪ おもてにでてみると、まわりの山は、みんなたったいまできたばかりのようにうるうるもりあがって、まっ青なそらのしたにならんでいました。(オペラシアターこんにゃく座のオペラ『ドングリと山猫』の中で歌われるうた)

 真っ青なそらのしたを歩いて行くと、クルミの木や笛吹きの滝やきのこが現れます。

 一郎が

♪ 山猫が、ここを通らなかったかい

と聞き、原作ではただ方角を言うだけですが、それじゃつまらない、と、簡単なお話を作りました。

 

 笛吹きの滝は、ただ「ピーッ」と笛のような音を立てるだけですが、ぷかぷかさんといろいろ話をしているうちに、滝の前に露天風呂が登場することになりました。こういうところがワークショップは全く自由です。

 山に住む猿と熊が風呂に入ってうたを歌っています。

♪ ばばんば ばん ばん ばん ばばんば ばん ばん ばん い〜い湯だな い〜い湯だな 湯気が天井から ぽたりと背中に つめてえな つめてえな ここは上州 笛吹きの湯  ♪

と歌っていると、一郎がやって来ます。

♪ 山猫が、ここを通らなかったかい

「山猫は、ここで風呂に入ってから、東の方へ行ったみたいです」

…というお話になりました。

 

 かやの森に囲まれた金色の草原ではどんぐりたちが

「俺たちこそがいちばんえらい」

と言い争っています。

 みんなドングリの帽子をかぶって、グループごとに何を自慢するのかを決めました。 

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 いちばんおもしろかったのは忍者ダンスが得意なドングリ。どうしてドングリが忍者ダンスを踊ったりするの?なんて疑問が野暮に思えるほどに、このチームには勢いがありました。そういう突拍子もないアイデアが出てくるのが、ぷかぷかさんと一緒にやるワークショップ。

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  感心したのは一郎役をやったフタミンが振り付けの伊藤多恵さんと一緒に「ゆっくりゆきちゃん」を歌いながらゆっくり歩く練習をしたとき。

 ♪ ゆっくりけしきを ゆっくりながめ…

というところ、フタミンの視線の先に、ゆきちゃんがゆっくり眺めているけしきが見えるのです。

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 フタミンは時々パン屋の前で一人で忍者の戦いをし、お姫様がさらわれたから助けに行く、とそのまま行方不明になったりする人です。ところがワークショップの日は、振り付け師の伊藤さんの言うことをしっかり理解し、ゆきちゃんがゆっくり眺めているけしきを視線の先に表現したのです。 自分の視線の先にゆきちゃんの眺めているけしきを表現するなんて、そう簡単にできることではありません。その集中力、表現力に、ちょっとびっくりしました。

 

 1月26日(日)の表現の市場まで、あと2回。それぞれやることが見えてきたので、多分今年もうまくいくと思います。特にフタミンの視線の先だけで表現しているのを見ると、本当にすごいなと思います。1月26日、楽しみにしていてください。 

穏やかさは希望を生む

毎日新聞「相模原事件を考える」シリーズで最首悟さんの取材記事はとてもいい記事でした。

 記事の最後、最首さんのこんな言葉で締めくくられていました。

「もし彼が本気で園の利用者と向き合って関係を作ろうとしていたら、この事件は起きなかったのではないかと思う。穏やかさは希望だと思う。 」

 

 養護学校の教員になって最初に受け持った重度障害の子どもたち。日々いろいろ大変なことがありましたが、それでも彼らのそばにいると妙に心が安らぐ、というか、心が穏やかになりました。それまで電機メーカーで働いていて、常に生産性が求められ、心がかさかさになっていただけに、彼らにもらった思いもよらない心の安らぎは、

「 え〜っ こんな世界があったんだ!」

と、大発見した思いでした。そんな彼らと毎日おつきあいする中で、彼らのそばにずっといたいなって思うようになりました。そんな思いが、30年後、ぷかぷかを生み出したのです。

 ぷかぷかに来ると心が安らぐ、というファンがたくさんいます。窮屈で息苦しい社会にあって、ぷかぷかさんたちが作り出すこの穏やかな空気感は、この時代にあって大きな希望だと思います。

 

 容疑者が、重度障害の方との日々のおつきあいの中で、思わず目が合ってニッと笑うとか、何かの機会に一緒に大声で笑うとか、ふっと心が穏やかになるとか、心が安らぐとか、そんなことを経験していれば、事件は起こりませんでした。

 相手との関係性が事件を引き起こすきっかけになったのだと思います。

 そんなことを思うと、彼らとの関係の穏やかさこそが、この忌まわしい事件の中で、希望を生むのだと思います。

 

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 mainichi.jp

お金に働いてもらう

来年1月26日(日)に今年の演劇ワークショップの集大成「表現の市場」があります。「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいい」「その方がトク!」ということが一目で分かる芝居を舞台に上げます。ぜひみなさん、見に来てください。

 

 心配はお金のことです。6ヶ月の演劇ワークショップには進行役、ピアニストなどの講師料、会場費、舞台制作費などで約230万円ものお金がかかります。ヨコハマアートサイトから100万円の助成金をいただきますが、残り130万円は自己負担です。さして儲かってもいないぷかぷかにとっては大変な負担です。

 それでも、これは障がいのある人たちとみんなが気持ちよく暮らせる社会を作るための投資と考えています。

 ぷかぷかを始めるとき、どこからもお金がもらえなかったので、やむなく自分の退職金を使いました。これも、そういう社会を作っていくための投資でした。先がなかなか見えないなかでの投資は、本当に苦しいものでした。自分を支えたのは、ぷかぷかさん達と地域の人たちのステキな出会いをこつこつ紡いでいけば、お互い笑顔で暮らせる社会はきっとできる、という確信に近い思いでした。

 そうして9年。今、最初の思いをはるかに超えたぷかぷかが実現し、それは障がいのある人たちと一緒に生きていくための社会モデルになっています。居心地のいい社会を作っていくためのメッセージの発信場所になっています。一緒に生きるとどんな豊かさが生まれるかの物語もたくさん生み出しました。『ぷかぷかな物語』を見て下さい。https://shop.pukapuka.or.jp/items/19207891?from=widget

 この投資のリターンは、実現したぷかぷかから受ける幸福感です。

 私は退職金を使ってしまったので、正直、すごく貧乏です。でもぷかぷかができたおかげでぷかぷかさん達と過ごす日々がすごく楽しくて、ほんまにトクした!と思っています。ささやかな幸福感に浸っています。

 もし退職金を銀行に預けていれば、ぷかぷかはできなかったし、まして今の幸福感はありません。お金は銀行で眠ったままでした。もったいない話です。

 投資はお金に働いてもらうことです。社会の中でばりばり活躍してもらうのです。そのおかげでぷかぷかができあがりました。

 もちろんお金だけでぷかぷかができあがったわけではありません。たくさんの人たちの膨大なエネルギーを注ぎ込んだのです。お金と人間のエネルギーの投資。それがぷかぷかを作り上げたのです。

 

 先日亡くなった中村哲さんは干ばつで生活が成り立たなくなっていたアフガニスタンのカラカラに乾いた大地に水路を作るために膨大なエネルギーを注ぎ込みました。結果砂漠が緑の大地に変わりました。

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 ぷかぷかの努力も、きっとこんなふうに新しい社会を実現します。

 障がいのある人もない人もみんな笑顔の社会です。

(旭区役所人権研修会)

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(旭区役所人権研修会)

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(ぷかぷかのお店)

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 いっしょに新しい未来、社会を作りませんか?「横浜夢ファンド」に、眠っているお金を入れて下さい。お金を働かせて下さい。みんなが笑顔で暮らす社会というすばらしいリターンがあります。

  ぷかぷかは「横浜夢ファンド」の登録団体になっています。夢ファンドに寄付をしていただくとぷかぷかにお金が入ります(寄付の申込書の希望する団体の欄に「NPO法人ぷかぷか」とお書きください)。税制上の優遇措置があります。詳しくは下記サイトをご覧下さい。

 

横浜夢ファンド

www.city.yokohama.lg.jp

archive.city.yokohama.lg.jp

 

★寄付の申込書の希望する団体の欄に「NPO法人ぷかぷか」とお書きください。

 

横浜市 基金の活用

 

横浜市 税制上の優遇措置

 

障がいのある人もない人もお互いが気持ちよく、笑顔で暮らせる社会を、一緒に作っていきましょう。

ぷかぷかさん達の「人生の表現」が受賞!

 昨日「かながわ福祉サービス大賞」の事例発表会がありました。

 発表の時間が12分しかなく、ほんのさわりの部分を話しただけで時間切れ。それでも、ほっこりあたたかな気持ちになりましたとか、癒やされましたとか何人もの人から声をかけられたので、まぁまぁよかったのかなと思いました。

 「大賞」は逃しましたが、「優秀賞」をもらいました。ぷかぷかさんたちの活動が受賞したのだと思います。

 宮原契子さんのFacebookにあった言葉ですが

「今の社会を見ていると、彼らの健やかさ、伸びやかさ、美しさが際立って見える。障害とはdisablityではなく、愚かな同調圧力なんて気にせず表現したいことを表現できるabilityだなあ。」

 ありのままの姿で働くぷかぷかさん達の「人生の表現」が受賞したのだと思います。

 

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黒いギンガムチェックのチュニックを着ていたあなた!

2019年12月4日(水)青葉区役所で人権研修会をやりました。昨年は「すごろくワークショップ」をやって、ぷかぷかさんと出会う時間を作りました。今年は簡単な演劇ワークショップをやり、その体験のあと、事前に聞いておいた「自分の家のすぐそばに障害者のグループホームが建つことになったらどう思うか」のメモを振り返ってもらいました。障がいのある人たちとの出会いの体験が、こういった問題にどのように関与するのかを一人一人に考えてほしかったからです。こういう問題を本気で考えることこそ、人権研修会だろうと思います。

 頭では差別はいけない、と思いつつ、実際に自分の家のすぐそばに建つとなると、やっぱり考えてしまう、あるいはなんとなく怖い、というのが多くの人の思いです。そういうことをどうやって超えていくのか、というところでの提案が、ぷかぷかさん達と一緒に楽しい演劇ワークショップをやることであり、ぷかぷかのプロモーションビデオを見ることでした。

 

 ぷかぷかさんとの出会いをすばらしく語った感想がありました。

「入室したばかりの私に、元気にあいさつをしてくれて、ずっと手を繋いでくれたあなた!黒いギンガムチェックのチュニックを着ていたあなたです…」

というのがありましたが、出会ったぷかぷかさんへの思いがあふれています。「あなた!」って書くほどに本当にすばらしい出会いだったんだろうと思います。

 

 歩行障害のある方が

「あなたはどんな障がいがあるの?」

と聞かれ、そのあまりにストレートな質問に

《 「おお!」という気持ちをもらいました。 》

と感想を書いている方がいました。なんかすごくうれしかったみたいですね。

 

 こういうハッピーな出会いこそが、社会を少しずつ、なによりも確実に変えていきます。社会の大きな希望です。そしてその希望をぷかぷかさん達が作りだしているということがすばらしいと思います。

 差別され、社会から排除されがちな彼ら自身が、社会の希望を作りだしている、ということ。差別する社会を作っている私たちがやらねばならないことを、差別される側の彼らがひょうひょうと作りだしていること。そのことに私たちはもっと気づいた方がいいと思います。気づくことでまた少し豊かな気持ちになります。ぷかぷかさん達にあらためて感謝!です。

 

50人くらいが参加

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・入室したばかりの私に、元気にあいさつをしてくれて、ずっと手を繋いでくれたあなた!黒いギンガムチェックのチュニックを着ていたあなたです。「お名前は?」「27歳なの」「結婚してるの?」「今度サンリオピューロランドに行くんだ」いろいろおしゃべりしてくれて、どうもありがとうございました。どうして私もあなたのお名前を聞かなかったんだろう…とすごく悔やんでいます。短い間でしたが、とても楽しかったです。サンリオピューロランド、楽しんで下さいね。

・短い時間でしたが、ぷかぷかさんと一緒にグループワークをして、日常の大変さやいそがしさを忘れて、心から楽しい気持ちになりました。素直な心を持った人たちを見ているとこちらも素直な気持ちになりたくなるのは、すごい力だなと思います。

・ぷかぷかさんと一緒にワークショップをやって、最大級の元気をもらえました。豊かな表情、表現を見習いたいです。

・私たち職員が、照れや外聞ばかり気にして思い切れないところ、とても元気に表現豊かに取り組んでくれたことに感謝します。

 

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・短い時間でしたが、一緒に泣いたり、笑ったり、とても楽しい時間でした。

・みなさんの素直に自分を出す姿が、本当にキラキラしていました。

・同じグループになった女性のメンバーに「区役所にも障害のある人はいるの?」「あなたはどんな障害があるの?」といきなり聞かれ、すごく新鮮でした。僕は歩行障害があるのですが、ダイレクトに聞かれることが年々減っていく中で、「おお!」という気持ちをもらいました。今度ぷかぷかに行ってみようと思いました。メンバーのみなさん、ありがとう!

・元気に明るく参加していただき、とても素敵な時間を過ごせました。ありがとうございました。

・みなさんの屈託のない笑顔でほんわりとした気持ちになりました。

・自由な開放された気分になる瞬間がありました。

・みなさんの表情豊かで元気なところを見ていると、私も思わず笑顔がうつってしまいました。

・ぷかぷかさん達の持っている想像力や素直さは自分もこれから見習っていこうと思いました。

・みなさんの元気のよさ、明るさに、楽しい気持ちになることができてよかったです。

 

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・仕事柄、頭では「人権」を意識しているつもりでも、いざ自分の生活圏の中に話が及んだ場合は、きれい事だけではないとあらためて意識させられました。

・知らないことが差別や偏見を生みことに気がつきました。ぷかぷかさんとワークショップができたことは貴重な時間でした。

・今回、事前に配布された新聞記事を読み、自分の考えを他の人と共有し、自分とは違った意見や思考を知ることができ、とても勉強になりました。その中でも印象的だったのが、「障害者にだって住む権利がある」という言葉でした。人が引っ越してくるのに、賛成や反対といったこと自体がおかしいのだということに気づかされました。その時点で自分は無意識に障害者を上から見てしまっていたのだと反省しました。

・直接会ってワークショップをやらなければ分からない、わかり合えないものを感じました。人権とは特段かまえる必要がないと気づきました。

・「障がい者といっしょに生きていった方がトク!」というタイトルが、キャッチーだと思いました。障害者福祉の場面では「きれい事では}という言葉ばかり聞こえがちです。その中で「損得で考えてよいの?!」と、このタイトルによい意味でびっくりしました。

 

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・人権についてぷかぷかさんとふれあうことで、より身近に深く考えることができました。

・ぷかぷかさんとのワークショップが楽しかった。「いっしょにいた方がトク!」はその通りだと思った。

・分かっていても心のどこかで意識してしまう自分がいたと思います。でも一緒にふれあうことで、一緒に過ごすことで少しずつ意識が薄くなりました。

・いっしょに生きる、暮らすことの大切さをあらためて感じました。

・「関わってみると、世界観が広がってトク」という表現は、とてもよいと思いました。

 

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・知ることって本当に大事なことだと思います。イメージだけで自分の中で膨らませていくって本当に怖い。特に最近、インターネットで大きな声にみんなが操作されているように感じます。

・ふだんじっくり考えたことのないテーマについて考えるきっかけをいただきました。一人一人がその人らしく生きることが肯定される世の中になるとよいなと思います。

・ぷかぷかさんとともに過ごすことがトクだということ。結果を求められ、しんどい世の中ですが、豊かな生き方について考える機会になりました。

・ぷかぷかさんの明るさ、前向きさを感じた。

・いろいろな人がいて、それぞれの味、よさを持っていること、自分のことだけを考えるのではなく、まわりにも目を向けること、やはりぷかぷかさん達はステキだということに気がつきました。

・ぷかぷかのみなさんと一緒にワークショップをして、素直な感情表現で過ごされているのを見て、先生がおっしゃっていたこちらにも学ぶこと(トクすること)があるとあらためて気づきました。

・子どもたち(高校生くらいまで)は、障害を持つ子に対して、なんの差別意識もなく接してくれることが多いと思います。障がいのある人はみんな気持ちが優しいです。

 

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・知らないということが不安をあおることがあると思います。自分の目で見て体験して感じることがあります。自分には持っていない明るさ等を、ぷかぷかさんには感じました。

・事前に新聞記事を配布していただいたことで、話し合いが濃いものになったと感じます。人権問題で必ず浮上するのが、互いの理解がないが故の不安や思い込み、差別があると思いますので、今回の研修のように、まずは知ることが大切だとあらためて思いました。様々な方の意見を聞くことができ、とても参考になりました。またぷかぷかさんとふれあえたことも自分にとってよい機会でしたし、子どもたちにもこういう機会があるとよいと感じました。

・研修を通して、障がいのある方へのイメージが大きく変わりました。元々特に偏見を持っていたなかったのですが、ぷかぷかさんたちの想像力や素直さに学びや気づきがとても多くあり、自分の世界が広がった感覚を持ちました。あらためて「知る」ということの重要性を認識した研修でした。

 

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・座学聴講のみではなく、交流体験やワークショップなど、ゲーム形式も交えての取り組みは、人権研修では斬新な取り組みに感じました。業務や日常ではなかなかきっかけのない障がいのある人たちとの交流は百聞は一見にしかずというとおりに思います。

・業務上や仕事で関わりがあり、自分では理解しているつもりでしたが、実際電車で障がいのある方と同じ車両になり、相手との距離感等をとることがむつかしいところを見ると、一般的に「怖い」イメージがあることにあらためて気づかされました。その溝を埋めるきっかけ作りが必要と思いました。

・ぷかぷかさんといっしょに生きることが人生を豊かにしている、という話。すばらしいと思いました。

・グループホーム建設反対の話は、障害者ということだけで障害者のことをよく知らない人たちがものすごいパワーを持ってしまうのは、恐ろしいことだと思いました。子どもたちのように素直に受け入れられる大人が少しでも増えていけば、もっと暮らしやすい世の中になるだろうと思いました。

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★グループホーム建設反対ののぼり。お金をかけて作ったのぼりです。多分不動産屋が「障害者のグループホームができると地価が下がる」とかいって反対運動を盛り上げているのだろうと思います。会社の金儲けのために差別を助長していることになります。この地域の未来が心配です。

 

 

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・いつもおいしいパンやお弁当をありがとうございます。今日は一緒にワークショップできるのを楽しみにしていました。一緒に過ごせて楽しかったです。これからも一緒に楽しくいけたらいいなと思っています。来週もおいしいパン楽しみにしています。メロンパン、カップケーキ、たくさん作ってください。

・いつもおいしいお弁当とパン、そしてステキな笑顔の対応、ありがとうございます!いつも楽しみにしています。今日はワークショップで一緒にいろんなことを考えたり、たくさん笑って楽しかったです。今度はお店に買いに行きたいです。

・ぷかぷかさんと一緒に思いっきり笑ったり、泣いたり、怒ったりして、気持ちが和みました。

・ぷかぷかさん達の笑顔、最高です。地元の人に愛されるのがよく分かりました。

 

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・レジャーシートの絵がとてもステキでした。

 

・初めての人にもフレンドリーに話しかけていく姿に学ばせてもらいました。思ったことを素直に言葉に表すことのできる力がとてもステキだなと思いました。ぷかぷかのお弁当はおいしいのでファンです。これからもおいしいお弁当を楽しみにしています。

・毎週おいしいパンとお弁当、ありがとうございます。丁寧にパンの説明をしてくださったり、おすすめを教えてくださったり、元気な声で接客をしてもらうと元気が出ます。今日も、みなさんが素直に感情を出しているところを見ていると元気が出ました。ありがとうございました!!

・ パンが来るのを楽しみにしています。メロンパンのむちむちがたまらないです。あじさいパンに次ぐ新商品、楽しみにしています。

・「私たちはここに生活する権利がある」ということが、障害者だとなぜ否定されるのか。厳しい状況を突破するのではなく、ゆるめる、彼らと生きる気持ちよさを感じる、という言葉、大切にします。

・ワークショップ、企画する管理職も積極的に参加すべきでしたね。途中参加することに照れて しまって… 一緒に踊るとかゲームをするというのでも良かったかも。「笑う」とか「ライオンになる」とか ぷかぷかさんののびのびとした感情表現を発見するということと、大人が羞恥心を捨てら れかということはまた別の話のような印象がありました。参加者を広げるためにも、何かを 発表させるというよりは、一緒にゲームをやるとか何かを作るとかの方法で交流を図るの でも目的は達成できるのではと感じました。

 

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たいこん

 パン屋で、ぷかぷかの畑班が作った大根を売っていました。

 〈だいこん〉かと思ったら〈たいこん〉て書いてありました。

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 「ああ、これは〈たいこん〉でしたか」と心がゆるっとなりました。

 〈たいこん〉という乾いた、甲高い響きがゆるゆると心をほぐしてくれました。

 こんな楽しい言葉を書いてくれたぷかぷかさんがいとおしくて、抱きしめたくなりました。

 

 「これ、間違ってるじゃん」というよりも、「ああ、〈たいこん〉ね」といった方が、みんなが笑顔になれます。

 

 たまたまやってきたお客さんが

「このだいこんください」

といったので、

「あ、すみません、これは〈だいこん〉ではなく、〈たいこん〉です。これ見て下さい」

と〈たいこん〉の文字を見せたら

「ああ、そうでしたか、じゃ、この〈たいこん〉ください」

とみんな笑顔になったのでした。

 

 相模原障害者殺傷事件をテーマにした集まりは、いつも堅い雰囲気で、気が滅入ります。ここから何が生まれるのだろうと思います。あの堅い雰囲気からは事件を超える柔らかな、心地よい社会が生まれるのだろうか、と思います。

 アーダコーダの議論も大切です。でも、それ以上に大切なことは、事件を超える、障がいのある人もない人もお互いが気持ちよく生きられる社会を作り出すことです。

 

 〈たいこん〉という言葉は、そんな気持ちのいい社会を作る鍵がどこにあるのかを教えてくれる気がするのです。

「意思決定支援はストップせざるを得ない」って、どういうこと?

12月6日、津久井やまゆり園の指定管理者再公募に関する朝日新聞の記事の最後に

 「まるでちゃぶ台返しだ。事件後、入所者も家族も我々も県に振り回されている。こうした状況ならば、意思決定支援はストップせざるを得ない」

とかながわ共同会の職員の言葉が載っていました。

 

 「意思決定支援」という言葉を見て、最初、何のことかと思いました。ぷかぷかではこんな言葉は使ったことがありません。

 前後の文脈から、障がいのある人の意思をくみ取ることなんだ、ということがなんとなく分かってきたのですが、こういう堅い言葉で表現するような関係だったのだと思います。

 「こうした状況ならば、意思決定支援はストップせざるを得ない」って、相手をしている重度障害の方はどうなっちゃうのでしょう。もうほったらかしにする、ということなのでしょうか?

 「ストップせざるを得ない」→「ほったらかしにせざるを得ない」→「自分の責任ではなく、県の責任」ということがいいたいのだろうと思いますが、それにしてもこの無責任ないい方には、毎日相手をしている重度障害の人たちに対する姿勢がよく見えます。

 目の前の重度障害の人たちをほったらかしにしても、何も感じないの?と私なんかは思ってしまいます。目の前にそういう人がいて困っていれば、やっぱりほったらかしにはできません。それが人間としての普通の感覚だろうと思います。その人間としての感覚を、ひょっとしたらやまゆり園の職員は忘れているのではないかと思いました。忘れてしまうような職場の雰囲気。

 重度障害の相手を人として見ていないんじゃないか。人として彼らとおつきあいしていないから何も感じないし、ほったらかしにできるんじゃないか。人間としての感覚を忘れる、というのはそういうことです。

 相手を人として見ない。こういう関係性こそが事件を引き起こしたのではないかと思います。そしてここにこそ、事件の温床があるような気がするのです。

 だからこそ、現場でどういう支援が行われていたのかの検証が、絶対に必要だと思うのです。

 

 神奈川県が作った事件の検証報告書では、現場の検証が一切なされていません。すごく不自然です。本当に検証しなかったのか、検証したが県によって削除させられたのか。

 長時間にわたる利用者さんの拘束も、利用者さんの日中活動がほとんどなかったことも、日々の日報にきちんと目を通していれば、管理者の県は分かっていたはずです。でも、何もしなかった。結果、現場がどんどん荒廃していった。その荒廃した現場の実態が検証報告書に上がっていれば、県としては公表したくなかったと思います。だから削除させたのかもしれない、というのは私の勝手な憶測です。単なる憶測で終わればいいのですが…

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