ぷかぷか日記

必要なのはそれぞれの生きる場所で、課題をひとつひとつ具体的に解決していく覚悟

1月5日の朝日新聞「折々のことば」はすごくよかったです。

f:id:pukapuka-pan:20210105230029j:plain 「必要なのはそれぞれの生きる場所で、課題をひとつひとつ具体的に解決していく覚悟だろう。」

 

 ぷかぷかは福祉事業所なので、障がいのある人たちの支援をする、といったことはもちろんあるのですが、彼らといっしょに生きていく中で「障がいのある人たちの社会的な生きにくさ」という課題が解決できないだろうかと考えていました。

 

 障がいのある人たちは、社会に合わせないとやっていけない、ということをいつも言われます。これは「自分を押し殺さないと生きていけない」といわれているようなもので、そのために当事者はもちろん、その家族、関係者はみんな大変な苦労をしています。障がいのある人たちの社会的な生きにくさの代表のようなものです。

 障がいのある人たちは社会に合わせないとほんとにやっていけないのか。ぷかぷかは、実際に運営していく中で、その問いに向き合いました。

 いろいろやっていくうちに、別に社会に合わせなくても、そのままでやっていけるじゃん!と気がついたのです。「やっていける」というのは、お店としてやっていける、ちゃんと収益が上げられる、ということです。

 お客さんを相手にするお店で、社会に合わせなくても、ちゃんとやっていける、という事実を作ったことはとても大きかったと思います。区役所の外販でも、ぷかぷかが一番お客さんを集めています。 

 ありのままの彼らが一番ステキ、ということにお客さんが気がついたのです。そのままの彼らの魅力に気がついた人たちがぷかぷかのファンになり、その人達がぷかぷかの売り上げを支えています。

 無理して社会に合わせなくてもやっていける、という気づきは、ぷかぷかさん達の生きることを、ものすごく楽にしました。自分を押し殺すことなく、そのままの自分で働けるのですから。こんなに幸せなことはありません。

 

 

 生産性が重視される社会にあって、そういったことが苦手な障がいのある人たちの立場はとても弱いです。あれができないこれができない、効率が悪い、生産性が低い、等マイナス評価ばかりで、障がいのある人たちの社会的生きにくさが一番よく現れるところです。

 できるできないではなく、彼らがいること、そのことに価値がある、というそういう見方を確立しないと生産性の論理には太刀打ちできません。何よりも彼らの社会的生きにくさが解消できません。

 ぷかぷかを10年やってきて、「ぷかぷかさんが好き!」というファンがたくさんできました。何かができるからではなく、ぷかぷかさんたちが醸し出す雰囲気、空気感が好き!なのです。彼らがいること、そのことに価値を見いだしているのです。

 いつも居眠りをする人がいて、その人の寝顔の写真を撮ってFacebookにアップすると、「今日も癒やされました」という書き込みがたくさんあります。その人が居眠りしていること、そのことに価値を見いだしているのです。

 ぷかぷかは、生産性に変わる新しい価値を作ってきたと思っています。

 

 

 ぷかぷかは社会的な課題と向き合う中で、たくさんの物語を生み出しました。それが『ぷかぷかな物語』です。ぜひ読んでみて下さい。なんだか気持ちがふわっと楽になります。

shop.pukapuka.or.jp

「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」というメッセージは、時に人の命を救うほど大事なメッセージになる

RKB毎日放送のアーカイブで一時公開されたドキュメンタリー「うちの子 自閉症という障害を持って」は自閉症の人たちを追いかけた素晴らしい映像です。公開は1月5日までです。ぜひ見て下さい。

www.youtube.com

 

 自閉症の子どもを抱えた家族の大変さがとてもよく伝わってきます。私自身養護学校の教員をやっている時、日々彼らの想定を超える振る舞いに振り回され、毎日クタクタになっていただけに、家族の大変さがリアルにわかります。その大変さの中で、命を絶った親子もいたようで、いたたまれない気持ちになりました。

 社会が持っている障がいのある子どもへのマイナスイメージに殺されてしまったのだと思います。そういう意味で、私たちにも責任があって、家に残された、もう乗る人もいないブランコの映像にはとても辛いものがありました。

 子どもをかわいいと思う気持ちと、育てていくのが辛いと思う気持ちがせめぎ合って、どこかで、何かの拍子に辛いという気持ちが勝ってしまったのだと思います。

 大変だけれど、それでもいっしょに生きていった方がいいよ、その方が人生絶対トク!っていうメッセージを届けたかったです。

 いっしょに暮らしていれば、大変な中にも、楽しいことはあったはず。愛おしいと思う場面がいっぱいあったはず。そこをしっかり支えきれなかったことがとても残念です。

 

 私は映像の中のカネヤンの大変な行動ぶりを見ながらも、その行動のひとつひとつがとても愛おしいと思いました。養護学校の教員をやっている時、カネヤンのような子どもはいっぱいいました。私は何の経験もなく現場に入ったので、毎日毎日めちゃくちゃに振り回されていました。それでもどこかで一緒に笑ってしまうところがあったり、大変な中でも、もう笑うしかない場面があったり、そんなちょっとした出会いを日々重ねるうちに、なんだか彼らのこと好きになってしまったのです。どうしてかっていわれても、惚れてしまった理由なんか言葉で説明できません。好きになってしまって、ずっといっしょにいたいなって思いました。そんな思いが今の「ぷかぷか」を作りました。

 彼らの行動のひとつひとつが、愛おしいと思うようになりました。カネヤンの映像を見ていても、家族は大変だろうと思いつつ、私は抱きしめたいくらい愛おしく思いました。人をそう思わせる魅力をカネヤンは発散しているのだと思います。その魅力をたくさんの人に受け止めて欲しい。そうやって社会が豊かになって欲しい。命を自らが絶つようなことがなくなって欲しい。

 この映像の魅力は、いろいろ大変なことをするカネヤンの魅力にこそあるように思います。

 

 障がいのある人たちをどう受け止めるかという問題は、人によっては「命を絶つ」ということにストレートにつながる問題なんだとあらためて思いました。だからこそ、「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」というメッセージは、時に人の命を救うほど大事なメッセージになるのだと思いました。

 

 今なお大変な渦中にいる人はいっぱいいるはずです。その人達に、気持ちが前向きになるようなメッセージをこれからもたくさん届けたいです。「いっしょに生きていくと、こんな楽しいことがあるよ」って。

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「ったく、もう、しょーがねーなぁ」とかブツブツ言いながら

あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いします。

 

年末の大掃除の日、

「今年最後の写真ですから」

とヒカリさんに頼まれ、

「寒いからいやだな」

と思いながらも、

「ま、最後だし」

と結局は引き受けたのでした。

「寒いから一回で決めてよ」

と念は押したものの、撮った写真をチェックし、「カメラが傾いています」だの、「もう半歩前で」だの、「もう少し左で」だの、いつものようにダメ出しの連発。

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 ダメ出しのリクエストに応えてカメラをかまえるものの、いつものように靴下を直し、セーターの裾を直し、髪を直し、の一連の準備を繰り返します。

 寒い中、それをじっと待っているのはなかなか辛いものです。

 「髪なんか直さなくても、美人なんだから、そのままでいいよ」

 「毛玉をとっているので、少し待って下さい」

  毛玉をとってる?寒い中、人を待たせてそんなことするの?なんて話は通用しません。しかもその毛玉取りを、撮り直しのたびにするのです。

 もうイライラしながら

 「さっきやったんだからもういいじゃん」

 なんて言っても黙々と毛玉取りが続きます。

 ヒカリさんらしいな、と妙なところで感心してしまいます。

 感心したところで、寒さが和らぐわけでもなく、ひらすら「う〜」と耐えるしかありません。

 

 どうして寒さに耐えてまでここまでやるのかと自分でも思うのです。

 

 「支援」とか「福祉サービス」とか「ともに生きる社会」とか「共生社会」とかでは語りきれない関係がここにはあります。

 「ったく、もう、しょーがねーなぁ」とかブツブツ言いながら…でも結局はつきあってしまう、どうしようもなく人間くさい、あたたかな関係です。

 ヒカリさんに限らず、「ったく、もう、しょーがねーなぁ」とか思いながらつきあってしまう関係がぷかぷかにはいっぱいあります。

 「支援」ではない、人と人とのおつきあいです。だからぷかぷかにはあたたかな雰囲気が満ちているのだと思います。

 

 何度も書いていますが、津久井やまゆり園事件は、優生思想云々の大きな話以前に、この人と人のおつきあいがなかったところで起こったものだと思います。その当たり前のおつきあいがどうして支援の現場でなかったのかと思います。相手と人としておつきあいする、というのは、何を差し置いても一番の基本だと思うのですが、支援の現場では必要なかったのでしょうか?障がいのある人たちを前に、人のあたたかさみたいなものは全く感じなかったのでしょうか。

 

 寒さに震え「もう、いいかげんにしてよ」とか思いながらも、でもおつきあいしてしまうような、そんなおつきあいを今年も広げていきたいと思っています。

 

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そこにいる当事者と人として出会えるかどうか

毎日新聞「やまゆり園事件は終わったか?~福祉を問う」の、現時点でのまとめです。

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 トップにある一輪のしらゆりの花の写真が素晴らしくいいなと思いました。このしらゆりの花は「津久井やまゆり園」を見ながら何を思っているのでしょう。そういう想像を働かせることこそ、大事な気がします。

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 事件からちょうど1年後に津久井やまゆり園のホームページが再開されました。当然事件についていろいろ書いてあるものと思っていたのですが、びっくりするほど何も書いてありませんでした。ホームページにあった「あいさつ」をそのまま載せます。

 

ごあいさつ
 昨年7月26日、津久井やまゆり園で起きました事件から一年になります。今まで多くの皆様にご迷惑やご心配をおかけしてきたところでございます。この一年の間、様々なところでご配慮いただき、厚く御礼申し上げます。
 今年度に入り、仮移転先であります「津久井やまゆり園芹が谷園舎」での生活がスタートいたしました。去る7月22日には、芹が谷園舎の体育館で家族会・後援会のお力もいただき「追悼のつどい」をしめやかに行なったところでございます。
 まだまだ利用者の皆様・ご家族の皆様、そして職員、それぞれ不安な気持ちが拭えない日々ではありますが、津久井やまゆり園本来の動きを取り戻すべく、この時期にホームページの再開に踏み切ることにいたしました。
 今後の津久井やまゆり園再生への道のりは、長く険しいものと覚悟しております。今後とも皆々様からのご教示をよろしくお願いいたします。

平成29年7月26日   社会福祉法人かながわ共同会津久井やまゆり園園長  

 

 あれだけの事件があったにもかかわらず、たったこれだけです。事件はまるで他人事、といった感じです。

 事件の犯人は元ここの職員です。どんな組織でも、その組織の人間が不祥事を起こせば、たとえ過去の人間であっても、まずは謝罪します。その謝罪のことばがひとこともありません。あれだけの事件を起こしながら、謝罪のことばがひとこともない。この組織は一体どういう感覚なのかと思いました。

 福祉施設を四つも運営する社会福祉法人です。社会的信用の高い社会福祉法人が、一体何を考えているのかと思います。

 どうしてこのような事件が起こったのかについての検証の跡も全く見えません。事件の現場となった施設を運営する法人が、そういった検証をしないというのはいったいどういうことかと思いました。

 

 この無責任極まる法人の体質は、毎日新聞の記事で何度も指摘していますが、何も変わりません。神奈川県の検証委員会でも虐待の指摘をしていますが、法人の体質が変わるところまでいきません。どうしたらそこが変わるのだろうと思います。

 

 そんなむなしさを抱えながらも、それでも尚しつこく事件を問い続ける毎日新聞の記者の姿勢には頭が下がります。エールを送りたいです。

 

 記事の最後の方にあった

《「障害者が殺されるのは問題だが、普通の人以下の暮らしをするのは仕方ない」という二重基準が、ひょっとして私たちの中にないだろうか。事件が起きた時、多くのメディアは「障害者も同じ人権がある」と言ったはずだ。自戒を込めて、その言葉に忠実でありたい。》

 というメディアへの批判は極めてまっとうな批判だと思います。ただこういう批判をしても、多分メディアはそう簡単には変わりません。

 やっぱり大事なことは、こういった理屈っぽい話ではなく、障がいのある人とどこかでほんとうに人として出会うかどうかだと思います。

 ぷかぷかが5月から始めた「でんぱた」には言葉のない方もいます。でもその方は会うたびにとてもいい笑顔であいさつしてくれます。あるテレビ局の取材があった時も、そんな素敵な笑顔で記者の方にあいさつしていました。

 言葉はなくても、気持ちがその笑顔を通して通じ合うのです。言葉を介さない、人と人との出会いです。多分、そんな出会いが元になって、その人の働きぶりを短い映像で放送してくれたのだと思います。

 ただ取材するのではなく、そこにいる当事者と人として出会えるかどうか、そのことが人権問題をリアルに感じるかどうかにつながってくるのではないかと思います。そしてそういう視点でやまゆり園事件をもういっぺん見直してみる、検証してみる、といった作業が必要なのではないかと思います。

私はぷかぷかさんと関わり、とても幸せな気持ちになった

 先日創英大学で今年最後の授業があり、いろいろ体験したことの振り返りを少ししました。また、毎日新聞の上東さんにも来てもらい「命の選別」の問題について少し話をしてもらいました。

 担当した教員のコメントがよかったです。

 「感想を読むと学生にとって障害のある方と関わる機会は、今までほとんどないように感じます。経験は大事とどの学生も言っておりますが、一方で経験によって相模原事件のようなことも起きてることを考えると、経験というより、お互いにとって良い出会いが大切なのかもしれないです。」

 やまゆり園事件について、とてもいい気づきだと思います。結局は障がいのある人たちとどういうおつきあいをするのか、ということにつきると思います。

 「支援」という上から目線の関係の行き着く果てにやまゆり園事件はあったと思います。そういったやまゆり園の支援の質が問われないまま、事件の裁判は終わり、支援の現場での虐待は止みそうにありません。

 神奈川県の検証委員会の検証は続くようですが、現場を検証して、問題を指摘しても、多分虐待はなくなりません。

 問題は、障がいのある人たちとどういうおつきあいをするか、ということであって、検証することで、そこが変わるとは思えないからです。

 今まで障がいのある人たちとおつきあいのなかった学生さん達が少しずつ変わり始めたのは、やはりぷかぷかさん達といいおつきあいをしたからだと思います。

 (すごろくワークショップでぷかぷかさん達といろいろ楽しい話をしました)

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 (ぷかぷかさんと一緒に簡単な演劇ワークショップをしました)

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 学生さん達はぷかぷかさんとこの写真のようなおつきあいをし、先日はそれぞれ2日ずつぷかぷかに来てぷかぷかさんと一緒に働くという体験をしました。こういうおつきあいの質が学生さん達の感想によく表れていると思います。

 中に

「私はぷかぷかさんと関わり、とても幸せな気持ちになった」

という感想がありましたが、もし学生さん達がやまゆり園で実習をやっていたら、こんな感想が出てきただろうかと思うのです。こんな感想が出てくるようなおつきあいがやまゆり園でもあったなら、あの忌まわしい事件は絶対に起きなかっただろうと思うのです。どうしてそういうおつきあいがなかったのか、そここそ問うべきだと思います。

 

 

(学生さん達の感想)

半年ほど前に読んでいた小説の中で「優生保護法」の言葉が出てきて、全く知らない言葉であったので調べていた事が今回の授業で取り上げられておりいろいろと考えさせられました。法律が本当に正しいものか?世間の大きい声や考えだけで物事を考えることなく、自分の中にある思いや意思を大事にして伝えている高崎さんと上東さんの言葉に重みを感じました。

人には長所と短所がありそれは全員一緒のことで、それが健常者と障害者と名前がつけられただけで本人に大きな違いはないと思います。障害者という名前からあまり良いイメージを持てないだけで、実際にその人と関わることで少しでも考え方が変わるのではないかと思いました。

ぷかぷかの方々と実際に関わったり明るい話をたくさん聞く中で、障害について少しだけですが学ぶことができました。だけど社会の仕組みが変わらないとこうした楽しく、幸せに過ごす障害のある方はほんの一部で、残りの大多数はいじめられたり悲しい思いを持っているんじゃないかと思ってしまいます。これから保育園で働く身としてあたり前に障害のある子もいて、一人の友達として子ども同士が関われたり、近くの施設とも連携して大人の障害のある方たちとも、一緒に楽しんで互いに得になる経験がたくさんできる機会をもちたいと思いました。

ぷかぷかで活動した振り返りの中で、自分と他の人の意見が同じようなものがあれば違う意見もあり「なるほどな」と考えさせることもありました。障がいのある方と関わる前までは“どうしたら良いか”や“怖いな”と感じることがありました。私の気持ちでどうしたら良いかわからないという気持ちがあるので、社会との考えは同じようなものになってしまっているのかなと思いました。社会を変えることは難しいけど、まずは自分の経験や体験、学びを大事にしていきたいと思います。

今日の授業で、ぷかぷかでの体験活動で感じたみんなの質問や疑問の回答をきいて、より理解を深めることができました。やまゆり園事件を振り返ってあらためて悲しい事件だと感じました。障害者に偏見をもつ世の中がこの先、なくなっていくために、関わることで良いことがあるし学べることがたくさんあると思います。私たちだけではなく、もっと多くの人が関われる環境づくりが大切だと思いました。

今回、やまゆり園事件の話を聞いてニュースの時はあまり関心が無かったのですが、授業でぷかぷかさんたちと関わることで障害のある人たちのことが身近に感じることができ、やまゆり園の事件を改めて考える機会となりました。私はぷかぷかさんと関わりとても幸せな気持ちになったので、もっと多く人が障害のある人たちと良いかかわりを持ってもらいたいと思いました。

こんなに自由でいいんだ、笑いながら楽しくしてていいんだ

 創英大学の学生さんが、ぷかぷかで2日間体験実習をやって感想を書いてくれました。

 中に

「こんなに自由でいいんだ、笑いながら楽しくしてていいんだ」

という気づきがありました。素晴らしいですね。

 ぷかぷかが一番大事にしているところをちゃんと見ています。自由でいて、笑顔でいて、それでいてちゃんと収益を上げる。働くって、そういうことじゃないかと思います。それがいい一日になり、いい人生になります。

 

 学生さん達はいずれ社会に出て働きます。おそらくこんなに自由で、楽しく働けるところは、そうそうありません。職場をそんな風に変えるにはどうしたらいいのか、考えて欲しいと思うのです。それは職場という小さな社会を変えていく一歩になります。

 何が問題なのか、どうしたらいいのか、自分は何を大事にしたいのか、そういったことを考えて、考えて、考え抜いて欲しいと思うのです。そういったことが自分を磨きます。自分を成長させます。

 自分の手の届く範囲の小さな社会なら変えられる可能性は十分あります。ぜひトライして下さい。トライしなければ何も始まりません。トライすれば、わくわくするような何かが始まります。

 

①大学の授業でワークショップやお題に合った即興劇など関わっていて楽しいことばかりでした。しかし、いざぷかぷかさんが働いているところに行くと自分たちのやるべきことを楽しそうにこなしている姿を見てとても楽しそうだと思ったと同時に羨ましく感じました。どんな仕事も完璧に、失敗しないようにという考えを変えさせてもらえるような場所でした。こんなに自由でいいんだ、笑いながら楽しくしていいんだと知りました。総菜を買いに来てくれるお客さんは笑顔で来てくださり笑顔で帰って行かれるという、素敵な繋がりの場面にも立ち会う事ができました。二回も貴重な体験をさせて頂けたことに感謝し、これからに繋げる事ができたらいいなと思いました。

②普通の人と同じように喋り、ぷかぷかの人同士で楽しそうにコミュニケーションを取りながら仕事をしており、会社であれば私語をしながら仕事をするのは褒められたことではないが、「楽しく仕事をする」これが本人たちの能力を余すことなく発揮できる場なのであると感じた。

③ぷかぷかさんは本当に記憶力が良くて一回目に行ったときに会ったぷかぷかさんが覚えていてくれて名前を読んで接してくれたのですごく居心地がよかったです。お菓子作りを一緒に行ったのですが各自得意なものを分担しててきぱきとたくさんのお菓子を作っている姿が印象的でした。

④一緒に店頭販売をしたぷかぷかの方と最初どんな話をしたらいいのか、どう接したら正解なのか探り探りになっていました。しかし、話してみるととても気さくで話していることが楽しくていろんな話をすることができました。悩むことなどせずに普通に接すればよいのだともっと早くに気付くべきだったなと思いました。外見からすべて理解した気にならずに、相手と話してみて内面の部分にも触れたうえで少しづつ理解できるようにしたいと思いました。

⑤障害のある方も環境を十全に整えることで、健常者と同様に働くことができ、集中できることや真面目さから一つ一つの仕事の質が非常に高いものであると活動を通して学ぶことができた。

⑥ぷかぷかのMさんは初心者の私にとっても丁寧にスノーボールの作り方や、道具の場所などを教えてくれたり、困っている時は声をかけてくれたり、手を貸してくれて、思いやりや優しい部分が一緒に作業をしている中でたくさん見え、とても楽しく一緒に働くことができました。また、お菓子工房のぷかぷかさんたちは、ひとつ一つのスノーボールをとても丁寧に計量したり、丸めたり、並べて、包装して一から商品を作っていてより素敵な商品だと一緒に働いてみて感じました。

⑦お昼休憩の時に好きなアーティストの話になりました。ぷかぷかさん2人と好きなアーティストが一緒だったので沢山お話が出来ました。そのアーティストが写ってる切り抜きやアルバム、写真集を見せてくれてとても楽しいお昼休憩の時間でした。また、体温を測る時にも自分で測りたい人、測ってもらう人、何度だったかを自分で書きたい人、書いてもらう人と人それぞれに書き方に思い(こだわり?)があることが分かりました。

⑧アートでは、利用者さんそれぞれがやりたいことを仕事として取り組んでいる様子でした。他のぷかぷかさんの誕生日プレゼントを折り紙で制作したり、顔写真を見ながら似顔絵を描いたり、イラストを見て模写したり、好きな画像を検索して、探していたり、とても楽しそうに仕事をしている印象を受けました。食事の際も案内をしてくれたり、わからないことをとても丁寧に教えてくれたので2日間とても楽しかったです。ありがとうございました。

⑨会話の一つ一つがとても楽しそうに話されており、スタッフの方々と協力している姿が見られた。分からないことがあると率先して教えてくれ、和やかな空気であった。ベーグルを作る機会があったが、上手だよと褒めてくれてとにかく笑いが絶えない体験でした。

⑩ペットボトルの蓋をアイロンで平たくしたものに穴を開け毛糸を通す作業を午前中行いました。ペットボトルの蓋を平たくする作業をぷかぷかさんがやって、私が穴を開け毛糸を通す作業をしました。「熱いので気をつけてください」などの声掛けをぷかぷかさんにしていただいた中でぷかぷかさんの優しさをとても感じました。また、「女子力が高い」と言っていただけてとても嬉しかったです。2日間体験してとても良い経験になりました。顔と名前を覚えていただいたり駆け寄ってきてくれたり、優しい言葉をかけていただいたりしてとても嬉しかったです。ありがとうございました。

⑪初めての場所で何をしたらいいかわからない私に積極的に話しかけてくださりやることを教えてくれて本当にうれしかったです。障害を持っているという気持ちで勝手にできることが少ないと思っていたけれど普通の人と同じくらいてきぱきと働く姿を見てぷかぷかさんに対しての見方が変わりました。

⑫1人の方と一緒に仕事をして、やり方や分からないことをとても丁寧に教えていただいた。「私はこれをやるので、こっちをお願いします」と役割分担をしてくれたり、「これはこうするといいです」とアドバイスをくれたので、分かりやすく一生懸命、仕事をすることができました。コミュニケーションを取りながら一緒に仕事をできたので、とてもいい経験になりました。

⑬仕事がしっかりと出来て、この後何をするかを丁寧に説明してくれて、誰もが責任をもって仕事をしていました。休憩中などは1人でいる人も、何人かでいる人もいました。職員の方とぷかぷかの皆さんはすごくいい関係で、ぷかぷかさんが私に話しかけて下さったりして、とてもいい職場だと思いました。

⑭朝、来た段階から、実習生が来たことを職員に伝えてくれたり、着替える場所を教えてくれたりととても丁寧に対応をしてくれました。仕事も、やることを丁寧に教えてくれたり、一緒に仕事をすることに対して受け入れてくれたので、1日楽しく活動体験をすることができました。名前を呼んでお話をしに来てくれる人もいて、自然と笑顔になることができました。活動が終わったあとにはぷかぷかさんに「また遊びに来てください」言って貰えたので、また機会があればぷかぷかに行きたいと思いました。2日間、活動体験ができて良かったです。

⑮何気ない会話にも積極的に参加していきました。その中でどんなことが得意なのかを聞くと少し恥ずかしいそうになりながらもたくさんのことを話して下さりとても楽しい体験になりました。お客さんを相手にする際も楽しそうな会話がされておりこの日常が人気の秘密なのかと考えました。

⑯休憩の時間の時にぷかぷかの方がバイキンマンの絵本を見せてくれて、絵本に出てくるバイキンマンのメカについて話をしてくれました。説明してくれたことに対して、返事をするとどんどん話をしてくれました。

⑰お弁当にお米を入れゴマを振っている時に、「代わります」と言ったらゴマの入った器を渡してくれました。ぷかぷかさんがお米を入れて、私がゴマを振ってお弁当を完成させました。ぷかぷかさんが自分にゴマの器をくれたのは、手伝ってくれるという気持ちが嬉しかったからなのだと思いました。

 

 学生さん達はこういう現場で体験実習しました。

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『ぷかぷかな物語』が電子本に

 『ぷかぷかな物語』が電子本になりました。アマゾンほか、紀伊国屋や楽天など、主要電子書籍店で購入できます。

  ぷかぷかさん達(「ぷかぷか」で働く障がいのある人たちのこと)といっしょに生きていくことで生まれたわくわくするような物語の本です。

 しっかりした展望があったわけではなく、彼らといっしょに生きていきたい、というただそれだけの思いで突っ走ってきたぷかぷかの物語です。途中でこけなかったのが不思議なくらいですが、その今にもこけそうなぷかぷかを一番支えてくれたのはぷかぷかさん達でした。彼らの魅力のおかげで

「ぷかぷかさんが好き!」

というファンができ、そのファンの人たちがぷかぷかを支えてくれました。

 障がいのある人たちは社会に合わせないとやっていけない、と多くの人が思っている中で、社会に合わせるのではなく、自分らしく振る舞うぷかぷかさんにファンができたことは画期的なことだったと思います。

 障がいのある人たちは、あれができないこれができない、社会の重荷、といった人たちではなく、社会を耕し、豊かにしていく人たちなんだ、という気づきがここで生まれました。

 ぷかぷかさん達がいなければ、どこにでもあるただのパン屋であり、お惣菜屋でした。彼らがいたからこそ、たくさんの気づきがあり、本ができるほどのおもしろい物語が生まれたのです。

 

 アマゾンのカスタマーレビュー

 肩に力の入った毎日を送る人たち、なんだか分からないけど頑張らないといけない!っていつの間に自分を追い込んでいる人たちに是非読んでもらいたい一冊。
「いいんだよ、自分らしく生きていっていいんだよ」って事を教えてくれます。

 

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静かな目

重度障がい者と言われているタカダさんの、この静かな目。

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 一眼レフのファインダーを覗いていて見つけた目。

「あっ、タカダさんて、こんな目をするんだ」

って思いました。こんな目で世界を見てるんだ、って。

 なんかね、タカダさんとあらためて出会ったような気持ちでした。

 会えばいつも笑顔を向けてくれるタカダさんです。でも一人の時はこんな静かな目で世界を見てるんだって思いました。

 何を思っているのだろう。

 こんな目で見つめられたら、いい加減なことできないな。

「歌付き弁当」はこうやって弁当の価格以上の働きをする

おもしろい記事を見つけました。

mainichi.jp

  とても長い記事ですが、後半部分に、障がいのある人たちの働く意味を問い直そうという動きが出てきているという話を見つけました。

 福祉事業所には「目標工賃達成加算」というのがあって、利用者さんに支払う工賃(給料)が地域の最低賃金の三分の一を達成できたかどうかで、福祉サービスの報酬に加算がされます。売り上げを上げ、給料を上げた事業所に、報酬の加算がされる、という仕組みです。

 でも仕事には直接お金は生まないけれど、大切なものがたくさんあります。

 たとえば何度か書きましたが、セノーさんが郵便局に入金に行き、窓口で「あ〜、あ〜」と毎日繰り返すことで、郵便局で働いている人たちがセノーさんのファンになり、セノーさんが来ることをとても楽しみにするようになりました。

 障がいのある人たちを排除することの多い今の社会にあって(津久井やまゆり園事件はその象徴的なもの)、セノーさんが来ることを楽しみにする人を作り出したことは特筆すべき出来事のように思います。しかもそれをセノーさん自身が作り出したのです。

 そういった地域社会を豊かにするようなことも、障がいのある人たちの仕事として評価していこうという動きがあるというのです。

 

 6年ほど前、歌の好きなミズキさんの実習の反省会があったときのことです。ミズキさんはひと時代前の加山雄三や千昌夫などの古い歌が好きだというので、一人暮らしのお年寄りのところへお弁当を配達して、ついでに古い歌を歌ってあげるような「歌付き弁当」ができたらおもしろいね、みたいな話をしたことがあります。

 懐かしい歌を聴いて、多分お年寄りの方は大喜びです。おいしいお弁当食べて、懐かしい歌が聴けるなんて、すごくお得な弁当です。単調な暮らしにあっては、とても生き生きとした時間になります。またお弁当頼もうかな、という思いは、小さな楽しみを未来に作ることです。

 ミズキさんにまた来て欲しい、という思いは、障がいのある人たちのイメージをひっくり返します。「歌付き弁当」はこうやって弁当の価格以上の働きをするのです。

 

 ミズキさんの優しい接客にふれた人たちがファンになって、時々贈り物が届きます。私たちにはまねできない貴重な働き方です。

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 「おひさまの台所」が開店する前、スチームコンベクションを買うための助成金の申請書に「歌付き弁当」の企画を書いて、それが評価され、なんと100万円の助成金をもらうことができました。今、「おひさまの台所」の厨房で大活躍しているスチームコンべくションは、その100万円で買ったものです。

 

 パン教室、大学での授業、区役所の人権研修会、津久井やまゆり園事件をテーマにした上映会など、ぷかぷかは社会を耕す活動をたくさんしています。いずれもぷかぷかさん達が大活躍しています。そういった活動を、障がいのある人たちの大切な仕事として評価されるようになれば、すごくうれしいです。

 

 福祉の業界が障がいのある人たちの働く意味を見直す動きが出てきたことはすごくいいことです。ここから社会が変わります。

彼らは、いることで社会を豊かにします。

ルポ『命の選別』を読みました。

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 「命の選別」という気の滅入るような内容を扱った本ですが、それでもぐいぐい引きつけるものがあって、一気に読んでしまいました。この本を読んであらためて気づいたことがあります。どんなに困難な状況にあっても、人は生きていきます。人が生きていく時、そこには希望が生まれます。

 医療先端技術の重い問題を扱った章は

「この春、絵瑠ちゃんは小学生になった」

の言葉で終わります。いっしょにお祝いしたいようなあたたかい気持ちになりました。

 丁寧な取材によって生まれた希望を感じさせる本です。希望があれば、気の滅入るような現実であっても、私たちは明日に向かって生きていけます。

 

第1章 妊婦相手「不安ビジネス」ー新型出生前診断拡大の裏側

第2章 障がい者拒み「地価下がる」ー施設反対を叫ぶ地域住民

第3章 見捨てられる命ー社会的入院、治療拒否される子どもたち

第4章 構図重なる先端技術ーゲノム編集の遺伝子改変どこまで

第5章 「命の線引き」基準を決める議論ー受精卵診断の対象拡大

第6章 誰が相模原殺傷事件を生んだのかー人里離れた入所施設

第7章 「優生社会」化の先にー誰もが新たな差別の対象

終章 なぜ「優生社会」化が進むのかー他人事ではない時代に

 

 恐ろしいほどの現実がここにあります。こんなにもひどい社会になっていたのかとあらためて思いました。放ったままにしておくと、もっとひどい社会になります。

 どうしたらいいのか。私たちに何ができるのか。ここがすごく大事です。

 ぷかぷかさん達は選別される側にいます。ですから彼らの働く福祉事業所としては他人事ではないし、放っておけないのです。

 私はどこまでも彼らの側に立とうと思っています。崇高な理念ではありません。ただただ彼らのことが好きなのです。いっしょに生きていく。その方がいい、その方がトク!だと思っています。彼らと出会う場、出会う機会があれば、人は変われます。人が変われば、社会が変わります。そのことにつきると思います。

 

 選別される側がかわいそう、というのではありません。選別される側の人たちは、実は魅力溢れる人たちだからです。彼らは、いることで社会を豊かにします。こんな人たちを選別し、排除することは、すごくもったいないことであり、社会がどんどん貧しくなります。

 彼らといっしょに生きていくことは、社会を救います。

 目次を見て下さい。たとえば第2章にある障がい者グループホームの建設に反対する人たちの問題は、もしそこに障害のある人たちと日々おつきあいしている人がいて「いや、障がいのある人たちも楽しいよ。いっぺん会ってみようよ」って提案し、反対している人達が実際に会うことになれば、反対運動は多分その根拠を失います。反対運動の根拠は、ただ彼らを知らないことから生まれているからです。

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 こんな人たちと一度でも会ったら、もう反対なんかできません。とがった心がいつの間にか丸くなります。

 

 その章で紹介されている青葉メゾンの話。ここが立つ時も建設反対運動があり、それに対して施設側が機動隊を導入し、泥沼状態でした。私は友人と間に入ってなんとか話し合いで解決しようとしたのですが、反対する側も、施設を建てる側も、リーダーがひどすぎました。こじれた原因はこのリーダーの資質が大きかったと思います。

 あれから20年。今地域の人たちと施設の人たちはとても仲良くやっているそうです。運営する人たちの努力が見えます。それでも、その一番の功労者は施設を利用する障がいのある人たちだったと思います。彼らの日々の姿が地域の人たちの心を少しずつほぐしていったのだと思います。

 彼らは、いることで社会を豊かにします。それは今、ぷかぷかを運営していて、いちばん思うことです。     

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 この本、ぷかぷかに何冊かおいておきます。手に取ってご覧下さい。ああ、これは他人事ではないな、と思ったらぜひ買って下さい。

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