ぷかぷか日記

プレゼンテーション原稿

  明日横浜市経済観光局商業コミュニティビジネス課の空き店舗を活用するビジネスプランのプレゼンテーションがあるので、大慌てで原稿を書いた。直前に霧が丘グリーンタウンの空き店舗を使うことがほぼ決まったので、そこでどう関係を作っていくかでいろいろ考えた。ひょっとしたらなかなかおもしろくなりそう。以下、明日の原稿。

 「 高崎といいます。街の中に障がいのある人たちの働く場を作ろうと思っています。具体的にはパンを作り、それを販売するお店です。彼らの中にはうまくおしゃべりができなかったり、字が読めなかったり、簡単な足し算もできない人もいます。でも、そんなことをはるかに超えた人としての魅力を持っています。


 私は養護学校で30年彼らとつきあってきました。自分の中にある人間のイメージを大きくはみ出す人も多く、初めのころは戸惑うことばかりでした。でも、いろいろつきあってみると、私たちにはない,なんともいえない魅力をたくさん持っていて、この人たちとはずっと一緒に生きていきたいと思うようになりました。一緒に生きていった方が「得!」という感じです。彼らと一緒にいると毎日が楽しいからです。教えられるものがたくさんあるからです。


 昔、私がまだ学生の頃、胎児性水俣病の子どもを抱きながら、「この子は宝子ばい」と言っていたお母さんがいて、その「宝子」の意味がどうしてもわかりませんでした。重い障がいをもった子が、どうして「宝子」なのか、ということです。でも、障がいのある子どもたちと30年付き合ってきた今、「宝子」という言葉に込めたお母さんの思いが痛いほどわかるようになりました。ぎすぎすした息苦しい今の世の中にあって、ただそこにいるだけで心安らぐような雰囲気を作ってくれる彼らの存在は、やはり「宝」といっていい存在だと思うのです。

 そういう「宝」が、かつてあったおおらかさがなくなり、どんどん息苦しくなっていく今の社会には必要なんじゃないか、私はそんな風に思います。街の人たちに、そんな「宝」のような存在に出会ってほしい。彼らと一緒に街の中でパン屋を始める理由のいちばん根っこにはそんな思いがあります。


 とはいうものの、彼らと一緒に働くことは、生産性の面からみると、極めて厳しいものがあります。彼ら抜きで働いた方が、ずっと効率はいいでしょう。でも、効率のみを追い続ける社会はお互いがとてもしんどくなります。世の中に一つくらいは、効率のよさを追わないところがあってもいいのではないか。彼らの働くペースを見て、なにかほっとするようなものを感じるなら、それは社会の中にあってとても大事な場所になると思います。効率を追う社会の中で疲れ切った人が「ああ、こういう働き方もあったか」と気がつくなら、それは一つの救いにもなるでしょう。


 そこそこ食べられればいい。効率のいい稼ぎより、彼らと一緒に楽しく、お互いが「い一日だったね」って言えるような働き方をあえて選びたいと思うのです。もちろん最低限、パン屋を回していくだけの働き方は必要です。その働き方のレベルをどう設定するか、そこが大きな問題になると思います。

 霧が丘グリーンタウンの空き店舗を利用する予定です。人通りがほとんどない商店街で、外販を主にするにしてもお店に人が来ないのはやはり問題なので、お客さんを呼び込む工夫をいろいろしたいと思います。
すぐ近くに保育園があるので、試食用のパンを持っていきます。アトピーの子どもにも安心して食べさせられる素材(牛乳、卵、脱脂粉乳などを使わない)を使った美味しいパンを職員、保護者に配ります。若い母親たちに受け入れられれば、その人たちのつながりを使ってパンの宣伝をします。
機会があれば、保育園の子どもたちを対象にパン教室をやり、子どもたちと一緒においしいパンを焼きたいと思います。子どもたちはパンをこねたり、生地で形を作ったりするのが好きなので、こういう機会を何度か持ちたい。もちろん親の参加も自由。オーブンの中でパンがふくふくと膨らむ様子を子どもたちは大はしゃぎで見ています。そういうわくわくするような場を子どもたちに提供したいと思います。


 子どもと親を対象にした陶芸教室もやってみたい。自分で作ったコップにミルクを入れ、自分で作ったお皿にパンをのせて食べよう。きっといつもと違う味がするはず。親は自分で作ったコーヒーカップにおいしいコーヒーを入れ、自分で作ったお皿にはこれも自分で焼いたスコーンをのせ、自家製のジャムをはさんで食べよう。


 以前担任していた子どもの親がグリーンタウンの自治会の役員をやっていたので、そのつながりを通してパンの宣伝をします。自治会のお祭りに参加し、みんなでバームクーヘンを焼いたり、肉まんを売ったりします。バームクーヘンは炭火の上に太い竹をかざし、その上に生地をお玉で少しづつのせ、竹をぐるぐる回しながら時間をかけて焼きます。そういった楽しいイベントを通して地域の人たちとつながりを作りたい。

 お祭りといえば焼き鳥、焼きそばが定番だが、そんな中でバームクーヘンを焼いたり、肉まんの販売はかなり注目を浴びるだろう。とてもいい宣伝になると思う。
地域の人たちといい関係ができれば、障害のある人たちも入れて演劇ワークショップもやってみたい。演劇という、日常から少し自由になる空間の中でお互いのいい出会いがあればいいなと思う。地域の人たちが障害のある人たちと一緒に舞台に立つことができれば、すごいことではないかと思う。


 カフェベーカリーぷかぷかは、ただ単にパンを売るだけでなく、地域の人たちと一緒に楽しいことをたくさんやって、いい関係を作りたいと思っています。その関係つくりの結果の中でパンが売れ、障がいのある人たちの存在が自然に受け入れられ、地域の「宝」のような存在になればと思っています。」


 霧が丘での関係づくりの企画を考えているうちに、なんだか自分でもだんだん元気になってきたので、この調子で行けば、明日のプレゼンテーションはなんとなくうまくいきそうな気がする。おもしろい企画、元気な企画がいい、と説明会であったので、ひょっとしたら横浜市と神奈川県、合わせて650万円ゲットかも。


場所が決まらない

  7月17日
今日、横浜市経済観光局コミュニティビジネス振興課に行って、空き店舗活用のビジネスプランのヒアリングを受けてきました。販売ルート、販売方法、仕入れ先などがまだまだ不明確、という指摘を受けました。30日に審査員5名を前にしたプレゼンテーションがあるので、それまでにそのあたりをもう少し具体的に詰めておきたいと思っています。プレゼンテーションには20団体がエントリーしていて、審査に通るのは2~3団体なので、よほどインパクトあるプレゼンテーションをしないとかなり厳しい状況です。何かいいアイデアがありましたら教えて下さい。審査員はコミュニティビジネス振興課が外部から呼ぶ専門家です。


 今、最大の問題は場所が決まらないことです。ビジネスプランの収支計算で見えてきたことは、ぷかぷかの生産高で借りられるのは、月10万円から15万円の場所で(先日提出したビジネスプランは月25万円を前提にしていますが、これだと3年経ってもまだ赤字が解消できなくて、これはやはりまずいと思います)、坪1万円から1万5千円が相場の中山商店街では、ぷかぷかの趣旨に賛同し、これなら安く貸してもいい、という奇特な方が現れない限り、かなり難しいかなという気がします。必要なスペースはパン工房、店舗合わせて20~30坪です。格安で貸してくれるところ、あるいは奇特な方、ご存知でしたら、ぜひ紹介して下さい。


 緑区霧が丘のグリーンタウンの空き店舗は月11万円くらいで、しかもチャレンジスペースとして半年家賃が無料なので、なんとも魅力的なのですが、土曜日の午後現地を見に行った時は、人通りが全くありませんでした。だから半年間家賃ただ、という条件を出さないとテナントが集まらないのでしょう。外販を主にするにしても、お店にお客さんが来ないというのもさびしいものがあります。どうしたものか思案しています。みなさんのご意見お聞かせ下さい。


NPO法人の申請をした

  神奈川県にNPO法人の申請をし、何度か書き直した末、ようやく受理された。2ヶ月間縦覧し、その後県の方できちんと審査し、3ヶ月後に認証される見通しだという。

 認証はともかく、もう少し、組織の実態としてしっかりさせなければと思う。お手伝い感覚の人が多いのだが、もう少し積極的に参加してもらうためにはどうすればいいのか。お手伝い感覚では困るといったところで、そこを超えてやるかどうかは、それぞれが本来持っている性格のようなものなので、こちらがとやかく言う筋合いのものでもない。そこが難しいところだ。副理事をやっている塩田さんのようなかかわり方が欲しいのだが、難しいのかなぁ。


 場所の選定をどうするか。都市機構の団地の空き店舗はチャレンジスペースとして半年間家賃がただなのだが、人通りが全くなく、外販を主にするにしても、お店に全くお客がこないのもさびしいものがある。1年くらいそこで修業して、中山に乗り込もうかと思ったが、オーブンメーカーの社長から、設備を据え付けるのならそこに根を張るつもりでやらなければだめだと言われた。それに中山を離れると「げん木」はついてこない。これが大きい。「げん木」が一緒にこなければ、ランチタイムのメニューがとても貧しくなるような気がする。


 とにかく中山商店街の空き店舗の価格が高すぎる。ひょっとしたらあまり困ってないのかも、と思ったりする。

 中山と十日市場との中間にある園芸店の敷地を借りる案はうまくすればかなりおもしろいものになりそうだ。花を買いに来た人がちょっと一息ついてお茶を飲むスペースを提供する。ついでにおいしいごはんを食べたりパンを買ったりする。パンを買いに来た人が花も買う。お互い損はしないのではないかと思う。先日飛び込みで行って断られたが、丁寧に説明すれば可能性がないでもない。


 横浜市経済観光局コミュニティビジネス課の主催する空き店舗を利用した商店街活性化のためのビジネスプランを提出した。中山商店街が難しそうなのでやめようかと思っていたのだが、手を上げるだけあげといたら、とアドバイスされ、書類を提出した。親切に待っていてくれたので、ひょっとしたら可能性があるのかも。


 NPO法人の書類、空き店舗のビジネスプランを見たい方はメール下さい。


コンサルタントに相談しました

昨日、TRIFEの手島さんに会っていろいろお話をお伺いしました。
http://trife.cocolog-nifty.com/blog/cat5873239/index.html
http://sellthechallenge.cocolog-nifty.com/blog/
コンサルタントをやっているだけに事業を立ち上げていく上での実践的なアドバイスをいただきました。

天然酵母を使うにせよ、ただ美味しいパン、というウリだけでは負けてしまう。
ここにしかないもの、ここでしかできないものを創り出さないと、もっと美味しいパンを売るお店ができればすぐに負けてしまう。
中山周辺にあるものとからませるような「物語」ができるといい。

たとえば有名なズーラシアのゾウやオカピのうんこを使って有機農業をやり、そこで取れた小麦を使ったパンを作れば、エネルギーの循環サイクルができ、これは地元で大きな話題になるし、その循環サイクルに協力しようという人はたくさんいるはず。
更には地元でできる素材でパンの材料になるものを探し、ぷかぷかでしかできないパンを作れば、ほかのパン屋ができても簡単には負けない。
横浜商科大学とコラボレーションをやって、どうやったら事業として成功するか一緒に考える。
中山周辺にある「浜梨」を使ったパン、お店に来たくなるような企画、お店に来ると楽しくなる企画、幸せな気分になる企画、等々、とにかくいろんなアイデアをもらいました。なんだかおもしろくなりそうです。

中山でしかできないもの、ぷかぷかでしかできないもの、オリジナルな企画を募集します。おもしろいアイデアをお寄せ下さい。

Pさんへ

 いつも貴重なご意見ありがとうございます。制度は利用するものであって、利用されるものではない。全くそうですね。ただ支援センターの人たちと「福祉の制度の中で何がどこまでできるか」について話をしていて感じたのは、彼らにとって大事なのはあくまで《作業所》という《場》であって、《パン屋》ではないということです。あたりまえといえばあたりまえなのですが、早い話、カフェベーカリーぷかぷかで売っているパンが売れ残っても、彼らにとってはどうでもいいことで、カフェベーカリーぷかぷかという場が存続すればいいわけです。だから私が売れ残りが多いと赤字になると、その販売についていろいろ悩んだりすると、そんなことよりもメンバーさんのケアの方が大事ではないか、というわけです。パン屋にとっては売れ残りが出るのは大変な問題だと思うのですが、どうもそのあたりで認識のズレがあるのです。


 ぷかぷかは商品としてのパンを作り、ちゃんとした喫茶店をやろうと思っていますので、スタッフを支援センターが想定するよりも3人多く見積もっています。その3人分の人件費をパンの売り上げでまかなうとすると、パンを必死になって作る必要があり、そうなるとメンバーさんのケアはどうなるのかと心配するのです。


 借入金(パン屋はオーブンなどの初期設備にお金がかかるため、ぷかぷかはかなりの借入金の上でスタートします)の返済に関しても、そのためにパン屋の営業に力を入れすぎると、メンバーさんのケアがおろそかになるのではないか、というのです。


 私は作業所によくあるぬるま湯のような雰囲気(それほどがんばって仕事をしなくても《場》が維持できるという気楽さ)ではなく、緊張感ある雰囲気の中でメンバーさんと一緒にパン屋の仕事をきっちりやっていきたいと考えているのですが、どうもそのあたりがうまく伝わらないようです。緊張感があってこそ仕事は人を成長させ、人生を充実させ、人生に自信を持たせるのではないでしょうか。


 ところが、彼らにとってはパン屋は付け足しのようなもので、全力投球で取り組むようなものではないのです。工賃をあげることには賛成だが、あくまでほどほどに、という感じのようです。ですから支援センターのホームページにある「自主製品の販路拡大事業」にも、わざわざ市長の写真と挨拶を載せながらも《本気》が感じられないのです。あれで販路が飛躍的に拡大できるとは到底思えません。


 これに比べると横浜市のコミュニティビジネス支援事業http//www.cbsmiles.jp/
 の方が、はるかに前向きの視点で事業をやっている気がします。ここにはぷかぷかの設立案ができた時に「空き店舗を活用した商店街活性化事業」として相談に行ったのですが、かなり興味を持ってくれて、そのすぐあとにあった第1回のパン教室に様子を見に来てくれました。同じ企画案を見ていながら支援センターとは反応が全く違います。支援センターは毎回案内出してるのに、まだ一度もパン教室にも来ていません。アンテナの感度が違うのではないかと思います。


 コミュニティビジネス支援事業の課長さんが送ってくれた資料の中で見つけたTRY OUR LIFEhttp://trife.cocolog-nifty.com/blog/cat5646054/index.html
に紹介されている製品は本当にビジネスの世界に通用するものだと思います。


 支援センターにはこういう魅力ある商品を作り出す、とか見つけ出す、といったセンスは感じられません。ぷかぷかでやろうとしていることがなかなか伝わらないのはこのあたりのセンスの問題かなとも思います。

 ハンディのある人を10人も集めて始めるのではなく、小さなパン屋でハンディのある人に3,4人来てもらってこじんまりと始めるのもいいかなと思っています。あくまでハンディのある人たちと《一緒に働く》というスタンスです。《支援》ではないのです。そしてできれば自立生活できるだけの給料(最賃)を払ってあげたいと思っています。かなりがんばる必要がありますが、福祉ベンチャーパートナーズのセミナーhttp://www.fvp.co.jp/semeve/20090314/index.phpでビジネスプランを作る中で、これは十分可能な計画であることが見えてきました。プランができ上がり次第お見せしますのでまたご意見聞かせて下さい。


助成金なしで

  昨日障がい者支援センターに行き、助成金のことで話をしてきました。カフェベーカリーぷかぷかは障がい者自立支援法の中の「地域活動支援センター作業所型」に当てはまるので、障がいのある人が10人いて建物があれば年間1200万円の運営費の助成をするということだったのですが、話を詰めていくと、お金を出す以上、勝手なことをしてもらっては困る、いわゆる作業所としての機能を果たしてもらわないと困る、作業所は障がいのある人の居場所でもあり、仕事ができないひとのプログラムはどうするのか、メンバーさんの生活全般のケアはどうするのか、地域の障がい者のニーズを把握した上での事業なのか、ケースワーカー、養護学校進路担当、就労支援センターとの連携はとっているのか、等々、向こうは言いたい放題で、お金を出す立場というのはやはり「権力者」なんだとつくづく感じました。こんなお金をもらって不自由するより、お金なしで苦労しても自由にやった方がいい、と途中で帰ってきました。


 ただ障がいのある人の立場に立てば、のんびり毎日を過ごす場所と、しっかり仕事をする場所の選択があってもいいのではないかと思いました。現にぬるま湯のような雰囲気の作業所に通いながらも、やっぱり自分を試したい、しっかり仕事をやってみたいという人が、うちのパン教室に来ています。そういう人がどこかで自分を実現したいと思った時、支援センターの作ってきた作業所ではやはり対応できないのではないかと思います。


 企業に就職するのは難しいけれど、それでも自分なりにしっかり仕事をしたい、しっかりお金を稼ぎたい、そのお金で少しでも自立したい、と思っている人たちはたくさんいると思います。働くことはただお金を稼ぐといったことだけではなく、自分を実現することでもあり、人生を活性化させ、充実させます。ぷかぷかはそういうことができる場にしようと思っています。助成金なしの予算書を作ると、数値の上でもかなり厳しいことが見えてきます。でも、そこで勝負していくしかないなと思います。
 いろんな方からのアドバイス、お願いします。
 

福祉起業家

 福祉ベンチャーパートナーズの福祉起業家経営塾は養護学校で働く私にとってはとても新鮮な内容だった。


 福祉起業家とはとにかくやりたいからやるのであって、一つの自己実現であり、それは「福祉」とは全く発想が違う。やってあげるとかお世話するとか、まして指導するといったことではなく、とにかく一緒にやる、一緒に働くということ。そのことが好きで好きでしょうがないこと。ボランティア活動ではなく、経済活動であること。そこで働く障がいのある人たちはもちろん、自分自身も幸せになるということ。どれもこれも納得できることだった。


 「カフェベーカリーぷかぷか」は私自身の漠然とした思いでスタートし、イメージを作ってきたが、福祉起業家とは何か、の話を聞いて、まさに「カフェベーカリーぷかぷか」がやろうとしていることはこれだ!とあらためて気がついた。


 養護学校で知的障がいのある人たちと毎日お付き合いしていて、彼らのことが本当に好きになってしまった。彼らとずぅっと一緒に生きていきたいと思っている。なんとなく一緒、ではなく、しっかりと一緒に生きていきたいと思う。その一つの手段が「カフェベーカリーぷかぷか」だ。経済的に成り立たせるにはかなりの苦労が予想される。でもその苦労も楽しみながらみんなでやっていきたいと思う。福祉の枠に寄りかかることなく、自分たちの力でしっかり立ちたいと思う。

福祉の制度を使って商売

 障がい者支援センターの話によれば「カフェベーカリーぷかぷか」は障害者自立支援法にある「地域活動支援センター作業所型」にあたるそうで、障がいのある人が10人働いていて場所が確保できていれば年間約1200万円くらいの助成金がでるという。

 作業所であってもうちはパン屋としてしっかり仕事をやって、しっかり儲ける予定です、といった話をしていたら、「福祉の制度を使って商売をするということですか?」なんて言われてしまった。


 作業所であっても、みんな暮らしていくためのお金を稼いでいるわけで、これは立派な商売ではないのか。ただ商売の仕方がはっきり言ってあまりうまくないというか、ちゃんとやっていこうという気持ちがあまりないように思う。喫茶店でありながら、駅の待合室のような雑然とした雰囲気であったり、一日のお客さんが数名で満足してたり、その気になればもっともっと売り上げが伸びるのに、その気がないのかどうか、現状はなかなか変わらない。このあたりは「福祉施設の発想」と題したブログに描いているのでぜひ読んで欲しい。


 助成金に乗っかっていれば、それほどがんばらなくてもとりあえず場所は維持できる。要はそれで満足するかどうかなのだが、「カフェベーカリーぷかぷか」はなんとなくぬるま湯のような場所にはしたくないなと思う。パンは天然酵母を使った思いっきり美味しいパンを焼きたいし、店頭販売はもちろん、出張販売、注文販売など、営業活動をしっかりやりたい。併設の喫茶店にはできればオーダーメイドの椅子、テーブルを置いて落ち着いた雰囲気を演出したいし、コーヒカップやお皿などはすべて手作りの陶器を使ってあたたかな雰囲気にしたい。美味しいコーヒーと安心して食べられるおいしいランチ、それになんとも楽しいメンバーさんたち。それらをウリにした喫茶店だ。(お店の雰囲気はホームページに書いています)
 銀行でも通用するようなしっかりしたビジネスプランを立て、しっかり稼ぎたいと思う。メンバーさんもスタッフも、がんばればがんばっただけ給料が増えるという、ごくあたりまえのシステムを作りたい。


 福祉の世界は「お金もうけを考えない」といった妙な思い込みがあるようだが、福祉の世界だって生身の人間が生きているわけで、霞を食べてやっていけるわけではない。しっかり稼いで、生活の基盤を整えることはまず第一にやるべきことだと思う。そしてしっかり働くことは障がいのある人たちのとって、なによりも生きる上での自信をつけることにつながっていく。
 カフェベーカリーぷかぷかは福祉の制度を使いながらしっかり商売をやりたいと思う。


ビジネスプラン

 NPO法人申請のための予算案ができてから、どうも話す相手を説得できてないなという気がしていた。計画が話だけで終わる段階はともかく、お金という具体的なものがからんでくる段階になると、情熱や思いだけではなかなか前へ進めないことが、人と話す中でだんだん見えてきた。

 たまたま福祉ベンチャーパートナーズ(http://www.fvp.co.jp)からの「福祉起業家経営塾」の案内メールの中にあった「福祉起業ビジネスプラン作成のポイント」「福祉起業のマーケティング戦略」「誰に」「何を」「どのように」提供するのか、といった言葉に、「ああ、これこれ、こういうことが今必要なんだ」と、なんだか救われたような気持ちになり、すぐに相談の電話をした。4日間のセミナーで、最終的に自分のビジネスプランをしっかり作るという。銀行に融資を依頼する際、このビジネスプランを持っていけば多分大丈夫といえるくらいしっかりしたプランだという。こういうものができれば、どこへ行っても計画をきちんと説明できる。


 いや、なによりも「カフェベーカリーぷかぷか」が街のパン屋としてちゃんとやっていけるかどうかが具体的に見えてくる。障がいのあるメンバーさんには年金とあわせればグループホームで自立生活が送れるだけの給料を払いたいし、スタッフにも生活に困らないだけの給料はきちんと払いたいと思っているのだが、そういったこともはっきり見えてくるだろう。そしてそれを実現させるためには何をどうすればいいのかも具体的に見えてくるだろう。
 セミナーの最終日4月11日にビジネスプランのプレゼンテーションがある。今からわくわく楽しみにしている。

ぷかぷかファンド

NPO法人ぷかぷかの申請書が完成した。
予算書が一番大変だったが、ベースはあったので、数値を入れ直すくらいでなんとか完成。
初期費用の助成金を出してくれるところが日本財団以外になかなか見つからなくてネットで探したり、電話をかけまくったりして、なんとか初期費用2400万円の70%位を助成金でまかなえそうなことが見えてきた。
自己資金が700万円くらい必要なので、これをどうやって集めるかが大きな課題だ。

寄付と借金になると思うが、ただ「寄付」では芸がないので、「ぷかぷかファンド」というのを立ち上げてみようかと思う。
障がいのある人たちが生き生きと働くことのできる場が街の中に実現することへの「投資」。
リターンはお金ではなく、街の中で働く彼らの笑顔であり、彼らと出会うことで街の人たちが得る心のあたたかさのようなものだ。

法人の目的にある【この法人は、障がいのある人たちが地域の中で生き生きと働くお店《カフェベーカリーぷかぷか》を運営する事業を行う。
美味しいパンを作り、売るお店だ。街の中に彼らの働くお店があることで、たくさんの人たちがパンを買いに来て、障がいのある人たちと出会う。
《カフェベーカリーぷかぷか》は美味しいパンを作って売るだけではなく、街の人たちが障がいのある人たちといい出会いをする場でもある。

出会いを積み重ねることで、街の中に障がいのある人がいて当たり前、更に進んで、街の中には障がいのある人がいた方がいい、彼らが街にいることで街の人たちが優しい気持ちをもてる、といったところまで行くといいと考える。
相手に対してお互い優しい気持ちを持てるなら、お互いがもっと暮らしやすい街になるだろう。そういう街こそ私たちが求める街であり、《カフェベーカリーぷかぷか》は街の中にお店を構えることで、そんなやさしさにあふれた街を作っていきたいと考える。

お店に来るお客さん、あるいは街の人たちを対象に障がいのある人たちと一緒に楽しめる様々なイベントを企画する。
イベントを通してお互いが出会い、かけがえのない仲間、同じ街に一緒に住んでいる楽しい仲間になることができれば、街は少しずつ変わっていくだろう。
パンを作って売ることに加えて、そういった企画をたくさん打ち出していきたい。】ということへ「投資」をする。
アメリカのウォール街とは全く発想の違う「投資」だ。こういう「投資」こそが、今必要なのではないかと思う。

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