べらべらおしゃべりばかりで仕事が進まないのは困りものだが、黙りこくったままの仕事場、というのもなんだか気詰まりな気がする。適度におしゃべりもし、笑いの絶えない職場がいいと思う。
先週から来ている実習生は、仕事中、一言も喋らなかった。仕事中は喋らない、という決まりを忠実に守っているようだった。でも「ぷかぷか」では、みんなして、あーだ、こーだ、おしゃべりしながら仕事をやっている。それでいて仕事はしっかり進める。何よりも仕事場が楽しい雰囲気だ。
実習生はふだん検品の仕事をしていて、これはやってもやっても終わりのない仕事だ。「そういう仕事って、辛くない?」って聞くと「仕事ですから」と見事な答え。若いのに“仕事は辛いもの”と割り切っているのだろう。それはしかし、寂しい“仕事観”だと思う。仕事は時間を仮に一日8時間とすると、単純計算で人生の三分の一を占める。この時間が辛いものだとすると、なんだかもったいないではないかと思う。
ま、でも、考えてみれば、養護学校で働いている頃は、そういうイメージで生徒たちに仕事の厳しさを教えていたなぁ、と思う。でも、自分で仕事場を立ち上げてみると、仕事が辛いのではやっていけないなと思う。辛い顔して焼いたパンなんておいしくないと思う。パンはいい顔して焼きたい。パンの味は焼く人のそんな思いをしっかり反映する。
仕事は楽しい!って心から思えること。それが一番大事なことだと思う。それを特に意識したわけではなかったが、「ぷかぷか」は自然にそういう雰囲気になっていた。
一日の終わりに「いい一日だったね」ってお互いがいえるような仕事をしたいと思う。
2週間目に入った実習生の顔がずいぶんやわらかくなり、仕事中もみんなと一緒に笑っている。仕事って楽しいんだ、って思ってくれたかな?