ぷかぷか日記

いい一日だったね

 べらべらおしゃべりばかりで仕事が進まないのは困りものだが、黙りこくったままの仕事場、というのもなんだか気詰まりな気がする。適度におしゃべりもし、笑いの絶えない職場がいいと思う。
 先週から来ている実習生は、仕事中、一言も喋らなかった。仕事中は喋らない、という決まりを忠実に守っているようだった。でも「ぷかぷか」では、みんなして、あーだ、こーだ、おしゃべりしながら仕事をやっている。それでいて仕事はしっかり進める。何よりも仕事場が楽しい雰囲気だ。
 実習生はふだん検品の仕事をしていて、これはやってもやっても終わりのない仕事だ。「そういう仕事って、辛くない?」って聞くと「仕事ですから」と見事な答え。若いのに“仕事は辛いもの”と割り切っているのだろう。それはしかし、寂しい“仕事観”だと思う。仕事は時間を仮に一日8時間とすると、単純計算で人生の三分の一を占める。この時間が辛いものだとすると、なんだかもったいないではないかと思う。
 ま、でも、考えてみれば、養護学校で働いている頃は、そういうイメージで生徒たちに仕事の厳しさを教えていたなぁ、と思う。でも、自分で仕事場を立ち上げてみると、仕事が辛いのではやっていけないなと思う。辛い顔して焼いたパンなんておいしくないと思う。パンはいい顔して焼きたい。パンの味は焼く人のそんな思いをしっかり反映する。
 仕事は楽しい!って心から思えること。それが一番大事なことだと思う。それを特に意識したわけではなかったが、「ぷかぷか」は自然にそういう雰囲気になっていた。
 一日の終わりに「いい一日だったね」ってお互いがいえるような仕事をしたいと思う。

 2週間目に入った実習生の顔がずいぶんやわらかくなり、仕事中もみんなと一緒に笑っている。仕事って楽しいんだ、って思ってくれたかな?

ツジ君、好きだよ

 障害者と健常者の交流などという薄っぺらな関係を一気に超えてしまったようなすてきな関係が、ちょっと目を離した隙にできてしまいました。それがこの写真。

f:id:pukapuka-pan:20150216155725p:plain

 何を耳打ちしているのか、竣くんのツジ君へのあたたかな思いがしっかり伝わってくる。
 竣くんにとってツジ君は障害者なんかではない。時々よくわからないことをしゃべってるけど、すっごく楽しいお兄さん、話し相手になってくれる頼りがいのあるお兄さん、て感じだろう。
 ぷかぷかが地域で作ろうとした関係を、パン作りの合間にさらっと作ってしまった3人に乾杯!
 

パン教室

 計画停電で中断していたパン教室を久しぶりに再開。26名もの参加で、大にぎわい。シンプルな丸パン、子どもたちの大好きな動物パン、昨日畑からとってきたばかりのブルーベリーを使ったブルーベリークリームパン、ネパールカレー、カスタードクリームを作りました。
 今回初参加のダウン症の女の子は初めての場所で緊張したせいか、元気がなかったのですが、ブルーベリーパンをカスタードクリームの上にのせる作業が気に入ったのか、一人で次々にのせて、のせるたびに元気になったようでした。
 ツジ君のおしゃべりが気に入ったのか、小学校1年生の双子の兄弟がまとわりついていました。ツジ君もいつになく楽しそうにおしゃべりしていました。こういう思ってもみない関係ができるところがパン教室のいいところかなと思いました。
 お店に近所に住む子どもがツジ君に耳打ちしている写真、こんな関係ができたことに感動してしまいました。メンバーさんが地域で生きる、というのはこういう関係ができることだとあらためて思いました。それにしても、こんなすてきな関係をパン作りの合間を縫ってさらっと作ってしまうツジ君の力にあらためて脱帽です。

声が聞こえると…

瀬谷区役所のケースワーカーさんと話す機会があった。ケースワーカーさんの職場は区役所の3階、パンの外販は2階。普段はほとんど音なんか聞こえないし、気にもしないのだが、ぷかぷかが外販にきたときだけは、ツジくんの「パンはいかがですか?」のよく通る声が3階まで響き、「あ、来た!」となんだかうれしくなってしまうという話をしてくれた。そんなにも区役所の中でぷかぷかの外販が定着していたのか、とうれしくなった。

 今日は緑区役所に外販に行ったのだが、初めてぷかぷかのパンを食べた人が、しばらくしてまた買いに来てくれて、「おいしかったぁ。もうひとつください」と。うれしいですね、こういう反応は。

お好み焼き付きダンスワークショップ

ワークショップをやれそうなスペースが確保できそうなので、久しぶりにワークショップをやることにした。題して「お好み焼き付きダンスワークショップ」。メンバーさんとやるので、どこかでお昼を食べなきゃならないし、どうしようか考えていたのだが、たまたま会場近くの地区センターの調理室が開いていたので、そこでお好み焼きをみんなで作ることにした。
 8月の夏休み中の料理教室でカレーをメンバーさんだけで作ったところ、グループによっては、野菜をモヤシ、なす、大根、キャベツを買ったところもあって、なかなかおもしろいカレーができた。僕なんかが口を出したんではこんなおもしろいカレーはできない。
 今度のお好み焼きもどんなものができあがるのか全く予想が立たないのだが、みんなが必死になって作る緊張感がいいと思う。自分たちだけでいろいろ工夫して作ること、それが大事だと思う。失敗してもたかがお好み焼き。
 ワークショップはダンスをやる人と組んで、その場の雰囲気で適当にやる予定。2時間くらいしかないので、たいしたワークショップはできないのでが、それでも本当に何年ぶりかのワークショップなので、ちょっとわくわくしている。この「わくわく」をメンバーさん達と共有できたら、と思う。

 カレーを作ったときに思ったのだが、人と一緒に何かを作る、という経験がほとんどないことだった。いつも大人に指示されていろんなことはやってきたけれど、仲間と一緒にいろいろ議論したり、一緒に考えて何かを作る、といった経験がないから、グループを作っても、そこから先の作業がなかなか始まらなかった。自閉的な傾向のある人が多く、人と関係を作ることが難しいことはわかるが、それにしても、という感じ。誰かと一緒に何かを作る経験を積み重ねて、たくさんの人たちに出会ってほしいと思う。
 

しっかり仕事をやってますね

 「ぷかぷか」を見学にきた方が「あちこち見学にいきましたが、ここほど仕事をしているところはありませんでした。ここは本当にしっかり仕事をやってるんですね」と言っていた。「見学に行った事業所はたいてい組み立てなどの軽作業をやっていて、何をやっているのかよくわからないところが多いですね。ぷかぷかは何をやっているかひと目でわかるし、利用者さんも自分のやってることがわかるので生き生きとして仕事をやっていますね」
 よく見てる人だなと思った。子どもにしっかり仕事をさせたい、という思いが、見る目を鍛えたんだと思う。「ぷかぷか」のやろうとしていることを一目で見抜いたのはすごいと思った。

 最初から特に意識してやってきたわけではなく、彼らと一緒に仕事がしたい、と思いながらやっていたら自然にこうなった、と言った方がいい。彼らがどこまで仕事ができるか不安がない訳ではなかったが、その不安を吹き飛ばすくらい、今、みんなよく仕事をやっている。もちろん最初はいろいろ大変だった。それでも半年経ち、1年経つと、彼らは確実に仕事を覚え、彼ら抜きで「ぷかぷか」は成り立たないくらいになっている。彼らと一緒に仕事をする、一緒に生きていく、ということの意味が「ぷかぷか」では目に見える形になっている。

 パン屋はスタッフも必死になって働かないと、経営が成り立たない。この必死さが、メンバーさんにもしっかり伝わっているのだと思う。当たり前の話だが、仕事は真剣勝負。だから仕事はおもしろい。
 

ブルーベリー

「ぷかぷか」から歩いて20分くらいのところに「新治市民の森」がある。横浜にこんなに自然の豊かなところがあったのかとびっくりするほどのところだ。その市民の森のはずれにブルーベリーの農園がある。オーナーさんは普段はサラリーマンをやり、週末にやってきてはブルーベリーを育て、今年で10年になるという。年間で700キロぐらいとれるのだが、実際に使っているのはその半分くらいで、残りは落下しているという。「ぷかぷか」で摘み取り、ジャムなりパンに使ってもらえればうれしいという。すばらしい話だ。
 7月からメンバーさんも増え、仕事をさがしていたので、ちょうどいいと思った。ブルーベリーを摘み取るだけではなく、ついでに草取りもして帰れば、オーナーさんにとっても都合がいい。蜂がいるのが難点だが、それくらいのリスクはしょうがない。
 地元でとれた無農薬のブルーベリージャム、ブルーベリーのデニッシュなど作れば、かなり価値のある商品になる。
 ちょうど「ぷかぷかカフェ」をリニューアルオープンするので、そこで出す予定の自家製ヨーグルトにこのブルーベリージャムをつければヒット間違いなし。
 これからが楽しみだ。

 

元気をもらう

 先週の土曜日、メンバーさんたちとハイキングに出かけた。久しぶりの山道は本当に気持ちよかった。山道を歩きながら、ツジさんはよくわからないお話をしゃべり続け、コンノさんはちびまる子ちゃんのお話をしていた。二人ともとにかく疲れを知らない歩きっぷり。
 4時間ほどで山道は終わり、温泉へ。しみじみ気持ちのいい温泉だった。こんなにゆったりした気持ちになれたのは『ぷかぷか』が始まって以来だ。決して経営がうまくいっているわけではないのでが、それでもメンバーさんと山を歩き、温泉に入るゆとりができた、ということだろう。
 大きな湯船の中でもツジさんはずっとしゃべりっぱなしだった。ほかのお客さんもこのおしゃべりを結構楽しんでるようだった。

 楽しんでるといえば、木曜日の瀬谷区役所での外販、ついに3万円を突破。1年前始めた頃は6,000円~
7,000円だったのだが、今週はなんと33,000円。約5倍だ。たまたま河原さんがビデオ撮影していて、お客さんにインタビューしたところ、毎週楽しみにしている、パンがおいしい、のほかに、彼らに会うと元気になります、というのがあった。
 これ、すごくいい!と思いました。そう、この一年、どうにもうまくいかなくて、何度かめげそうになりながらも、何とか続けてこられたのも、彼らに元気をもらったからだ、とあらためて思った。
 

詩の朗読をするパン教室

 第5回パン教室。今回も30名近い参加者で、大にぎわい。半分くらいは子どもたちで、楽しい限り。子どもたちは本当に真剣そのもの。集中力がすごいと思う。生地をこねたり、野菜を小さく切ったり、こういうことは学校でも家庭でも、なかなか体験できないのだろう。何をやってもものすごく新鮮なまなざしで取り組んでいる。自分で作ることの楽しさを知ってほしいなと思う。
 今回はカレーパン、肉まん、あんパンと具材作りにかなり手間ひまかかったが、はじめてのひとが多いにも関わらず、めげずにこなした。苦労して作った分、揚げたてのカレーパン、蒸したての肉まん、焼き立てのアンパンはことの他おいしかったようだ。
 詩の朗読もやった。長田弘さんの「イタリアの女に教えてもらったこと」という詩だ。どうしてパン教室で詩の朗読なの?という質問が出そうだが、どうしてパン教室で詩の朗読があっていけないの?と思う。詩を朗読するなんて、普段まず体験できないことで、そんなことが体験できるパン教室こそ、貴重な場だと思う。みんなの前に立って詩を読むことで、読む方も聞く方もお互いが元気になれば、と思う。

 

最近の日記
カテゴリ
タグ
月別アーカイブ