夏休み、高校の先生が研修に来た。その感想。
私はパンが大好きな、「ぷかぷか」の(売上にはそんなに貢献できていない)客の一人で、ぷかぷかの工事をしている時から、「どんなお店ができるのかな」とワクワクしながら待っていました。この夏、「異業種他社のお仕事を経験してきなさい」という職場の命令で、2日間、ぷかぷか工房で研修をさせていただきました。
ドキドキしながら初めて工房に参りますと、「おはようございます!」と、利用者さんが元気に挨拶してくださって、自分が受け入れられている、今日ここに、私の居場所があるんだという実感がわきました。いつもどたばたと家事をこなして、青息吐息で職場に着く私は、同僚や生徒さんを、こういう気持ちにしてあげられているだろうかと反省させられました。
研修では、私も大好きなキャラメルナッツクッキーを、利用者のKさんと二人で作りました。いつもクッキーのチーフ的なお仕事をされているYさんがお休みで、Kさんも私もドキドキです。レシピを見ながら一所懸命作ったのですが、なんだか「いつもとは違う」出来栄えに…。
Kさんは、「いつもはこんなふうじゃない」という不安と、「初めて一人で作ったんだから…」という気持ちで揺れ動いています(所詮、研修生の私は数には数えられていません…笑)。Kさんは、「ついて行って、一緒に謝りましょうか?」という私の声を振り切って、一人でパン屋さんへ、焼くばっかりになった鉄板を運んでいきました。
待つこと1時間…、店長の高崎さんが「Kさん、クッキー焼けたよ!ちゃんと焼けてるよ!」と、持って来てくれました。その時のKさんの顔。「みんなの反応が気になるじゃん」と、みなさんに一枚ずつ配っています。初めての仕事ができて、人から認められるというのは、こんなに嬉しいことだったんだよなぁ~と、目頭が熱くなりました。
1日の仕事が終わったら、「帰りの会」でお当番さんが「良い一日でしたか?」と聞きます。良い一日だった人は手を挙げて、どう良かったのかを発表します。別の利用者のAさんは、「外販で知り合いの先生に会って、『頑張ってるね』って褒められました。私はお勧めのパンを紹介して、お釣りを渡しました。初めて金庫の係りをしました」と発表。Aさんは外販から帰ってきた時も、「今日ね、金庫の係りしたの」と報告して下さったのです。本当に、嬉しかったんですね!
うっとりしたようなAさんのお顔を見ながら、研修では迷惑をかけっぱなしだったけど、何かの形でこの人たちを、応援したいなーと、強く思いました。
ラスクにシュガーバターを塗ることを、根気強く教えているスタッフの方に、「厳しいね、怒ってるの?」と無邪気に返す利用者さんの、コントのような掛け合い。利用者さんとスタッフ、30人分の昼食を、ひたすら丁寧に作り続ける人たち(この日は、山形の出汁が美味しかった~。細かく切った野菜が最高!)。生きていて、きっとつらいことは私たちと同じようにあるはずなのに、ハート全開で他の人を受け入れて、働くことを楽しんでいる人たちの存在が、本当にまぶしかったのです。
いい出会いがあったんだなと思う。その結果、この先生は子どもを預けている保育園の仲間に「ぷかぷか」で働く人たちと友達になりませんか?本当に素敵な人たちですよ。こんな人たちとは友達になった方が絶対に「得!」ですよ、って呼びかけたいといっている。
こういう関係が地域の中で広がっていくと、社会はもっともっと優しい顔を持つのかなと思う。