ぷかぷか日記

大入り袋

 区役所からイベント用になんと5万円分のラスクの注文が入りました。5万円分のラスクというとかなりの量で、消費期限を考えると、わずか2週間くらいで、その量を作ることになります。ふだん作っている量の倍くらいです。利用者さんに相当がんばってもらうことになります。

 ただがんばって作りましょう、ではつまらないので、予定量を達成できた暁には、全員に「大入り袋」を進呈!ということにしました。中身はパンチケット500円分です。毎月の皆勤賞がパンチケット1,000円分ですから、かなり割のいい「大入り袋」になります。

 福祉事業所で短期間決戦の仕事をがんばれば「大入り袋」がでるなんて聞いたことがないですね。このあたりが「ぷかぷか」の楽しいところだと思います。

 「ぷかぷか」を立ち上げる前に「福祉起業家経営塾」というセミナーを受けました。その時に一番印象に残ったのは「福祉起業家」の概念でした。

 福祉起業家とは、とにかくやりたいからやるのであって、一つの自己実現であり、それは「福祉」とは全く発想が違う、といいます。やってあげるとか、お世話するとか、まして指導するといったことではなく、

 ・とにかく一緒にやる、一緒に働くということ。

 ・そのことが好きで好きでしようがないこと。

 ・ボランティア活動ではなく、経済活動であること。

 ・そこで働く障がいのある人たちはもちろん、自分自身も幸せになるということ。

 

 まさに「ぷかぷか」がやっていることだと思いました。「大入り袋」の思いつきも、福祉起業家ならではの発想ですね。

 

そうじ

 今日は土曜日で、クッキー、ラスクの仕事がないので、近くの公園の掃除をしました。久しぶりの秋晴れで、とても気持ちのいい掃除でした。

 つい最近、工房の近くの家の方から「うるさい」と注意されたこともあって(利用者さんの声がうるさく聞こえるらしい)、仕事のない土曜日はなるべく公園の掃除をしています。近所の方もよく見ているので、「ご苦労様です」と声をかけてくれる方もいます。

 いずれにしても近所つきあいは大事にしたいと思っています。

 掃除のあと、休憩がてら、来週ある運動会の練習、ということで、公園で「けんけん競争」をやったら、みんなすごく張り切っていました。こういうところで張り切るのが、彼らのいいところです。

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ライオンが泣いちゃう

 ツジ君はのべつおしゃべりしていて、世界の都市名であったり、クラシックの作曲家であったり、教科書に載っているお話であったり、聞いてると結構楽しいものがあります。

 今日は創作のお話だったようで、「ぷかぷかに来ないと、ライオンが泣いちゃう」といい、楽しそうに絵を描いていました。その時の絵がこれです。

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養護学校の卒業生

 養護学校の卒業生が、この10年で2倍になっているそうです。横浜市の場合、平成15年度の卒業生は301人、平成25年度は677人、というデータが出ています。

 学校にいる間は、生徒の減った県立高校の空き教室を使って養護学校の分教室という形で生徒の増加に対応していますが、卒業後はそうもいきません。卒業生の約7割は福祉事業所に行きますが、どこも満杯状態です。行政からはお金も出ないので、いずれは行き場所のない人たちが巷にあふれることになります。

 今度書く本には「ぷかぷか」を立ち上げる意味を知ってもらうために、そういった卒業生の状況も書いた方がいいとアドバイスを受け、一応書いてはみたのですが、普通の人にとっては養護学校の卒業生が増えて行き場がなくなっても、別に関係ないじゃん、といわれれば、それまでで、そこをどうやってつなぐかで悩みました。

 で、思いついたのが「宝」の話。惚れ込んだ障がいのある人たちは、ある意味、街の「宝」ではないかと思っています。ならばこの「宝」をほったらかしにしておくのはもったいない話です。「宝」は大事に扱うと街が豊かになるからです。逆に粗末に扱うと、街は貧しくなります。

 「宝」は山の中ではなく、人の中にあってはじめて「宝」としての意味があります。人の中にある、というのは、街の中で働く、ということです。ですから街の中に彼らの働く場を作ることは、街の「宝」として大事にすることであり、そのことはいずれ街を豊かにすることにつながると思うのです。

 ご意見いただけると嬉しいです。pukapuka@ked.biglobe.ne.jp

 

 

レストラン

 お店から5,6分のところにあるレストランから、パンを使ってみたいという連絡が入りました。

 区役所の区政推進課では地産地消を進めていて、毎月地場野菜の中からひとつ選んで、レストランやカフェに依頼して地場野菜を使うメニューを考えてもらい、区の広報で宣伝する、ということをやっています。今月は「ぷかぷか」が冬瓜を使ったメニューを考え、カフェで冬瓜スープ、パン屋では冬瓜のコンポートをのせたデニッシュを出しました。

 で、来月のメニューを頼みにいったレストランで、近くにおいしいパン屋はないか聞かれ、担当者は迷わず「ぷかぷか」のパンを紹介した、というわけです。

 健康な野菜を使うメニューをウリにしていて、女性客が98%を占めるお店でした。ごはんとパンが選べるのですが、大手のパン屋のパンを使っているので、反応がいまいちという感じだそうで、近くのおいしいパンがあれば使ってみたいということでした。

 「ぷかぷかカフェ」では女性に大人気のパンなので、絶対に受けますよ、とおすすめしてきました。このあたり、実績を積んでいるだけに、本当に自信を持ってすすめることができました。

 100席以上もある大きなレストランなので、ひょっとしてヒットしたりしたら、作りきれるんだろうかと心配してしまいました。20席の小さなカフェでも、時々パンが足りなくなって困るくらいですから。

 レストランでは食事で「ぷかぷか」のパンのおいしさを知った人のために、販売コーナーにパンも並べるそうで、「ぷかぷかしんぶん」も置いていいですよ、といわれました。おもしろい広がりが期待できそうです。

縁日

 商店会の縁日がありました。利用者さんたちがボウリング、輪投げ、ゴルフのゲームをやり、おまけにポップコーンをつけました。いずれもペットボトルを使った他愛ないゲームで、どちらかといえば幼児向けかなと思っていたのですが、小学生あたりが結構楽しんでいて、予想以上の盛り上がりでした。インド人学校が近いせいか、インド人の子どもたちもたくさん来ました。

 ふだんほとんど人通りのない商店街ですが、今日ばかりはウソのような人出。要するにおもしろい企画を出せばこれくらいの人が来る、というわけで、「ぷかぷか」も3軒長屋ができあがったら、おもしろ企画をどんどん立てよう、と思ったのでした。

 ぷかぷか三軒長屋については「ぷかぷか」のホームページ(「ぷかぷかパン」で「検索」)の「ぷかぷか三軒長屋」のタグをクリックして下さい。

http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?ぷかぷか3軒長屋

 

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アートの先に

 ある養護学校にぷかぷかアート部門の説明に行きました。たまたまそこに昔ワークショップを一緒にやっていたイデグチくんを知っている教員がいて、あの人は本当に楽しい人だったね、という話になりました。

 ワークショップの進行役をやっていた黒テントの役者ものけぞるほどの存在感があり、芝居の役者がいくら稽古を積んでも到達できない立ち居振る舞いを、ごく自然にやってのけていて、とにかくなんともいえないおもしろみのある人でした。ワークショップという場にとっては、本当に欠かせない存在でした。

 こういう人とはいっしょに生きていった方が「得!」という気持ちは、彼のような存在が育ててくれたように思います。

 彼が動く、話す、黙る、すべてがそのまま舞台になり、そのままアートだった気がします。そんなすばらしい存在が、実際の世間ではほとんど認められない、というか、彼の存在価値が生かせない現実世界がなんとも寂しい気がしました。

 アート部門の先には、彼のような存在もしっかり認められるような世界を創り出したい、という思いがあります。

 

 

 

物語が生まれそうなアート商品

利用者さんが作った織物を使ってかわいい人形を作しました。ホームページにアップするための写真を公園の草の上で撮ったところ、そこから物語が生まれそうな写真が撮れました。ホームページにも載っていますので、どうぞご覧下さい。

物語を発信するパン屋

 ぷかぷかの本の“前書き”ができました。

 

物語を発信するパン屋

   2010年4月、霧ヶ丘の街に障がいのある人たちの働くパン屋ができました。「カフェベーカリーぷかぷか」というパン屋です。国産小麦、天然酵母を使ったおいしいパンを焼いています。

   パン屋は、利用者さんとの楽しい会話がひっきりなしに飛び交い、笑いが絶えません。レジのそばにはいつも一人ごとを言っている人がいます。時々厨房から飛び出してきて、「兄弟いますか?」「弟ですか?妹ですか?」なんて、お客さんに聞く人もいます。とにかくにぎやかで、それでいて、どこかあたたかい雰囲気のパン屋です。

   お客さんは、そんなお店にやってきて、おいしいパンと一緒に、心がぽっとあたたまるようなお土産を持って帰ります。ただのパン屋ではこんなことはありません。

   もともとこのパン屋は障がいのある人たちに惚れ込んでしまった高崎が、「彼らといっしょに生きていきたい」という思いで、退職金をはたいて作り、「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」「いっしょに生きていった方が“得!”」というメッセージを、パン屋のあらゆるところから発信しています。パン屋はですから、メッセージそのものであり、思いのこもった物語になります。

   お客さんはおいしいパンと一緒に、その心あたたまる物語をお土産にします。そうやってパン屋の物語は地域の中に少しずつ広がっていきます。その物語をこの本では書いてみたいと思います。

  一個のパンを買うことから始まる素敵な物語です。

 

  障がいのある人たちはいやだ

  口にはしないものの、障がいのある人たちのことを何となくいやだな、と思っている人は多いと思います。障害者施設の建設に関して、反対運動が起きることさえあります。とても悲しいことですが、これが障がいのある人たちの置かれた状況だろうと思います。

  これは障がいのある人たちに問題があるのではなく、彼らのことを知らないことによって生じる問題だと思います。何となく怖いとか、不気味、といった印象は、彼らのことを知らないことから生まれます。こういう印象が彼らを地域から排除してしまいます。

   彼らを排除する意識は、彼らの社会的生きにくさを生みます。彼らの生きにくい社会、他人の痛みを想像できない社会、異質なものを排除してしまう社会は、やはり誰にとっても生きにくい社会だろうと思います。これはお互いにとって不幸なことです。

   逆に、彼らが生きやすい社会、社会的弱者が生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会だろうと思います。そういう社会はどうやったらできるのか。その問いへの一つの答が街の中に障がいのある人たちのパン屋を作ることでした。

 

 パン屋は“出会い”の場

 

  障がいのある人たちのパン屋を街の中に作ることで、街の人たちと彼らがいい“出会い”をしてくれるといいなと思っていました。相手を知ること、そこが始まりです。

   パンを買う、という日常に中に、当たり前のように障がいのある人たちがいるということ、このことが大事だと思います。イベントなどの非日常の世界ではなく、毎日の暮らしの中で、当たり前のように彼らがいること。これがいつか、彼らがいて当たり前、というふうにみんなが思えるようになれば、社会は確実に変わって行くと思います。

  そんな思いで街の中に障がいのある人たちの働くパン屋を作りました。

 

 

 養護学校の卒業生がこの10年で2倍に

   養護学校に入学する生徒が増え、卒業生はこの10年で約2倍になりました。(横浜市の場合、平成15年度の卒業生は301人、平成25年度は677人)    

   学校にいる間は人数の減った高校の空き教室を使ったりして何とか対応できますが、卒業後の行き場は、そう簡単に増やすことはできません。特に卒業生の約7割を受け入れる福祉事業所はどこもパンパンにふくれあがっていると思います。行政が何らかの手を打たないと、いずれはどこにも行くところがない卒業生が巷にあふれることになります。

  そんな中で彼らが働くパン屋を始めたのでした。養護学校にいる頃は、この生徒増加の問題でいろいろ議論がありました。でもいくら議論しても状況が変わるわけではありません。ああだこうだの議論よりも、具体的に卒業生の働く場を作ることが大事、と退職金を使ってパン屋を立ち上げたのでした。

 

 四つの夢物語が…

   パン屋は、障がいのある人たちといっしょに生きていきたい、という思い、卒業生の働く場を作りたい、という思い、街の人たちと彼らが気持ちよく出会って欲しい、という思い、そういった出会いを積み重ね、お互いが気持ちよく生きていける街を作りたいという思い、そういう四つの夢物語を形にする場として街の中に立ち上がったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語が始まる

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 「ぷかぷか」の本を書こうと思って、今準備しています。

 障がいのある人たちの働く場が街の中にできると、素敵な物語が始まる、といった感じの本です。

 「ぷかぷか」は、ただ単に障がいのある人たちの働く場、ではありません。国産小麦、天然酵母のおいしいパンを売るだけのお店でもありません。二つの要素が組み合わさることで、新しい意味と広がりが生まれた気がしています。

 パン屋では笑い声が絶えません。利用者さんとの楽しい会話がひっきりなしに飛び交うからです。パン屋のレジのそばにはいつも独り言をぶつぶつ言っている人がいます。厨房から出てきて、いきなり「兄弟はいますか?」なんて、お客さんに聞いたりする人もいます。なんともうるさいパン屋ですが、なんともいえないあたたかな雰囲気があります。

 お客さんはおいしいパンと一緒に、そんなあたたかさを持って帰ります。パンを買いに来たはずなのに、心がぽっとあたたかくなって、ちょっといい気分で帰ることになるのです。ただのパン屋ならこんなことはありません。そこに「ぷかぷか」が街の中に存在する意味があります。

 ちょっといい気分で帰るお客さんが増えると、地域社会が少しずつ変わってきます。どちらかといえば、障がいのある人たちを地域社会から排除する目線が、多分、少し和らぎます。

 物語はまだ始まったばかりです。

 

 

 

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