かんさんがパン屋で実習した日、何を思ったか、厨房にあった麺棒をくるくる回し始めました。何をするのかなぁと思っていたら、くるくるくるくる回した最後に脇の下にぴたっと挟み込み、「孫悟空!」とぼそっといいました。みんな大笑いでした。
麺棒を見て如意棒を思い浮かぶなんて、なかなかできることではありません。思い浮かべるだけでなく、実際にくるくる回し、「孫悟空!」と決め台詞をつぶやくあたり、役者ですね、この人は。いずれにしても、想像力がすばらしく豊かでないとできないことです。
かんさんはかなり障害の重い人です。今まで生活介護の施設に通っていたそうです。「ぷかぷか」で働いているメンバーさんに比べると、かなり障害の重い感じの方ですが、アートについてはすばらしい力を発揮してくれました。
お地蔵さんにしても、天気予報のホワイトボードにしても、かんさんにしかできない作品です。要は、こういうすばらしい力をうまく引き出すかどうか、だと思います。
重い障がいがあるから何もできない、と思ってしまうと、その通りになってしまいます。でも、粘土を用意し、一緒にお地蔵さん作ってみたら、実に味のある、表情豊かなお地蔵さんを作ってくれました。写真をアップで撮ったら、自然に物語がうまれました。21日の「お話に夢中のお地蔵さん」を見てください。
朝の会の連絡に使っていたホワイトボードに、ちょっと目を離したすきに、かんさんは楽しい天気予報の絵をびっしりと描いていました。見てるだけで幸せを感じるような絵でした。ぜひみなさんに見てほしいと思い、カフェの入り口に飾りました。23日の「タイトルはかわいいお天気の絵」を見てください。
こういう作品は、見る人をとても幸せな気分にしてくれます。こういう作品に出会うことで、私たちの心は豊かになっていくのだと思います。
かんさんはわずか4日間の実習で、こんなにもすばらしいものを残していってくれました。こういう人は本当に世の中の「宝」だと思います。