ぷかぷか日記

高級百貨店に利用者さんの声が

 昨日、藤が丘の自然食品店「マザーズ」にパンの販売の写真を撮りに行った際、社長にばったり会い、

 「東急沿線にある某百貨店の地下にマザーズの売り場があって、そこにぷかぷかのコーナーを作るので、パンとお総菜売ってください」

という依頼がありました。

 百貨店の地下と言えばちょっと高級な食品売り場のイメージがあるのですが、その一角にマザーズのお店があり、ものすごい売り上げがあるそうです。そこでぷかぷかのパンとお総菜を売ったらどうか、という提案です。

 利用者さんにもぜひ販売に来てください、ということでした。百貨店の地下は売り込みの声がにぎやかですが、その中にぷかぷかの利用者さんの声が混じると、どんな雰囲気になるんだろうかと思います。

 高級な百貨店は、利用者さんの社会的な位置から言えば、やはり対極に位置しているとも言えます。そこで彼らの働くお店で作ったパンやお総菜を、彼ら自身が売る、ということを考えると、いろんな意味で、なんだか痛快な気がして、いいじゃんいいじゃんと思うのです。

 高級百貨店の地下売り場に、利用者さんたちの声が響き渡り、瀬谷区役所や緑区役所のように行列ができたりしたら、それこそ、やったー!って感じです。

甘夏ジャムと甘夏パン

 オレンジブレッドはぷかぷかの人気商品です。このパンは、ぷかぷかを立ち上げる前、パン屋を始める気持ちをみんなで高めるために毎月パン教室を開いていて、そのときに使った白神酵母を使ったパンの本に載っていたものです。オレンジピールは既製品のものを使っていましたが、私は天草の知り合いから取り寄せた無農薬の甘夏の皮で作り、それをパン生地に練り込んで作りました。これは本当においしいパンでした。パン生地のおいしさと自分で作ったオレンジピールのおいしさです。

 そのパンが予想を超えて人気商品になりました。さわやかな香りがして、3月から6月の季節限定商品なので、楽しみにしているお客さんがたくさんいます。

 たまたま今年その甘夏で作ったママレードを売り出したところ、瓶のラベルは「ママレード」、利用者さんの描いたミカンの絵のそばには「オレンジジャム」、ネームプレートには「甘夏ジャム」と描いてあり、要するに担当者ごとに自分の思いで名前をつけていたようでした。

 これはまずいと、いろいろ考え、「甘夏ジャム」に統一しました。オレンジブレッドの「オレンジ」は、何となくワックスが塗ってあるイメージがあったからです。オレンジそのものには罪はないのですが…

 オレンジの名前がまずいならオレンジブレッドも、ということで、甘夏パンに変更することにしました。ストレートに材料がわかり、ブレッドよりパンの方が素朴な響きがあります。

 「甘夏ジャム」と「甘夏パン」、よろしくお願いします。

しんごっち、半年ぶりにぷかぷかへ

 しんごっちが半年ぶりにぷかぷかへ顔を出しました。

 自宅療養していたものの、具合が悪くなり、一時はもうだめかも、と思ったこともありました。それがこの4週間くらいで、奇跡といっていいほどの回復ぶりを見せました。寝たきりの状態から車いすに乗れるようになり、食事も普通にとれるようになり、3日前には自宅近くのジョナサンまで車いすで出かけてランチをし、昨日、2回目の外出でぷかぷかまでやってきたのでした。

 ぷかぷかに来ることは病院を退院したあとしんごっちの大きな目標でした。パン屋に来てみんなの歓声に囲まれてうれしそうにしているしんごっちを見ていると、よかったよなぁ、よかったよなぁ、って涙がこぼれてしまいました。

 腕まくりして注射のあとをみんなに見せ、

「ぼく、がんばったんだよ」

って、何度も言っていたしんごっち。本当に辛い治療に耐えたんだと思います。ほんとうによくがんばったよなぁ、偉い、偉い、と抱きしめてやりたいくらいでした。

 

 車いすに乗れるのは2時間ぐらい、と聞いていたので、カフェで食事をするくらいかな、と思っていたのですが、本人はパン屋、工房、カフェと全部行きたいと言ったそうで、その前向きの気持ちがすごくうれしく思いました。

 しんごっちにとって、ぷかぷかは自分を支えるものとして、本当に大切な場だったんだなとあらためて思いました。

 ぷかぷかは「就労支援」の場ですが、ここで働く人にとってはそれを超えるもっと大切な場なんだということをしんごっちに教えてもらった気がしています。

味覚の軸がぶれる

 マクロビオティックの弁当を食べました。メニューは

  ・小豆玄米とレーズン味噌

  ・菊芋とほうれん草のキッシュ

  ・人参とルッコラの花のサラダ

  ・ほうれん草と麻の実のおひたし

  ・あらめとキャベツの和え物

  ・紅芯大根の浅漬け(ゆず)

  ・カリフラワーの木の芽和え

 お弁当を作った方の話によると、たとえ味見にしても肉や乳製品を食べると

「味覚の軸がぶれる」そうです。

 すごい表現だなと思いましたが、弁当を食べて、納得しました。野菜がとにかくおいしくて、それぞれに季節の香りがほんのりして、そのほんのり香る、というあたりが「味覚の軸」なのかと思いました。これがぶれると、この「ほんのり香る」という絶妙さがなくなってしまうのかと思いました。

 

 近々「おひさまの台所」でも出せればと思っています。

 

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できないことがあるからこそ、できることがある。

 ぷかぷかのメンバーさんは、一人ではいろいろできないことがあります。でも、できないことがあるからこそ、できることがある、ことがだんだんわかってきました。

 つい先日、「ぷかぷかしんぶん」を配っていたメンバーさんが迷子になりました。迷子になったメンバーさんは、帰り道がわからなくなり、近くにいた地域の方に、帰り道がわからなくなって困っていることを伝えました。その方は時々ぷかぷかのパンを買いに来られる方で、「ぷかぷかしんぶん」も読んでいる方でした。その方はすぐパン屋に電話を入れてくれ、スタッフが迎えに行きました。迎えに行くまで、その方が、迷子になって不安になっているメンバーさんの側についていてくれました。

 今日もその方が、迷子になった方は大丈夫でしたか?と心配してくださいました。

 メンバーさんがみんなしっかりしていて、迷子にならなかったら、こんな「物語」は生まれなかったと思います。できないことがあるからこそできたことだと思います。

 

 先日ケンさんが作った郵便局の人たちとの楽しい関係を紹介しましたが、ケンさんがいろいろできないことがあるからこそできた関係です。ケンさんが普通の人だったら、お互い

「いいとも!」

なんて言い合う楽しい時間は作れなかったと思います。ケンさんのおかげで郵便局のおねぇさんたちが一瞬自由になれた、ともいえると思います。仕事中に「いいとも!」なんて、普通は言いません。言えません、といった方がいいでしょう。でも、ケンさんがいたことで、一瞬でもそういうことが言い合えた、そういう和やかな雰囲気ができたというのは、やはりすごいことだと思うのです。

 ぷかぷかでいろんな物語が生まれたのも、メンバーさんのおかげです。メンバーさんがいなければ、ただのパン屋で、いろんな楽しい物語は生まれなかったと思います。ホームページにいろんな物語がぎっしり詰まっているのも、彼らのおかげです。

 そういったことを考えていくと、支えられているのは実は私たちの方だとあらためて思います。

 いろんなことができないからこそ、いろんな人が、そのできないところを補い、そのことで新しい関係が生まれ、新しい物語が生まれたんだと思います。

 

 もう30年くらい前、なおちゃんというかわいい女の子がいました。なおちゃんには障がいがありました。お母さんはなおちゃんが小さな頃から、将来生きていく場を作る準備を仲間のお母さんたちといっしょに始めました。バザーを何度もやっていく中で地域に少しずつ応援する人たちも増え、そんな関係の中で小さな作業所がスタートしました。毎年行われるお祭りには地域のたくさんの人たちがやってきて、作業所を支えている人たちの層の厚さがそのまま出ているようでした。作業所はやがて社会福祉法人になり、今は大きな福祉事業所になっています。なおちゃんというかわいい女の子から始まった小さな物語が、こんな大きな福祉事業所に発展したのです。

 できないことはだめ、みたいな風潮がありますが、でも、できない人がいることで、新しいつながりができ、それがどんどん広がって、大きな福祉事業所に発展することもあるのです。

 できないことは、ですから、侮れないのです。

 

 

米寿のプレゼント

  母が米寿を迎え、何かプレゼントしようと、ネットでいろいろ調べました。一番多いのがなぜか黄色いちゃんちゃんこだそうで、こんなものプレゼントしても何の意味もないなと思いました。で、いろいろ考え、パソコンをプレゼントすることにしました。今までパソコンはさわったこともありません。ですからインターネットの世界も全く知らなくて、私が作っているぷかぷかのホームページも見たことがありません。

 88歳で足下もおぼつかないような状態なので、パソコンに挑戦するのは本当に大冒険です。でも、インターネットの世界と出会い、自分の世界がぐ〜んと広がるなら、88歳にして人生が更に前向きになります。

 で、今日、母の部屋(介護付き老人ホームにいます)でインターネットの設定をしてきました。パソコンはMacです。電源を入れ、Safariを立ち上げるだけなのですが、マウスでSafariをクリックする、というたったそれだけのことが母にとっては実に大変なことであることが実際にやってみてよくわかりました。それでも1時間くらいマウスをさわっていると、だんだん要領がわかってきたようでした。

 母は棟方志功の版画が好きです。Yahooの検索ページで「棟方志功」と入れると、版画がたくさん出てきました。リンクの張ってある版画をクリックすると、また新しい版画がずらずらっと出てきました。そのことに本当に驚いたようでした。

 部屋には棟方志功の分厚い版画集があるのですが、その何倍も広がる世界を見て、本当にびっくりしたようでした。新しい世界との出会いを感じました。

 88歳にして、更にわくわくするようなものが見つかるなら、黄色いちゃんちゃんこよりはるかに意味のあるプレゼントになると思いました。

いいとも!

 毎朝、お天気ボードを描いているケンさんといっしょに、カフェにお天気ボードを届け、写真を撮ったあと、郵便局に売上金を入金に行きます。

 ケンさんは郵便局に着くと大きな声で

「おはようございます!」

と、あいさつします。はじめはみんなびっくりして、ちょっと引いた感じがあったのですが、毎日あいさつを繰り返しているうちに、ケンさんはこういう人なんだということがだんだんわかってきて、笑顔で対応してくれます。こういう変化がいいなと思いました。

 同じ地域の中で、「ぷかぷか」の事業拡大計画に、障害者施設が広がっていくことが「不気味だ」といった人がいて、かなりがっかりしたことがあるのですが、郵便局の人たちの変化を見ていると、また希望が持てます。

 この間なんかケンさんが

「いいとも!」

って、手を振り上げると、窓口の女性もいっしょに

「いいとも!」

って、手を振り上げてくれて、本当にうれしく思いました。こういう関係をちょっとずつ広げていきたいと思いました。

お茶とバームクーヘンと「力」

 ありがとうカードにお茶とバームクーヘンと「力」の文字を書いた人がいました。どういう意味が聞いても、よくわかりませんでした。うまく説明できなくても、彼の中にはお茶とバームクーヘンと「力」の文字を結ぶ物語があったのだと思います。どんな物語なんだろうと想像するのが楽しいですね。

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タイタニック号

  もっちゃんがまたまたすごい絵を描いてくれました。タイタニック号の船室です。なぜか日本郵船になっています。船室を見ていくと「西洋客室」「中華客室」「和風客室」「1等客室」〜4等客室」とあり、個室には名前が入っています。「映画室」「職員室」「分煙室」それに「乾燥室」というのもあります。なぜか「調理室」の隣には「山寺」があります。

 どんな物語を作りながらこの絵を描いたんだろう、と思います。

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ある日こんな絵が壁に

 ある日気がつくとこんな楽しい絵が壁に貼ってありました。

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こんな絵も貼ってありました。

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笠地蔵の大行進の絵も貼ってありました。

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 お地蔵さんの大行列のそばをトラックが走っている、というレイアウトがなんとも楽しいです。

 本人はそれほど意識もせず、チャッチャッと貼り付けたのだと思うのですが、意識もせずにこういう絵を壁に貼り付けるセンスがすばらしいと思うのです。

 こんな絵の貼ってある部屋で仕事ができる幸せを思います。

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