ぷかぷか日記

まーさんを舞台に立たせた心の動き

  ぷかぷかの4周年のイベントでやったデフパペットシアターのマキノさんのパフォーマンスが「かっこいい!」と絶賛し、ぜひ弟子入りしたいと言っていたまーさんが、ワークショップに参加しました。ワークショップはデフパペットシアターにいろいろ協力をお願いしていて、マキノさんのパフォーマンスがあるからです。

 マキノさんは「演技がうまいとか、おもしろいとか言われたことはありますが、かっこいい!と言われたのは初めてだったので、とてもうれしい」と言ってました。

 ワークショップが始まってからも、なんとなく壁際で「俺はいいよ」という感じで、帽子を深くかぶり、マスクをしてうずくまっているまーさんに、マキノさんはこまめに声をかけ、何とか中に引っ張り込んでくれました。

 「あれは、声をかけて下さい、と言うポーズですよ」とマキノさんは言っていましたが、マキノさんが声をかけると「待ってました」という感じでうれしそうな顔してみんなの中に入ってきました。

 一緒に人形作りを始めてから、まーさんに笑顔が出始めました。作っている人形は『森は生きている』に登場する12月(月)の神さまの一人5月の神さまです。

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 このあと季節毎に簡単なお話を作ったのですが、まーさんは5月の神さまを持って登場し、鯉のぼりがはためいていました。

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  まーさんはマキノさんに弟子入りするために、まずはマキノさんの稽古を見に行くことにしました。デフパペットシアターの稽古場は川崎の外れにあって駅からも遠く、とても不便なのですが、それでもまーさんは行ってみる、と言ったので、一緒に行くことにしました。

 これでようやく気持ちが前向きになり、仕事にも来るかな、と思っていたのですが、今日は休んでしまいました。今まであの手この手でぷかぷかに何とか来てもらっていたのですが、今回はもうやめました。ぷかぷかを辞めても、何か新しい展望があるわけではありません。ただ気持ちが仕事に向かないだけなのです。

 マキノさんと一緒に人形を作り、舞台に立って動き回った、と言うことは、仕事では決して見られなかった心の動きがあったのだと思います。まーさんを舞台に立たせた心の動きこそ、今信じたいと思うのです。明日まーさんと連絡とって稽古場に行く日にちの約束をしようと思っています。

 

 

人形に魂を入れて 第2回ワークショップ

 第2回、「みんなでワークショップ」をやりました。今回は12月(月)の神さまの人形を作りました。こういうものつくりは場がものすごく集中して、ワークショップらしい、とてもいい雰囲気でした。

 直径15ミリの丸棒に新聞紙を丸めて芯にした頭にじぶんの好きな布を巻き付けて人形を作っていきます。いろんな布があって、その中から自分の好きな色、柄の布を選んで人形を作る作業は、ふだんの仕事にはない楽しさがあって、ぷかぷかの利用者さんにとっては、新鮮な体験だったようです。

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 人形に魂を入れるのがむつかしかった、と言った方がいましたが、それでも一生懸命思いを込めて作ると自然に魂がこもるのか、人形を横たえるとき、まるで赤ん坊を横たえるように、丁寧に丁寧に横たえていました。

 できあがった人形を手に持ってお披露目するとき、デフパペットシアターのスタッフの方が、人形の口から息を吸い込むように息をしましょう、とおっしゃっていましたが、人形と一体化するというのはそういうことかと思いました。

 人形と一緒に楽しそうに歩いたり、悲しそうに歩いたり、怒って歩いたり、ジュンベの音で支えてもらいました。

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  春、夏、秋、冬の四つのグループに分かれ、それぞれの季節の「はじまり」「中程」「終わり」を入れたお話を作り、発表しました。

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  次回は今回作った季節のお話に、マツユキソウやわがままな王女様のお話を入れていく予定です。

 次回は8月16日(土)です。いっしょにやってみたい方、連絡下さい。 

 電話453-8511(NPO法人ぷかぷか 高崎)もしくは

  メール pukapuka@ked.biglobe.ne.jp でお問い合わせ下さい。

 

 

 

 

 

 

おひさまの台所 順調にスタート

 「おひさまの台所」が順調にスタートしました。パン屋よりもたくさんお客さんが来ています。

 お総菜屋のアイデアは、1年ほど前に給食の担当になったイモさんの料理がすばらしくおいしくて、なんだか自分たちだけで食べるのはもったいない気がしていました。あるとき、

「おかずを多めに作って、お惣菜屋をやったらはやるんじゃないかなぁ」

と言い出したのがそのそもの始まり。それにパン屋の隣の空き店舗がくっついて「ぷかぷか三軒長屋」の構想が浮かびました。

 その後、イモさんの昔の仲間のタギさんがカフェに入り、ランチの味がぐんとアップし、お客さんがずいぶん増えました。このタギさんの作るお惣菜もおいしくて、マザーズの社長が絶賛していました。イモさんの作る給食も気に入って(社長はぷかぷかの雰囲気を知りたいとわざわざ給食を食べに来ました)、この味は飲み屋に出しても恥ずかしくない、とべたほめでした。

 このイモさん、タギさんに、この春、マクロビ料理を作る若いアイさんが加わって「おひさまの台所がスタートしたのですが、毎日毎日新しいメニューが登場し、三人の実力を見た気がしました。

 とにかく材料さえあれば、チャッチャッと作ってしまう感じで、未だにレシピなどといったものは見たことがありません。アイさんは毎日野菜から元気をもらいます、といっていましたが、三人とも料理をしているときは本当に元気です。

 イモさん、タギさんの料理は昔からの日本の味、お袋の味で、どこかホッとします。アイさんのマクロビ料理は今まで味わったことのない絶妙なおいしさで、この二つのコラボが「おひさまの台所」です。

 「今日のおすすめお惣菜」としてホームページに毎日写真とコメントをアップしています。「おひさまの台所」のページには、そのお惣菜の写真が毎日4,5枚増えていきますので、1年後にはすばらしい記録ができあがると思います。

 

http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?おひさまの台所

 

 

 

 

 

しんぶんがにぎやかに

 ぷかぷかしんぶん7月号ができあがりました。今までA4の紙を両面印刷して半分に折り、4ページのしんぶんでしたが、今月から「おひさまの台所」と「アート屋わんど」のページが増え、全部で6ページになりました。それぞれの担当が書いているので、ページ毎に雰囲気が違い、とてもにぎやかなしんぶんになりました。

 ぷかぷかは2010年の4月からスタートし、8月から「ぷかぷかしんぶん」がスタートしました。月一回、1000部くらいからスタートし、今は5000部印刷して配布しています。今月で48号になります。紙面作りは、ほとんど一人でやってきましたが、1年ほど前から、パン屋とカフェのページを担当者に任せるようになり、しんぶんの雰囲気にも幅が出るようになりました。そして今回は私を入れて5人で作っていますので、本当ににぎやかな紙面になりました。

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賭場で壺をふる男が取り戻した豊かさ

 ある助成金の贈呈式で、障がいのある子どもたちの支援をしているグループの発表がありました。個別支援計画をしっかり立て、支援目標もきちんと設定していて、とてもまじめに活動しているグループでした。ただ、支援、支援で、途中で、「もういいよ」という気分になりました。

 人は誰かを支援するのが好きなんですね。生き生きとした表情で語れば語るほど、この人は支援することで自分を支えているんだと思いました。(この業界にはそういう人が多いですよね)

 とてもいいことだとは思いますが、支援というのはやっぱり上から目線の関係で、一緒に生きていく関係とは少し違う気がします。ですから一緒に生きていくところから生まれる豊かさもどこかへ行ってしまいます。

 

 藤沢周平の「暁のひかり」という小作品があります。窖(あなぐら)のような賭場で壺ふりをやっているやくざの男の小さな物語です。

 明け方、賭場から出ての帰り道、足の不自由な少女に出会います。少女は竹の棒をついて一生懸命歩く練習をしていました。足がよろけ、倒れてしまいます。男は助けようとしますが、

「私にかまわないで、一人で歩く稽古をしているんだから」

と、断ります。その拒絶が男の胸に快く響きます。明るく澄んだ声音。

からだも竹もぶるぶる震えるほどの力を振り絞って少女は立ち上がろうとします。

「ほら、もうちょっとだ」

と、男は思わず声をかけます。倒れそうになったらいつでも抱き留められるように両手をさしのべます。

 ついに少女は一人で立ち上がります。竹に縋って立つと、少女は額の汗を拭いて、男を見て笑います。

「よかったな」

男も笑います。

 そんなやりとりが、やくざの世界に身を置く男のすさみきった心にあたたかな、幸せな気持ちを呼び起こします。少女に鏡を作ると約束し、堅気の世界に戻ろうとしますが、甘い結末はありません。

 

 足の不自由な少女との出会いが人にもたらす豊かさを、窖のような賭場で壺を振るやくざの男の心の微妙な変化を通して、鮮やかに描き出しているように思いました。

  障がいのある人たちと一緒に生きていく、というのは、私たちが見失っている豊かさをもういっぺん取り戻すことなのだと思います。そして、ぷかぷかはこういう豊かさの種を少しずつ街に蒔いて、街を耕していこうと思うのです。

 

 

 

マキノさんがかっこよかったです

 まーさんは仕事がとてもよくできる方で、戦力としてとても期待をしているのですが、いまいちモチベーションが上がらないというか、仕事がおもしろいと感じてないようです。言われたことはよくやるのですが、そこから先を自分で考えて前へ進むと言うことがありません。

 パンの「焼きの仕事」は焼き上がったパンを見る楽しさがあり、一番おもしろい仕事なのですが、それを任されながら、もっとやってみよう、という気持ちがなかなか出てきません。

 仕事に前向きになる気持ちは、自分でおもしろい仕事をたくさん経験し、その中で培っていくしかないと思うのですが、そのおもしろい仕事を経験しながら、なおもそういう気持ちが出てこない方はどうすればいいんだろうと思います。

 朝になると、毎日のようにまーさんは暗い顔して

「もうぷかぷかをやめます」

とか言ってきます。ぷかぷかを辞めて何かもっと楽しい仕事をする、というわけでもありません。ですからぷかぷかを辞めてほかのところへ行っても、何も変わりません。

「まーさんが今一番やりたいことは何?」

「なにもありません」

「最近おもしろいなって思ったことは?」

「4周年の記念イベントでやったデフパペットシアターのマキノさんのパフォーマンスです」

「あの聾唖の人のパフォーマンス?」

「そう、すごくかっこよかったです」

「ああいうのやってみたいんですか?」

「はい」

「じゃぁ、マキノさんに弟子入りしますか?」

「僕にできるかなぁ、多分だめですよ」

「そんなことやってみなきゃわからないよ。はじめからだめだ、なんて言ってたら何もはじまらないよ。電話して頼んでみるから、とにかく一緒にマキノさんの事務所に行ってみよう」

ということで、すぐにデフパペットシアターに電話。あいにくマキノさんは種子島に公演に出かけていて、今月末でないと帰ってきません。それでもデフパペの制作の方が取り次いでくれて、何とか会いに行けそう。

 マキノさんに会って弟子入りを申し込むにしても、かなりハードルは高いのですが、それでもまーさんの心が少しでも前向きに動いてくれれば、と思っています。

 そのマキノさんのパフォーマンスが22日(日)午後7時からNHK Eテレの「みんなの手話」で紹介されます。そのマキノさんは6月から始めた「みんなでワークショップ」で進行役の一人として活躍しています。

http://www.nhk.or.jp/heart-net/syuwa/calendar/20140622.html#contents

おひさまの台所 開店しました。

 おひさまの台所が開店しました。おとぎの国の赤い扉から王子様とお姫様が登場し、開店のお知らせをし、お惣菜のメンバーさんで「あさ」という詩を朗読しました。ま、こんなことは別にやらなくてもいいようなものですが、メンバーさんたちは緊張しながら一生懸命朗読していました。ふだんの暮らしの中に「詩を朗読する」時間が持てるなんてすてきだと思います。

 写真は詩の朗読が終わったあと、店長あいさんがあいさつしているところです。「おひさまの台所」の看板の文字はあいさんが書きました。

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 お客様が次々にやってきて、慣れない量り売りのレジが大変でした。

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 商品ケースの横の棚にマクロビの本がさりげなく置いてあったりして、なかなかいい雰囲気です。

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おひさまの台所を作ってくださった小林さんからのプレゼントです。すばらしい!のひとことです。このセンスでおひさまの台所を作ってもらいました。商品ケースの下に河原の石が埋め込まれていますが、パン屋でもこの石が使われています。

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おひさまの台所 看板ができました。

 

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 左側の赤い扉からは、明日、王子様とお姫様が出てきて、

 「おひさまの台所、今日、はじまります!」

と、宣言します。そのすてきな「今日」に「おはよう」ってあいさつする詩をメンバーさんが朗読します。

 店長あいさん(写真の青いシャツを着た女性)のあいさつがあり、いよいよお総菜屋さんスタートです。

 みんなわくわくしています。みんながわくわくするようなお店にしたいなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 

街を耕すお地蔵さん

 ケンさんの作ったお地蔵さんが焼き上がりました。こういうお地蔵さんが街を耕すんだと思います。大事にしたい宝のようなお地蔵さんです。

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街を耕すパン屋とカフェ

 「ぷかぷか」は「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを軸に、様々なメッセージを発信しています。「ぷかぷかしんぶん」、「ホームページ」、お店の雰囲気、様々なイベントなどを通して発信してきました。障がいのある人たちと地域の人たち、外販先、配達先のお客様たちとのたくさんの出会いも作ってきました。

 メッセージを発信し、すてきな出会いを作ってきたこと。それはある意味、街を耕してきた、といってもいいのではないかと思います。がちがちになって、お互いが息苦しくなった街を、手作業で耕してきたのではないかと。畑を耕して、土を軟らかくするように、みんなの心を柔らかく、あたたかくしてきたのではないかと思うのです。

 彼らもよぉくつきあってみると、なかなかいいところあるじゃん、すごいもの持ってるね、すっごく楽しい!と彼らのことを認める人たちがずいぶん増えました。何かができるとか、できないとか、そんなことで人を判断しがちな私たちの価値観をひょいと跳び越えるようなすてきな出会いがたくさんありました。そんな出会いを繰り返して、自然に街にはいろいろな人がいたほうがいいね、というふうになると、街は誰にとっても住みやすく、豊かになります。

 彼らとおつきあいすると、心がほぐれます。あたたかい気持ちになります。ほっと一息ついた気分になります。毎日が楽しいです。何よりも元気になります。おつきあいしていく上で、いろいろな苦労もあります。でもその苦労は、私たち自身を豊かにしてくれます。苦労することで人は豊かになっていくのですから。

 畑はよく耕すと、おいしい野菜をたくさん作ってくれます。街も同じようによく耕すと、私たちが心豊かになるものをたくさん生み出してくれるように思うのです。

 街の中にできた小さなパン屋とカフェ。そこでは障がいのある人たちが働いていて、毎日おいしいパンと食事をお客様に提供しています。それだけでなく、このパン屋とカフェは街を耕してもいたんだ、と最近気がつきました。

 

 

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