ぷかぷか日記

カンパーニュ

 カンパーニュがいい感じに焼けていたので撮りました。ソフトの不具合で、ちょっと画像がぶれます。ごめんなさい。

 

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「おかあさんといっしょ」と「ホラー映画」が好きです

 ぷかぷかしんぶん10月号の印刷に行きました。A5版6ページのしんぶんを5,000部印刷するには、2台の印刷機を使っても2時間かかります。500枚ずつ紙を補給したり、印刷した紙を裏返したり、いろいろやることはあるのですが、それでも印刷を待っている間はかなり時間をもてあまします。

 今日はナベさんがお手伝いで同行してくれたので、二人でいろいろ話をしました。

「家ではどんなテレビ見ますか?」

「おかあさんといっしょ」

「え?あの幼児が見る番組?」

「そうです」

ナベさんは今年20歳。なんてかわいい人なんだと思いました。

「テレビ見ながらお母さんと一緒に体操するの?」

「そうです」

ますますかわいくなりました。

「ほかに何を見ますか?」

「ホラー映画」

「え?あの、怖い映画?」

「そうです」

「怖くないの?」

「女の子がきゃーって叫ぶのが好きです」

「ナベさんは叫ばないの?」

「叫びません」

「ホラー映画好きな人は、ゾンビが友だちだと思って、家に遊びに来るんだけど、知ってる?」

「知りません」

「え?知らないの?それってまずいと思うよ」

「どうして?」

「だってゾンビがナベさんの家に遊びに来てるかもしれないんだよ。」

「来てません」

「じゃあ、今日、夜中にトイレに行ってみな」

「トイレ?」

「そう、トイレにゾンビが来てるかもしれないんだよ」

「夜中は寝ていて、トイレには行きません」

「ゾンビはナベさんのこと、友だちだと思っているから、見に行ってあげないと寂しがると思うよ」

「寂しがってません」

「ゾンビって、ああ見えて、実は寂しがり屋なんだよ」

「そんなことないです」

「いや、寂しがり屋です」

「そんなことありません」

「そんなに思うんなら、今日、布団で待ってるといいよ。寂しくなったゾンビがそーっと布団に潜り込んでくるよ」

「いや〜、怖いです。」

………

なんて楽しい話を印刷機を回しながら延々と話したのでした。

 

 

 

 

 

みんなが自由になれた場

  引き出しを整理していたら、昔養護学校でやっていた「しばいごや」の写真が出てきました。文化祭でステージに立つより、プレールームを使った舞台の方がみんなが楽しめる空間ができると,何年かこの「しばいごや」をやりました。

 その「しばいごや」で一番盛り上がったのが、この『魔女たちの朝 』でした。出演は子どもたち、そのお母さんたち、教員たち、スクールバスの運転手さん、介助員さん、ゲストのクラリネット奏者、ドラム奏者、たまたまやってきたフィリピン人の役者、その恋人等々。学校の教室とは思えないくらい、熱いエネルギーが渦巻く場が出現したのでした。

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 子どもたちのために買った絵本『魔女たちの朝』はこんなお話でした。

 …森の奥に住む魔女たちは、夜になって月が昇ると目を覚まします。魔女たちの朝が来たのです。こうもりのシチューを食べ、ホウキにまたがってみんなでお出かけ。月のまわりを輪になって踊る。遊び疲れ、夜がしらけ始めると明日の夜までぐっすりおやすみ…

 たったこれだけのお話でしたが、何かざわつくものがあって、

「これ、芝居にしたらもっとおもしろいんじゃない」

と口にしたのを、

「おもしろいねぇ、やろうやろう」

といった人がいて、芝居作りがスタートしたのでした。

 

『赤い月』という歌を最初に作りました。

♪ 大きな大きな赤い月 ゆらゆらゆらゆら登る夜、

  気持ちはひりひり、体はざわざわざわざわ

  こんな夜は こんな夜は 空を飛ぶしかない!

  こんな夜は こんな夜は 空を飛ぶしかない! ない! ない!! 

 

 『魔女たちの朝』は赤い月の昇った夜、みんなで熱く空を飛んだ物語だったように思うのです。

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お母さんたちはメイクをして怪しい魔女になり、ほうきにまたがって空を飛び、月の周りで踊りまくったのでした。

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お母さんたちのこういう姿がいいですね。誰かのお母さんではなく、私自身がそこに立つ、というのが。こんなふうに私自身を差し出すことができるのが『しばいごや』でした。子どもたちはふだん見ないお母さんたちにびっくりでした。でも、こういう出会いができるって、親子にとってとても大事なことだと思います。f:id:pukapuka-pan:20140928152935j:plain

 

後ろの背景画もみんなで描いたものです。ここにもエネルギーが渦巻いています。

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子どもたちも魔女になった気分?

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 スクールバスの運転手さんがカッコイイおじさんで登場。介助員のおばさんも派手なドレスにサングラス。

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 そしてフィナーレ。こういう開放感をみんなで共有できたのが『しばいごや』でした。

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  こんな場が学校の中でできたのは、今から思えば奇跡に近いことだったと思います。

 こういうことを一緒にやろう、といってくれた仲間がいたことと、こういうことができる学校の雰囲気が大きかったように思います。

 「しばいごや」はこのあと2年ほど続いたのですが、その後ほかの学校へ転勤し、10年くらいたって、またこの学校へ戻ってきたのですが、信じがたいくらいガチガチの雰囲気になっていて、とてもこんな自由な「しばいごや」をやる雰囲気ではありませんでした。

 時代が後ろ向きに進んでいる気がしました。みんながあれだけ自由になれた場はどこへ行ってしまったのでしょう。学校は何を大事にしているのかと思いました。

小さなピザ屋に車いす用の広いトイレ

 「おひさまの台所」の改修工事をするとき、建設局から障害者施設なので車いす用トイレを設置するように言われました。ぷかぷかは知的障害の方たちのための施設なので、車いす用トイレは必要ありません、と言ったのですが、横浜市の条例でそうなっているので、そのようにして下さい、の一点張り。

 車いす用のトイレは普通のトイレに比べ、広いスペースが必要な上に、費用もかかります。不必要な物にお金をかけるゆとりはない事業者の思いは役所の人には想像すらできないようでした。

 やむなく作ったものの、最低限のスペースしか取っていないので、実際に車いすの人が使うと、かなり窮屈な思いをするだろうな、という感じのトイレです。車いすの人が使うことを考えていないとこういうトイレができる、という悪い見本のようなものです。

 

 「おひさまの台所」のちょうど真ん前あたりに新しいピザ屋ができて、先日ぷかぷかスタッフの歓送迎会をしました。薪の窯で焼く本格的なピザ屋です。薪で焼くくらいですから生地も具も本当においしいピザです。

 びっくりしたのはトイレ。15,6人入るといっぱいの小さなお店ですが、広々とした車いす用のトイレが設置されていました。ぷかぷかの車いす用トイレの3倍くらいのスペースがあるように思いました。便器に近づいただけでふたが自動的に開き、手の不自由な人にとってはとても助かります。介護の人が一緒に入っても十分なスペースがありました。使う人の身になってよく設計されていて、オーナーの配慮がよく伝わってきました。

 小さなお店であっても、こんなに広い車いす用のトイレをしっかり作るところにオーナーの姿勢を見た気がしました。

 

 

ぷかぷかの方が楽しい

  ほかの福祉事業所が運営するパン屋に行ってきたお客さんが

「やっぱりぷかぷかの方が楽しい雰囲気でいいですね」

と、レジスタッフに語ったそうで、うれしい話でした。

 ぷかぷかでは、仕事中おしゃべりしない、とか、よそ見しない、といった注意はしたことがありません。要するにそういう管理をしてないのです。ですからメンバーさんはみんな楽しそうにおしゃべりしながら仕事をしています。それがパン屋やカフェの楽しい雰囲気を作りだしています。

 カフェのお客さんも

「メンバーさんの笑顔がいいからまた行きたくなるんです」

とおっしゃってましたが、職場が楽しいと、お客さんも楽しくなるんだと思います。

 ある区役所では、外販に来ているたくさんの福祉事業所の中でぷかぷかがいちばんお客さんとの関係を広げている、と障害支援課の係長が言っていましたが、外販でもみんなが楽しく仕事をやっているからお客さんがやってくるのでしょう。

 ぷかぷかを始めた当初、福祉事業所のカフェスタッフの方に来ていただいて接客についてメンバーさんを対象にした講習会をしたことがあります。ところが、マニュアル通りにするというのはどこか窮屈で、ぷかぷからしくないというか、メンバーさんらしさがなくなってしまう気がして、講習会はそれ1回でやめました。以来、接客についてメンバーさんを指導する、といったことはありませんでした。最低限、お客さんが不愉快になるようなことはしない、ということだけ守ってくれれば、その人らしくやってくれればいいと思ったのです。

 もちろんクレームが全くなかったわけではありません。設立当初、パン屋の宣伝の声がうるさい、と苦情の電話が入って、とても悲しい思いをしたこともあります。それでもメンバーさんの管理を厳しくする、といった方向にはしませんでした。メンバーさんの持っている楽しい雰囲気は絶対にいつかわかってもらえる、という思いでやってきました。

 彼らは一緒にいるだけでなんだか気持ちが和んだり、楽しい雰囲気になったりします。接客のノウハウよりも、彼らが本来持っている雰囲気を大事にする方が、ぷかぷからしくていい、と信じてやってきました。それが今ようやくお客さんに受け入れられてきたように思うのです。

 

未来を担う子どもたちに

 9月20日のパン教室。地域の親子がたくさん参加して下さり、大盛況でした。

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 あんパンのあんをみんなで生地に丸め込んでいるテーブルですが、地域の子どもたちとぷかぷかのメンバーさんがこうやって一緒に楽しそうに作業する雰囲気がいいなと思います。こういう楽しい場を地道に積み重ねていくことが大切だと思っています。子どもたちが大きくなって、いずれ社会を担っていく立場になったとき、ぷかぷかとのおつきあいの体験はとても意味あるものになっていると思います。

 今回地域の子どもたちが11人も参加してくれました。

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 この子どもたちにこそ、未来を託したいと思うのです。

 

 

笠地蔵が10人

 今日のお天気ボードには笠地蔵がなんと10人も描き込まれていました。

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 真ん中の列の右端には子どもの笠地蔵さんでしょうか、かわいい笠地蔵さんが描き込まれています。サングラスをかけた笠地蔵さんもいますね。笑顔の笠地蔵さんもいます。

 さらさらっと描いてしまうのですが、このなんともいえないかわいさはどこから出てくるのでしょうか?

 おひさまも雲も、洗濯指数のTシャツの絵もみんな幸せそうな顔をしています。ケンさんて優しいんだなと思います。

 今日は郵便局に売り上げを入金に行った際、窓口のお姉さんたちに、

「今日も元気でがんばって下さい。いいかな、いいとも!」と大きな声であいさつし、なんとも楽しい雰囲気を作っていました。この方は本当に地域の「宝」だなと思います。

 

死にたい病をやり過ごすコツ

 死にたい病の大先輩から,死にたい病をやり過ごすコツがメールで送られてきました。

 

「ぷかぷか日記、死にたい病、拝見しました。私も時々やってくるので、こんな身近に仲間がいるとは…。死にたい病、よくわかります。それは突然やってきます。たとえ楽しいときでも時を選ばず。こればっかりは,来てしまったらどうにもなりません。また、本人しかわかりません。

 私も死にたい病になって今月で10年になりますが、一つ作戦としては,死にたい病が来たら、ひたすら頭を低くして、その大波をやり過ごすこと。を,多少できるようになりました。頭を上げるとたちまち飲み込まれます。困った現象です。忍者のように雲隠れできるとよいのですが…」

 死にたい病にかかったまーさんをなんとか救おうと、あの手この手で迫りましたが、大先輩の「死にたい病をやり過ごすコツ」を読むと、いかに浅いところでまーさんを見ていたかがわかります。「人生明るく行こー!」なんてノーテンキな言葉でしつこく説得を試みる私を見て、まーさんもいい加減うんざりしていたに違いありません。まーさんの抱えていた辛さなんて全然わかってなくて、本当に申し訳なかったなと思います。

ぐっと胸に刺さるものがあり…

 まーさんが自分のホームページに書いた短い言葉に

「短い文章でありながら、ぐっと胸に刺さるものがあり、とても感動してしまいました。」

という感想がデフパペットシアターの方からメールで届きました。

 死にたい病からまーさんを引っ張り上げたデフパペットシアターの役者マッキーへの思いを込めた短い言葉は、人を揺さぶるような力を持っていたんだと思います。なんかすごいじゃん!って、思ってしまいました。人の心を揺さぶる言葉なんて、そう簡単には書けません。やはりまーさんが死にたいと思うくらい苦しい時を何度も経験したからこそ書けた言葉だと思います。死にたい病は、その苦しさの分、人間を磨くんだと思いました。

 そしてその苦しいときのまーさんの心を揺さぶったマッキーのパフォーマンス。この二人の出会いは、本当にすごいものがあるような気がしています。

 にしても、これまで苦しさのまっただ中にいたまーさんに語りかけていた私たちの言葉はいったい何だったんだろう、と思います。「支援」などというのは、結局のところ、その程度なんだとあらためて思いました。私たちの言葉を100個束ねても、マッキーのパフォーマンスにはかなわないと思いました。

 

 

 

 

 

 

死にたい病

 まーさんが朝から暗い顔して、体がふらふらするとか、明日から来ません、とかいうので、かかりつけの医者のところへ行きました。

「死にたい病は最近調子よくなってるんだけどなぁ」と先生。

「はぁ」

「まーさん、死にたい病だったんだ。最近はでも死にたい死にたいっていわないよね。」と私。

「そう、そうやって落ち着いてきてるからいいと思うよ。今日はのどがちょっと赤くなっているから風邪だね。大丈夫、薬飲んでおとなしくしていればすぐに元気になります」

と、先生に言われ、病院からの帰り道は、朝の暗い顔はどこかへ行ってしまいました。

「ぷかぷかのホームページの中にまーさんのページを作ってみない」

「そんなことできません」

「ちゃんと教えるから大丈夫です。まず自己紹介を書いてください」

「どんなことを書くんですか?」

「彼女はいないとか、そうそう、今日先生が言ってた死にたい病です、というのもいいと思うよ。」

「死にたい病ですか?」

「最近はともかく、以前は1週間に一度は死にたい死にたいって言ってたよね。でも今はそういうこと言わなくなりました、それはこういうことがきっかけでした、みたいなこと書くといいと思うよ。」

「そうですか」

「まーさんみたいに、死にたい死にたいっていってる人は多いと思うから、死にたい病ネットワークとか作って、死にたくなったらお互い連絡取り合いましょう、ってのはどうですか?」

「僕にはできませんよ」

「いや、まーさんは今死にたい病から直りつつあるんだから、その体験を書いていけば、それはどんな薬よりも死にたいと思っている人を救うと思うよ」

 というふうな話を車の中でして、ぷかぷかに着くなり、すぐに『まーさんのページ』の制作に取りかかりました。最初の設定だけやって、あとは全部まーさんが書き込みました。それがこのページです。

   http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?まーさんのページ

 これからもっといろんなことをどんどん書き込んでいってほしいと思います。書くことで自分を見つめ、何か前に進むきっかけになれば、と思っています。

 

 

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