ぷかぷか日記

1000万円を夢見てーその3

岩佐賞の資料。ぷかぷかは具体的にどんなことをやり、それがどのようにして持続可能な未来につながるのかの説明です。

 

 ぷかぷかの法人理念は

1)障がいのある人たちといっしょに生きていく。
2)健康な命を未来に引き継ぐ。

の二つです。

 

1)障がいのある人たちといっしょに生きていく。

 ぷかぷかは、何もしなければ取り残されたかも知れない障がいのある人達といっしょに街の中でお店をやり、社会を楽しく、豊かにするものをたくさん作ってきました。理屈っぽい話抜きに、彼らといっしょに生きていくと楽しいね、いっしょに生きていった方がいいね、と思う人がぷかぷかのまわりにどんどん増えてきました。持続可能な未来がここから見えてきます。(文中の「ぷかぷかさん」はぷかぷかで働く障がいのある人達のこと)

 

ぷかぷか三軒⻑屋(右からパン屋、お惣菜屋、アートスタジオ)

 

お客さんもぷかぷかさんとのおつきあいを楽しむ

 パン屋の店先ではときどき畑班の作った大根などの野菜を販売しています。ある日、その大根のラベルに「たいこん」と書いてありました。ぷかぷかでは、これまちがってる、とはいいません。「あ、おもしろいじゃん、今日はこれで行こう」となります。

  

「大根下さい」とお客さんがきました。「すみません、今日はたいこんです」といいます。お客さんもよくわかっていて、ラベルを見て、「ああ、今日はたいこんね。じゃ、たいこんください」と楽しんでいます。お客さんとのそういう関係がぷかぷかにはあります。

 

 こんなお惣菜が出ることもあります。

 お客さんは一目で納得してこれを楽しんで買っていきます。

 お客さん達は買い物をする中で、自然に彼らといっしょに生きていく楽しさを実感しています。

 

 そんな関係がこんな笑顔を生みます。

 

子どもたちも笑顔になります。

 子どもたちが大きくなって、社会を担うようになった時、どんな社会を作ってくれるのだろう、と楽しみです。持続可能な未来を子どもたちが作ってくれます。

 

 

小学校で人権研修会

 近くの小学校から人権研修会を依頼された時は、芸達者なぷかぷかさんを三人ほど連れて行きました。太鼓の名人、ダンスの名人、暗算と記憶の名人の三人です。

 太鼓の名人は日本フィルハーモニーのチェロ奏者と共演するほどの名人で、その日はソロの演奏でしたが、子どもたちを圧倒しました。

   

 ダンスの名人は自分でダンスを踊ったあと、子どもたちも誘ってみんなで楽しくダンスをしました。

 暗算の名人が登場した時は、暗算の得意な生徒と先生に5人ほど前に出てきてもらい、トレーに乗せた10個ほどのパンの値段をぷかぷかさんと競争で暗算してもらいました。スキャンするほどのスピードで暗算するぷかぷかさんの圧倒的勝利でした。

 記憶の名人は、2年生の教科書に出てくる『ふきのとう』という作品を朗読しました。名人の年齢から計算すると30年ほど前にならった教科書です。それをついさっき習ったかのようにスラスラ朗読したのです。2年生の生徒はもちろん、先生も朗読なんかできないので、みんなほんとうにびっくりしていました。

 障がいのある人たちはいろんなことができない、だから私たちが何かやってあげないといけない、といったイメージが一般的ですが、そんなマイナスのイメージを見事にひっくり返した人権研修会でした。

 障がいのある人達との新しい関係がここから始まります。「取り残さない」といった関係ではなく、彼らからいろんなことを学ぶ関係です。持続可能な未来がここから見えてきます。

 

 

大学でワークショップ

 ぷかぷかさん達と一緒にあちこちの大学に行ってワークショップをやることもあります。感性豊かな学生さんがどんどん変わってきます。

 「こんなに自由に生きてていいんだ」と感想を書いた学生さんがいました。一緒に演劇ワークショップをやり、ぷかぷかさんの発想の豊かさに驚いた学生さんもたくさんいました。

 障がいのある人たちといっしょに生きる意味がよくわかったと思います。何かを教えるというよりも、彼らから学んだことの方が多かったと思います。社会に出たあと、この体験が、障がいのある人達と一緒に持続可能な未来を作る上で、確実に役に立ちます。

 

 

パン教室

 パン教室は楽しくパンを作りながらぷかぷかさんと出会います。

 たくさんの子どもたち、大人達が、楽しいパン教室の中でぷかぷかさん達と出会いました。「ともに生きる社会を作ろう」とお題目を唱えるのではなく、こうやって具体的に出会う場を作ることこそが、持続可能な未来を確実に作っていきます。

 

区役所で人権研修会

 あちこちの区役所で人権研修会を頼まれます。そんなときはぷかぷかさん達といっしょに行きます。人権に関する抽象的な話をするのではなく、人権がないがしろにされることの多い障がいのある人達としっかり出会う研修会です。

一緒に手をつないで走ること、それは誰にとっても楽しい時間です。たったそれだけでぷかぷかさんと出会うことができます。

 

思いっきり力を入れる中で、相手と出会います。

 

演劇ワークショップの中で、ぷかぷかさんの表現の豊かさに出会います。

ぷかぷかさん達のおかげで心と体がどんどん自由になっていきます。

 参加した人達の感想

・短い時間でしたが、一緒に泣いたり、笑ったり、とても楽しい時間でした。

・みなさんの素直に自分を出す姿が、本当にキラキラしていました。

・同じグループになった女性のメンバーに「区役所にも障害のある人はいるの?」「あなたはどんな障害があるの?」といきなり聞かれ、すごく新鮮でした。僕は歩行障害があるのですが、ダイレクトに聞かれることが年々減っていく中で、「おお!」という気持ちをもらいました。今度ぷかぷかに行ってみようと思いました。メンバーのみなさん、ありがとう!

・みなさんの屈託のない笑顔でほんわりとした気持ちになりました。

・自由な開放された気分になる瞬間がありました。

・ぷかぷかさん達の持っている想像力や素直さは自分もこれから見習っていこうと思いました。

・人権についてぷかぷかさんとふれあうことで、より身近に深く考えることができました。

・ぷかぷかさんとのワークショップが楽しかった。「いっしょにいた方がトク!」はその通りだと思った。

・いっしょに生きる、暮らすことの大切さをあらためて感じました。

・「関わってみると、世界観が広がってトク」という表現は、とてもよいと思いました。

 

 得るものの多い人権研修会だったと思います。行政の人達が変わることは、持続可能な未来を作っていく上で、とても大事なことです。今回はとても手応えのある人権研修会だったように思います。

 

●演劇ワークショップ

 ぷかぷかさんと地域の人達で演劇ワークショップをやっています。6ヶ月かけて芝居を作り、大きなホールの舞台で発表します。一目で「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいね」と思えるような舞台を作ります。

●アートワークショップ

 地域の子ども達や大人達と一緒にアートのワークショップを行います。アートを通して地域の人達がぷかぷかさんと出会います。彼らの持っている発想の豊かさ、自由さに出会います。彼らがいると、社会が豊かになることがリアルにわかります。

 

 

2)健康な命を未来に引き継ぐ。

 ぷかぷかは、健康ないのちを未来に引き継ぐことを理念として掲げています。いのちが健康でなければ、健康な未来を描けないからです。

 健康ないのちを未来に引き継いでこそ、持続可能な未来を描くことができます。健康ないのちは、健康な社会を作ります。未来を生きる子どもたちには、健康ないのちと、健康な社会を生きて欲しいと思っています。

 そのためにぷかぷかは、パン屋、お惣菜屋、食堂では安心、安全な食材を使い、みんなのいのちを傷つけないように細心の注意を払っています。

 福祉のお店によくある「障害者が作ったから買ってあげる」という関係ではなく、「おいしいから買う」という当たり前の関係をぷかぷかは作っています。「おいしい」というのは普遍的な価値であり、その価値こそが持続的な未来を作っていきます。

 

●パン屋

 パン屋では国産小麦、天然酵母でパンを作っています。天然酵母はあこ天然酵母と、干しぶどうを発酵させた自家製天然酵母を使っています。自家製天然酵母はハード系のパンを作ります。

 塩は天日製塩で作ったものを使っています。添加物は一切使いません。生地には牛乳、たまご、バターなども使いません。アレルギーの子どもにも安心して食べて欲しいからです。材料で使う野菜は、農薬を使わないぷかぷか農園、でんぱたの畑、地域の農家さんが作っている野菜を使っています。

 保育園に配達するロールパンは、小麦粉、酵母、塩、少量のきび糖、菜種油、水だけで作っています。甘いもので飾ったパンが多い中、子どもたちにはシンプルなロールパンで小麦粉そのもののおいしさを伝えたいと思っています。未来を作るのは子どもたちです。環境に負荷をかけないシンプルなパンこそ、持続可能な未来を作ります。

     

 

お惣菜屋

 食材・調味料は、なるべく生活クラブのものを使用。

 野菜に関しては、地場の野菜を使用するようにし、旬の恵みをいいただけるようにしています。でんぱた(ぷかぷかの運営する生活支援事業所。農業をやっている)、ぷかぷか農園、グリーン(農業をやっている生活支援事業所)さんのお野菜も利用しています。

 召し上がっていただく方々の健康の安心としては、出汁(椎茸・昆布・鰹節)を丁寧に取ることで、調味料を少なく薄味に仕上げることが出来るように心がけています。

 使用する味噌も惣菜で手作りをしています。

 お弁当箱に関してもSDGsの精神の元、プラスチック容器から竹バガスや麦バガスを使用した地球に優しい容器に変更しています。

 

●楽しいお弁当

 たとえば高齢者の配食サービスに持っていくお弁当の帯はぷかぷかさん達(ぷかぷかで働く障がいのある人達)が絵を描いています。 

 こんな帯があると、お弁当の時間が楽しくなります。お弁当の時間が楽しくなるって、幸せなことだと思います。ぷかぷかさん達はその幸せな時間を高齢者の方達にプレゼントしているのです。

 お弁当食べたあとも、この帯だけはちょっと捨てられないな、と思うくらい楽しい帯です。こんな絵を描く人は社会にいた方がいいよね、と素直に思えます。

 たかが弁当の帯です。でも、この小さな帯が、障がいのある人達への偏見、思い込みをひっくり返してしまうほどのチカラを持っています。障がいのある人達を「取り残さない」ではなく、「いた方がいい」と思いが前向きになります。それは障がいのある人たちもいっしょに生きていく持続可能な未来を作るチカラだと思います。

 

●焼き菓子

 焼き菓子のラベルはぷかぷかさん達が作っています。これがあることで楽しい焼き菓子になっています。おやつの時間が楽しくなります。ここからこの社会を持続させていこう、という気持ちが生まれます。

 

●区民祭り

 区民祭りでは地産地消のブースを担当し、お惣菜部門で地場の材料を使っておから煮を作り、配布しました。ブース自体もぷかぷかさん達と一緒に楽しくデザイン。地場の材料を使うレストランの地図もぷかぷかさん達が製作し、ブースの横に展示しました。この地図は後日区役所のロビーに展示されました。

 彼らといっしょに生きると楽しいね、というメッセージをこのブースを通して発信できました。何よりも、彼らがいると、暮らしが豊かになることが伝わったと思います。暮らしが豊かになることは、持続可能な未来を推し進めるいちばんの原動力 です。

いっしょにいると心ぷかぷかーやまゆり園事件から6年目(その3)

「いっしょにいると心ぷかぷか」はやまゆり園事件(相模原障害者殺傷事件)の1年前に作った「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というぷかぷかのメッセージを映像化した時に、出てきた言葉です。

 「障がいのある人たちといっしょにいると心ぷかぷか」

という意味です。だからいっしょに生きていこうよ、と。

 心ぷかぷか、というのは、たとえばこんな絵を見た時の私たちの心です。

 こんな絵を描く人たちとはいっしょに生きていった方がトク!です。

 

 事件の起こった年にも、事件へのぷかぷかのメッセージを映像化し、前年に作ったものと併せて『Secret of Pukapuka』という映像にまとめました。見ると心ぷかぷかになるような映像です。

 やまゆり園事件を超える、というのは、障がいのある人達と「心ぷかぷか」になるような関係をたくさん作っていくことだと思います。人としてつきあう、フラットにつきあう、そういう中で「いっしょにいると心ぷかぷか」という関係ができてきます。

 ぷかぷかは事件のはるか前からそんな出会いをたくさん作ってきました。そんな中で「ぷかぷかさんが好き!」というファンがたくさんできました。障害者はなんとなくいや、怖い、そばに寄りたくない、と思う人の多い社会にあって、彼らのことが好き!というファンができたことは画期的だと思います。

 「この街にぷかぷかのお店があることで、霧が丘の街の価値を上げている」という人まで出てきました。保育園の帰り、娘さんと一緒にお店に買い物に来て、心ぷかぷかになるような出会いがたくさんあったのだと思います。そんな出会いが街を豊かにしているのではないか、と。

 「障がいのある人達の働くお店が、街の価値を上げている」なんて、今まで誰も口にしたことがありません。それを街の人が気がついた。これって、なんかすごいことじゃん、て思うのです。

 

 事件から6年目の今、あらためて「いっしょにいると心ぷかぷか」の関係の大事さを思います。

 先日のニュースウオッチ9で美帆さんのお母さんが紹介されました。ぷかぷかにはじめて来られた頃を思えば、ずいぶんと元気になられたなと思いました。ぷかぷかさんと一緒にいろんなことやって、心ぷかぷかになることがたくさんあったのだと思います。

 知り合いがこんな感想を寄せてくれました。

《 お母さんが「やまゆり園を選んでごめんなさい」と責任を感じていらっしゃる言葉が大変重く、それだけに、ぷかぷかさんとの出会い、その存在は大きいものなのだろうと感じました。 特に、美帆さんパネルの前に用意された唐揚げとお味噌汁、ピースするてらちゃんとお母さんのツーショットがとても印象的でした。》

《 美穂さんとお母さんに寄り添うぷかぷかのメンバーさん達の素直な優しさが伝わってくる映像でした。》

 

ニュースウオッチ9、NHKプラスで1週間ほど見られます。36分43秒くらいからです。登録が必要です。

 

 美帆さんのお母さんが楽しんだ歌のワークショップ。ぷかぷかは事件のはるか前からこういう場を作り続けてきました。

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 8月27日(土)、映画を手がかりにやまゆり園事件について考える集まりをやります。ぜひお越し下さい。ぷかぷかさん達も一緒なので、楽しい集まりになります。やまゆり園事件について楽しい集まり、というのはなんか変な感じもしますが、彼らといっしょに生きていくというのは楽しいのです。彼らと一緒に楽しいひとときを過ごすこと、それが事件を超えることだと思います。

 

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参加希望の方はこちら、下記サイトの「チケット情報」をクリックして下さい。

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ニュースウオッチ9

 3年ほど前からやまゆり園事件で犠牲になった美帆ちゃんのお母さんがときどきぷかぷかに見えています。ぷかぷかさんと出会うことで、ものすごく元気になりました。

 初めて見えた時、その日のランチメニューが唐揚げで、お母さん

「タカサキさんは気がつかなかったかも知れないけど、美帆も一緒に食べてたんですよ。唐揚げが大好きでしたから」

と言い、ちょうど12月3日が美帆ちゃんと誕生日と聞いたので、

「じゃあ、12月3日、美帆ちゃんの誕生会をやりましょう。ぷかぷかさんのお昼ごはんのメニューも美帆ちゃんの好きな唐揚げにしましょう」

ということになりました。思いつきでしたが、こういうことがさらっとできちゃうところがぷかぷかのいいところ。誕生会なんて、やまゆり園ではやってもらったことなんかありません、とおっしゃってました。

 当日は美帆ちゃんの分身くんを作り、お母さんの席、お兄さんの席、その間に美帆ちゃんの席を作って唐揚げのランチを食べました。

 帰りの会ではささやかな誕生会をやり、ぷかぷかさんの作ったバースデイカードもお母さんにプレゼントしました。

 NHKが取材に来ていて、その時の映像を事件から6年目の今日、7月25日(月)のニュースウオッチ9で少し流すみたいです。

 

 

 

排除しない関係をどうやって作っていくかーやまゆり園事件から6年目(その2)

 《やまゆり園事件をどうやって超えていくのか》

 一見むつかしい問いですが、障がいのある人達を暴力的に排除した事件ですから、彼らを排除しない関係をどうやって作り、そこから何を作り出していくか、ということだと思います。

  ぷかぷかはクッキーのラベルをぷかぷかさん達の絵を使って作っています。

 

買い物袋にはこんな絵が。こんな袋で買い物したら楽しい。紙の袋とは言え、簡単に捨てられません。

 

見る人が幸せな気持ちになるような自画像です。こんな素敵な絵を描く人とは、いっしょに生きていった方が絶対トク!だと思う。 

 

ぷかぷかさんのお昼ごはんの看板はぷかぷかさんが描いたものです。こういう看板があるだけで、このまわりの雰囲気がゆるっとします。

 

お惣菜のメニューもぷかぷかさんが毎日描いています。見ただけで楽しくなります。どうしてお惣菜メニューにビキニのお姉さんが登場するのかよくわかりませんが、でも、なんだか楽しい!

 事件の犯人は「障害者はいない方がいい」といい、「よく言った」と賞賛する声がありましたが、ぷかぷかさんたちの絵はそういったものを黙ってひっくり返すチカラを持っています。

 

こんな笑顔で働いています。毎日笑顔で働けること、それが何よりも大事。

 

すべて彼らといっしょに生きていく関係から生まれたものです。その気になれば誰にでもできることです。ともに生きる社会だの共生社会だのと小難しい話はいりません。彼らといると楽しいね、って思うだけです。

 

 

8月27日(土) 10:30,13:00『梅切らぬバカ』を上映します。桜木町駅前、横浜市健康福祉総合センター4階ホールです。この映画を手がかりに、やまゆり園事件をどうやって超えていくのかをみんなで話し合います。ぷかぷかさんもたくさん参加します。

 

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『梅切らぬバカ』を上映しますー相模原障害者殺傷事件から6年目に思うこと(その1)

 やまゆり園事件(相模原障害者殺傷事件)から6年がたちます。今年もまた映画を手がかりに事件のことを語り合う集まりをします。私たちにとってあの事件はなんだったのか、あの事件を超える社会を作るにはどうしたらいいのか、等々、ぷかぷかさん達も含め、みんなで話し合いたいと思います。

 今年の映画は『梅切らぬバカ』です。

 

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 忠さんという障がいのあるおじさんが、障害者は嫌だな、つきあいたくないな、と思っていた隣に住むおじさんを、日々のおつきあいの中で少しずつ変えていきます。

 障害者のグループホームの建設に反対をしている人の耳元で

「あんた、まちがってるよ」

と、ぼそんとつぶやくほどに変わります。忠さんがいることで地域社会が変わっていく、そのことが鮮やかに見えてきます。

 障害者のグループホームの建設に反対をしている人に

「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」

と、いっているのです。忠さんとのおつきあいが、隣のおじさんをこんな風に変えたのです。

 

 やまゆり園事件の犯人は

「障害者はいない方がいい」

といい、19名もの尊い命を奪いました。

 忠さんの隣に住むおじさんは、事件の犯人とは正反対の位置にいます。おじさんを正反対の位置に連れて行ったのは忠さんです。

 事件の犯人も障がいのある人達とおつきあいしていたのですが、正反対の結果を生みました。同じように障がいのある人とおつきあいしながら、どうしてこんな風に違う結果を生み出すのでしょうか。

 そんなことを上映会では話し合ってみたいと思います。

 

 参加希望の方はこちら、下記サイトの「チケット情報」をクリックして下さい。

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★「相模原障害者殺傷事件から6年目に思うこと」と題してときどき事件のこと書いていきます。事件を超えるために何をすればいいのか、といったことをぷかぷかがやってきたことを通して書いていきたいと思います。ご意見、いただけるとうれしいです。

1,000万円を夢見てーその2

 1,000万円を夢見て岩佐賞にチャレンジ。

混迷を極める現代社会、その困難な局面だからこそ、持続可能な未来を目指して果敢に取り組む人を応援したい」

という岩佐賞。こういうのは月並みな取り組みではダメです。オリジナリティーがあって、かつ元気な取り組みです。

 ぷかぷかは持続可能な未来を目指して新電力に切り替えたり、お弁当のプラスチック容器を紙容器に変えたり、ナイロン製品に代わるヘチマを販売したりしていますが、もっと根本的な大きな取り組みはないものかといろいろ考え(1,000万円がかかっていると、いろいろ考えるものです)、出てきたのが前回のブログです。

www.pukapuka.or.jp

  つまり、ぷかぷかの理念そのものが持続可能な社会を作り出している、ということです。

 で、申請書にその取り組みの概要を書いてみました。

 

 NPO法人ぷかぷかは知的障がいの人たちを対象にした就労支援の事業所です。ぷかぷかは創業者の高崎が養護学校の教員をやっている時に、知的障がいの子どもたちに惚れ込み、彼らといっしょに生きていきたいと、退職金をはたいて作った事業所です。

 彼らと出会った経験を元に、

「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ、その方がトク!」

と言い続けてきました。トク!というのは、彼らとおつきあいすると毎日が楽しく、人間の幅が広がり、人生が豊かになる、という意味です。

 なので、お客さん達に彼らに出会って欲しいと、彼らの魅力を存分に発揮できるお店(パン屋、お惣菜屋、食堂、アートスタジオ)を作り、たくさんの素敵な出会いを作り出しました。「ぷかぷかさんが好き!」(ぷかぷかで働く障がいのある人達のことをぷかぷかさんと言います)というファンまで現れました。障害者はなんとなくいや、怖い、生産性が低い、と彼らを排除することの多い社会にあって、彼らのファンができたことは画期的なことだと思います。

 お店以外の出会いの場も作ろうと、パン教室や、演劇ワークショップ、アートワークショップなど、一緒にクリエイティブな活動をする機会もたくさん作ってきました。演劇ワークショップでは、一目で「彼らとはいっしょに生きていった方がいいね」と思えるような舞台をたくさん作ってきました。

 彼らは支援が必要な人ではなく、街を耕し、社会を豊かにするとても大事な存在です。

 SDGsの理念に「誰一人取り残さない」というのがありますが、ぷかぷかは障がいのある人達を取り残さないだけでなく、彼らと一緒に社会を豊かにするものを作り続けてきました。それは「誰一人取り残さない」理由を明確に示すものであり、「誰一人取り残さない」の理念をもう一歩進めるものであると思います。

 

 

 こんな楽しいラベルのついた商品ができること、それが彼らといっしょに生きること。 

 彼らがいないと、こんな楽しいラベルはできません。彼らは社会を楽しくする。楽しい社会こそ、持続可能な未来を作っていくのだと思う。

1,000万円を夢見て

「SDGs岩佐賞が、あなたの活動を応援します」と、先日大きく新聞広告が出ていました。ネットで見ると

 

 新型コロナウイルスの感染拡大、そして先行きの見えないウクライナ情勢と、ますます混迷を極める現代社会。あと8年で期限を迎えるSDGs(持続可能な開発目標)の達成は、これまで以上に難しいものになりつつあると言えるでしょう。

そんな困難な局面だからこそ、持続可能な未来を目指して果敢に取り組む人を応援したい──。公益財団法人岩佐教育文化財団は、そんな思いから、2022年5月、「SDGs岩佐賞」を創設しました。〈医療〉〈教育〉〈福祉〉〈環境〉〈平和〉〈芸術〉〈農業〉の各分野で、SDGsの達成に向けてめざましい功績を残した団体・個人を選出し、支援します。

 

 なんと団体に300万〜1,000万円も出すそうで、こりゃ応募しなきゃソン!と思いましたね。

 SDGsの理念は「誰一人取り残さない」。その理念をどんな風に実現しているのか、ということなんだろうと思います。

 ぷかぷかは、「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」「その方がトク!」と言い続けてきました。ぷかぷかの活動は、それをそのまま実践することでした。彼らといっしょに生きると社会が豊かになる、ということを目に見える形で表現してきました。

 ヨッシーは「おひさまの台所」のメニューを毎日こんな風に描いてくれます。

 いっしょに生きると、毎日こんな楽しいメニュー表が上がってくるのです。スタッフが描いたのではこんなメニュー表はできません。

 

 テラちゃんは映画『梅切らぬバカ』の写真を元にこんな楽しい絵を描いてくれました。

 絵を描いてくれたぷかぷかさん達と一緒に『梅切らぬバカ』の上映会をやります。映画を手がかりに「やまゆり園事件」についてみんなで話す集まりですが、私たちだけで事件について話をすると、どうしても重い雰囲気になってしまいます。でも、こんな絵を描いてくれる人たちといっしょに話すので、重い雰囲気になりようがなく、ひょっとしたら今までにない展望が開けるのではないかと思っています。

 彼らは社会を豊かにする存在だとつくづく思うのです。

 

 SDGsの理念は「誰一人取り残さない」ですが、ぷかぷかは、取り残さないだけでなく、いっしょに生きて社会を豊かにする、というところまでやっています。なので、SDGsの理念よりも、もう一歩先へ行ってる気がします。

 そういったことを「SDGs岩佐賞」の応募用紙に書こうと思っています。1,000万円を夢見て。

第7期演劇ワークショップ第2回目をやりました。

 7月16日(土)、第7期演劇ワークショップ第2回目をやりました。コロナ大流行のため、始まる前に参加者全員抗原検査をしました。

 

 プログラムは以下の通り。

9:30  あいさつ by 高崎

    諸注意(マスク着用、昼食時のことなど)

9:40  名前のゲーム(ネーム・ウィズ・アクション)

10:00 ミラーゲーム(2人組)→パートナーを変える

10:15 シェイプ 大きな大きな獣あるいは恐竜の復活

(倒れているところから起き上がって、動き出す)

10:40  銀河鉄道の話→白鳥の停車場(プリオシン海岸)の部分(抜粋)を読む

    恐竜の骨の発掘のビデオを見る  *プロジェクターとスクリーン

    プリオシン海岸のシーンを起こす

二人がプリオシン海岸にやってくると大きな大きな獣の発掘をしている。二人は学者らしい人と話をする。

11:20  発表

11:30 昼食

12:30 歌をうたう

13:00  賢治のオノマトペで動いてみる

     チームに分かれ、好きなオノマトペを選んで動いてみる 

13:20  新井さん、安井さんの話(高崎さん、近藤さん)*プロジェクターとスクリーン

13:40  新井さん、安井さんの話からシーンを起こす

    新井さんの話を起こすチーム(2チーム?)

安井さんの話を起こすチーム(2チーム?)

14:00  発表

14:15  休憩

14:30  身の回りで亡くなった人の思い出を話してみる。

    チームに分かれて少し話をする

→五行詩「今はもういない人のこと(思い出)」をかく

(新井さん、安井さんのことでも、他の人の思い出でも可)

15:00  発表

15:20  歌をうたう

15:50  振り返り

16:30 終了

 

 プリオシン海岸での発掘現場の場面を作るところでは恐竜博士ヨコヤマさんの描いた恐竜の絵をお披露目

 

 恐竜の化石の横たわるところを発掘している場面

 

 発掘途中で恐竜が動き出す。発掘中の恐竜が水を飲みたいだの、何か食べたいだのと言い、水と食べ物を与えると恐竜が動き出し、しかもみんなを背中に乗せて歩き出すという画期的アイデア。

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この歌を歌う予定でしたが、今日はピアニスト欠席のため歌詞を読むだけにしました。

 

 

オノマトペをやりました。宮澤賢治の作品の中からおもしろい言葉を選び、それを体で表現します。

 

「へらへら ばばあ へらへら ばばあ」のオノマトペ。何かと思いきや、どうやらわかめがゆらゆらしているところへ魚が突っ込んできたようでした。

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 病気で亡くなったアライさんとしんごっちの話を聞きました。

 しんごっちは自分でピタゴラスイッチを作って動画に残しています。

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 話を聞いて「人間ピタゴラスイッチ」をやったグループがありました。

 ピタゴラスイッチの準備。イクミンが仕切っています。みんなイクミンの指示に従って動いています。ワークショップにおけるこういう関係がなんとも楽しい。

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イクミン自らビー玉になって転がります。

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アライさんのお話しを作ったグループでは、アライさんが好きだったジャニーズのメンバーが登場し、ダンスを披露

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短いお話しを作ったあと、忘れないために各グループともメモに起こしました。ぷかぷかさんが記録係。

 

 今回は演劇ワークショップに初めて参加した人も多かったのですが、シェイプ(体を使って形作り)、オノマトペ(言葉を体で表現)、お話作り等、ずいぶんと盛り上がりました。

 初めて参加された方はこんなことをおしゃっていました。

 「おつかれさまでした。楽しかったですよー。亡くなったお二人のエピソードを聞いて、みんなで寸劇にするという過程で、新しく知り合いになれた気がしましたし。オノマトペの表現も興味深かったです。」

  アライさん、しんごっちのお話しからも、楽しい芝居ができました。二人は銀河鉄道の乗客です。ここで展開するお芝居は、アライさん、しんごっちのこと忘れないよ、というメッセージです。発表会はしんごっちのお母さんが職場の同僚を連れて見に来ます。しんごっちやアライさんもきっとどこかで見てくれると思います。

 次回はこういったことをもっとふくらませていきます。

 芝居の発表は11月27日(日)の午後2時から、長津田駅前のみどりアートパークのホールです。ぜひ見に来て下さい。

「ともに生きる社会」をテーマにした詩のワークショップ

神奈川ネット主催で「ともに生きる社会」をテーマに研修会をやりました。ただ話し合っても、ほとんど何も残らないので、ぷかぷかの映画『Secret of pukapuka』を見たあと、詩のワークショップをやりました。それぞれ気づいたことを5,6行の短い詩に書き、それをグループで共有したあと、それぞれの言葉を切り離し、グループの中で並べ替え、グループの詩として編集し直します。編集し直す段階で、それぞれの考え方が対立することもあって、ここがいちばんおもしろいのですが、今回は似たような考え方の人が集まっていたのか、すんなりまとまってしまいました。

 まとまった詩をグループで朗読します。誰かに向かって朗読する、といったことはほとんどの方はやったことがなく、とても新鮮な経験だったようです。言葉に丁寧にふれる、言葉を誰かに届ける、誰かの言葉をしっかり受け取る。そういったことが詩のワークショップのおもしろいところです。

 

 映画を見ての気づきを短い詩にします。

 

それぞれの詩をグループの中で発表します。

 

それそれの詩の言葉を切り離し、並べ直します。

 

でき上がった詩の発表

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でき上がった詩の発表

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発表した人の感想

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発表を聞いた人の感想

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でき上がった詩の発表

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発表した人の感想

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発表を聞いた人の感想

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参加した人達の感想

 

★こんなワークショップやってみたいと思われた方は高崎まで連絡下さい。takasaki@pukapuka.or.jp

ハラハラ、ドキドキが楽しい

先週 土曜日の「折々のことば」

 私は、養護学校の教員になった時、まごまごというか、毎日想定外のことをやってくれる子ども達を前に、どうしていいかわからず、ヒャ〜、どうしよう、どうしよう、とオロオロしていました。

 一緒に芝居を作った時は、私が台本を作って、その通りにやるのではなく、どこまでも一緒に作っていったので、この先どうなるのかなかなか見えてこなくて、途方に暮れてしまうことがしばしば、というより、しょっちゅう。

 ま、でも、その途方に暮れるような状態が、なぜか楽しかったですね。着地点がわからないからこそ、この先どうなっちゃうんだろうって、わくわくしながら先へ進めます。

 全校生200人くらいと一緒に芝居を作った時も、「これ、どうなっちゃうんだろう」というハラハラ感、わくわく感をみんなで共有できたことがよかったと思います。4月にスタートして11月末の文化祭での発表まで8ヶ月にわたる長期間、200人も引っ張っていけたのは、着地点が見えないことの不安であり、それ故のドキドキ感であっただろうともいます。着地点が見えていたら、8ヶ月もわくわくしながら引っ張っていけなかったと思います。

 発表会は体育館のフロアが舞台、全校生、保護者、教員、総勢400人くらいが取り囲む舞台で芝居をやります。緊張感のあまり、主役の女の子が本番で泣き出したこともあります。う〜、困った、と思いましたが、お客さんが取り囲む真ん中で芝居やっているので、助けに行くわけにも行かず、もう役者さんにまかすしかありません。400人くらいがハラハラしながら見守っていましたね。女の子がなんとか頑張って泣き止んだ時は、自然に拍手が起こりました。

 みんなすごい経験したと思います。こんなにハラハラ、ドキドキする芝居は初めて。あ、こんな風にしても芝居が作れちゃうんだ、という経験、自信。

 

 あのころ、こんな格好で芝居やってました。このいい加減さ満載の雰囲気が、ハラハラ、ドキドキを生んだのだと思います。こいつ大丈夫か、って。

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