昨日書いたぷかぷか日記に、地域の方がこんなコメントをつけてくれました。
もし、
みなさんが
うつむいて
しごとをしていたら
私はいたたまれなくて
ここに暮らしていられなかったと思います
ぷかぷかのみなさんが
いきいきと
かがやいて
毎日楽しそうに
お仕事している姿に
わたしは
この地域の
この社会の
この日本の
この世界の
未来は、
かがやいているのだと
感じることができるのです
働いているみなさんが
いきいきと働いている姿は、
地域に暮らす私たちの
輝く未来に繋がっているのです
ぷかぷかを
応援しています
ぷかぷかの利用者さんたちが毎日笑顔で働いていることは、地域社会も元気にしているんですね。
2年ほど前、日本財団のセミナーで、団体に助成金を出す時は、助成金を出すことで、その何倍もの新しい価値をその団体が生み出すかどうかをしっかり調査するという話を聞きました。たとえば100万円の助成金を出したとき、100万円以上の新しい価値を生み出すかどうかが、判断の材料になるというわけです。100万円出して、100万円の価値しか創り出せないようなところには助成金を出さない、助成金は返さなくていい代わりに、助成金以上の新しい価値を創り出しなさい、というわけです。
お金の使い方について、目が覚めた思いがしました。お金はその使い方次第で、何倍もの新しい価値を生む、ということに情けない話、はじめて気がついた、というわけです。
そういう考え方を以前はしていなかったので、ぷかぷかを立ち上げる時、資金面でとても苦しい思いをしました。どこからも援助がなかったので、自分ですべて工面しました。ほとんどは自分の退職金です。
ぷかぷかを立ち上げる計画は自分で言い出したことなので、退職金を使うことも、しょうがないなぁ、と考えていたのですが、実際に設備費934万円、改修工事費1,345万円、あわせて2,279万円と、見積書が上がってくると、退職金がほんとうに全部飛んでいくんだ、とじわっと冷や汗が出てきました。
当時はこのお金を使うことで、何倍もの価値あるものが生まれる、といった考え方は私の中にありませんでした。「投資」をする(明るい未来を創るためにお金を使う)ことの意味が全くわかってなかったとも言えます。パン屋が絶対にうまくいく、という自信もなく、「下手するとお金はもう戻ってこないかも」と思っていました。
それでも、前へ進むしかありませんでした。明るい展望のないまま、前へ進むのは本当に辛いことでした。でも、前へ進まなければ、展望も開けません。
自分の家に、一銭も入れないまま、先がはっきり見えないことに大金をつぎ込むことは、二重にしんどいことで、この頃の精神状態は最悪でした。
そんな私を救ってくれたのは利用者さんのひとことでした。
今まで何度か書いたのですが、ぷかぷかを立ち上げて2年目、どんな時にどの程度の介護が必要か調べる介護認定調査がありました。
「最近どうですか?」のケースワーカーさんの質問に「以前はうつむいていましたが、今はまっすぐ前を向いて生きています」と応えた利用者さんのひとことは、ぷかぷかでの仕事が利用者さんの人生を支えるほどのものになっていることに気づかせてくれました。視点を変えると、ぷかぷかに注ぎ込んだお金が創り出している新しい価値というものに気づいた、ということでもありました。
知的障がいのある人には単純作業が向いている、などといわれることがまだまだ多い世の中にあって、彼らの人生を支えるほどの仕事が創り出せたことは、ほんとうに価値あることだったと思います。毎日毎日同じ仕事を繰り返し、みんなうつむいて仕事をしている福祉事業所が多い中で、利用者さんたちが笑顔になれるような仕事を創り出したことは、新しい価値ある仕事を創り出したといっていいと思います。
自分がぷかぷかに注ぎ込んだお金が創り出している新しい価値というものに、その利用者さんのひとことがきっかけでようやく気づきはじめた、というわけです。以来、そういう視点でぷかぷかを見てみると、たくさんの新しい価値=物語をぷかぷかは創り出していました。日経ソーシャルイニシアティブ大賞に応募できたのも、そうやって創り出した新しい価値のおかげです。
お金が生き、様々な新しい価値を生み出している日々は、そのままぷかぷかが成長している日々だなと思います。
3月21日(土)、パン教室でした。今回も地域の子どもたちがたくさん参加しました。ぷかぷかの女性メンバーさんたちはかわいくてしょうがないという感じで、いろいろ教えてあげていました。考えてみれば、普通の人たちとの、パン教室のような雰囲気でのおつきあいが今までほとんどといっていいほどなかったわけで、「かわいい!」って思う気持ちが自由に表現できなかったのは辛かっただろうなと思います。
テラちゃんとお話ししながらの作業はとっても楽しい
コンノさんもいつものようにアニメのよくわからない話をしていました。
ハシムラさん、カネマルさんのふたりが生地のこね方を一生懸命教えていました。
肉まんの具を作ります。
小さな子どももこんなふうにしてしっかり参加。
アカギさんはゲストの方たちとスープ作り。仕事の時は調子の悪い時があるのですが、今日はそういうことが全くありませんでした。心おだやかに過ごせる日をたくさん作っていきたいです。
イモト師匠にあんこの作り方を真剣な顔で教わります。
遊びはじめた子どもたちのそばで、マツイさん、カワサキさんはピザの具材作り。
肉まんの具を包むのはなかなかむつかしい。ぷかぷかのお姉さん二人も苦労しています。
テラちゃんといっしょにピザの生地をのばします。
ピザのトッピング
焼けたかなぁ
もうちょい
仲良し三人組はちょっと休憩。
飽きてしまった子どもたちに紙芝居。仕事の終わったぷかぷかの人たちもいっしょに。
手遊び歌も
ぷかぷかの人たちもいっしょに
パンが焼き上がりました。
肉まんが蒸し上がりました。
ピザが焼き上がりました
バターロールもできあがり
元気に「いただきまーす!」
この子たちが大きくなった社会が楽しみです。
1,000円を銀行に預けると、1,000円は1,000円のままです。そこからは何も生まれません。その1,000円を、子どもたちにオペラをプレゼントする「ゆめ基金」に寄付したらどうなるでしょうか?そのお金は何を生み出すでしょうか?
・ほとんどの子どもたちはオペラを見たことがないので、今まで体験したことのない楽しい時間を持つことができます。
・子どもたちが笑顔になります。
・子どもたちの笑顔が増えると、社会は幸せになります。
・子どもたちの心がわくわくします。
・「わくわく」を体験した心は、わくわくするような未来を作ります。
・わくわくするような未来は、未来への希望を生みます。
・未来へ希望を持てる時、人はしっかり前を向いて生きることができます。人生が充実します。
・オペラって楽しいなって思うようになります。
・人生の楽しみが増えます。人生が楽しくなります。
・自分で歌ってみようかな、って思います。
・自分で歌ってみると、歌うっていいな、って思うようになります。
・歌うことが自分を生き生きとさせることがわかります。歌が自分にとって大切なものになります。
・子どもの心がとっても豊かになります。
・子どもの心が豊かになると、彼らが作り出す未来も豊かになります。
・豊かな未来は人を幸せにします。
・子どもたちにオペラをプレゼントするために、大人たちが汗を流します。
・自分の子どものためではなく、地域の子どものために汗を流します。
・地域の子どもたちのため、という思いは、地域社会のため、になります。
・地域社会の未来のために汗を流す、というわけです。
・それは地域社会の未来のために小さな種を蒔くことです。
・この小さな種からはたくさんの芽が吹いて、芽が大きくなって、私たちの思いがようやく形になります。
・それはどんな形をしているのでしょう?
1000円は、何倍の価値を生み出したでしょうか?
お金はこんなふうに使ってはじめて「お金を生かす」ことができるのだと思います。
希望のある明日をみんなで創っていきたいと思います。
希望のある明日を創る作戦会議をやろうと思います。
4月4日(土) 午後1時からぷかぷか三軒長屋の「アート屋わんど」でやります。
あ、おもしろそう!って思った方はぜひおいでください。問い合わせはpukapuka@ked.biglobe.ne.jp 電話453-8511(当日は080-4109-6258)高崎まで
子どもたちにオペラをゆめ基金、寄付を募集中です。
振替口座は 口座記号 00260-4 口座番号 97844
加入者名 NPO法人ぷかぷか
「子どもたちにオペラを・ゆめ基金」 についてはこちらを
チョココロネのおいしい食べ方です。
そろそろ1歳になる子どもの誕生日パンを焼いて欲しいというお客さんが来ました。ぷかぷかのパンは安心して子どもに食べさせられますから、といわれ、うれしくなりました。新しく作ったチラシにもぷかぷかの食べ物への思いをしっかり書いています。
「健康な命を未来に引き継いでいきたい」そんな思いでパンやお惣菜を作ってきましたが、食べ物に込めたそんな思いがしっかりお客さんに届いていたんだと、ほんとうにうれしい気持ちでした。
もう一つ、そのときに子どもさんがかわいかったので、「かわいい!」って声をかけたら、その一言がうれしくてこんなメールが来ました。
昨日ぷかぷかとわんどでスタッフさんたちが
子どもたちを「かわいい、かわいい」と言ってくださいました。
家では主人の帰りが遅く、朝から晩までてんてこ舞いで、子どもをじっくりと「かわいい」と思う心の余裕さえ失っていたことに気づかされました。
ありがとうございました。
これからもかぞくそろってぷかぷかパンのファンです♪
ひとことが作るお客さんとぷかぷかの関係がいいなと思いました。
子どもたちにオペラをプレゼントしようという企画。公演費用、ワークショップ費用、チラシ印刷代などあわせると全部で100万円くらいかかります。どうやって100万円集めるか。
オペラはひとときの夢の世界。それを子どもたちにプレゼントするために、大人たちが必死になって動き回る。寄付を集めたり、チラシを作ったり、宣伝したり…。そんな一文の得にもならないことに一生懸命になることがすごくいいなと思うのです。なんか夢があるというか、そういうところが人間のいいところだと思うのですが、これだけではまだまだ人を巻き込めるほどの力がありません。どんな課題を解決するのか、も見つかりません。
オペラをプレゼントする子どもたちは未来そのものです。その未来のために大人たちがどれくらい汗を流せるか。それは大人たち一人ひとりが、子どもたちにオペラをプレゼントするという企画の中に、どれくらい夢を込められるか、言い換えれば、そこからどのような未来をイメージするのか、どのような物語をそこから紡ぎ出すのか、ということではないかと思います。その未来に向けての力のある物語があって、ようやく今、大人たちはそのために汗を流すことができるのではないかと思うのです。
あなたはこの地域社会でどのような未来を作ろうとしていますか、と問われても、なかなか答えは出てきません。でも、子どもたちにオペラをプレゼントする、という具体的な企画があって、それに協力するとすれば、そこにどのような夢を込めますか?という問いなら、なんとなく語ることができるような気がします。
それはこの企画に込める夢を通して、自分の中にある未来を語ることだと思います。
オペラ、芝居、コンサートなど、文化的な催しがひしめく地域社会にしよう、とか、子どもたちが自分でしっかり歌を歌うとか芝居をやるとかいった自由に自分を表現できる環境を整えてあげたい、とか、学校が息苦しいと感じる子どもがいれば、その子が生き生きと生きられる場を作ろう、とか、大人だって息苦しいんだから、大人の居場所も作ろう、とか、子どもの居場所と大人の居場所が一緒になるとすごくおもしろいことができるんじゃないか、とか、そんな夢をたくさん集めれば、地域の未来を語る壮大な物語ができあがることになるのではないかと思うのです。
役所が出すような、人の息づかいが感じられないようなプランではなく、地域の大人たちが、自分たちの頭で考え、自分たちの子どもの未来を見据えながらみんなで夢を語り、そこから生まれるような力強い物語です。大人たちはもちろん、なによりも子どもたちが未来に希望を持てるような、そんな物語です。それこそが地域のみんなが望むような未来を作っていくのではないかと思うのです。
そういう地域社会の未来を見据える物語が私たちにないこと、地域の未来をどのように作っていくのか、というビジョンが私たちにないこと、こういう仕事は行政がやるものだと私たちは思っていること、そういったことこそ地域社会の課題だと思うのです。
子どもたちにオペラをプレゼントする、という企画は、そういう課題に気がつき、みんなが自分の力で地域社会の未来を作っていくきっかけになるように思うのです。
オペラ「ロはロボットのロ」はもうひとりの主人公でもあるココ(女の子)が未来に向かって力強く歩み始めるところで終わります。主人公のテト(ロボット)はエネルギーが切れ、眠ったままです。でも希望は失いません。ドリトル博士がきっとテトを直してくれると信じています。テトが元気に戻ってくることを夢見て、それまで私がテトに負けないくらいおいしいパンを作り続ける、と歌います。
♪ 晴れた日も 曇った日も 雨の日も
哀しい時も 苦しい時も 淋しい時も
やってくる 朝の あ
新しい希望と 新しい喜びと
新しい元気が窓たたく
朝の あ
ああああ
新しい朝の あ
そんな希望のある明日を創っていきたいと思うのです。
あ、おもしろそう!って思った方はぜひおいでください。問い合わせはpukapuka@ked.biglobe.ne.jp 電話453-8511 高崎まで
あ、それから、子どもたちにオペラをゆめ基金、寄付を募集中です。
郵便振替口座は 口座記号 00260-4 口座番号 97844
加入者名 NPO法人ぷかぷか
子どもたちにオペラをプレゼントする企画はこちら
オペラの内容については
東京公演のチラシ
おはなし会がありました。今日は5組の親子が集まりました。子どもたちはすごい集中して聞いてくれ、絵本の中のパンをおいしそうに食べていました。
どれにしようかな
これ食べたい
あ、おいしい!
こんな小さな赤ちゃんも
アメリカのボーイング社が「世界各国のコミュニティニーズに応える斬新でインパクトの強いプログラムを求めている」というので、ワークショップの企画を提案することにしました。今まで書いてきたことをまとめたようなものです。
《目的》演劇ワークショップの手法を使って、障がいのある人たちと地域の人たちとの新しい関係を作り、その中で今までにない新しい価値といっていいほどの楽しい芝居を作りたいと思っている。それはNPO法人ぷかぷかの基本理念でもある「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」を目に見える形で表現することでもあり、それがこのプロジェクトの目的だ。
彼らといっしょに芝居作りをやっていると、彼らの存在がとても大事な存在であることが見えてきて、彼らに向かって「あなたが必要」「あなたにいて欲しい」「あなたがいないと困る」と思える関係が自然にできてくる。社会の中では考えられないような関係だ。
社会はまだまだ障がいのある人たちと、前向きの、いい関係が作りきれず、「なんとなくいやだ」「怖い」「何をするかわからない」「効率が悪い」などと、彼らを社会から締め出してしまっている。社会の中に彼らが堂々と働く場所,居場所がないのは、やはり社会がそんな風に彼らのことを思っているからだと思う。
彼らをそんな風に社会から締め出してしまうのは、社会の大変な損失になる。それは、社会にはいろんな人がいること、その多様性こそが社会に豊かさをもたらしていると考えるからだ。
そういった社会的状況の中で、障がいのある人たちといっしょに活動する方が、今までにないおもしろい「場」ができ、価値ある「作品」ができる、ということを演劇ワークショップをやっていく中で伝えていきたい。
《ゴール》障がいのある人たちと地域の人たちで月一回演劇ワークショップをおこない、6ヶ月かけて芝居を作っていく。最後にみんなで作った芝居を大きなホール(客数340人)の舞台で上演する。これが今回のプロジェクトのとりあえずのゴールだが、これで終わり、というわけではない。むしろここから障がいのある人たちとの新しい関係が始まり、ひろがっていくと思っている。
口にはしないものの、障がいのある人たちのことを「何となくいやだな」と思っている人は多い。障害者施設を建てようとすると、地元住民から反対運動が起きることさえある。とても悲しいことだが、これが障がいのある人たちの置かれた社会的状況だと思う。
これは障がいのある人たちに問題があるのではなく、彼らのことを知らないことによって生じる問題だと思う。「何となく怖い」とか、「何をするかわからない」といった印象は、彼らのことを知らないことから生まれる。“知らない”ということが、彼らを地域から排除してしまう。
彼らの生きにくい社会、異質なものを排除してしまう社会、他人の痛みを想像できない社会は、誰にとっても生きにくい社会だろうと思う。誰かを排除する意識は、許容できる人間の巾を減らすことにつながる。社会の中で許容できる人間の巾が減ると、お互い、生きることが窮屈になる。これは同じ地域に暮らす人たちにとって、とても不幸なことだと思う。
逆に、彼らが生きやすい社会、社会的弱者が生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会になる。
「誰にとっても生きやすい社会」は、みんなが望んでいるものであり,「社会のニーズ」と言っていい。そんなニーズに応えるにはどうすればいいのか。そんな社会はどうすれば実現できるのか。
NPO法人ぷかぷかは5年前、障がいのある人たちの社会的生きにくさを解消するために立ち上げた。具体的には街の中に障がいのある人たちの働くお店(パン屋、カフェ、お惣菜屋、アートショップ)を作り、街の人たちと彼らが知り合う機会を毎日の生活の中で作ってきた。彼らと知り合うことは、彼らの生きにくい社会を少しでも解消し、誰にとっても生きやすい社会を実現していくための小さな一歩を踏み出すことでもある。
更にNPO法人ぷかぷかでは「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージをホームページ(「ぷかぷかパン」で「検索」)
(http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?FrontPage)、Facebookページ(https://www.facebook.com/pages/ぷかぷか/320074611512763)、ぷかぷかしんぶん(http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?ぷかぷかしんぶん)など、様々な形で毎日発信している。
演劇ワークショップの試みは、この「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」という言葉を実感する場といっていい。いっしょに生きていって「何ができるのか」「何が創り出せるのか」「彼らの価値をどう生かせるのか」を、みんなで確かめ、具体的な形=芝居で表現する試みでもある。大きなホールの舞台で上演することで、たくさんの人たちと「いっしょに生きていった方がいい」というメッセージを共有できる。
たくさんの人たちが「障がいのある人たちとは、いっしょに生きていった方がいいね」と思うようになることは、「誰にとっても生きやすい社会」の実現に向けて、みんなで歩き出すことだ。
演劇ワークショップに参加すると、いっしょにやっている障がいのある人たちに向かって「あなたが必要」「あなたにいて欲しい」「あなたがいないと困る」と素直に思える関係が自然にできる。社会の中でそういう関係がなかなかできない中で、このことの持つ意味はとてつもなく大きい。なぜなら、彼らが社会から締め出されている大きな原因が、彼らといい関係が作れないところにあるからだ。
障がいのある人たちと、前向きのいい関係、新しいものを創り出すクリエイティブな関係を作る上で、演劇ワークショップの手法は絶大な「効果」を持つ。こういう関係を持続的に作り、広げていくことが、「誰にとっても生きやすい社会」を実現していく上でとても大事だと思う。
プロジェクトの「評価方法」は発表会を見に来たお客さんがどう評価するか、ということにつきる。昨年のワークショップで作り上げた芝居は「表現の市場」(表現を通して障がいのある人たちと出会い直そうというイベント)で発表したのだが、見に来たお客さんの感想を見ると、この発表がどういう意味を持っていたかがよくわかる。
「表現の市場」を見に来たお客さんの感想(その一部)
・とてもおもしろかったです。自由でありながら、全体としてステージが成立しており、ユーモアにあふれ、いい時間でした。個性と多様性あふれるパフォーマンスに、こちらも元気になりました。他者への壁(バリア)が少ない彼らの存在に、現代社会が学ぶことも多いなと思いました。
・ちょっと見て帰ろうと思ったのですが、おもしろくて、楽しくて席が立てなくなりました。今日の舞台を見てたくさんの人たちが「おもしろい」「楽しい」と思うようになったら、世の中、もう少し生きやすくなると思います。
・「森は生きている」を見に来ました。地域の人たちといっしょに作っている雰囲気がとてもよかったです。感動して涙が出ました。
・こういうことができる街はすばらしいと思う。
・まさに表現の市場でした。どの舞台も、障がいのあるなしに関わらず、それぞれの人が一生懸命舞台に立っている姿に感動しました。ありがとうございました。
・心がほっこりしました。演劇としてとか、メッセージとか関係なく、みんなといるだけで、そのままで、なんだか癒やされる感じがしました。
・みなさんのパワーあふれるパフォーマンスに心打たれました。みんなの楽しそうな笑顔が最高でした。それぞれのすばらしい表現に感動しました。
・涙が出ました。ありがとう!また家族で見に来たいと思いました。
・みなさん一生懸命取り組んでいて、感動しました。ダンスでは車いすの方が立ち上がって踊り出し、胸が熱くなりました。
・第1部から第3部まで大変すばらしかったです。どのパフォーマンスも、とっても元気をもらえました。誰もが明るく、明日を生きていこうと思える演技でした。次回も楽しみにしています。
・表現することを楽しまれ、見ている私もうれしくなりました。今後もこの活動を続けていって欲しいです。
・みなさん、生き生きと表現されていて、すばらしかったです。また来てみたいと思いました。楽しい時間をありがとうございました。
・とてもすばらしい内容で、楽しく拝見させていただきました。今後ともこの市場が長く続くことを楽しみにしております。
・とっても楽しくて笑いがいっぱいのステージでした。自由に表現する出演者のみなさんを見ていたらいっしょにやりたくなりました。第2回、第3回と続いて行くといいなと思います。
・感動しました。素敵な企画をありがとうございました。
・みなさん、レベルが高く、驚きました。元気と笑顔をもらいました。
・心あたたまる演目ばかりで、すごくよかったです。
・心から楽しませていただきました。今後がとても楽しみです。
・ぷかぷかの「森は生きている」超おもしろかった。たくさん練習したのですね。すばらしかったです。
・照明、音楽、演出、小道具、とっても垢抜けていました。
・どのグループの発表もすばらしかったです。ぜひ続けていただきたいです。みなさんはいろいろ可能性を持っていることをあらためて感じさせていただきました。
感想の中に《今日の舞台を見てたくさんの人たちが「おもしろい」「楽しい」と思うようになったら、世の中、もう少し生きやすくなると思います。》《こういうことができる街はすばらしいと思う。》というのがあるが、私たちのメッセージはきちんと届いたように思う。
(ホームページにワークショップおよび表現の市場の記録を載せています)
「表現の市場」とは
http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?表現の市場
「表現の市場」の舞台
http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/11/26/000027
演劇ワークショップで作った芝居の舞台
http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/11/30/152009
本番前日の演劇ワークショップ
http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/11/23/232321
1980年代の初め、フィリピンの演劇人たちによって演劇ワークショップがはじめて日本に持ち込まれた。当時養護学校の教員をやっていた高崎(現在NPO法人ぷかぷかの代表)が、この手法を使えば障がいのある人たちともっといい出会いがあるのではないか、とプロの演劇集団黒色テントの協力を得ながら、地域の人たちにも呼びかけ、障がいのある人たちといっしょに演劇ワークショップを始めた。(当時、演劇ワークショップはアジア、中南米における識字教育における手法の一つとして研究の対象にする人が多く、障がいのある人たちといっしょにやってみよう、と提案する人は誰もいなかった。)
彼らといっしょにやるワークショップは予想をはるかに超える楽しい場になり、腹の底から笑えるような芝居がたくさんできた。社会から邪魔者扱いされている彼らが、ワークショップの場では絶対に必要な存在だった。「あなたに一緒にいて欲しい」と素直に思えるような関係が、ワークショップの場では自然にできあがった。「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」という思いは、ここから生まれた。
5年前、養護学校を定年退職し、NPO法人ぷかぷかを立ち上げて障がいのある人たちの働くお店を街の中に作った時、この「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいい」という思いがそのまま法人の理念となった。
彼らの働くお店を運営しながら、彼らと地域の人たちとの関係を丁寧に作ってきたが、更に踏み込んだ関係を作り、その関係の中で作った芝居を舞台にあげたいと思った。障がいのある人たちといっしょだからこそ作り出せるものを舞台で表現することで、《彼らとはいっしょに生きていった方がいい》という思いをたくさんの人たちと共有できると思ったからだ。それは、いっしょに生きていくことで豊かなものが生まれる、ということを舞台の作品を通して伝えることでもあった。
障がいのある人たちは今までどちらかといえばマイナスのイメージで受け止められていたが、そうではなくて、彼らといっしょに生きていくことで、今までにない豊かなものが生まれ、私たち自身が、私たちの社会が豊かになることを伝えたいと思う。それはとても大きな社会貢献になる。
演劇ワークショップは現在みどりアートパークのリハーサル室でやっているが、スペースの関係で、参加できる人数が限られてしまう。マキシマムで40人程度。ホームページやFacebookページで情報発信したおかげで参加希望者がたくさんいるが、スペースの関係でお断りしている状態。発表会をやるホールは300人くらい入るので、そのときに見に来てもらうにしても、やはりワークショップは見るよりも、実際に自分の体を動かしてはじめてそこでやっていることの意味がわかるものだ。
ここに参加した人、あるいは発表会を見に来た人たちが、自分たちのところでもやってみたいと思ったときに、演劇ワークショップの技術的なフォローの体制ができていれば、いろんなところでワークショップはできる。障がいのある人たちとのクリエイティブな関係がどんどんひろがっていくことになる。
これは今までにない画期的な関係であり、新しい文化といっていいほどの作品があちこちで生まれるだろう。社会は今までにない豊かさを手に入れることになる。
障がいがある人と一緒に暮らす社会について掘り下げて考えるためのトピックス集です。