ぷかぷか日記

これぞぷかぷか

  以前、ツジさんと一緒に外販に行ったとき、ずっとおしゃべりしているツジさんが訓練会の先生にひどくしかられたことがあります。

「仕事中、おしゃべりしちゃだめでしょ!」

って。そばにいて何も注意しない私も一緒にしかられたようでした。でもこのツジさんのおしゃべりが外販先では大人気で、彼のおしゃべりのおかげで売り上げがずいぶん伸びています。ある区役所ではこの5年で売り上げが日によっては始めた当初の10倍になることがあります。

 今日たまたまお店で撮った動画は,お店の風景の中にごく自然にツジさんのおしゃべりが溶け込んでいます。

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 これがぷかぷかの、ごく当たり前の風景になっているのです。お客さんも店員も全く気にしていなくて、あらためて不思議な空間だなと思いました。「これぞぷかぷか」って感じです。

 こんな空間を作ろう、ってできたのではなく、なんとなくできてしまったところがぷかぷかのいいところ。ツジさんがこうやって自由に振る舞えるから、みんなここでは自由になれるのだと思います。そういう意味で、ツジさんがここで自由に振る舞うことで作りだしたものは、ここにしかないぷかぷかの大きな「価値」になっていると思います。そういう視点で、ぜひもう一度映像を見てください。

 お客さんが

「ぷかぷかに来るとホッとします」

とおっしゃっていましたが、この空間がどういうものであるかを端的に語っているように思います。「ぷかぷかが好き!」っていう人が最近増えてきたのも、この空間の自由さ、あたたかさがじわっと心とからだに響いたのだと思います。 

 

 ツジさんに「仕事中おしゃべりしちゃだめでしょ!」って注意した先生の価値観はごく一般的なものだと思います。その一般的なものが作りだすものの正反対の世界がここにはあります。私たちがホッとひといきついたり、心があたたかさで満たされたり、ふっと自由になれたりするのはどっちなんだろう、ということです。

 

 

読売福祉文化賞を受賞しました。

 9月に読売福祉文化賞に演劇ワークショップのことを書いて応募したところ、先ほど若い女性から「読売光と愛の事業団ですけど…」と電話があり、「こういう電話があるってことは…」と、ちょっとどきどきしたのですが、読売福祉文化賞受賞のお知らせでした。

 なんと100万円ゲット!です。今年もワークショップの助成金を6カ所も申請し、2カ所80万円弱しかもらえず、発表会の舞台製作費も入れると150万円くらいかかるので,どうやってお金を工面しようか頭を抱えていました。ですから、今回の受賞は飛び上がりたいくらいうれしいです。

 

1 公益性ある創造的な事業で、ハンディを持つ方や地域の人々に元気を与え、ネットワークを広げている
2 個人または団体が生き生きとした活動の場を持てる支援や企画を実践している
3 福祉の現場において、多様な文化の向上に尽くしている
4 明確なテーマを持って、目覚しい実績をあげ、将来も継続、発展が期待できる

 というものが対象になっていたので、これはもうワークショップにぴったりだと思い、応募したのでした。

 

活動をはじめたきっかけと詳しい内容

  障がいのある人たちは「なんとなくいやだ」「怖い」「何をするかわからない」といった形で、社会から締め出されていることが多い。彼らを社会から締め出していく時、社会は受け入れられる人間の幅を狭め、お互いが息苦しい社会になっていく。いろんな人がいる、という多様性こそが社会の豊かさなのだが、彼らを締め出すことはその豊かさを失うことでもある。これは社会の大きな損失であり、課題であると考える。
 彼らを締め出すのは、彼らに問題があるのではなく、彼らのことを知らない、ということが大きな原因になっている。この課題を解決するためにNPO法人ぷかぷかは街の中に障がいのある人たちの働くお店(パン屋、カフェ、お惣菜屋、アートショップ)を作り、街の人たちが彼らを知る機会を毎日の生活の中で作ってきた。
 演劇ワークショップは街の人たちと障がいのある人たちの関係を更に深め、いっしょに新しい芝居を作っていこうというもの。新しい関係を作るだけでなく、そこから今までにない新しい文化といっていいほどのものを創り出す。
 昨年6月からぷかぷかの利用者さんと地域の人たちが月一回集まって演劇ワークショップをおこない、11月にみどりアートパークのホールの舞台でみんなで作った芝居を発表した。それは、障がいのある人たちといっしょだからこそできた芝居であって、「ぷかぷか」が日々ホームページやFacebookページで発信している「障がいのある人たちとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージを具体的に目に見える形で表現したといってもいい。
 できあがった芝居は彼らが一緒にいた方がいい理由を端的に物語る。芝居はだから、彼らに対する社会のさげすんだ目線をひっくり返すほどの内容を持つことになる。

ホームページに詳しい記録が載っている。
「ぷかぷかパン」検索→「ぷかぷかホームページ」→左側メニュー欄「みんなでワークショップ」→「みんなでワークショップ第1期2014年6月〜11月」 ワークショップの詳しい記録。

「みんなでワークショップ」→「映画ぷかぷか物語」 ワークショップの記録映画から見えてきた物語

 

 

これまでに得られた成果

 障がいのある人たちといっしょに演劇ワークショップをやると、彼らに対して「あなたがいないと困る」といえる関係が自然にできる。社会の中で邪魔者扱いされている彼らとそんな関係を切り結ぶことがで来た意味は大きい。 また障がいのある人たちといっしょだからこそ作ることのできた芝居は、今までにない新しい《文化》と呼んでいいほどのものだった。

 

 

今後の活動予定と抱負

2015年9月より「第二期みんなでワークショップ」を開始。今年は「みんなの生きる」をテーマに芝居を作っていく。月一回集まってワークショップをやり、平成28年2月14日(日)にみどりアートパークホールの舞台で芝居を発表する。

 

 

推薦者

近くのNPO法人レクタスの理事長塚原さんに推薦理由を書いてもらいました。

 障がい者が地域でパンを作り、売っているだけでは、地域の方との交流は限定的なものとなる。「ぷかぷか」は、パン販売を地域を越え、隣接の市や区に交流を広げるだけでなく、芝居作りを通して地域の人たちと障がい者との交流を深めていくという素晴らしい企画を実践化した。パンを作っている利用者さんが芝居に参加することで、一人一人の生き方を広げ、可能性を広げるだけでなく、できあがった芝居自体が障がいのある人たちといっしょに地域社会に生きる理由をわかりやすく、地域住民の目に見える形で訴えることができていた。昨年の舞台発表でも多くの人たちの共感を呼んだ。ぷかぷかのこれまでにない企画、そこで創り出したものは、単なる福祉活動ではなく、地域社会を巻き込み豊かなものにし、それを地域文化にまで発展させようとする壮大な夢につながっている。

 

 

 

 読売新聞もこういうことに100万円もぽんと出すなんて、なかなかやるなぁ、と思いました。ワークショップで創り出すものに100万円の価値をつけた,ということです。大事に使いたいと思います。

  第二期みんなでワークショップは今苦戦していますが、発表会は2月14日(日)みどりアートパークホールです。詳しい時間などはまた後日発表します。100万円の舞台、ぜひ見に来て下さい。

 

 昨年の記録映画は1月7日(木)にみどりアートパークホールでアンコール上映会をやります。

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「むっつり大王」と向き合う

 第二期みんなでワークショップで作っている「みんなの生きる」の詩の世界を蹴散らかすような「むっつり大王」は,生まれてこの方笑ったことがなく、楽しいことやうれしいことが大嫌い。超根暗人間で、いつも不機嫌きわまるむっつりした顔をしています。そのむっつり大王の案がいくつか出てきました。

 

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これはデフパペットシアターの大里さんの案。「ああつまらない」「ああおもしろくない」と不満たっぷりの顔ですが、どこかかわいくて憎めない感じ。

 

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これはぷかぷかの近藤さんの案。口元がいかにもむっつり。目にも不機嫌さがあふれ出ていて,何かにつけ因縁つける、いかにも陰気な大王です。

 

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これもぷかぷかの近藤さんの案。不機嫌さの塊のような顔。幸せそうな顔見るともう蹴飛ばしたい衝動に駆られるやっかいきわまる大王。

 

 

 みんなの幸せな時間をたたきつぶしてしまう「むっつり大王」。いかにも手強い相手ですが、「生きる」「幸せ」とか「楽しさ」とか「喜び」といったものは、何もしなくてもいつでも手に入るものでもなく、時にこういうやっかいきわまる「むっつり大王」のような存在と闘う必要があるのだと思います。「平和」と同じです。何もしなくても「平和」があるのではなく、不断の努力が大事、ということは戦争に巻き込まれる危険がいっぱいの「安保法案」が通ってしまう最近の政治状況を見ればすぐにわかります。

 

 最近「ぷかぷかに来ると癒やされる」「ホッとする」という人が増えてきたのも、社会全体がどこか息苦しくなっていることの裏返しのような気がしています。息苦しさを生み出しているのは何なんだろうか、という問いは、私たち自身がいつも考え続けねばならない問いだと思います。

「むっつり大王」は「生きる」「幸せ」をぶちこわす一つのシンボルではあるのですが、「むっつり大王」と向き合うとき、「生きる」の詩にある「かくされた悪を注意深くこばむこと」の「かくされた悪」に気がつくのではないかと思うのです。

 

 

 

 

11月7日パン教室

 パン教室をやりました。元ABCクッキングスタジオのパン教室の講師をやっていたスタッフが中心になってやったので、いつもとかなり違う感じでパンが焼き上がりました。

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 メンバーさんは手つきがすごくよくなっていて、あらためて彼らの成長ぶりにびっくりです。

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小さな子どもも,こっちがあれこれ言わなくても、ごく自然に交じってやるところがすごくいいです。

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 寄ってたかって生地の分割

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さつまいもあんパンを成形します。やわらかいあんこを包むのがむつかしい。

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あんこを包んだあと、黒ごまをつけます。ワインのコルク栓をぬらして黒ごまをつけ、それをあんこを包んだ生地にぺたんとはんこみたいに押します。

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バターロールの生地を型に詰め込んで、押しくらまんじゅうパンを作ります。

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フーガスを作ります。ピザ生地をのばし、半分にチーズを乗せ、織り込みます。スケッパーで切り込みを入れ、オリーブオイルを塗ります。

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パンが焼き上がります。

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この豪華な食事

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人権研修会の講師にぷかぷかのメンバーさん

 緑区役所で人権の研修会の講師を頼まれました。私が一人でしゃべるより、人権問題の当事者にしゃべってもらった方がいいと思い、ぷかぷかのメンバーさんに二人ほど一緒に行ってもらうことにしました。麻野さんと辻さんです。区役所のみなさんからいろいろ質問してもらい、それに答える形で彼らの思っていることをしゃべってもらおうかと思っています。

 障がいのある人たちを社会から締め出してしまうのは、やはり彼らのことをよく知らない、ということがいちばんの原因だろうと思います。知らないから、あの人たちは何もできない、何考えているかわからない、怖い、といった思い込みで私たちの社会から締め出してしまいます。締め出された結果、ぷかぷかのような福祉事業所に集まってきます。

 私はあんなにステキな人たちを社会から締め出してしまうことは、社会の大いなる損失だと思っています。

 彼らのおしゃべりを聞く中で、心がちょっとでもあたたかいもので満たされるなら、彼らを社会から締め出してしまうことが、私たちの社会にとってどれだけ損なことか、実感としてわかると思います。

 ぷかぷかが今地域社会を豊かにしているのも、社会が失った損失を、地域の方たちがぷかぷかで見つけ出した,ということだと思います。

 

 辻さんには「ヨイトマケの唄」も歌ってもらう予定でいます。しみじみ心にしみる歌です。映画『ぷかぷか』の最後のシーンで歌い、号泣した、という方がいました。辻さんて、何かとしつこくて、うるさい人ですが、時として人の心に響く言葉を持っている方です。

  ぷかぷかのイベントでは「魅惑のチキルーム」をうたってくれました。

www.youtube.com

 

 こんな歌が聴ける人権研修会って、多分今までどこにもなかったんじゃないかと思います。ひょっとしたらほんとうに号泣する人が出てきて、感動的な人権研修会になるのではないかと思っています。映画『ぷかぷか』上映会の時、私は涙が止まらなくて、映画のあとのトークショーの言葉に詰まってしまったことがあるので、今度はそういうことがないように辻さんの歌を聴こうと思っています。

 

 

 

『ぽんちんぱん』でステキな《時間》

子どもと一緒に声を出して読むと楽しい絵本買いました。

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ぱんぱん しょくぱん ぽんちんぱん

子どもにもいいやすいので、親子で掛け合いでやってみて下さい。

(スキャナーが小さくて2枚になっています)

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ぱんぱん ロールパン ぽんちんぱん

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ちぎちぎ ぱっぱで ぽんちんぱん

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ぱんぱん ドーナツ ぽんちんぱん

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ちぎちぎ ぱっぱで ぽんちんぱん

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子どもと一緒に声を出し合って楽しめるのも、子どもが小さいうちだけ。かけがえのないそんなステキな《時間》を,この絵本は創ってくれます。

 カフェに置いておきます。

ぷかぷか基準

 hanaちゃんと一緒にパン屋をやりたいと研修に来られた花岡さんがすばらしいブログを書かれていましたので紹介します。

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hanaちゃんがパン屋で働く、というのは現実問題、かなりむつかしいなかで、それでも、

《 hanaのありのままを大切に子育てしていけば、おのずと道は開けて来る予感はしています。(正直云うと、予感というよりももっと強い感覚です。笑われるかもしれませんが、確信に近いです)  》

と書ききる花岡さんがすごいと思いました。確信の文字は赤になっていて、花岡さんの熱い思いというか「自信」を見た気がしました。これはhanaちゃんと一緒に生きることで、花岡さん自身と、まわりの世界が変わっていったことが「確信」という言葉のベースにあるように思いました。そういうものがなければ「確信」なんて言葉は使えません。

 そこで思ったのは最近のぷかぷかを巡るまわりの動きというか、「hana基準」に相当する「ぷかぷか基準」に対するまわりの評価です。「ぷかぷか基準」というのは今思いついた言葉ですが、要するに「ぷかぷか」が一番大事にしているものです。

 それはなんといっても「障がいのある彼らがありのままの自分でいられる」ということです。彼らを社会の基準に合わせるのではなく、彼らを基準にする、ありのままの彼らを受け入れる、その方が「得!」ということです。

 「得!」というのは、私たちがそのことで豊かになる、ということです。ありのままの彼らの魅力に出会うと、ほんとうに心が癒やされます。心があたたかいもので満たされます。最近「ぷかぷかが好き!」という人が増えてきたのは、そういった彼らの魅力に気がついた人が増えたということだと思います。

 ありのままの自分でいいんだよ、という「ぷかぷか基準」こそがぷかぷかの魅力を創りだし、こんなふうにして社会を少しずつ豊かにしているように思うのです。

 そんな「ぷかぷか基準」で作られた「ぷかぷか」を、近々区役所の課長、係長クラスの人たちがなんと9名も見学に来るというのです。ね、世の中少しずつ変わって行きつつあるのだと思いますよ。

 hanaちゃんのお母さんが「確信に近いです」と書いた気持ち、ぷかぷか5年目の今、すごくよくわかります。

 

これが「ぷかぷか基準」

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hana基準にあった働き方

 hanaちゃんのお母さんが、将来hanaちゃんと一緒にパン屋をやりたいと,今日、パン屋に研修に来ました。

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 hanaちゃんはとても障がいの重いお子さんで、一緒にパン屋をやると言っても、hanaちゃんには多分仕事はむつかしいので、そばに一緒にいるくらいしか現実的にはできないのかなと思います。それでも尚、hanaちゃんと一緒にパン屋をやりたい、と思うその「志」がすばらしいと思うのです。

 hanaちゃんくらい障がいが重いと、養護学校を出たあとは生活支援の施設に行くのがふつうですが、そんなふうに決められた人生コースを歩むなんてつまんないじゃん、という思いがお母さんにはあるようです。決められた人生コースではなく、どこまでもhanaちゃんと一緒に自分の人生を生きるんだ、という熱い思い。エールを送りたいです。

 重い障がいを持った子どもと一緒に人生を切り開いていこうとすれば、当然様々な困難が予想されるのですが、それにひるむことなく、むしろそれを楽しむかのように「一緒にパン屋やります」というお母さん。「世界がhana基準になったら」

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といったことを書くくらいのお母さんですから、一緒に働くことのイメージがひっくり返るほどのアイデアがひょっとしたら出てくるかも知れません。

 hanaちゃん自身,こうやって寝っ転がっていることが多いのですが、

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こうやってみんなと詩を読んだり、

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お母さんと一緒に詩の発表を聞いたり

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マツイさんに惚れ込んだり

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やるときはちゃんとやる人です。

 

hanaちゃんはまだ小学1年生。パン屋が始まるまでまだまだ時間があります。それまでにhanaちゃんがパン屋で働くってどういう感じかなぁ、とか、hanaちゃんがありのままの姿でいて、それでいてしっかり働いていることになるのはどんなときかなぁ、とか、みんなで考えれば、今までにない新しい働き方が出てくるのではないかと思ったりします。それこそ「hana基準にあった働き方」です。

 もしこれがうまく見つかれば、障がいのある人たち、特に重い障がいを持った人たちのすばらしい希望になる気がします。決められた人生コースに乗るのではなく、子どもと一緒に自分の人生をクリエイティブに生きていこうと思っているお母さん、お父さんにとっても。

 

《得!》という言葉は侮れない

 「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方が《得!》」といつも言っています。この《得!》という言葉が、この業界(?)にあってとても新鮮でした、と先日お会いした方に言われました。

 この業界とは要するに福祉の業界ですが、誰かのために何かをやってあげる、ことの多い業界であり、それを《得!》だからこの仕事を始めた、という人は今までいなかったのではないか、というわけです。

 だから「すごい」、とも言ってましたが、何で「すごい」のかはよくわかりませんでした。

 《得!》という言葉は、自分の素直な感覚から出ているので、障がいのある人たちとのおつきあいに無理がありません。一昔前は「障がいのある人たちとは共に生きねばならない」とか「共に生きよう」という言葉がはやっていましたが、言葉の上では共感できても、実感としてついて行けないというか、かなり無理がある気がしていました。

 そういう意味で《得!》という言葉は、養護学校で彼らと毎日おつきあいする中で実感した言葉です。以前にも書きましたが、養護学校の教員になって1年目、小学部の6年生を受け持っていました。クラスのみんなで1週間くらいかけて紙粘土で大きな犬を作ったことがあります。毎日毎日「大きな犬ができるねぇ」「楽しみだねぇ」「できあがったら名前つけてあげようね」とか言いながら、少しずつ犬ができあがってきました。

 そうして完成した日、「ところでけんちゃんさぁ、これ何を作ったんだっけ?」と犬を指先ながら聞きました。こういう質問も養護学校では大事な勉強になります。

 けんちゃんは一生懸命考えていました。

「え〜とね」「え〜と」「え〜と」…とものすごい時間かけて考え、

「そうだ、わかった、おさかな!」

と満面の笑みを浮かべて答えたのです。

もう笑っちゃったというか、大あたりぃ!かんかんかんかん…と鐘を100回くらいならしたいくらいでした。

 彼らと過ごす日々には、そういったことがいっぱいありました。いつしか、彼らとは一緒に生きていった方がいいよな、得だよな、とごく自然に思うようになりました。

 彼らと一緒に生きていく場として「ぷかぷか」を始める原点は、彼らと一緒に過ごしたこんな楽しい日々があります。

 人生が楽しくなりました。人生が豊かになりました。生きることが自由になりました。そういったことを考えると、彼らとは一緒に生きていった方が《得!》というときの《得》の中身は天文学的といっていいくらいの《お得感》があるのではないかと思ったりするのです。彼らとは、ほんと,つきあわなきゃ損!ですよ。

 

 そんなふうに言い続けて5年、「ぷかぷかが好き!」「ぷかぷかのファン」という人がだんだん増えてきました。「ぷかぷか」はそうやって地域社会を豊かにしているのだと思います。社会から疎外されている人たちのことを好きになるなんて、考えてみればすごいことだと思います。そういう人が増えることで地域社会は豊かになっていきます。

 すべては《得!》という言葉から始まったものです。《得!》という言葉はだから侮れないなと思います。

 

料理しながらこんな遊びができてしまう彼らとは一緒に生きていった方が絶対に《得!》です。普通の人ではこんなことできません。ま、こんなこと突然始めたボランティアの木下さんも偉いのですが、それにすぐ乗ってきた彼らがいたからこそできたステキな時間だったと思います。これ昨日の料理教室です。

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