ぷかぷか日記

こういうことこそが新しい福祉を作っていく

日経イニシアティブ大賞2016の募集がありました。

social.nikkei.co.jp

応募の条件は以下の三項目です。

 

1. 社会性  社会的課題の解決を事業のミッションとしている

2. 事業性  ビジネス的手法を用いて継続的に事業活動を進めている

3. 革新性  新しい事業モデルや社会的価値を創出している

 

 なかなか手強い項目です。2年続けて落選していて、これにチャレンジするだけの新しい視点も見当たらず、今年はもうやめようかと思っていました。正直なところ、かなりしんどかったのです。

 ところが昨日パン教室の話を書きながら、「社会は障がいのある彼らが必要なんだと思います」という言葉を見つけ、そうか、今年はこれでチャレンジしてみようかと、ふと思ったのです。(全く懲りない人だと自分であきれています)

 「ぷかぷかが好き!」という人たちは、「ぷかぷか」にしかない新しい「価値」を見つけたんだと思います。その「価値」を軸に据えた「ぷかぷか」は新しい事業モデルになるのではないか、という仮説を展開しようというわけです。その仮説の展開の先には「社会は障がいのある彼らが必要なんだと思います」が来ます。

 ま、これも書いてみないと、どんなふうに話が展開するのか、なんともわからないのですが、あえてこうやって公表することで自分にプレッシャーをかけます。

 

 福祉事業所が、こういうことにチャレンジすることに意味があると思っています。三項目と向き合うことで自分が磨かれます。どの項目も福祉事業所が今まで取り組んでこなかったことだと思います。でも、こういうことこそが新しい福祉の世界を作っていくのだと思います。

 

 締め切りは1月31日。また寝不足の日が続きそうです。

 

こういう人は社会に絶対に必要だと思うのです。

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社会は障がいのある彼らが必要なんだと思います。

1月23日(土) パン教室をやりました。メニューはおひさまの台所で大人気の「ライスバーガー」、「プレッチェル」、「肉まん」、カフェで大人気の「カブのスープ」でした。

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 今回全盲のけいじろう君が参加しました。小学校6年生です。

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 けいじろう君はオペラ「ロはロボットのロ」のワークショップに参加し、オペラの公演も見に来ました。目が見えないのに、確かに「見に」来たのです。私たちとは全く違う世界の認識の仕方で、オペラを「見て」、「楽しんだ」のです。ピアノも歌もしっかり聞き分け、私たち以上にオペラを楽しんでいたのかも知れません。

pukapuka-pan.hatenablog.com

 たまたま今朝の朝日新聞朝刊の読書欄に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』という本の紹介がありました。目が見えないからこそできる認識方法もある、と指摘しているそうですが、けいじろう君を見ていて、そんなふうに思うことはたくさんありました。

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 本の紹介に、「目の見える人は、逆に視覚に頼りすぎているので、認識に身体性が欠落しているという見方もできてしまう」とありましたが、けいじろう君を見ていてそう思います。けいじろう君の指先は、私たちの何倍もの感度で世界を認識しているんだろうと思います。そのことを知ることで、私たちはまた豊かになっていきます。障がいのある人たちは、こんなふうにして社会を豊かにしているのだと思います。

 社会は障がいのある彼らが必要なんだと思います。「支援」する関係ではなく「必要」とする関係です。ワークショップでは「あなたが必要」と自然に思える関係を作っています。

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

 

 ゆうきちゃんは保育園が終わって、いつも6時過ぎにパン屋にやってきます。今日は初めてのパン教室でしたが、慣れた手つきでパン生地をこねていました。

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 ゆうきちゃんのわくわくする気持ちがよく伝わってくる写真が撮れました。パン教室って、このわくわくする気持ちをみんなで共有できる場なんだなって、この写真見ながらあらためて思いました。だから障がいのある人たちもない人たちも、お互い気持ちよく出会えるんだろうと思います。

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みんな真剣

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超人ワザ

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パン教室で五郎丸ポーズ

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ライスバーガーに使う玄米は土鍋を持ち込んで炊きました。

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麺棒でついて、粘りを出します。

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おせんべい状にしてフライパンで焼きます。

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プレッチェル

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30秒ほどゆでます。

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さぁ、豪華なお昼のできあがり!

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みんなでいただきます。といっても座りきれなくて、別れていただきました。

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 今回も300枚を超える写真を撮り、編集が大変でしたが、またいろいろ新しい発見がありました。 新しい発見があり、新しい創造があるからパン教室が続いて行くんだろうと思います。

 

 そうそう、けいじろう君が楽しんだオペラ『ロはロボットのロ』、大好評だったので、来年3月25日(土)にみどりアートパークホールで再演することが、このブログを書いている途中でこんにゃく座とみどりアートパークと連絡を取り、決まりました。詳しくはまた発表します。オペラ『ロはロボットのロ』は3月以降の旅公演はなくなりますので、舞台で見る最後の公演になります。見なきゃ、絶対に損!です。

 

わんど紙芝居

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わんどの片隅に小さなギャラリーがあります。

ナカタクさんがみんなのために作ってくれました。

誰もが作品を発表でき、みんなで共有できるスペースとして使っていこうというナカタクさんのアイデアから生まれたものです。

額縁にポストカードサイズの絵を入れ、展示したり紙芝居として使うことができます。

今回は発案者のナカタクさんが、わんど紙芝居の作品第1号として物語を作ってくれました。

朗読付きの動画でお楽しみください!

 

・・・

 

わんど紙芝居その①「幽霊の肝試し」

youtu.be

 

真夜中の丑三つ時は肝試しには丁度いい。

「うらめしや~生きた人間の肝を冷やすにはうってつけの時間よ~」

と女の幽霊が大喜び。

しかし、その幽霊が行った事とは・・・

 

お墓のお供え物のカップ日本酒を奪い取り、がぶ飲みし始めたのです。

ガブガブゴックン・・・「んめぇなぁ!!これからアタシ自身の肝を試すんだヨ」

とよく分からない事を言いました。

「えーい!!酒はどこだ!!どこに行った!!」

幽霊は酒を探し始めました。

 

「あっジョッキに注いだビールだ!!」

ゴクゴクゴクゴク・・・

「ぷはぁ!!」夏はコレだねぇ!!」

 

「おや?こんな所に赤ワインが!!」

すぅーゴックン

「う~ん芳醇な香りだわ。」

 

「あらら!?ウイスキーもあるわ!!」

カランカラン・・・ゴクリ

「大人の孤独の愉しみね。」

 

「Удивленный!!(ロシア語で『驚いた』という意味)ウォッカがあるぞ!!」

ゴクン・・・

「うゎぁ!!ホカホカだぁ。」

 

「おほほ。シャンパンを頂くわ。」

ゴクン・・・ンフフ・・・

「社交界の賑やかな雰囲気ね。」

 

「イヒヒ・・・アルコールがあるぞ・・・。」

チョロチョログツグツ

「究極の蒸留酒が完成だ!!」

 

おや?幽霊の様子が変だ。

「うえっ!!気持ち悪いよ~私は肝試ししただけよぉ~。」

それは人様のお供え物を奪い取ったり、

あり得ない事をするからでしょ!!

幽霊はへろへろした状態で、目の前に置いてあった桶を顔に近づけて・・・

 

オエ~!!と吐き出しました。

桶へ出しきった幽霊はKO状態!!

これが本当の「肝ダメし」でしたとさ。

 

おしまい

 

 

・・・

はじめは、ありがとうカードの中だけで表現をしていたナカタクさんですが、いつの間にか紙芝居にまで作品を発展させることができました。

この小さなギャラリーは、いつも作品に込めた思いを大切にしているナカタクさんだからこその提案だったと思います。

 

紙芝居はわんどで実際に動かして鑑賞することができます。

今後、他のメンバーさんによる作品も展示されるかもしれません。

わんどへいらした際に見つけてみてください!             kon.

ただのパン屋の話だったら

 知り合いの方が、自分の子どもの通っている支援学校の保護者の勉強会でぷかぷかの話を聞きませんか?と投げかけたところ、

「ただのパン屋の話だったらみんな聞きたいかどうかわからない」

とか言われたそうで、ぷかぷかのことを知らない、というのはこういうことだと思いました。

 ぷかぷかが始まるとき、横浜市の空き店舗活性化事業に応募し、650万円もの開業資金をいただいたことがあります。そのときに審査員だった方に、

「どうしてぷかぷかが選ばれたんですか?」

と、聞いたことがあります。そのとき返ってきたのは

「ぷかぷかは、ただのパン屋じゃないって言うか、なんだかおもしろそうな広がりが期待できそうだと思ったからです」

という言葉でした。審査の時のヒアリングや、最終審査のプレゼンテーションを聞いてそんなふうに思ったというのです。

 うれしい評価でしたが、実際

「なんだかおもしろそうな広がりが期待できそう」

って評価されたことが、この6年間でほんとうに実現できたと思っています。

 

 「ぷかぷかが好き!」とか「ぷかぷかのファン」という方がずいぶん増えました。どちらかといえば社会のお荷物のように受け止められている障がいのある人たちの社会的な位置づけを考えると、奇跡のようなことがぷかぷかのまわりには起こったのではないかと思ったりします。

 しかもそういったことが、「障がい者と共に生きていきましょう」なんてことを言ったわけでもなく、毎日楽しく働いていると自然にそういうお客さんが増えてきた、というところがぷかぷかのおもしろいところだと思います。

 障がいのある人たちと一緒に生きていくにはどうしたらいいのか、というのは昔からあるとてもむつかしいテーマであり、なかなかいい形で実現できなかったと思うのですが、それを「インクルージョン」とか「共生」とかいうむつかしい言葉を使ったりすることもなく、毎日楽しく働いて、気がつくと、そんなぷかぷかの雰囲気が好き!という人が増えていた、というのがいかにもぷかぷからしいと思うのです。

 無理して障がいのある人達と一緒に生きていこうとしているのではなく、「一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージに素直に共感し、「一緒に生きていった方がいいね」って思う人がぷかぷかのまわりに増えているということ、そういう形で社会がいい方向に変わりつつあること。地域社会がそういう形で豊かになっている、ということです。

 これって、ですから、結構すごいことを「ただのパン屋」が実現してるんじゃないかって思ったりするのです。

 地域の人たちといっしょに芝居作りをやったりもしています。お客さん達と一緒に芝居作りをやるパン屋なんて、日本中、どこを探してもないんじゃないかと思います。障がいのある人たちと一緒だからこそ作り出せる「新しい文化」といっていいほどのものを大きなホールの舞台で表現しています。

 ぷかぷかは「ただのパン屋」です。でも、その気になれば「ただのパン屋」であっても、こんなにもたくさんの素敵な物語を生み出せる、ということをぷかぷかは証明したんだと思います。

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新春墨絵ワークショップ

 

今年もどうぞよろしくお願いいたします☆わんど店長のゆっこです。

 

2016年一発目の新春スペサルワークショップを9日(土)に開催しました!

新年の“書初め”ならぬ“描初め”ということで、お習字の道具をつかって墨絵制作です。

 

モチーフは今年の干支『さる』

道具は、墨汁、半紙、細筆、中筆、布筆。

墨も水の量を変えて作った、濃いめ、薄めの2色だけ。

制作時間は15分。さあ、どんなさるが描かれるんでしょう?

 

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育休中のアートスタッフも来てくれました。

息子にも絵の才能がしっかり受け継がれています!

 

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ナカタクさんはこの温泉さるのしあわせ~な表情が気に入ったようで、口の角度にこだわっていました。

 

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タカノブさんは布筆をポンポンっとあてて、毛のふさふさを上手に表現しています。

 

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ショウヘイさんはおさるのダンスも披露してくれました♪

 

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ヨッシーのさる誰かに似てる~」って言ったら、さらっと「たけしざるです」

やっぱり!!(笑)

 リエさんのおさるは豆絞りの手ぬぐいを引っ掛けて、温泉に入るようです♪

 

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シュウイチさんとノボさんは同じ写真を見ながら描いてますが、できあがりは完全に自分の作品になってました!

わんどきってのアーティスト気質な二人の作品をぜひギャラリーで見比べてください。

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じっくりタイプのシュウイチさん。筆だからか、さるだからかスイスイと進んでいました。

これにはスタッフもびっくり!

もっともっといろんな題材や道具を使って、まだ知らないみんなのアート魂を見つけていきたいです。

 

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ノッてきたコウくん、布筆だって使いこなしちゃいます☆

この日一番多くのさるを描いた一等賞はコウくんでした!

 

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全作品をずらっと並べて、一番気に入った絵を一つ選んで発表しあいました。

自分の絵を選ぶ人もいれば、誰かの絵を選ぶ人もいて、気に入った理由もさまざまで。

持ち帰る作品を除いて前回のワークショップで制作した富士山のまわりに好きな場所にさるを貼り付けました。

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スペサル感が増しました!

 

墨絵制作をやってみて。

色の選択が濃いか薄いかのみで、下描きもなく、筆もスルスルと滑るので

いい具合に力が抜けた感じで絵に向きあっているように感じました。

鳥獣戯画という案もあったので、またいつか企画したいと思います♪

 

最後にわんどギャラリーの今後の予定をお知らせします。

富士山は現在“せやまんまるフェスタ”に出張中。

“せやまんまるフェスタ”は1月31日(日)に瀬谷公会堂で開催されます。

イベントの一つに“心の葉書展”があり、そちらにも9名が応募しました。

心から好きなもの、心から伝えたいこと、今日の心模様、そんな『心』がテーマの作品展です。

25日(月)~29日(金)まで城南信用金庫の瀬谷支店でも展示されます。

お近くの方はぜひ足を運んでみてください!

 

わんどギャラリーには1月30日(土)の冬のぷかぷかマルシェから、巨大なくじらが帰ってきます!

それまでかわいいおさるさんたちがわんどでお待ちしていま~す☆

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hanaちゃんもいっしょに舞台に立ってくれるといいな

 みんなでワークショップの発表会に使われる構成台本には《hana基準》が入っています。

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 朗読するのは、それを書いた花岡さん(hanaちゃんもいっしょに舞台に立ってくれるといいなと思っています。寝っ転がっちゃうかも知れませんが…)。構成台本はワークショップの進行役をやっている演劇デザインギルドの花崎さんが書いたものですが、私がぷかぷか日記で紹介した《hana基準》の話に感銘し、構成台本に入れたというわけです。

「みんなの《生きる》」の一つの世界として、大きなクジラになって(スイミーのイメージです)みんなで自由に楽しそうに泳ぎ回るシーンがあるのですが、その中で花岡さんが《hana基準》を朗読します。

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 《hana基準》はぷかぷかのメッセージでもあるのです。彼らを社会に会わせるのではなく、社会を彼らに合わせていく、という発想です。花岡さんは「世界がhana基準になったら」世界はもっと平和で、豊かで、みんながもっと楽に生きられるといいます。

 ぷかぷかに来たお客さんが、心を癒やされ、ぷかぷかのファンになる方が多いのも、メンバーさん達がありのままの自分でいられるぷかぷかの雰囲気に、平和で豊かな世界を感じ、ふっと楽な気持ちになる自分を見つけたのだと思います。そんなふうに《ぷかぷか基準》が広がっていくと、社会はもっともっと暮らしやすくなるのではないかと思うのです。

 花岡さんは本気で《hana基準》を世界中に広げたいと思っています。私も本気で《ぷかぷか基準》を社会に広げていきたいと思っています。

 3月末に完成するぷかぷかのプロモーションビデオは、その第一歩になると思っています。

一緒にいると、心ぷかぷか

 ぷかぷかのプロモーションビデオ制作についてプロデューサー、ディレクター、コピーライター、PVプロボノコーディネーターより、制作にあたっての考え方、画コンテの説明がありました。

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 4分から4分半のプロモーションビデオですが、ストーリー展開の上で五つのまとまりがあります。

 sequence1のオープニングは青空にぽっかり浮かぶ雲から始まります。20〜30秒で、焼きたてパン、働くメンバーさん、アート作品、お店の外観等がざっと流れます。

 sequence2はメンバーさんの働く様子がメンバーさん自身の紹介で1分程度。

 sequence3は、このプロモーションビデオにぐっと奥行きを持たせるような部分で、ぷかぷかを離れたメンバーさんの姿を入れるそうです。バス停で一人たたずんでいる姿とか、要するに「ぷかぷかのメンバー」ではなく、「一人の人」としてたたずむ姿が写ります。こういう映像を入れるところがプロだなと思いました。

 sequence4は、彼らといると気づくこと、としてぷかぷかが作り出した様々なものが紹介されます。お客さんのインタビュー、お客さんの笑顔、メンバーさんの笑顔、メンバーさんの手、メンバーさんのまなざし、パン、アート作品、ワークショップ、ぷかぷかの空気感などなど。

 sequence5は、まとめにあたるところで、こんな笑顔を、知らないなんてもったいない、とメンバーさんの笑顔がたくさん紹介されます。「いらっしゃいませ」の声も。最後にテロップ「一緒にいると、心ぷかぷか」

 

「一緒にいると、心ぷかぷか」というコピーがすばらしいですね。プロのコピーライターの方が一緒に来ている理由がようやくわかりました。

  音楽もオリジナルな曲をプロに依頼し、映像につけるそうです。納品は3月31日。なんかもうその日が待ちきれないくらいわくわくしています。

『むっつり』の中にもの悲しさが

 谷川俊太郎の詩《生きる》の朗読から始まった今期のワークショップも今回で5回目。「みんなの《生きる》」世界をつぶしてしまうものとして「むっつり大王」を考えたのですが、ワークショップをやる中で、「むっつり大王」は実は自分の中にあることがわかりました。社会の閉塞感とか窮屈さは、実は自分自身が作りだしていることの発見はとても大きいものでした。その「むっつり」をどう乗り越えていけるのか、が今回のワークショップの大きなテーマになりました。

「むっつり」が広がっていく様をワークショップの中でやったとき、その「むっつり」に感染しない人たちがいるんじゃないか、という意見がぽろっと出ました。ぷかぷかのメンバーさん達のことです。

 前回のワークショップの記録からその部分を再度記載します。

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 終わってからの反省会。「むっつり大王」を消滅させるためには何をすればいいのか、がなかなか見えてきません。クジラを登場させるにしても、それが「むっつり大王」をやっつける魔法の杖になってはワークショップをやってきた意味がなくなります。

 「むっつりに感染しない人たちもいるんじゃないか」という意見が出ました。ぷかぷかのメンバーさん達のことです。「むっつり」は様々な不満、欲望から生まれます。慎ましく自分の人生を楽しんでいる彼らには、そういう気持ちがほとんどありません。彼らこそ、この「むっつり」に覆われた世界からみんなを救い出すんじゃないか、というわけです。

 ワークショップの中で、いらいらした気分でどうしようもなくなったときや落ち込んだとき、ぷかぷかに行くとなぜか救われた気分になるんです、とおっしゃった方がいました。「ぷかぷかが好き!」という人がどんどん増えているのも、社会の中で生きづらさを感じている人が多いからではないのかという気がします。

 「むっつり」がどんどん増えていって、「むっつり大王」がグワァ〜ンと最大限大きくなって暗転した舞台にスポットライトが当たります。そこにはぷかぷかのメンバーさん。

 コヤマさんはワークショップが終わると必ずお母さんに電話します。

「もしもし、ショウヘイです、きょうは、♪ おひさまーが りんごのー はっぱをとおして ひーかる おひさまーが りんごのー はっぱのかげをつーくるー ♪ と歌いました。たのしかったです」と、電話口で歌うのです。

★★

 このメッセージを芝居の中で、どう表現するのか、がむつかしいところです。

 

 「むっつり」の感染が広がって、社会全体がどうしようもなく息苦しく、恐ろしくなった時をこんなふうに表現します。

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 仮面をかぶったみんなが一斉に振り返ります。ここからオペラ『飢餓陣営』(宮澤賢治作、林光作曲、黒テントの赤い教室「オペラの学校」)のなかのバナナン大将の歌の一節を歌うのですが、そのイントロの最初のピアノの音で一斉に振り返ったときの迫力、恐ろしさはすごいものでした。そのまま舞台の前まで歩き、お客さんに迫ります。

 

 

 ピアニストのあみちゃんが気合いを入れて指導してくれました。

どこかもの悲しさの漂ういい歌です。「むっつり」の広がる世界は恐ろしいのですが、その一方で、一人ひとりに中にはどこかもの悲しさが漂っているのではないかと思いました。その部分があるからこそ、「むっつり」に感染しない人たちに共感するのだと思いました。

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 「むっつり」に感染しない人たちに共感し、人々が自分を取り戻す、というところが、芝居として今ひとつうまく表現できてない気がしていて、本番まであと2回のワークショップで、どこまで作りきることができるか、いちばん苦しくて、いちばん楽しいときです。

 

 

 全体の流れとしてはこんなふうになります。

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 谷川俊太郎の詩『生きる』の朗読は、エリックサティのピアノをバックに一人一行ずつ読み進めます。

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一行読んだら、次の人に詩を渡し、体で形を作ります。次の人はその形につながる形を作ります。そうやってできたのがこれ。

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 たとえば辻さんを出発点にこんなことができるということと。これがワークショップのおもしろいところです。

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ひととおり通して発表したので、全体のイメージがみんなで共有できました。むっつり大王の世界からみんなを救い出すぷかぷかのメンバーさん達の台詞がうまくお客さん達に届くかどうか、そこがいちばんの勝負所です。

 

 

読売新聞の方が取材に来ていました。

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なんともとんちんかんなやりとりに、みんな笑ってしまいました。どんな記事になるのでしょうね。

 

 ワークショップの発表会は2月14日(日)『表現の市場』の中でやります。ぜひ来て下さい。

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「くそ〜!」は創造のエネルギー

 新しいものを作るときはふだんとちがうエネルギーが必要です。ふだんと同じであれば、新しいものは生まれません。

 一昨日、「ぷかぷか」のはんこがもう使いすぎて壊れてしまったので、消しゴムで新しいはんこを作ってくれるように依頼がありました。はがき大の消しゴムを渡され、こんなの簡単、と引き受けました。

 ところがこの消しゴムがくせ者で、版木を彫るときとは全く感じが違います。版木はナイフで切った跡がくっきりと残ります。それを見ながら反対方向から刃を入れ、形を彫っていきます。それと同じように切れ込みを入れたのですが、消しゴムは弾力があって切れ込みが元に戻ってしまうので、その切れ込みのあとが全く見えません。目を近づけたり、消しゴムの角度を変えたりして、何とか切れ込みのあとを探すのですが、なかなか見つからなくて「くそ〜!」って思いながら仕事を発注したセクションに電話、

「だめ!これ、できない!」

 正直、怒り狂っていました。何でこんな仕事よこすんだよ、って。

 お茶飲んで、少し落ち着いて、「でも、これやらなかったら、誰もやらないよな、いや消しゴムだから、和紙に丁寧に下書きして、それを裏返しにして消しゴムに貼り付けて、それに添って彫っていけば簡単にできちゃうし、でも丁寧に下書きなんかすれば、おもしろみのある字なんか彫れないし、そんなの耐えられないし…やっぱり自分でやろう!」って、思い直して彫り始めたものの、切った跡は相変わらず見えなくて、「くそ〜!」って思いながら、ほとんど怒りにまかせてナイフで切れ込みを入れていきました。

 そうこうしているうちに、気がつくと(怒りで夢中になっていました)、何とか彫り上がっていて、スタンプ台でインクをつけてみたら、それなりに味のある字になっているじゃないですか。

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消しゴムを彫るコツが少しわかってきたので、気をよくして「おひさまの台所」にも挑戦。ところがわかったつもりで彫り始めたものの、やっぱり切れ込みはどう工夫しても見えなくて、またしても「くそ〜!」といらいら。

「だめ!この消しゴム、もういらいらしてだめ!もうやめる!」

と、また電話。お茶飲んで、ちょっと落ち着いて、考え直して、また「くそ〜!」と思いながら挑戦。字数が多いので、「くそ〜!」の度合いもどんどんアップ。怒りにまかせてナイフにも力が入り、消しゴムが切れてしまうくらい深く彫ってしまうところも出てきて、ますます「くそ〜!」って思いました。怒り心頭に達したあたりで気がつくと彫り上がっていました。インクをつけたら、それなりにおもしろいじゃないですか。

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「くそ〜!」って思いながら彫るのもどうかと思いましたが、彫り上がってみると、「くそ〜!」って思うエネルギーこそが、この文字を彫ったんだと思いましたね。「くそ〜!」も捨てたもんじゃないですね。

 

 「くそ〜!」って思いながら電話した相手が、Facebookに「高崎が心をこめて彫ってくれました」なんて書いていて、「そうか、《くそ〜!》は心か」、と思いました。

 

 

種を蒔き続ける

 11日に書いたブログ「いい仕事を提供しようとすればするほど経営が苦しくなる仕組み」に対する意見をいただきました。

pukapuka-pan.hatenablog.com

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 利用者さんと真っ直ぐに向き合い続けてきた高崎さんの考えには重みがあります。

 

 日本の政治が、社会的な弱者に対する救済が十分でなく遅れているのは、票にならないことが一因だと考えますし、業界や地域の利益代表であり続けないと当選が続かないのも一因だと考えます。そうすると、根本的には、有権者(=住民)の障害者に対する意識が変わらない限り、解決にならないと思います。

 

 ですから、高崎さんの意見や考え方を発信し続け、現場を見てもらい、少しでも意識を変えていくことが必要だと思います。

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 福祉サービスに対する報酬の問題は、国の政治の問題ではあるのですが、元はといえば、その政治を作ってきた有権者(=住民)の障害者に対する意識の問題ではないか、という指摘は、まさにその通りだと思いました。

 時間はかかりますが、問題の本質的な解決には、障がいのある人たちに対する社会の意識を変えていくことが大事なんだろうとあらためて思いました。そのために、私たち関係者は何ができるのか、ということです。

 

 ぷかぷかは「障がいのある人たちの社会的生きにくさを少しでも解消する」ことをNPO法人設立の目的にしていました。彼らの社会的生きにくさは、社会の彼らへの視線が作りだしています。役に立たない社会のお荷物、といった視線です。これは彼らのことをよく知らないことに起因しています。

 私は彼らと出会うことで、社会のお荷物どころか、「社会の宝」ではないかと思うようになりました。私たちを豊かにしてくれる宝です。彼らとは一緒に生きていった方がいい、絶対に得!と心底思うようになりました。

 街の中に彼らのお店を作ったのは、街の人たちに彼らといい出会いをして欲しいと思ったからです。彼らのことをちゃんと知れば、「社会のお荷物」といった視線は自然になくなると思ったからです。

 毎月やっているパン教室も、秋にやる運動会も、すべて街の人たちに彼らといい出会いをして欲しいという思いからです。

 日々、Facebookページ、ホームページ、しんぶんなどで「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ」というメッセージを発信し続けています。

 演劇ワークショップでは、そのメッセージを芝居という目に見える形にして舞台で発表しました。

 そういったことが毎日毎日積み重なって「ぷかぷかが好き!」「ぷかぷかのファンです」という人がどんどん増えてきました。彼らといい出会いをした人が増えてきたということです。

 ぷかぷかのまわりの社会では、明らかに障がいのある人たちへの意識が変わってきました。

 

 それが政治にまで反映するには気が遠くなるほどの時間がかかります。でも、時間がいくらかかろうとも、今日、種を蒔きます。そのことが大事だと思っています。今日、種を蒔くことからしか希望のある未来は始まらないからです。

 種を蒔き続けること。今日も明日も蒔き続けます。

 未来に対して種を蒔き続けること、それが私たちの仕事だろうとあらためて思いました。

 ご意見、ありがとうございました。

 

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