上記の活動を行うNPO法人ぷかぷかは、障がいのある人たちの社会的生き
にくさを少しでも解消することを目的として設立しました。ところが実際に
お店を運営していると、彼らは街の人たちの心を癒やし、元気にしているこ
とに気がつきました。街を耕し、豊かにしているのです。
これは大変な発見でした。彼らはもう何かをやってあげるとか、保護すると
か、支援するとかの対象ではなく、ぷかぷかで働きながらお店を支え、街を
豊かにするという「役割」をしっかり担っていたのです。そんなふうにして
社会に貢献していたのです。そのことが彼らの日々を支え、彼らの笑顔を生
んでいました。
「いつ来ても、ぷかぷかは明るいですね」「ほかの福祉事業所とは空気感が
ちがいますね」と見学者の多くが語っています。それにはこういう理由があ
ったのです。
福祉は昔から「施し」を受けるようなイメージがありますが、彼らを見てい
ると、「施し」を受けるどころか、社会を変えるソーシャルイノベーターと
して活躍しているのです。
区役所でパンの販売をするときはお客さんの行列ができます。世間から「な
んとなく嫌だな」と思われている障がいのある人たちのお店に行列ができる
なんて信じがたいことです。スタッフががんばって行列のできるお店にした
のではなく、彼ら自身がその行列を作ったのです。
ここにはですから「希望」があります。社会を救う「希望」です。この本に
はその「希望」の道筋があります。
豊かにする」という今までにない新しい発想、カタチでの社会変革をやって
います。接客マニュアルを使わず、障がいのある人たちの魅力をそのまま差
し出すことで、「ぷかぷかが好き!」とか「ぷかぷかのファンです」という
お客さんをたくさん作り出しました。そういう人を増やすことで、地域社会
を豊かにしてきました。いろんな人がいるっていいね、という豊かさを地域
の中で作ってきたということです。
これが成功すれば、障がいのある人たちを取り巻く世界だけでなく、社会全
体が大きく変わります。これはまさに、障がいのある人たちによるソーシャ
ルイノベーションです。