ぷかぷか日記

彼らに惚れ込んだこと、それがすべての始まり

 サービスグラント(日本のプロボノ活動の老舗)との打ち合わせがありました。先日おこなったテストマーケティングの結果についての話し合いです。ぷかぷかのアートを企業に売り込む営業資料をプロボノ活動で作っていただいています。その営業資料を持って、実際に企業にテストマーケティングに行ったのです。

 たまたまNHK Eテレの「明日も晴れ!人生レシピ」の番組を作っている映像制作会社のプロデューサーの方が様子を見に来られていました。「キャリアを生かして人助け」という番組を作るそうで、人生100年時代、中高年になって以降、「何か社会参加できないか」とは思うものの、それまでそういった経験がなければ、いきなりはむつかしい。そんな中で「プロボノ」(スキルを生かした社会貢献活動)という取り組みを紹介したいと考えて、様子を見に来たようでした。

 会社を定年になり、名刺を使わない世界に飛び込んだ途端、自分の支えを失った気分で、何していいのかわからない人が多いそうです。会社あっての自分で、その会社を外れた途端、何やっていいかわからない、自分自身がどう生きたいかがわからない、というわけです。会社のために働く人生はあっても、自分自身のための人生はなかったのでしょうか。ひたすら会社のために働いているうちに、自分の人生を忘れてしまったのでしょうか。淋しい話です。

 私自身は幸いにも定年後やりたいことがしっかりありました。養護学校の教員をやっているとき、障がいのある人たちに惚れ込んでしまい、こんなすてきな人たちとはいっしょに生きていかなきゃソン!と思っていたので、定年退職を機に、彼らと一緒に働く場「ぷかぷか」を立ち上げました。

 事業を立ち上げるには莫大なお金がかかります。そのために退職金を全部使ってしまいました。家族に障がいのある人がいたわけでもありません。なんの関係もない人たちのために、大切な退職金を使ってしまったのです。家族に障がいのある人がいてもこんなことはできない、と障がいのある子どもを抱えたお父さんは驚いていました。でも、なんの迷いもありませんでした。それくらいの思いで「ぷかぷか」を立ち上げたのです。時間も、お金も、自分の持っているものすべてを注ぎ込みました。

 経営の経験がなかったので、始めた1,2年は本当に苦しい日々が続きました。恐ろしいほどの勢いでお金が出ていき、ひょっとしたらもう持たないんじゃないかと、何度も思いました。

 そんな中でもやってこれたのは、障がいのある人たちがいつもそばにいてくれたことです。彼らといるとほんとうに楽しい毎日でした。元気をもらいました。心がほっこりあたたかくなりました。彼らほど心強い味方はいませんでした。

 障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいよ、というメッセージに共感したり、ぷかぷかさんたちといい出会いをしてぷかぷかのファンになった人たちがたくさん現れました。経営は苦しかったけれど、やり始めたことは間違ってなかったと思いました。彼らといっしょに生きていった方が、社会が豊かになる、というメッセージとその実践は、たくさんの共感を呼びました。

 ホームページのアクセス数は5年で25万を超えました。先日は九州から上映会と講演会を依頼されました。

 彼らを「支援」するのではなく、「いっしょに生きていく」というフェアに向き合う関係からは、たくさんの物語が生まれました。障がいのある人たちは社会のお荷物だとか、効率が落ちるといったマイナス評価が圧倒的に多い中で、「ぷかぷか」は、彼らは社会を耕し、社会を豊かにする存在なんだという物語を生みました。社会を変える新しい価値の創造といってもいいと思います。

 最初につぎ込んだ退職金は、この新しい価値創造のための投資であったと今は思っています。あの時退職金を銀行にあずけていれば、社会を豊かにするこんなにすばらしい価値は生まれませんでした。今、退職金と同じ額を出して、その価値が買えるかというと、決して買えません。ぷかぷかが7年かけてこつこつと創り出した新しい価値なのです。退職金の何倍もの価値を「ぷかぷか」は生み出したと思っています。

 

 養護学校を退職して7年。教員をやっている頃よりはるかに楽しい毎日です。こんなに楽しい日々が来るとは思ってもみませんでした。

 すべて、障がいのある人たちのおかげです。彼らを「支援」するどころか、彼らがいなければ「ぷかぷか」はできなかったのです。彼らはすばらしい社会貢献をしているのです。

 

 人生の大きなターニングポイントは、私の場合、障がいのある人たちに惚れ込んだことです。それがすべての始まりでした。彼らのおかげでこんなにも楽しい人生を送ることができ、彼らに感謝!感謝!です。 

 

 

お年賀ギフトの絵を見ていると、ほっこりあたたかな気持ちになります。

 お年賀ギフトのクッキーの袋にこんなかわいい絵が貼り付けてありました。

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 見てるだけでほっこりあたたかな気持ちになります。こんな絵を描く人たちとは、やっぱりいっしょに生きていった方がトク!と素直に思えます。

 世の中には、彼らが自分の地域に住むのを嫌がる人たちもいます。でも、こんな絵を描く人が地域にいると、地域社会がほっこりあたたかな雰囲気になります。

 ほんのちょっとでいい。この絵を見て欲しい。そして心のどこかがほっこりあたたかくなったら、この絵を描いた人に会いに来て欲しい。いっしょにお茶飲みながら、他愛ないお話をして欲しい。お話しして、心がなごんだら、どうして心がなごんだのか、ちょっとだけ考えて欲しい。

 

 お年賀ギフトの右の絵は写真のテラちゃんが描きました。テラちゃんとお話しすると、いつもこんな雰囲気になります。先日はカナダまで行って、言葉の通じない人たちとも、こんな関係をたくさん作ってきました。テラちゃんは人をあたたかな気持ちにさせる名人です。こんな人は社会にいた方が、社会がなめらかに回ります。

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どうして沢山の市民の応援を得て作ることができたのか伝えきれていない

 今から30年ほど前、東横線大倉山駅近くのガード下に「みんなのお店」という間口一軒の小さなお店がオープンしました。障がいのある人が二人ほど働いていて、自然食品を販売していました。

 当時、障がいのある人たちは街の人たちと切り離されたような作業所で働いていました。それが普通だとみんな思っていたので、街の中に堂々と出ていって商売をする「みんなのお店」の試みは、そうか、こんなことだってできるんだ、と目からうろこのほどの出来事でした。

 その当時の熱気あふれる雰囲気を当時からかかわっている志村さんが書き起こしてくれました。来年1月7日(日)「港北でぷかぷかをみる会」の実行委員の一人です。

 

 ぷかぷかからヒントを得るためにも私達が港北でどんな事をしてきたのか、または、できなかったのか振り返ってみる必要がありそうだ。
 今、ぷかぷかがとても眩しくみえるけれど、30数年前、港北でも「共に」の、熱い思いはあちこちで湧き上がり、私の周辺では、「みんなのお店」の創設そして「かれん」へと繋がって行きました。
 現在は社会福祉法人となり、継続して、安定した運営ができる場となっています。その事は、よりたくさんの人が安心して暮らすための必要な手立てだったかと 思います。ただ組織が大きくなると、どうし ても制約も出てきますし、日々をまわすことに追われる状況にもなりがちです。福祉という枠組みのなかで支援 と被支援の固定した関係が恒常化してしまう恐れもあります。
 「みんなのお店」は、かれんの原点と言われながら、その原点に込められた共にの熱い思いや、なぜ、どうして沢山の市民の応援を得て作ることができたのか伝えきれていない忸怩たる思いがあります。「みんなのお店」創設を支えてくださった方々が極少数となってしまった今、次世代に共にの思いをどう繋げられるか悩む日々です。
 大倉山駅近くにみんなのお店がつくられたのは1984年5月です。何の公的資金の援助もない普通のお店として出発しました。市民が自分たちの力で自由な発想で、自由な関係で、お店を作り運営することに何の疑問もないという気運の中で作られました。福祉の場ではない普通のお店であることにこだわりました。何故なら障がいのある人も無い人も一緒に店に立ち、誰もができる事は精一杯やり、できない事は補い合うことが当たり前の共に働く場をつくるためです。
 何故このような思いを共有することができたかというと、その一年前に、一つの闘いを共にたたかったからです。

 1983年、当時私はS中学の特殊学級担任をしていました。生徒の非行を警察と一体になって「解決」して有名だったS中学はいわゆる管理統制教育の真っ只中。自由時間無し、精神修養を目的とする修学旅行が計画され、特殊学級生徒は、連れて行かないという校長決定がされたのです。普通学校の中で限定的ではあっても交流教育も実施され一緒に行くのが当たり前と準備してきた生徒達も保護者も私もこの決定を受け入れるわけにはいきませんでした。校内では孤立し厳しい闘いではありましたが、横浜学校労働者組合だけでなく、私が暮しの中で利用していた「はこべの舎」の市村順子さんをはじめ沢山の地域の方々が、「S中特学生徒を修学旅行にいかせる会」に加わり共に声を上げてくださったのです。この時の記録は、小冊子「はじめの一歩」にまとめられていますが、修学旅行に同行された、学校開放センターの岸川さんの、「特学生徒二人の動きが自然なだけに、その周囲に温かさが生まれ、画一的なS中の旅行をやわらげていた。健常児と言われる生徒にとってこそ二人が必要とされているように見えた」との感想は、支援してくださった皆様の共通の思いであり、共にいることこそ地域の自然の姿だと次の年、「はこべの舎」を拠点に、「みんなのお店」開店となったのでした。私が教員になって駆け出しの頃出会ったNさん、Sさんが最初の店員さんとなり、たちまち人気者となりました。まだ珍しかった自然食品は飛ぶように売れたものです。そして販売だけでなく、地域で共にの思いの発信、誰もが楽に生きられる地域作りへとつなげるために、自主保育グループ「あかいくつ」やひかり作業所などにに呼びかけ、隔月で、バザーらくらく市、と、学習会らくらく講座を企画していきました。現在につながるらくらく市の始まりです。らくらく講座では、野本三吉さん最首悟 さん北村小夜さんなどお呼びし熱く 語りあったものです。講座は、その後「街で出会う」と名称を変えて続きましたが、私は、個人的な理由、子育てと教員としての仕事に追われ、中心的な動きからは徐々に遠ざからざるをえませんでした。

 「みんなのお店」は、10年が経過するころから、働きたいと希望する人も増えるなか、バブル崩壊後の社会経済も厳しさを増し、また、運営の中心である、市村順子さんも高齢となられ、このままの状態での存続は、危ぶまれる事態となりました。有限会社にする案なども検討されましたが、長い話し合いの結果やはりつぶれることよりも継続を安定させる方策として公的支援を受けて福祉の場にすることを選んでいきました。  

 1997年地域作業所「オーガニックスペースかれん」2000年「モアかれん」2002年「アートかれん」の開所となり2004年には、社会福祉法人となりました。法人となったことで念願だったグループホームもつくることができました。

 ところで、同じ福祉施設である、「ぷかぷか」のこの数年の動きは私の目にはとても眩しく魅力的にうつる。何故だろうか、いきいき楽しそうに見えるのは何故だろうか。
高崎さんが発信する夥しい言葉の中で「1+1=5」にする関係という表現がキーワードの一つかと思う。 人と人の関係を「1+1」で表すと2となることが普通に良い関係とするな ら、良い関係の上にさらに新しい何かを生み出すような関係を目指そうとする動きや、こころざしが「1+1=5」なのかと思う。それを私流に解釈すると、あなたがいてくれて嬉しい!あなたがいてくれて良かった!と言いあえる関係にして行くということではないかと思う。関係というものは、流動的だから、次々にしかけをつくったり、一緒に動いていくことが必要だ。「ぷかぷか」の止まらないその動きに目が離せない。
 私たちには私たちのやり方があるのだけれど、共にいることの意味、一緒に働くことの意味を問い続け、発信し続けるパワーにかけていたことを反省せざるを得ない今日この頃です。

 

 

 来年1月7日の港北上映会はこちら

pukapuka-pan.hatenablog.com

 関連ブログはこちら

pukapuka-pan.hatenablog.com

 

つぼのなかのぉ〜くりぃ〜むを〜

『注文の多い料理店・ぷかぷか版』に出てくる扉の言葉の歌。

♪ ちゅうもんは おおいでしょうが どうか いちいち こらえてください ♪

この歌、コサックダンスのように踊ったらおもしろいんじゃないか、という提案が今日のピアニスト湯田さん(オペラ『ロはロボットのロ』の時のピアニスト)からあり、やってみました。

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♪ つぼのなかの クリームを 顔や手足に すっかり塗って下さい ♪

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自分たちが食べられてしまうことがわかり、紳士は泣き出します。ハヤチャンの相手はデフパペットシアターひとみの役者善岡さん。二人とも泣き顔がいい。

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泣いて泣いてくしゃくしゃになった顔は東京に帰ってお風呂に入ってもなおりませんでした、という歌があるのですが、録画し忘れました。

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ぷかぷかさんといっしょにパンを作って楽しかったです。

 先週土曜日、パン教室をやったクラスの子ども達から「きりっ子フェスティバル」の招待状が届きました。

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 私はワークショップがあっていけなかったのですが、スタッフのナガセが行き、いっぱい写真を撮ってきました。教室をいくつかのエリアに分けて、「麦について」「パンの歴史」「世界パン」「パンの作り方」「パン作りを体験した感想」など、子供たち自身が説明してくれたそうです。

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 すごくよく勉強していますね。ちょっとびっくりしました。ぷかぷかのプロモーションビデオ見せて、障がいのある人について、アーダコーダとやったのですが、ちゃんと届いていましたね。うれしかったです。

障がいのある人たちと楽しいことをやって、相模原障害者殺傷事件を超える

 表現の市場のチラシの版ができ、ただ今印刷屋で印刷中です。下記サイトでチラシの表と裏を見ることができます。ダウンロードボタンを押して下さい。

pukapuka-pan.xsrv.jp

  表も裏も、味のある文字はミズキさん。ねこの絵はぷかぷかさんたちの共同作品です。裏の下の絵はショーヘーさんです。全体のデザインはわんどスタッフのコンドーです。

 裏の文章は高崎が書きました。去年に続き、相模原障害者殺傷事件について書いています。

 

 相模原障害者殺傷事件を起こすような社会は、事件以降変わったのかというと、ほとんど変わっていなくて、相変わらずあちこちでグループホームの建設反対運動が起こったりしています。グループホームの建設反対運動は、障がいのある人たちを地域社会から締め出してしまう運動です。障害者はいやだ、怖い、といった思いがあります。彼らとのおつきあいがないところでの不安が、そういった反対運動の根っこになっています。

 いやだなと思っている障害者を地域から追い出せばすっきりすると思っている人が多いのですが、本当にそうでしょうか。地域社会から障がいのある人たちを締めだしてしまうことは、許容する人間の幅を狭めることです。地域社会で許容する人間の幅が狭まると、結果的にはお互いが窮屈な思いをすることになります。お互いが息苦しい地域社会になっていきます。

 いろんな人がいること、それが社会の豊かさです。障がいのある人たちを締め出すことは人の多様性がなくなることです。社会はどんどん痩せこけていきます。

 だから障がいのある人たちを地域社会から締め出してはだめだ、というのではありません。彼らを締め出すのは、地域社会にとってソン!だと言いたいのです。社会の損失だと言いたいのです。彼らとはいっしょに生きていった方が絶対にトク!だと思っています。社会が豊かになります。

 

 「表現の市場」は、いろんな人がいることの豊かさを舞台で表現します。障がいのある人たちがいてこそできる豊かな世界を目に見える形で表現します。

 この豊かさを障がいのある人たちといっしょに作り続けること、それが相模原障害者殺傷事件を超えることだと思っています。事件を超えるというのは、誰かを排除したりしない社会を作ることです。障がいのある人もない人も、お互いが気持ちよく生きていける豊かな社会を実現することです。

 障がいのある人たちとの演劇ワークショップは、すごく楽しいです。楽しいことをやりながら、相模原障害者殺傷事件を超えるなんて、なんか一石二鳥という感じがします。障がいのある人たちと楽しいことをやって、相模原障害者殺傷事件を超えるのです。

 

 相模原障害者殺傷事件というと、なんとなく話が重くなり、みんな敬遠してしまいます。でも、事件を超えるカギは、障がいのある人たちといい関係を作ることです。彼らとおつきあいすることが楽しいと思える関係を作ることです。

 障がいのある人たちと楽しいことをやるなら、誰にでもできます。彼らといっしょに楽しいパン教室やったり、いっしょに大きな絵を描いたり、ぷかぷかのお店で楽しいお話をしたり、いっしょに楽しい芝居を作ったり、そんなことの一つ一つが、相模原障害者殺傷事件を超える豊かな社会を作っていくことにつながるのです。

 

 

 表現の市場は、来年1月21日(日)午後2時〜、みどりアートパークホールです。ぜひ来て下さい。

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目を凝らすと 見えない柱が きっと 見えます

  12月16日(土)第5回「みんなでワークショップ」がありました。

 オペラシアターこんにゃく座の「あの広場のうた」を聞いたとき、「ああ、これはぷかぷかのことだ」って思いました。ぷかぷかにはたくさんの大人、子どもが集まります。ぷかぷかさんたちといろんなことをやり、たくさんの物語を生み出しました。「あの広場のうた」そのままです。

 というわけで、今回は舞台の冒頭に「あの広場のうた」をうたいます。広場に一本の柱を立てるところから広場ははじまります。 

 

 おとなもこどもも  犬も鳥たちも

 虫たちも集まる   あの広場みたい

 

 耳をすませば見えてくる

 目をみはれば聞こえてくる

 少しずつ 少しずつ

 

 歌が生まれ  人は踊り出し

 物語がはじまる  あの広場がここに

 

 昔 広場に一本の柱

 ここに立てよう  目には見えない柱を

 

エノさんがスコップで穴を掘ります。

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柱を運んできます。

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エノさんがロープで引っぱり、柱を立てます。

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 でも柱がなかなか見えなくて、何度もやり直し。目には見えない柱なので、見えなくてもいいのですが、それでも去年のデフパペットシアターひとみの『蜘蛛の糸』の舞台のように、糸が本当に見えるくらいの舞台にしたいと思うのです。見えない柱が見えるようにするにはどうしたらいいか。

 イメージをつかむために、ホームセンターに行って紙の柱を買ってきました。直径20センチ、長さ2メートルです。1700円もしたので、どうしようか迷いましたが、これで大事な柱が見えるなら、と思って「えいや!」っと買いました。

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 本番の舞台を楽しみにしていて下さい。「歌が生まれ 人は踊り出し 物語がはじまる あの広場がここに」出現するのです。「昔 広場に一本の柱 ここに立てよう  目には見えない柱を」。目を凝らすと 見えない柱が きっと 見えます。

 

 

 『注文の多い料理店』は猟に来て怪しい世界に迷い込んだ紳士と、山猫のお話です。山猫のお面で遊んでみました。

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紳士たち

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三つのグループに分かれ、台本を使って舞台作り

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 『注文の多い料理店』には扉がたくさん登場します。その扉をどう表現するか、いろいろ話し合いました。扉のいちばん一般的なものは段ボールに描いたもの。

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体の前と後ろに段ボールの扉をぶら下げる「人間扉」は、なんだかおかしい動きをします。

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 更にアルミのパイプを利用したカチッとした扉。

 『注文の多い料理店』は山猫が作った怪しい料理店です。扉にいろいろ注文を書き、いい気になって注文を解釈するバカな人間を食べてしまおうというお話。最後犬が登場して、山猫と大げんか。犬が勝つと、料理店は煙のように消えてしまいます。ならば扉も山猫が作った怪しさとおかしさを表現するために、動きがなんともおかしい「人間扉」を使うのがいいんじゃないか、ということになりました。山猫がやっている間抜けな扉、という感じです。

 

 背景画をどうするかでも話し合いました。

 大きな山が山猫に変わるイメージ

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 これはベニヤ板を30枚も使う巨大な背景画。製作費がバカにならないことと、作業スペースの確保がむつかしいことが問題になりました。毎年ホールを3日間貸し切りで舞台装置を作っていますが、3日間でも作りきれない恐れがあります。

 結局、物語は『かしわばやしの夜』の「歌会」からはじまりますので、こんな感じにしようということになりました。高さは約3メートル。後ろに台を2段重ね、人が乗って顔を出します。「赤いしゃっぽのカンカラカンのカアン」と叫び、歌会が始まります。

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 この木の裏に、怪しい山猫の目が光ります。

 どんな舞台になるか楽しみにしていて下さい。

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あったかいなぁ~

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おひさまの台所やパン屋を度々ご利用になられる素敵な母娘さんがいらっしゃいます。

お買い物をされる時の物腰の優しさに、接客をしながらほんわかとさせていただく…そんなお客様。

 

今日、お店の前で歩みが少しだけおぼつかないお年寄りの方が転倒されました。

あ!と思った時はもう遅くて…

その時、サッと手を差し伸べて下さった方が、日頃からなんて素敵な母娘さんなんだろうと思っていたお二人。

 

椅子に打ち付けてしまった額を確認

大丈夫ですよ、と落ち着かせ

しばらく椅子に座らせて介抱

ご自宅を確認し

近くですから車で送りましょう!

と帰宅まで面倒をみてくださいました。

 

あ~なんてあったかい方々なんでしょう。

素早く的確な行動に、感謝、感謝。

ぷかぷかは、こんな素敵なお客様方に支えられているのですね…

 

ぷかぷかさんは、優しいんです。

ぷかぷかに来て下さるお客様も優しい方ばかりなんです。

 

優しさの連鎖が止まらない!!

 

 

 

 

 

「トク!」という感覚もバカにはできないのです

 新しく作るぷかぷかのパンフレットに何か書けと編集長に言われ、あわてて書いたのがこれです。

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ぷかぷかは「共生社会」を作っていこう、なんてことはいいません。

障がいのある人たちと「共に生きよう」といったこともいいません。

いうのは、障がいのある人たちと「一緒に生きていった方がトク!」です。

「いっしょに生きていかないとソン!」ともいいます。

「いっしょに生きていかないなんてもったいない」ともいいます。

彼らといっしょに生きると、社会が豊かになります。

 

ぷかぷかは障がいのある人たちを理解して下さい、とはいいません。

理解を飛び越えて、いきなり彼らのファンを作ります。

ファンを作り出すコツは、彼らのありのままを差し出すことです。

社会にあわせた彼らより、そのままの彼らの方が魅力があるのです。

彼らを社会にあわせるのではなく、社会を彼らに合わせた方が、みんながホッとでき

る、ゆるやかな社会になります。

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 共生社会とか、インクルーシブ社会といった言葉はどうも苦手です。共生社会は、共に生きることを強制されるような感じがあって、いやですね。インクルーシブなんて、カタカナで表記される社会は気色悪いです。みんながどこまで実感できる言葉なんでしょう。インクルージョンなんて言葉もよくききますが、日本人同士がおつきあいするのになんでカタカナなの、という感じです。

 共に生きよう、なんて美しい言葉も、なんだか気恥ずかしいです。

 やっぱり「いっしょに生きていった方がトク!」というのがいちばんしっくりきます。この「しっくりくる」という感覚が、大事だと思います。

 福祉の関係者が「トク!」なんて言葉を使うのはおかしいんじゃないか、といった人もいましたが、「トク!」という感覚でぷかぷかをやってきて、障がいのある人たちとのトクな関係の中から1+1=2以上の新しい価値を生み出したのですから、「トク!」という感覚もバカにはできないのです。

 

 「いっしょに生きていかないとソン!」ともいいます。人と人との関係は、ソン!とかトク!とかいったものではないのですが、それくらい泥臭い感覚で見ていった方が、長続きする気がします。「共に生きよう」なんて言葉よりもはるかにリアリティがあります。リアリティのある言葉は、腹に落ちます。

 「いっしょに生きていかないなんてもったいない」もよく使います。「もったいない」という感覚で彼らとの関係を表現することが、私は好きです。彼らとおつきあいしないなんて、ほんと、もったいないです。これはもう言葉では説明できない世界です。

 

 障がいのある人たちを理解して下さい、もいいませんね。理解したからいいおつきあいができるわけでもないし、理解よりも、まずおつきあいだと思っています。おつきあいしているうちに、なんとなく相手のこともわかってきます。

 ぷかぷかは、理解を飛び越えて、いきなり彼らのファンを作ります。ですから「理解」なんて、お利口さんのすることは必要ないのです。

 

 ファンを作り出すコツは、彼らのありのままを差し出すことです。社会にあわせないとやっていけない、といわれている彼らですが、接客マニュアルで動く彼らの姿が気色悪くて、その接客マニュアルをやめたら、言い換えれば、彼らのそのままを差し出したらファンができたのです。ファンができたのは、彼らのそのままの姿に魅力があるからだと思います。

 彼らを無理矢理社会にあわせるのではなく、社会を彼らに合わせた方が、みんながホッとできる、ゆるやかな社会になります。そうやってできたのが「ぷかぷか」です。

 

 

 

 

1+1=5になる関係

横浜市市民活動支援センターの発行する市民活動情報メディアにNPOと企業との協働についての話が載っていました。

NPOと企業との協働はシナジーを創り出すことだ。1+1を2よりも大きくする創造的な協力体制を目指す。

とありました。全くその通りだと思いました。そうでないと企業と協働する意味がありません。企業にアートを売り込む企画も、ぷかぷかさんたちのアートのチカラと企業のチカラが合わさって、1+1が2よりも大きな価値を生み出すような、そんな協働にしたいと思っています。

それは私たちと障がいのある人たちとのおつきあいについてもいえることです。ぷかぷかは彼らとフェアなおつきあい、フラットなおつきあいをしています。だから1+1が2よりも大きな価値を生み出しています。

 

それは彼らと一緒に創り出しているお店の空気感を見てもらえばすぐにわかります。

以前ぷかぷかさん抜きで私たちだけでお店を開けたとき、ずいぶんと間の抜けた雰囲気になり、やってきたお客さんは

「別のお店に来たみたいで、さびしい」

とおっしゃっていました。

やっぱりぷかぷかさんたちがいてこその「ぷかぷか」なのです。ぷかぷかさんたちだけではお店はできないし、私たちだけでもできません。ぷかぷかさんたちと私たちがいて、そこがフラットな関係の時、ぷかぷかのほっこりあたたかな、ホッとする雰囲気のお店ができるのです。1+1が2よりも大きな価値を生み出しています。

 

演劇ワークショップは、そのことがもっとはっきりわかります。芝居は私たちだけでもできるのですが、ぷかぷかさんたちが加わることで、格段におもしろくなります。1+1が5になるくらいの価値を生み出しています。

来年1月21日(日)みどりアートパークホールで開かれる表現の市場の舞台、ぜひ見てください。1+1=5になる関係が見えます。

これがもし「支援」という上から目線の関係であれば、そこから生まれるものは支援する側の幅のものしか生まれません。ですからそこは1+1は1のものしか生み出さないのです。すごくもったいない関係だと思います。

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