ぷかぷか日記

タカサキ日記

  • 〈なんでもいいから一番にな〜れ〉をさぐる
     8月18日(土)から第五期演劇ワークショップが始まります。今期は宮澤賢治作『ほらクマ学校を卒業した三人』(ぷかぷか版)を作ります。  原作は結構残酷というか、えぐい感じがするので、もう少し違う感じで、賢治が問いかけた問題をぷかぷからしく表現したいと思っています。  賢治は何を問いかけたか。それはほらクマ学校の校歌にあります。 ♪ カメはのろまに 歩いて見せた ウサギだまされ昼寝した   早いはえらい 大きいはえらい 勝てばそれまで だまされたが悪い  なんでもいいから 一番にな〜れ なんでもいいから 一番になれ   なんでもいいから 一番にな〜れ なんでもいいから 一番になれ  〈 早いはえらい 大きいはえらい 勝てばそれまで だまされたが悪い    なんでもいいから 一番にな〜れ なんでもいいから 一番になれ 〉 と、物語に出てくる〈赤い手長のクモ〉と〈銀色のナメクジ〉、それに〈顔を洗ったことのないタヌキ〉に競わせます。  クモとナメクジとタヌキの絵を描くとこうなります。この三人が、 〈 なんでもいいから一番にな〜れ 〉 と、ほらクマ学校で教え込まれ、卒業後、お互い相手を馬鹿にしながら競い合います。で、最後は三人とも惨めな死に方をします。ほらクマ先生は、三人とも賢い、いい子供らだったのに、実に残念だった、といいながら、大きなあくびをします。  みんなが一生懸命になってやってきたことが、大きなあくびをする程度のことに過ぎなかった、というわけです。  ワークショップではぷかぷかさん達と一緒にこの校歌を歌い、  〈 なんでもいいから一番にな〜れ 〉 の意味を探ります。  ぷかぷかさん達は、理屈っぽい話は苦手ですから、〈赤い手長のクモ〉と〈銀色のナメクジ〉〈顔を洗ったことないタヌキ〉は一番になるために何をやったのかをまず考えます。  簡単な物語を考え、芝居で発表します。それをお互い見せ合い、 〈 なんでもいいから一番にな〜れ 〉 の意味を探っていこうというわけです。 〈 なんでもいいから一番にな〜れ 〉  は、私たちが子どもの頃から何の疑いもなくやってきた考えのように思います。  〈一番になることがいい〉〈成績がいいことがとにかくいいことだ〉はからだに染みついていて、そういう視点で人を分けていきます。知らず知らずのうちに〈生産性〉があるかないかで人を評価してしまっています。  そういう視点は人を追い込み、息苦しい社会を作っていきます。  〈生産性〉の期待できない障がいのある人たちは社会から排除されていきます。  昔、養護学校の教員になって最初に受け持った子ども達はみんな重度の障がいを持った子ども達で、おしゃべりすることも、文字を書くことも、一人で着替えしたりトイレに行ったりすることもできない子ども達でした。 〈 なんでもいいから一番にな〜れ 〉 からもっとも外れる子ども達でした。じゃあ、その子達は全くだめな子ども達だったかというと、そうではなくて、今まで知らなかったなんともいえない人の魅力を持っていて、毎日おつきあいしているうちに、私は彼らに惚れ込んでしまったのです。  そばにいるだけで、心がほっこりあたたかくなる人なんて、それまで私のまわりにいた 〈 なんでもいいから一番にな〜れ 〉 とがんばっている人たちの中にはいませんでした。  〈 なんでもいいから一番にな〜れ 〉 で一生懸命やってきたのは、なんだったんだと思いました。おしゃべりすることも、文字を書くことも、一人で着替えしたりトイレに行ったりすることもできない子ども達が、 〈 それはちがう 〉 といっていたのだと思います。  ぷかぷかさんと一緒にワークショップをやることで、そういうことが見つかればいいな、と思っています。
  • テラちゃんと出会って
       テラちゃんはお客さんが来ると、前置き抜きで、いきなり友達になってしまいます。「はじめまして」ではなく「Facebookやってますか」「友だち申請していいですか」とスマホを借りて、自分でFacebookのページを開き、あっという間に友達になってしまいます。ふつうに見ると、かなり乱暴なやり方です。でも、たいていの人は「あっ、何、この人」と、びっくりしながらも、なぜか友達になってしまいます。テラちゃんの人柄ですね。  そんなテラちゃんとの出会いを上映会の日の午後のトークセッションでゲストの松井さん(NHKデスク)は、こんなふうに語ってくれました。  〈 はじめてぷかぷかを取材した日、いきなり「Facebookやってますか」とかなんとか早口でいろいろいわれ、ちょっとどぎまぎしてしまったんですが、テラちゃんのやわらかい手でぎゅっと握られたり、テラちゃんのあたたかいからだがぴったり寄り添ってきていろいろ話しかけられたりする中で、「ああ、障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいいんだ」って、実感しました。〉  相模原障害者殺傷事件のことであちこち飛び回りながらも、事件に対してどういうメッセージを出せばいいのか悩みながらの取材だったのではないかと思います。そんなときにテラちゃんと出会い、「あ、これだ!」って思うような発見があったとおっしゃってました。  「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいい」というメッセージは、障がいのある子ども達、青年達との出会いから生まれた言葉です。ですからなんとなく理屈で理解するだけでは、言葉にリアリティがありません。  言葉にリアリティがないと、犯人の言う「障害者はいない方がいい」に対し、「それはちがう」と自分の言葉で言い切れません。借り物の言葉ではなく、自分の体から発する自分の言葉で「それはちがう」と言っていかないと、犯人の言葉に負けてしまいます。  そういう意味で、相模原障害者殺傷事件を取材中の松井さんがテラちゃんと出会い、「障がいのある人たちとは一緒に生きていった方がいい」と実感した、というのはとても大きな意味があったと思います。  松井さんにそう実感させたのは、テラちゃんの特異なキャラクターによることが大きいのですが、そのキャラクターが自由に発揮できるぷかぷかの環境がやはり大きいと思います。  ぷかぷかではテラちゃんに限らず、みんな自由に振る舞っています。その方が彼らの魅力が伝わると考えるからです。私たちが思う規範で縛ってしまうと、彼らは彼らでなくなります。せっかくの魅力を見えなくしてしまいます。社会の宝が見えなくなるなんて、もったいない話です。  彼らの魅力は社会に潤いをもたらします。社会をやわらかく耕します。    区役所の外販でいつも行列ができるのは、お客さんたちが彼らの魅力に気がついているからだと思います。  先日のぷかぷか上映会のアンケートは、そういう人がどんどん増えていることがよく見えます。これだけたくさんの人が、こんなにもステキなアンケートを書いてくださったことは未来に向けての大きな希望だと思います。ぷかぷかさん達と一緒に「いい一日だったね」って言いあえる日々を黙々と作り続けてきたことの結果だったと思います。  相模原障害者殺傷事件を超える社会は、こうやって彼らの魅力に気づく人を増やすことで少しずつ実現していくのだと思います。  テラちゃんと出会った松井さんは、NHKおはよう日本でぷかぷかの活動を紹介する映像を2本作ってくれました。その一本が「19のいのち」というサイトで見られます。  www.nhk.or.jp  事件に向き合う人たちとして高崎の紹介も載っています。 www.nhk.or.jp  障がいのある人たちと出会うこと、それは社会を、お互いにとってよりいいものにするための出発点になります。 小さな子ども達がこうやってテラちゃんと出会うことの意味を考えるとき、ステキな未来が想像できます。 テラちゃんはhanaちゃんにとても優しいです。テラちゃんもhanaちゃんも、まわりにたくさんのファンを作っています。二人ともそうやって社会を耕しているのです。 テラちゃんとリエさんに囲まれて幸せそうな顔の松井さん。取材に来て、こんないい顔ができるのがぷかぷかです。 テラちゃんとFacebook友達になってしまった朝日新聞の船崎さん。この時の取材が2017年7月25日の記事になりました。 pukapuka-pan.xsrv.jp
  • たくさんのアンケートいただきました
     上映会の日、たくさんのアンケートいただき、ありがとうございました。   ぷかぷかが今、どのように受け止められているのかがよくわかりました。ぷかぷかさん達と黙々といい一日を作り続けてきたことが、このアンケートに反映されていると思います。アーダコーダの議論よりも、まず、今日「いい一日だったね」ってぷかぷかさん達と言えるような日々をこれからも作っていきたいと思っています。そのことが相模原障害者殺傷事件を超える社会を作っていくことにつながるのだと思います。  映画を見て「面白かった!」って思った方、次回はぜひ自分のところで上映してみて下さい。障がいのある人たちの関係者だけで見るよりも、障がいのある人と今までおつきあいのない人たちも巻き込むような上映会の方が、いろんな意見が出ておもしろいと思います。  障がいのある人たちとおつきあいのない人たちにどんなふうに呼びかけるか、どんな言葉を届けるか、とてもむつかしいと思います。悩んで悩んで宣伝のチラシを作って下さい。悩み抜くことがあなたを磨きます。私自身そうやって言葉を磨いてきました。  一人でもそんな人が来てくれたら、「やったー!」って喜びましょう。とにかくその一人にあなたの言葉が届いたのですから。そのことをまず喜びましょう。そしてここから新しい物語が始まります。新しい仲間と一緒に、新しい物語を紡いでいって下さい。  上映の費用については相談に乗ります。お電話下さい。045-453-8511高崎  アンケートに感想を書ききれなかった方、メールを送ってください。  pukapuka@ked.biglobe.ne.jp     ・心がほっこりしました。ずっとぷかぷかさんと関わっていきたいです。 ・心があたたかくなる映画でした。ぷかぷかさんが毎日過ごしていて、それが周囲を明るくしていると、改めて感心しました。また、上映のあとのおはなし会では「そうだよなぁ」と思うことや、「そうなんだよね」と共感できることがたくさん聞けて、今日来て良かったと思いました。 ・津久井やまゆり園の事件から2年がたちました。高崎のいう「街を耕す」という言葉が、いろんな意味で胸に響きました。街を耕すには、日常の中で小さな出会いや、つながりを増やしていくこと、それを大切にしていくこと、それがぷかぷかさんなのかなと思いました。今度遊びに行きます。 ・映画、パネラーのみなさんのお話、客席の方からのお話、たくさんの方の声に、胸がいっぱいになり、いろいろな思いがあふれています。 ・障がいを持つ息子がいる身として、とても共感できるものでした。 ・映画、とてもすばらしかったです。もっとたくさんの方に見て欲しいですね。それ以上にトークセッション、会場と一体となったトークセッションが非常にすばらしかったです。セノーさんのお父様のお話にも感動しました。信田さんのおっしゃったとおり、高崎さん自身のドキュメンタリーを作って欲しいです。 ・ぜひ生で舞台を見てみたいと思いました。 ・映像を見て、ぷかぷかさん達が、子ども、大人、性別、年齢問わず、社会や人々の接着剤になっていると感じられた。 ・初めてぷかぷかさんの映画を見ました。映画を見ている間に会場からいろいろな声や手をたたく音が聞こえてきて、映画を見るときは静かにしなくちゃいけないって咳払いもしづらい自分の心が楽にほどけていく気がしました。「人に迷惑をかけないように」って生きるのは、多分直立不動で誰ともふれあえない生き方、ちょっと寄りかかることで、相手の体温を感じることができる。 ・みんなで一つのものをつくり上げることは大変なことだと思いました。最初は戸惑いもあり、そわそわした雰囲気だったのが、日がたつにつれ、仲間としての一体感が出てきたのが画面を通して伝わってきました。 ・ぷかぷかさんは、日々真剣に楽しんで過ごしておられる。「ブラボー」と声がかかった時のツジさんの一瞬の笑顔が印象的。繊細にいろんなことを感じとって生きているぷかぷかさん。故に時にハッチャけるのかなぁ。 ・第1回目と4回目は映像で、2階、3回目はホールで見させていただき、ぷかぷかのこと、とっても近い存在として感じている自分に気づきました。いつかいっしょに舞台に立ち立ってみたいなと思いました。 ・ぷかぷかたっぷりでした。あらためてこうしてみると感動しました。やっぱり良いよな〜と。 ・障がいがあっても、心をあたたかくできる人はたくさんいると理解して欲しいと思います。 ・ちゅうもんのおおい料理店がおもしろかったです。すてきなおはなしでした。 ・みんなに知ってもらうことの大切さを感じました。そのために親として何ができるだろうか。堅苦しく考えず、でも、ぷかぷかさんのいいところが自然に伝わるのはぷかぷかに来てもらうことが一番。もっともっとぷかぷかを宣伝していこうと思いました。 ・とてもぷかぷかしました。 ・ぷかぷかさんの映画をまとめてみる絶好のチャンスでした。「耕す」は「醸す」とか「発酵」にも通じる、いろんなものがふれあって新しいものが生まれる感じですね。 ・ありのままを大切に、オンリーワンの大事なことが伝わってきました。 ・みんな生き生きして楽しそうな雰囲気が映像から伝わってきました。ふだんの仕事も一生懸命やっているということがとてもすばらしいと思います。 ・高崎さんがおっしゃる「彼らと過ごすことが一番」ということを本当にそう思います。私はダウン症の息子の子育てや、障がいのある子ども達の支援をする中で、嫌悪感を持っている人が、ちょっと接しただけでとても優しいまなざしに変わるのも見てきました。また言葉に対して言葉で返すのではなく、テラちゃん達といい関係を作っている「事実」を伝えていく、ということが大事というのも深く刺さりました。映画の中のテロップがとても重要なことばかりで、テロップ集が欲しいと思いました。 ・カナダの映画、とても良かったです。旭区在住ですが、地域ケアプラザやコミュニティハウスなどで上映できたらいいなと思いました。まだまだ私自身、偏見がゼロではないのですが、この映画を通じて自分にできることを考えていけたらと思いました。息子が療育センターに通っています。通園にも勉強会の枠があるので、職員の方や親の勉強会の時に紹介するのも、ぷかぷかの輪が広がることにつながると思います。 ・長野から来て、本当に良かったです。私の勤める伊那養護学校にもファンが増えています。自分は演劇というか、パントマイムを含めた表現活動を生徒と一緒に作って遊んだりすることを主にしています。「演劇は魂を救済する」という言葉を時々思っています。 ・「一人ひとりの強い個性」という言葉がとても心に残りました。 ・初期、立ち上げ時のご苦労が理解できた。 ・映画の中で「障がいのある人をそうはしたくないけど、子ども扱いしてしまうときがある。彼らは大人である」という言葉が心に残りました。ぷかぷかさん達と接して一緒に過ごしていくうちに私の中にもある偏った感覚がなくなっていくと思います。みなが同じ場所で同じように過ごせる場所が増えるといいです。 ・いくつかの映像は二度目だったのですが、見るたびに新たな発見がありました。同じ映像でも良いので、複数回上映会をやって下さると良いのかなと思いました。 ・ねちゃたけどさいごまでみた。えびかにくすをふざけるようにおやこしつでたのしくおもしろくにこにこわらいながらおどった。かんそうはおわりです。 ・高崎さんのブログに出てくる写真で顔を知っているので、普段会っているわけでもないのに、映画を見て懐かしい思いが湧いてくる。5年ほど前から障がい児とイベントを通して交流しているが、時にスケジュール通りに進めることを重視するあまり、窮屈になることがあった。普段の生活の中でもっとふつうにおつきあいしたいと思う。 ・正直、障がいに対してマイナスのイメージを持っている人が多いと思いますが、ぷかぷかさん達と関わっていく人たちが増えることで、そのようなイメージも変わり、やさしい世界になっていくのではないかと映画を見て感じました。 ・「良いところばかり映している」という意見があることは仕方がないと思います。しかしどこを切り取っても良いところばかりなのですから、良いところしか映せないのではないでしょうか。疑う人は直接ぷかぷかに行って、ぷかぷかさん達の行動を確かめれば良いのです。そういうことをしないで方言、批判する人々は困りますね。そういう人々とどうしたらわかり合えるか。 ・とても楽しく見させていただきました。表現の仕方、パンのメニューなど、センス良いなーと思いました。 ・ますますパワーアップされてました。 ・やまゆり園での環境にも問題があった可能性があるという話題が少しあり、被告のような人格を形成したことに、園の環境も影響を与えたかも知れない、とはあまり考えなかったけれども、被告をその考えや行為に追い詰めた何かがあるかも知れないと思っていました。瀬能さんのお話には共感しました。ある意味、健常者といわれる私たちは障がい者をうらやましく思うところがあると思います。そしてお互いのふれあい、前人と全身のふれあいが、便利さの追求によって排除されたこと…   上映会が終わってこんないい顔  
  • みんなで失敗しながら見つけたいですね
    メールで送られてきた上映会の感想二つ 午後のトークセッションで舞台に上がられた朝日新聞の記者の方の感想です。 ●●  映画やぷかぷかさんのダンス、楽しかったです。     ダメでもいい、なにが起こるかわからない、が認めてもらえる世界は、いま私が取材しているフィールド(役所だとか、政治の世界だとか)ではなかなか出会えません。  こういうことをすると、こうなる。だからやる。と、そこまでセットでないと進まない話ばかりみたいです。    取材においても、ここを取材すると、こんな記事を書くためのこんな話が聞ける。だから取材する。が多いです。  1年目のころは、どんな話が聞けるかわからないんだけど、おもしろそうだから行ってみる。が多かったです。  おもしろそう、からいろんな世界を覗くことが出来ました。だからあんなに楽しかったのかなぁと、ふりかえって思います。  ぷかぷかへの取材は、久しぶりの「おもしろそうだから行ってみる」取材でした。    演劇もそうでしたが、セリフがなかなか出てこなかったり、動きがぎこちなかったり、大丈夫かな~とどきどきしながらもニヤニヤしてしまう、そういう感覚(つまりドライブ感ですね)を、ぷかぷかに触れると思い出させてもらえますね。  たぶんパンを買いに来ているファンの方たちも、それを知らず知らずに求めているんじゃないかなと思います。    いまは、イノベーションの時代だそうなので、ぷかぷか的想定外は歓迎されるはず・・・と個人的には思ってます。 (ベンチャーでやっている会社は大好きそうだなーと。失敗を許容する文化なので)   ぷかぷかの思想が広がるきっかけを、みんなで失敗しながら見つけたいですね。 ●● 何かあったら大変、と小さく縮こまって生きるより、何かあった方が面白い、ってわくわくしながら生きていった方が楽しい気がします。ぷかぷかが毎日帰りの会で聞いている「いい一日でしたか?」は、「今日もわくわくしましたか?」という質問でもあるのです。みんなでわくわくするような一日を作っていきたいと思っています。いろんな失敗しながら…   ぷかぷかのファンで去年ワークショップに参加した方の感想 ●●  メンバーさんのページを読んで以前から気になっていた、まーさんのお話を映像で拝見し、飯田まで行くまでの事が詳しく知れて、その行動力に驚かされました。 初めて「パンの紹介」と「日々の思い」を読んだ時は、まーさんの優しさがすごく伝わってくる、文章の丁寧な書き方や、その時のご自分の気持ちを率直に書かれていて、何故か涙が止まりませんでした。 pukapuka-pan.xsrv.jp  昨日の映像で、まーさんが舞台前に、全然セリフを覚えられない、と仰っていたのを知り、自分も全く同じだったので、すごく気持ちが分かり、勝手に親近感が湧いてしまっています。    映像を見ているうちに、普段生産性を求められる窮屈な社会に流されっぱなしの自分を引き戻してもらいました。 ぷかぷかの世界観にどっぷり浸かりながら見させて頂きました。    午前中の終わりに、監督の斉藤さんが仰った様に、ぷかぷかを離れた普段の生活で出来る事をしていかないと、と改めて思いました。    それから、セノーさんがエビカニクスを踊っているのを見て、あんなに踊っているセノーさんを見たのは初めてで、そんな姿を見れて嬉しかったです。    本番の映像を初めて見て、自分の映像はお恥ずかしい限りでしたが、客席からはこう見えていたんだ、と知れたのと、ワークショップで作り上げてきた事も同時に色々蘇ってきて、改めて、すごい事に参加させて頂いていたんだな、と思いました。 ●●  当日のアンケート集計中です。  アンケートに書かなかった方、アンケートに書ききれなかった方、メールで感想送ってください。 pukapuka@ked.biglobe.ne.jp
  • コンビニを耕す
     午後のトークセッションで会場からおもしろい話が出てきました。  グループホームの利用者さんが近くのコンビニを耕している、というのです。スタッフが知らないうちに、利用者さんが近くのコンビニに買い物に行き、何度も行っているうちにとてもいい関係ができたというのです。この  「スタッフが知らないうちに」 というのがミソです。  スタッフがついていないので、すんなり買い物はできなかったのではないかと思います。でも、すんなり買い物ができなかったからこそ、店員さんといい関係ができたのだと思います。  セノーさんが郵便局のお姉さんたちといい関係を作ったときと同じだと思いました。セノーさんの時は私がそばについていましたが、全く口出しせず、セノーさんに任せました。郵便局のお姉さん達は 「この人、何しに来たんだろう」 という顔でセノーさんを見ていました。そばにいた私も何も言わないので、多少の不安はあったと思います。不安のボルテージがぐんぐん上がって、本当に困り切ったあたりで、セノーさんがようやく  「あ〜、スタンプ台、貸して下さい」 といったので、ホッとしながら、 「この人、なんだかおもしろい!」 って、思ったと思います。  みんな、だんだん笑顔で迎えてくれるようになりました。  グループホームの利用者さんがコンビニに行ったときも多分同じようなことが起こったのではないかと思います。  スタッフがついていけば、何の問題もなく買い物ができたと思います。でも、そこの店員さんとは何の関係もできずに終わってしまいます。  利用者さん一人で行けば、多分スムーズに買い物はできません。このスムーズにできないところで、思ってもみない関係が生じます。何度も通っているうちに、コンビニを耕すような関係です。  「うまくいかないことが次の面白いをつくっていくドライブ感」 について昨日日記を書きましたが、コンビニでも、  「うまくいかなかったから、次の面白いができた」 のではないかと思います。 「コンビニを耕す」 という面白い、です。  彼らを管理しないと、おもしろいことがたくさん生まれます。それを考えると、私たちが一番つまらないのかも。     だから、私にまかせなさいよ  
  • 最初に決めたようにうまくいかないことが次の面白いをつくっていくドライブ感
     昨日ぷかぷか上映会をやりました。  第四期演劇ワークショップの記録を撮るために録音のセッティングをして下さったpvプロボノの藤木さん(作曲家・音楽プロデューサー・テクニカルエンジニア)がすばらしいコメントを書かれていました。   ●● 最初に決めたようにうまくいかないことが次の面白いをつくっていくドライブ感みたいなのは家庭や仕事でよくあるし音楽やアートでは必須なことですが、最近世の中ではそういうのはあまりない事になってる気がします。ぷかぷかさんの舞台ではそれがビンビン生で伝わり実に面白い、というか爽快です、Rock’n Roll!   忘れちゃいけない大切なことだらけ。 ●● 「最初に決めたようにうまくいかないことが次の面白いをつくっていくドライブ感」 という表現がすばらしいですね。これは舞台に限ったことではなく、ぷかぷかの日常そのものが、このドライブ感満載です。  午後のトークセッションで、ぷかぷかのこの雰囲気が、どうしてほかの福祉事業所に広がっていかないのか、といったことが話題になりましたが、  「この先どうなるかわからないけど、でも、なんだかおもしろいことが始まりそう」 っていう、ドライブ感を楽しむ感覚がほかのところではないのではないかと思います。  ぷかぷかさんといっしょに仕事をやっていると、日々想定外のことが起こります。それをあたふたしながら、 「ま、いいか」 という感じで楽しめるかどうか、だと思います。  もちろんお客さん相手の仕事なので、リスクもあります。昔カフェをやっていた頃、女性のお客さんに正直に「よく食べますねぇ」なんて正直にいい、クレームが来たことがあります。クレームまでは行かなくても、同じようにちょっと不愉快な思いをしたお客さんもいると思います。そこは一つ一つ謝るしかありません。  今は、お客さんもおおむね笑って楽しめるような関係になっています。そういうお店だということがお客さんにもわかってきたというか、むしろそれを楽しみにしてくるお客さんが増えているようです。  ぷかぷかさん達がやってくれる想定外の中にこそ、今の社会が忘れてしまった大切なことがあるような気がします。藤木さんの言う 「忘れちゃいけない大切なことだらけ」 というのはそういうことではないかと思います。     トークセッションの時、会場から障がいのある人が働くお店で、一緒にレジの仕事をやろうとしたら、何かあったら困る、と注意された話も出てきました。  「何かあったら困る」 という感覚。どこの事業所でも、みんな思っていることだと思います。  「何かあったら困る」ということでやっていたら、確かに安全です。でも、安全なかわり、おもしろいこと、新しいことは何も起こりません。  それでは人生、なんか淋しい気がします。    昔、養護学校の教員になった頃、重い障がいのある子ども達と毎日おつきあいすることになりました。初めての経験で、毎日がとんでもなく想定外でした。「何かあったら困る」どころか、私たちが考える何か、つまりは思考の範囲、をはるかに超えることが次々に起こりました。  想定外のことを次々にやらかす子ども達にどうつきあっていいかわからず、本当におろおろする毎日でした。でも、おろおろしながら、なんかすごく楽しくて、それまでふつうの会社勤めをやっていた私にとっては、こんな楽しい毎日があるなんて思ってもみませんでした。しかもその楽しい毎日を重い障がいを持った子ども達が作り出していること。なんかね、目のくらむようなこれは発見でした。  彼らのこと、いっぺんに好きになりましたね。彼らとは一緒に生きていった方が絶対トク!と、そのとき思いました。それがすべての始まりでした。    その延長に、今のぷかぷかがあります。彼らとおつきあいすることの楽しさをたくさんの人たちと共有したくて、街の中に彼らの働くお店を開きました。  彼らの楽しさ、魅力は、彼らが自由であるときに発揮できます。私たちが管理してしまうと、楽しさも魅力も感じなくなります。  障がいがあることは決して「マイナス」の価値ではなく、むしろ「プラス」の価値である、といったことも、彼らが自由に働くことから見えてきたことです。想定外のことが起こる日々から生まれてきた、新しい価値観だと思います。   「最初に決めたようにうまくいかないことが次の面白いをつくっていくドライブ感」 をぷかぷかは大事にしたいと思っています。    突然始まったエビカニクスの舞台。こういう想定外のことこそが、人生を楽しくするのだと思います。          
  • 明日ツジさんが歌うかも
       明日の上映会ではツジさんが何曲か歌うそうで、張り切っています。その中でひょっとしたら、今期の演劇ワークショップで歌う「ほらクマ学校の校歌」を歌うかも知れません。  CDを聞いただけなので、まだ音程が不安定ですが、一生懸命歌っています。  お客さんがいても平気で歌い、お客さんも平気で買い物をしています。この関係がいいなと思います。   ♪ カメはのろまに 歩いて見せた ウサギだまされ昼寝した   早いはえらい 大きいはえらい 勝てばそれまで だまされたが悪い  なんでもいいから 一番にな〜れ なんでもいいから 一番になれ   なんでもいいから 一番にな〜れ なんでもいいから 一番になれ   www.youtube.com   歌は午前中に歌います。聞きたい方は午前中に。
  • 時間を共有することで、ワークショップという場にぷかぷかさんがいることの豊かさが、リアルにわかる
     8月4日(土)ぷかぷか上映会で、午前中に上映する第一期演劇ワークショップの記録映画を作った宮沢あけみさんからメッセージが届きました。  演劇ワークショップは月一回ぷかぷかさんと地域の人たちが集まって、6ヶ月かけて芝居を作ります。最後にできあがった芝居を舞台で発表するのですが、その全部をカメラを片手に記録。膨大な時間の記録を2時間11分にまとめてくれました。みんなで見るにはちょっと長いので、少し短くしてくれるようにお願いし、宮沢さんと二人で削れるところはないか、映像を全部チェックしました。  結果的に削れるところはなかったのですが、全部見終わって思ったのは、宮沢さんの映画は、何をやったかを解説するものではなく、その時間をリアルに一緒に生きる映像なんだということです。だから削ってしまったのでは、その時間の共有というものができなくなってしまうのです。  時間を共有することで、ワークショップという場にぷかぷかさんがいることの豊かさが、リアルにわかるのです。そういうことの大切さを宮沢さんの映像から教えてもらいました。         あ! トモ子ちゃんだ! 宮沢あけみ    映画『ぷかぷか~第1期みんなでワークショップ』を作ってから、もう3年がたつ。  2015年5月、みどりアートパークで最初の上映会をした後、横浜市内や出身の信州キャラバン(長野・松本・佐久)を経て、今回が10回目の上映会。記念すべき上映会に所用で参加できず、すみません!    「映画監督になる!」と上京したのは20年以上前。現場に入ってカチンコを叩き、シナリオコンクールでは最終に残るも一等はとれず、撮ったドキュメンタリーは放送に至らず、出版してもイマイチ売れず……。  そんな中、高崎さんと出会った。「何をやっている人?」と聞かれ、「映像」と答えると、ワークショップやるけれど、撮らない?と誘われた。即答でOKした。なぜなら…その直前、ある障がいのある子の通うフリースクールに2年ボランティアで足を運び、ドキュメンタリーを撮らせてもらうことを、学校側に承諾してもらい、カメラテストも行なった。けれども、保護者の猛反対であえなくボツになったばかりだった。  その前にも、原作の主人公を障がいのある男の子に書き換えたシナリオは、出版社の意向でボツになった。  障がいがある人が映像に出てくれる、ということは、それだけで貴重なのだと身に染みていた。高崎さんは、ワークショップメンバーの募集に、「映像を撮ります」とあらかじめ書いてくれて、これで、直前になってボツという心配もなくなった。  撮影は、私ひとり。カメラに高性能のマイクをつけて撮る。普通なら、撮影、ディレクター、音声…何人かがゾロリといるところを、なるべくフレームものぞかず、相手にカメラを意識させないようにして撮る。だからこそ撮れるものがある、と信じていた。けれども、突発的な彼らの行動に、カメラ一台ではついていけず、ずっとしゃべり続けるお馴染みのメンバーもいるし、聞き取れないほど小さな声のメンバーもいて、音声はほとんど録れていないのではないかと思った。  編集もパソコンでひとりでこなした。膨大な素材を見ているうちに、彼らの突発的な行動の中に、思わぬものが入っていることに気づいた。最初は全く気づかなかったのだが、舞台に堂々と台本を持ってきていたり…なんと言っているのかわからない独り言を何度も聞いているうちに「ここはチーム」をいうことばを発見したり…でも音声ははっきりとは録れていないので、格調高いドキュメンタリーでは絶対にしない吹き出しを入れてみたり…  上映会の企画、チラシ作成、当日の作戦…上映中にパソコンの電源が落ちてしまったトラブルなど…思い返せば、よくやったよなぁ…と自分でも思う。    なぜ、こんなにもできたのか? 改めて考えてみる…私は、なぜ、こんなにも障がいのある人が気になるのか?どうして、これほどまでに、撮りたい、書きたいと思うのか… 娘が620gで生まれ、療育センターに通っていた時間があったから、とそれまでは思っていたが、もっと前から、ずっと興味があった。いや、そんな言い方ではない。魅力にとりつかれていた、という方が正しい。  私が書くシナリオには、多くの障がいのある子、グレーゾーンの子が何人も登場していた。どうしても書きたいと思っていた。  そして、気づいた。「あ、トモ子ちゃんだ!」  私が幼稚園から小学1年のとき、一緒に通園通学をしたトモ子ちゃんを、あるとき、突然思い出した。小学校1年で私が引っ越してしまい、今は音信不通なので、すっかり忘れてしまっていたが…トモ子ちゃんは、片目が白かった。走るのも遅かったと思う。けれども、私にとっては、一緒に通う友達で、「障がい児」では決してなかった。彼女が障がい児だと気づいたのは、彼女のことを40年ぶりに思い出した時だけだ。  彼女が私と一緒にフツーに過ごしてくれたことで、多分、私は、「障がい者は垣根の向こうにいる」という感覚を持たずにいられて、そういう感覚がたまらなくイヤで、彼らの魅力をできるだけそばで見守りたい、伝えたい、という気持ちが湧いているのだと思う。 トモ子ちゃんに、心から感謝!    そして、私は、『ぷかぷか』で映画監督になったあと、音楽療法士になった。ぷかぷかでも音楽療法実習をさせてもらい、彼らと過ごす時間は、温かくて、楽しみだった。楽器の即興演奏で、フツーなら、誰かの真似をして音を出すのだが、彼らは、堂々と自分の音を最初から出した。人まねなど、誰もしようとしなかった。そして、音を出すまでに時間がかかる人がいると、じっと待ってあげることもできた。互いに認め合っている関係があるからこそできることだ。集団としての力がどれほどあるのか、手に取るようにわかった。彼らこそ、自由だった。  ぷかぷか以外での実習先では、自分では手足しか動かせない女の子…太鼓を渡すと力が入ってしまってうまく打てない子が、ある日、偶然、肱が当たって音が出た。もしやと思って、肱の下に太鼓を置いて、そっと私が歌を歌うと、ちゃんと歌に合わせて太鼓を正確に打ったのだ。その時、初めてわかった。彼女は、それまで表現できないだけで、音楽をちゃんとわかっていたのだ。こちらの工夫次第で、彼女はしっかり音楽をできるのだと。  障がいのある人は、「できない」と誰が決めつけるのだろう…そうではなく、彼らを見るこちらの目が試されているのだ。 私は、力をつけたいと思った。彼らの内的な力を十分に感じようとすれば、たくさんのことを教えてくれて、彼らと「音楽の場」が自然とできていった。 私にとっては、音楽も映像も同じことで、彼らと一緒に過ごす時間が豊かなものになるのなら、どんな方法でもこれからも厭わずやっていこうと思っている。     高崎さん、私を映画監督にさせてくれて、ありがとうございます。 映画『ぷかぷか』が、大ヒットして、「障がい」ということばに取って代わるような世の中になればいい…。 そう思って、タイトルを高崎さんと考えあぐねて、結局、『ぷかぷか』にしたのでした。 ★ダイジェスト版(21分)    https://www.youtube.com/watch?v=xYB810A84eQ    聴覚障害者用テロップ入り    https://www.youtube.com/watch?v=Cd_bbs8OaX0   高崎さんに何度も、「上映には長い!」と言われましたが、全く短くするつもりもありませんでした。だって!それが、彼らの時間なのです。ただ早い、効率、そういうことだけを追いかけている日常からそっと途中下車して、少しだけゆったりとした時間の流れの中に身をおいてもらえなければ、彼らのほんとうの姿は見えてこない…。上映のために短くして、彼らがじっと考え込んでしまう姿をカットしたら、全く面白くなくなってしまう…と、私は譲ろうとしませんでした。 もしかすると、そのために、大ヒットからはほど遠かったのかもしれません。いつも強情ですみませんでした。   最初の頃、上映会に手話をつけようと試みました。手話通訳から、「ぷかぷか」の手話はどうやって?という質問が出て、初めて、手話にもいろいろなやり方があることを知りました。デフパペにお願いして、手話で「ぷかぷか」を作ってもらいました。YouTubeも作って、たくさんの方に手話でぷかぷか、をやってもらいましたが、これも大ヒットには至りませんでした。けれども、今は亡きマッキーの映像を残せたことは、私にとってはとても意味の大きなことでした。   ★手話でぷかぷか(11分)    https://www.youtube.com/watch?v=OL-_tMcdZxY    聴覚障害者用テロップ入り    https://www.youtube.com/watch?v=hCy9d8r_iDA&feature=youtu.be     それでも、私は、ぷかぷかがもっと大きく広がって、街になったらいい…と心底、本気で思っています。 学校や幼稚園、病院、美容室、食べ物や、さまざまなお店…そこに、フツーにぷかぷかさんがいる。 それだけで、私は、安心です。 私にとっての「トモ子ちゃん」が、今の私の根っこを作ってくれたように、彼らが、みんなを幸せにしてくれると、確信しているからです。   上映会…これからも続きますように。 彼らの魅力が、どこまでも伝わっていきますように。  
  • ぷかぷかさんの風に吹かれていると、性懲りも無く むくむくと制作者としてのプライドに火がついてしま...
    第四期演劇ワークショップの記録映画をまとめたpvプロボノの信田さんからメッセージが届きました。明日の午後2時から上映します。       ぷかぷかをめぐる映像は今までも何度も作られていて、 我々のチームだけも今回の「表現の市場」が3作品目、 さらに4作品目のカナダの映画も制作中だ。   同じ被写体で何度も作品を作ることは、 新鮮な発見がしにくくなるのに伴い、段々とハードルが上がり、 制作者としては引き出しの多さを試されることになる。   1作品目はぷぷかぷかさん自身を、 2作品目はぷかぷかに関わる方々を描いた。 今回の映像は本番の直前に「記録」として依頼されたものなので 特にテーマはなくても良いか、と思っていたが ぷかぷかさんの風に吹かれていると、性懲りも無く むくむくと制作者としてのプライドに火がついてしまった。   まず音。 ぷかぷかさんの舞台は毎回、音楽や効果音がすばらしい。 今までなかなか音までは手が回らないできたが 今回は音がきちんと伝わるように収録したかった。   そして表情。 一般の人には障がい者の方々の表情から 感情を読み取りにくいのが距離感を生んでいる気がしている。 ちょっとしたコツをつかめはその壁は超えられるが なかなかそういう機会はない。 今回の舞台ではカメラを6台使って ぷかぷかさんの表情や感情を描くことを試みた。 映像をご覧になった方々が、ぷかぷかさんを身近に感じて 障がい者の方々と付き合うコツのようなものが伝われば 嬉しいと思っている。   しかし、ここまでやってしまうと 次のカナダの作品では何を描けばよいのでろうか。 悩ましい。   映像ディレクター 信田眞宏     ★第四期演劇ワークショップの記録映画は最終的に53分になりました。  
  • ツカサくんがいることで、彼のまわりの社会が少しずつ変わってきています
     親子で明日の上映会に来たいという方からメッセージをいただきました。  息子さんのツカサくんは、ふつうの人よりもやや遅れがあるのですが、そのことでいわゆる「障害者」として分けられてしまうことに、とても疑問を感じています。  学校の文化祭の発表で「支援級」としてステージに上がるように先生に言われたそうですが「僕は出たくありません」ときっぱりと断ったそうです。そこはすごいなと思いました。  そうやって「障害者」という枠組みに入れ、人を分けてしまうことへの明確な抗議。教師はどんな風に受け止めたのでしょうね。  部活についても最初は「個別級の生徒が体育会系の部活動に参加するのは前例がない」と信じ難い対応をしたようですが、お母さんとツカサくんの粘り強い交渉で部活に参加できたそうです。  ツカサくんがいることで、彼のまわりの社会が少しずつ変わってきています。そんな話も上映会のトークセッションで聞けたら、と思っています。     【ツカサくんのメッセージ】   「ぷかぷかの上映会に行きたい!」と、すぐ返事をした僕。今、高校1年生。 詳しいことが聞きたくて、ぷかぷかで働くお母さんと夜遅くまで話をしました。 僕はこれまで「障害」について考えてきました。考え始めたのは中学3年生の時で、「自分が通っている特別支援学級ってなんだろう?」…そんな気持ちになった時からです。 これまで、文化祭の時に自分の意志で「特別支援学級」の発表に出なかったり、障害のある人を支援するあるテレビ番組を不信に思ったりするようになりました。 でも、障害のある人の事を少しでも勉強になったら良いと思ったので、上映会に参加したいと思います。                                        【お母さんのメッセージ】 私はぷかぷかでスタッフとして働いています。 そして、中学1年生と高校1年生の息子達の母です。 今回、高1の長男と、ぷかぷか上映会に行きます。 私と長男の思いなどをお伝えしたいと思いますので、つたない文で読みにくい点もあろうかと思いますが、少しでも思いが伝われば嬉しく思います。   ある日、長男が「ぷかぷかの上映会に行きたい」と私に言ってきました。 つい先日、予定していた家族旅行にも「行かない!」と言いだし、結局、長男と私は家に残り、次男とお父さんだけ行ってもらうようなことがあったばかりでした。 しかし長男は、上映会には行きたいと言うのです。 長男は、 「障害のある人のことを詳しく勉強したいと思った。」 「世の中には、いろいろな人がいるんだなぁ。」 「いろんな障害のある人はどういう支援を求めているのかなぁ。」 …などと最初は言っていました。   そこからもっと深く話を聞いていくと、 「ぷかぷかに最初に行った時に、納得の行かないことがあった。なんだこの人⁉…という人もいる。その人の思っていることが知りたい。」 とのことです。 その出来事は、ぷかぷかカフェ(現在は「ぷかぷかさんのおひるごはん」に変わりました)に親子で行った時のことですが、当時は私はスタッフではなくお客さんでした。 そこへ、ぷかぷかで働く障害のある男性が、私たち親子に声を掛けて来ました。 そして長男に唐突に 「ねぇ、障害ある?」 と言ってきました。長男は「なんでそんな事を言うのかな?」と思ったそうです。   長男は、保育園から中学校まで、「一般の子と違う」ということで分けられてきました。 中学校では部活動にもすんなり入部させてもらえませんでした。ある先生から、「個別級の生徒が体育会系の部活動に参加するのは前例がない」と言われ、「部活動に入るよりも、特別支援高等学校や分教室に入学するための訓練をすることの方が効率がいい」とも言われました。それでも学校に思いを伝え続け、3年生の最後まで部活を続けることが出来ました。 部活動でがんばっている長男の姿は、次第に先生方の考え方を変え、ようやく応援してもらえるようになりました。   中3の文化祭の発表では、全校生徒の前に「支援級」としてステージに上がることを先生から聞かされましたが、長男は「僕は出たくありません。」とステージには上がりませんでした。障害という言葉に、長男はとても敏感で、「人を分ける言葉に感じる」と言っています。   ぷかぷかでの最初の出来事を長男は「正直、嫌だった」と言ってましたが、 「でも、なかには優しい人もたくさんいて、僕のことを心配してくれた人がいる」 「以前、“なんだこの人は⁉”と思った人が、笑顔で挨拶をしてくれた」 「最初に言われたことだけで、その人の事を決めてしまうのはどうかと思う」 という意見を持ったようです。   「障害という言葉や、障害のある人のことを少しでも分かりたいと思った。」…だから僕は映画を見たい… そんな思いを持ちながら、ぷかぷか上映会に親子で行きます。                              (アヤコ)    
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