生産性ではなく、彼らがいること、そのことがすばらしい、と映画は伝えてくれたと思います。
岩坂さんがFacebookに 「高崎さんの提案はいたってシンプル。共生社会を難しく議論せず日々の実践で。」 と書かれていましたが、昨日の上映会は、まさにそのことの映像による報告会でした。 相模原障害者殺傷事件の「障害者はいない方がいい」「障害者は不幸しか生まない」の言葉に対して、あーだこーだむつかしい議論も、まぁ大事ですが、それ以上に、障がいのある人たちとお互い「いい一日だったね」って言える日々を黙々と積み重ねることこそ大事だと思います。そのことを映像を通してしっかり報告できたと思います。 カナダの旅はいろいろ大変なことがありましたが、でも、ふだんの暮らしでは体験できないようないい一日をみんなで過ごせたなぁ、としみじみ思います。 エンディングの歌が流れる数分の映像がすばらしかったですね。ぷかぷかさんたちと一緒に過ごした「いい一日」が映像を通してびりびり伝わってきました。ぷかぷかのお店の前でみんなが歌っている映像も重なり、試写会の時は、ぷかぷかさんたちがいることの幸せ感がわ〜っと押し寄せてきて、私は涙が止まりませんでした。 生産性ではなく、彼らがいること、そのことがすばらしい、と映画は伝えてくれたと思います。映画を見たみなさんはいかがでしたか?ぜひ感想をお寄せ下さい。 第5期演劇ワークショップの記録映画『ほら熊学校を卒業した三人ーぷかぷか版』は7月30日(火)の夕方の試写会で見ていたのですが、そのときは音楽が入っていませんでした。藤木さんができあがった音楽を監督の齋藤さんのところに届けたのが多分それ以降で、映像とのミックス作業が終わったのが上映会前日7月2日(火)の夜。その後私に映像データ送るためにギガファイル便でアップロードしたのが8月2日(金)の22時58分。さっそく私もデータをダウンロード。3日の上映会直前の映像テストにはブルーレイディスク、映像データの入った外付けハードディスク、それにわたしのPCの三つを用意する、という万全の体制で臨みました。映像テストに三つも用意する、というのは齋藤さんの緊張感そのもの。 寝不足になりながらも齋藤さんのこの映画にかける意気込みがびりびり伝わってきて、うれしかったですね。本当にありがとうございました。 藤木さんのセンスのいい音楽もすばらしかったですね。音楽が入ることで、映画から伝わってくるものが何倍にもなったと思います。 特に舞台の背景を作っていくところがよかったです。わんどで作った背景そのものもすばらしかったのですが、それをどう見せるか、何よりもその背景をバックに、ぷかぷかさんたちをどう見せるかで苦労した舞台監督の成沢さんたちの思いがよく見える映像でした。背景画をつるした舞台を客席から見つめる成沢さんの顔がすばらしかったです。そしてそれを際立たせるバックの音楽。 映画の最後、参加した三人が思いを語る場面では涙がこぼれてしまいました。三人の言葉聞きながら、ワークショップやって、ほんとによかったと思いました。ぷかぷかさんと過ごした六ヶ月がほんとに輝いていたのだと思います。栃木から新幹線に乗って参加した人は、去年の8月の上映会が参加するきっかけになったんですね。最後のふり返りでは号泣していました。 ぷかぷかさんと過ごした日々が号泣するほどのものであったこと。それほどの日々をみんなで作り出せたことが何よりもよかったと思います。 ぷかぷかさんといっしょにすごろくワークショップをやった青葉区役所の人たちは、短い時間でしたが、ふだんの仕事の時間では体験できないような密度の濃い「いい時間」を過ごしたのではないかと思います。ぷかぷかさんとおつきあいすることで生まれた「いい時間」です。 彼らに対して「何かやってあげる」とか「支援する」という関係では、あのとき生まれた「いい時間」は生まれません。どうしてなのか、ということです。彼らがそばにいながら、「いい時間」を作り出せないのは、なんだかもったいない気がします。 「ぷかぷかさんのいる町」を作った上智大の石井さんは相模原障害者殺傷事件に憤りお覚え、新聞で見つけたぷかぷかにやってきました。2ヶ月くらいぷかぷかに通い、そこで見つけたことを映画にしたのですが、最後に語られる石井さんの言葉が光っています。 「彼らと過ごすこと、生きることで、私たちは元気や、新たな発見や、心の安らぎをもらうことができます」 「障がいのある人たちとの出会いは、とても素敵なことだということを、ぷかぷかさんたちはこの町で日々体現しています」 という言葉がぷかぷかさんの作業風景やセノーさんが寝ている姿と重ね合わせて語られます。 若い人のこういった気づきには未来への希望を感じます。 声高にあーだこーだと議論ばかりしている大人たちは、若い石井さんのこの静かな語りにこそ耳を傾けてほしいと思います。