販売しながらおしゃべりすることは許せないか
ツジさんは外販の時も,のべつしゃべりっぱなしで、しかも大概は脈絡のない話で、知らない人は何となく近寄りたくないと思ってしまうくらい大きな声でしゃべりまくっている。ところがこの脈絡のないおしゃべりも、なれてくると結構楽しく、ツジさんのファンは多い。 28日の瀬谷区役所の外販は、ツジさんはディズニーシーに出かけて不在。「あれ、今日はツジさんいないの?」「なんかさびしいわ」「そうそう、先週から今日はディズニーシーに行くんだと張り切ってたわ」「計算は誰がするの?」お客さんのほとんどがツジさんのことを口にする。あらためてツジさんの存在の大きさを思った。私なんかの知らないところでお客さんとの関係をしっかり作ってたんだと思う。 ある訓練会(障がいのある子どもたちの親の勉強会)をやってる場所でも外販をやっているのだが、その訓練会に参加している人たちが最近全くといいほどパンを買わなくなった。いろいろ聞くところによると、その訓練会の先生はとても厳しい指導をする方らしく、だからツジさんのように販売をしながらおしゃべりしてるような人は許せないらしい。ああいう人を野放しにしている「ぷかぷか」は指導がなってない、ということになり、「ぷかぷか」は障がいのある人たちが将来働く場としてはきわめて不適切ということになる。 もっともな話だと思う。でも、少なくとも瀬谷区役所の外販はツジさんのあの脈絡のない話でもっている。ツジさんがひと言もしゃべらずおとなしくしていたら、ここまでのお客さんはつかなかっただろうと思う。外販を始めた当初、売り上げはわずか6~7,000円だった。それが最近は少なくても15,000円、多いときは30,000円を超える。この1年で売り上げが3倍から5倍伸びたことになる。パンがおいしいということはもちろんある。でも、お客さんの多くはおいしいパンを買うだけでなく、ツジさんとのちょっとした会話を楽しみにやってくる。ツジさんの脈絡のないお話を楽しんで聞いている。(パン教室の時にツジさんの延々続くお話を聞いた人が、あれはツジさんの創作ですか?と聞いてきたことがあるが、丁寧に聞くと結構面白いお話の時もあるのだ) そしてツジさんがいないとみんなとても寂しがっている。ぷかぷかの外販のある日をみんなとても楽しみにしている。おいしいパン+αで元気をもらうという人もいる。売り上げの伸びは、そのまま「ぷかぷか」のメンバーさん達の魅力に気づいた人の数に比例している。 訓練会の先生はこういった事実をどう説明するのだろう。