ぷかぷか日記

タカサキ日記

  • ぷかぷかの方が楽しい
      ほかの福祉事業所が運営するパン屋に行ってきたお客さんが 「やっぱりぷかぷかの方が楽しい雰囲気でいいですね」 と、レジスタッフに語ったそうで、うれしい話でした。  ぷかぷかでは、仕事中おしゃべりしない、とか、よそ見しない、といった注意はしたことがありません。要するにそういう管理をしてないのです。ですからメンバーさんはみんな楽しそうにおしゃべりしながら仕事をしています。それがパン屋やカフェの楽しい雰囲気を作りだしています。  カフェのお客さんも 「メンバーさんの笑顔がいいからまた行きたくなるんです」 とおっしゃってましたが、職場が楽しいと、お客さんも楽しくなるんだと思います。  ある区役所では、外販に来ているたくさんの福祉事業所の中でぷかぷかがいちばんお客さんとの関係を広げている、と障害支援課の係長が言っていましたが、外販でもみんなが楽しく仕事をやっているからお客さんがやってくるのでしょう。  ぷかぷかを始めた当初、福祉事業所のカフェスタッフの方に来ていただいて接客についてメンバーさんを対象にした講習会をしたことがあります。ところが、マニュアル通りにするというのはどこか窮屈で、ぷかぷからしくないというか、メンバーさんらしさがなくなってしまう気がして、講習会はそれ1回でやめました。以来、接客についてメンバーさんを指導する、といったことはありませんでした。最低限、お客さんが不愉快になるようなことはしない、ということだけ守ってくれれば、その人らしくやってくれればいいと思ったのです。  もちろんクレームが全くなかったわけではありません。設立当初、パン屋の宣伝の声がうるさい、と苦情の電話が入って、とても悲しい思いをしたこともあります。それでもメンバーさんの管理を厳しくする、といった方向にはしませんでした。メンバーさんの持っている楽しい雰囲気は絶対にいつかわかってもらえる、という思いでやってきました。  彼らは一緒にいるだけでなんだか気持ちが和んだり、楽しい雰囲気になったりします。接客のノウハウよりも、彼らが本来持っている雰囲気を大事にする方が、ぷかぷからしくていい、と信じてやってきました。それが今ようやくお客さんに受け入れられてきたように思うのです。  
  • 未来を担う子どもたちに
     9月20日のパン教室。地域の親子がたくさん参加して下さり、大盛況でした。  あんパンのあんをみんなで生地に丸め込んでいるテーブルですが、地域の子どもたちとぷかぷかのメンバーさんがこうやって一緒に楽しそうに作業する雰囲気がいいなと思います。こういう楽しい場を地道に積み重ねていくことが大切だと思っています。子どもたちが大きくなって、いずれ社会を担っていく立場になったとき、ぷかぷかとのおつきあいの体験はとても意味あるものになっていると思います。  今回地域の子どもたちが11人も参加してくれました。    この子どもたちにこそ、未来を託したいと思うのです。    
  • 笠地蔵が10人
     今日のお天気ボードには笠地蔵がなんと10人も描き込まれていました。  真ん中の列の右端には子どもの笠地蔵さんでしょうか、かわいい笠地蔵さんが描き込まれています。サングラスをかけた笠地蔵さんもいますね。笑顔の笠地蔵さんもいます。  さらさらっと描いてしまうのですが、このなんともいえないかわいさはどこから出てくるのでしょうか?  おひさまも雲も、洗濯指数のTシャツの絵もみんな幸せそうな顔をしています。ケンさんて優しいんだなと思います。  今日は郵便局に売り上げを入金に行った際、窓口のお姉さんたちに、 「今日も元気でがんばって下さい。いいかな、いいとも!」と大きな声であいさつし、なんとも楽しい雰囲気を作っていました。この方は本当に地域の「宝」だなと思います。  
  • 死にたい病をやり過ごすコツ
     死にたい病の大先輩から,死にたい病をやり過ごすコツがメールで送られてきました。   「ぷかぷか日記、死にたい病、拝見しました。私も時々やってくるので、こんな身近に仲間がいるとは…。死にたい病、よくわかります。それは突然やってきます。たとえ楽しいときでも時を選ばず。こればっかりは,来てしまったらどうにもなりません。また、本人しかわかりません。  私も死にたい病になって今月で10年になりますが、一つ作戦としては,死にたい病が来たら、ひたすら頭を低くして、その大波をやり過ごすこと。を,多少できるようになりました。頭を上げるとたちまち飲み込まれます。困った現象です。忍者のように雲隠れできるとよいのですが…」  死にたい病にかかったまーさんをなんとか救おうと、あの手この手で迫りましたが、大先輩の「死にたい病をやり過ごすコツ」を読むと、いかに浅いところでまーさんを見ていたかがわかります。「人生明るく行こー!」なんてノーテンキな言葉でしつこく説得を試みる私を見て、まーさんもいい加減うんざりしていたに違いありません。まーさんの抱えていた辛さなんて全然わかってなくて、本当に申し訳なかったなと思います。
  • ぐっと胸に刺さるものがあり…
     まーさんが自分のホームページに書いた短い言葉に 「短い文章でありながら、ぐっと胸に刺さるものがあり、とても感動してしまいました。」 という感想がデフパペットシアターの方からメールで届きました。  死にたい病からまーさんを引っ張り上げたデフパペットシアターの役者マッキーへの思いを込めた短い言葉は、人を揺さぶるような力を持っていたんだと思います。なんかすごいじゃん!って、思ってしまいました。人の心を揺さぶる言葉なんて、そう簡単には書けません。やはりまーさんが死にたいと思うくらい苦しい時を何度も経験したからこそ書けた言葉だと思います。死にたい病は、その苦しさの分、人間を磨くんだと思いました。  そしてその苦しいときのまーさんの心を揺さぶったマッキーのパフォーマンス。この二人の出会いは、本当にすごいものがあるような気がしています。  にしても、これまで苦しさのまっただ中にいたまーさんに語りかけていた私たちの言葉はいったい何だったんだろう、と思います。「支援」などというのは、結局のところ、その程度なんだとあらためて思いました。私たちの言葉を100個束ねても、マッキーのパフォーマンスにはかなわないと思いました。            
  • 死にたい病
     まーさんが朝から暗い顔して、体がふらふらするとか、明日から来ません、とかいうので、かかりつけの医者のところへ行きました。 「死にたい病は最近調子よくなってるんだけどなぁ」と先生。 「はぁ」 「まーさん、死にたい病だったんだ。最近はでも死にたい死にたいっていわないよね。」と私。 「そう、そうやって落ち着いてきてるからいいと思うよ。今日はのどがちょっと赤くなっているから風邪だね。大丈夫、薬飲んでおとなしくしていればすぐに元気になります」 と、先生に言われ、病院からの帰り道は、朝の暗い顔はどこかへ行ってしまいました。 「ぷかぷかのホームページの中にまーさんのページを作ってみない」 「そんなことできません」 「ちゃんと教えるから大丈夫です。まず自己紹介を書いてください」 「どんなことを書くんですか?」 「彼女はいないとか、そうそう、今日先生が言ってた死にたい病です、というのもいいと思うよ。」 「死にたい病ですか?」 「最近はともかく、以前は1週間に一度は死にたい死にたいって言ってたよね。でも今はそういうこと言わなくなりました、それはこういうことがきっかけでした、みたいなこと書くといいと思うよ。」 「そうですか」 「まーさんみたいに、死にたい死にたいっていってる人は多いと思うから、死にたい病ネットワークとか作って、死にたくなったらお互い連絡取り合いましょう、ってのはどうですか?」 「僕にはできませんよ」 「いや、まーさんは今死にたい病から直りつつあるんだから、その体験を書いていけば、それはどんな薬よりも死にたいと思っている人を救うと思うよ」  というふうな話を車の中でして、ぷかぷかに着くなり、すぐに『まーさんのページ』の制作に取りかかりました。最初の設定だけやって、あとは全部まーさんが書き込みました。それがこのページです。    http://pukapuka-pan.xsrv.jp/index.php?まーさんのページ  これからもっといろんなことをどんどん書き込んでいってほしいと思います。書くことで自分を見つめ、何か前に進むきっかけになれば、と思っています。    
  • ロはロボットのロ
     オペラシアターこんにゃく座の新作オペラ『おぐりとてるて』を観てきました。いやぁー、面白いオペラでした。中世の人たちは、かつかつの貧しい暮らしの中で、なおもこんな物語を生きていく支えとして楽しんでいたんですね。こういう物がないと押しつぶされてしまうくらい過酷な人生だったのだと思います。人生の楽しみ方が違うんだと思いました。テレビのバラエティ番組観ながらへらへら笑っているような私たちとは、人生の今を生きる姿勢が違うんだと思いましたね。  今を生きるために物語が必要だということ。フィナーレの歌は本当に素晴らしかったと思います。  作曲家、演出家、歌役者達の思いがびっしり詰まった2時間半、いい時間過ごさせて頂きました。    頂いたたくさんのチラシの中に『ロはロボットのロ』が10年ぶりくらいに再演されるというお知らせがありました。パン作りが得意なロボット「テト」が主人公の楽しいオペラで、パン屋を始める前、もうけが出たら、そのお金を貯めて、地域の子どもたちにこのオペラをプレゼントできたらいいなと思っていました。子どもにもわかりやすい、ワクワクするようなオペラです。    毎日1,000個作っていたパンが、ある日999個しか作れなくなり、その次の日は998個、その次の日は997個とだんだん減ってきて、心配になります。調子の悪いところを直してもらうために、テトを作ったドリトル先生に会いに行く事になりました。オペラはその旅の物語です。   魔女の支配する街でさんざんな目に遭います。大火事の中で、旅の途中で出会ったパン屋の娘ココを救い出します。でも、そのためにエネルギーを使い果たし、横たわって息が切れる直前、ココの頬にふれながら  ♩ ぱんつくりより、もっとすてきなものを、ぼくは見つけた ♩ と、息絶え絶えに歌います。  ♩ テトォ! おまえ、ロボットなんだろ、死んだりなんかしないんだろ ♩ とココが悲しみをこらえて歌います。悲しみをこらえ、強がって歌うその歌が心にしみて、涙がこぼれてしまいました。  ♩ テト、おまえが眠りから覚めるまで、私はパンを作りながら待つよ。おばあさんになっても、ずっと待ってるよ ♩  新しい明日に向けて、希望を歌うオペラでした。    このオペラは日本各地を回り、海外公演までやったあと、もうやらないことになっていました。こんにゃく座はどんどん新しいオペラを作っているのです。  それでも再演はないのか、と何度も問い合わせしていました。それが来年の5月から7月にかけて再演するというのです。やったぁ!って感じでした。  今、パン屋はぷかぷか3軒長屋にたくさんのお金を使って、もうけがほとんどないのですが、地域にたくさんの知り合いが出来たので、仲間を募ってやってみようかなとひそかに思っています。  1ステージ80万円だそうです。ずいぶんいい値段ですが、やる価値はあると思っています。一緒に、子どもたちに楽しい夢のあるオペラをプレゼントしてみたい方、新しい元気をプレゼントしたい方、連絡ください。       takasakiaki@a09.itscom.net  高崎         
  • 発表する楽しさがだんだんわかってきて
     9月6日(土)、第4回目のワークショップがあり、みんなずいぶん自由になった話を先日書きました。自由にはなった感じですが、お話作りはまだ慣れていないせいか、いろいろ仕掛けをしても、ぴりっとした物語が出てきません。  わがままな女王のわがままさ加減をみんなで共有しようと,季節ごとのグループでわがままを出し合ってみたのですが、ケーキがほしいの、肉まんがほしいのと、発表はそれなりにおもしろかったのですが「わがままがちいせーな」という感じがしました。スケールのでかい、突拍子もないわがままが出てくれば,もっともっとおもしろくなるのになぁと思いました。  季節ごとの得意技でわがままな女王を懲らしめるお話作りも、発表のパフォーマンスはおもしろかったのですが、物語の中身がまだまだ薄い感じがしました。     それでもみんなの前で発表する楽しさがだんだんわかってきたようでした。写真を見るとみんなの心と体のはずみ具合がよく見えます。みんなの心と体がはずんできて、ワークショップらしい雰囲気が出てきたように思います。このはずみ具合の中で、どれだけ新しいものを見つけられるか、これからが楽しみです。    デフパペットのメンバー,エノさん、マッキーによる手話のレッスンがありました。12月(つき)の歌の最後のフレーズ  ♪ もえろ もえろ  あかるくもえろ    消えないように どんどんもえろ の部分を手話でやりました。「きえないように どんどんもえろ」と気持ちが膨らんでいくのをデフパペのエノさんは身振りで実にうまく表現していて、ろうの人たちの表現の豊かさにぞくぞくしました。右手前のおじさんがエノさん。なんともかっこいいのです。    たき火の周りに神さまたちが集まっているシーンは手話のレッスンで体が熱くなっていたこともあって、ものすごい盛り上がりでした。    冬の森の表現は、デフパペのマッキー,エノさんのアドバイスが効いて、びしっと決まった気がしました。舞台に出てくるときの歩き方、立ち位置を決めたあとのポーズの決め方のアドバイスは、さすがプロ!という感じでした。みんなの体の動きがとてもしなやかになりました。全体の立ち位置のバランスはエノさんがアドバイスをし、さらっとアドバイスしただけなのに全体がみるみる引き締まった感じになりました。    本番まであと2回。かなり追い込まれた感じで,みんなちょっと不安に思っているようです。でも、人間、追い込まれたときこそ、すばらしい力が出てくるもので、どんなものができあがるかわくわくしています。とにかくこんなにもみんなの心と体がはずんでいるのですから、すばらしい舞台が期待できそうです。    
  • 社会を彼らに合わせる
     障がいのある子どもたちの放課後支援をやっている方の話を聞く機会がありました。社会に適応できるように支援するのだそうで、とても熱心に取り組んでおられるようでした。ただ熱心に語れば語るほど、支援されている子どもたちは大変だろうな、という感じがしました。  知的障害のある子どもたちは、みんなとても自由です。私たちを縛っている「規範」というものがないんじゃないかと思うくらいです。そんな子どもたちが社会に適応できるようになる、ということは、相当我慢の上なんじゃないかと思います。  自分を押さえつけないと社会に適応できないとすれば、社会に適応できることをよしとする論理そのものが、本当に正しいのかどうかという問題が出てきます。あるいは社会そのものはどうなんだろう、という問題もあります。  私たちみんなが息苦しさを覚えるような社会であれば、その社会に障がいのある子どもたちを適合させることがすばらしい「支援」である、という論理は、やっぱりどうなんだろうと思います。むしろ社会を彼らに合わせた方が、お互いが生きやすくなるのではないかと思います。  社会を彼らに合わせる、というのは、そんな風にしてみんなが生きやすい社会に変えていく、ということです。  ぷかぷかで働いているtuji-kunはとてもおしゃべりです。パン屋のレジの側で、ずっとひとりでおしゃべりしています。一緒に山に登ったとき、苦しい上り坂でもずっとおしゃべりしていました。彼にとっておしゃべりは、いわば呼吸のようなものではないかと思います。  以前、彼のおしゃべりをやめさせようとしたスタッフがいました。彼は一言も文句を言わず、おしゃべりを我慢しました。ところが、しばらくして「疲れた」という言葉が頻繁に出るようになり、元気がなくなりました。家でも調子が悪いとお母さんはおっしゃってましたが、原因がなかなかわかりませんでした。そんな中で、おしゃべりをやめさせたことが原因じゃないか、という意見があり、おしゃべりを今まで通り自由にさせたとたん、元のtuji-kunに戻り、元気を取り戻しました。  障がいのある人たちを社会に適応させる、というのは、一見聞こえがいいのですが、当の本人にとっては私たちには想像できないくらいの負担を強いていることが、この例からはよくわかります。  tuji-kunはパン屋のレジの側でずっと独り言を言っています。よく通る大きな声なので、初めて来たお客さんはびっくりします。でもだんだんそのにぎやかさ、うるささにも慣れ、ぷかぷからしいBGMとしてtuji-kunnのおしゃべりを楽しんでいます。  いつだったかパン屋で打ち合わせをしていた営業マンが、 「この人のおしゃべりって、よく聞くとすごいことしゃべってるんですね」 と感心したことがあります。tuji-kunはいろんなことに興味があり、世界中の都市の名前、公園の名前、クラシック音楽の作曲家の名前、紅白歌合戦に出た歌手の名前、車の名前等々、エンドレスでお話が続きます。ですから丁寧に聞くと、私たちの知らないことがいっぱい出てきて、たまたま聞いていた営業マンもびっくりした、というわけです。  お客さんも含めたパン屋という小さな社会がtuji-kunにあわせて変わったということです。彼に合わせたことで、パン屋がとても居心地のいい場所になった気がします。    
  • 絵コンテ
      2年前、メイシネマ映画祭の招待作品としてツンさんの映画が上映されました。そのときは「観客を喜ばせよう」といった思いのないところがいい,とか、自分の表現したいことだけやっているところがいい、という評価がたくさんありました。そういった評価が最近は裏目に出たのか、今年できあがった旅行の記録映画は、自分の表現したいものばかりで、旅行の記録映画としては、とてもわかりにくいものになっていました。見る人を別に喜ばせなくてもいいと思いますが、何を伝えようとしたのかさっぱりわからない、というのも困ったものです。すっかり自分の世界に閉じこもってしまった感がありました。そこで思いついたのが、人に伝わる動画の制作の提案です。   で、先日、ツンさんにぷかぷかの動画を依頼しました。 「ぷかぷかのパンのおいしさを伝える動画を作ってほしいのですが、どうですか?」 「誰にでもわかるようなものは作れません」  旅行の記録映画の作りから見て、そう言うだろうなと思っていました。  「あの、自分で好きなように作るのではなくて、人に伝わる作品を作ってほしい、という仕事の依頼です。」 「むつかしいです」 「そう言い張ってしまうと、これからもずっと人に向かって心を開くことができなくなると思います。。ツンさんが社会に出て行こうとするとき、いちばん引っかかるのは、この、人に向かって心を開く、という問題でしょ。」  ツンさんはコミュニケーションを取ることがとてもむつかしい方です。いっとき映像を通して気持ちが人に向かったことがあって、いい傾向だと思っていたのですが、最近はそういう気持ちがだんだん見えなくなっていました。もう一度そういうふうに人に向かう気持ちを取り戻してほしいと、人に伝わる、わかりやすい動画の制作を依頼したのでした。  でも、あまり伝わってない気がして、少し攻め口を変えました。 「YouTubeにアップするので、著作権フリーの音楽を使って下さい」 「映画に使えるほどのいい音楽がありません」 「だったら音楽なしの、映像だけの動画はどうですか?」 「いつも音楽が先にあって、それに映像を合わせる形なので、音楽なしの映像は考えられません。」 「ツンさんは無声映画が好きですよね。自分の映画の中にも昔の無声映画を使ったりしてますよね。音楽に頼らず、映像だけで勝負するというのはどうですか?」 「………」 「余計な情報を捨てて、映像だけで勝負するのです。 「むつかしいです」 「シナリオさえしっかりしていれば、映像だけでお客さんを引っ張っていけると思います。」 「う〜ん、むつかしいです」 「ツンさんほどの映像の才能があれば大丈夫ですよ」  最初、1分程度の動画を依頼したのですが、1分では無理だというので、昔ツンさんが作った3分間の映画を提案しました。 「3分なら3秒のコマが60コマ。60コマあれば、ちょっとした物語ができると思います。」 「3分ですか…」  少し心が動いた気がしました。 「とりあえず絵コンテを描いてみませんか?」 「………」 「パン屋の宣伝動画の絵コンテです。」 「う〜ん」 「紙を用意しましょうか?」 「いや、それだったら絵コンテのテンプレートを探します」 という話になって、ようやくツンさんは前向きに動き始めたのでした。ここまで1時間かかりました。  ネットで自分の気に入ったテンプレートを探し出し、プリントアウトして絵を描き始めました。ものすごく集中して描いていました。そうして4時間ぐらいかけてできあがった絵コンテがこれ。まだ完成じゃなくて,まだ先があるそうですが、それでもなんだかすごい動画ができあがりそうです。コマの秒数が10分の1秒単位で書かれていて、やる気満々!と見ました。      
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