ぷかぷか日記

タカサキ日記

  • 今日の仕事人 12月26日
     給食の数をチェックするももこさん   この真剣な目が「おひさまの台所」の厨房を支えています。   しょうへいさんは今日もこんないい顔して働いていました。   メランジェにクープを入れるまーさん   緊張感みなぎるこの手元
  • 世の中、希望が持てる、って子どもたちが教えてくれた。
      昨日、養護学校のとびきり楽しい子どもたちを養護学校の中に閉じ込めておくのはもったいないと、武蔵野の原っぱまで連れて行った話を書きました。  原っぱはこんな感じです。7万平方メートル。とにかく何にもない、本当に開放感に満ちあふれた原っぱでした。  そこで遊んでいた子どもたちといきなり野球をやりました。4年生のみさえの記録によると、(昔私の書いた『街角のパフォーマンス』より引用)    気がついたら、けんいち君がバットを持って構えているので、ゆるい球を投げていっしょに野球をやることにしました。でも、けんいち君は球をじぃっと見ていて、キャッチャーが球を捕ってからバットを振っていました。だんだんタイミングが合うようになりました。でも、打っても走らないので、お兄さんが手を引いて1塁まで走りました。バットを離さないのでおにいさんたちが「かして」と言ったのですが、離しませんでした。でも私が言うと、かしてくれました。だからけんいち君が打ったら、バットを持って行っちゃうので、私が追いかけていって、バットをかしてもらい、みんなに渡して順番に打ちました。  てき、みかたなし、チームなしの変な野球。アウトなし、打てるまでバットふれる。ほんとうはね、けんいち君が入るまでスコアつけていたんだけど、けんいち君が入ってからは三振なし、てきみかたなし、チームなしになったの。    子どもたちで一生懸命工夫しながらけんいち君といっしょに野球をやったことがとてもよくわかります。ルールをすっかり変えて、とにかくみんなが楽しめるようにしたことが、すごいなぁと思います。  数日後、1年生のクンクンから手紙が来ました。     うれしくてうれしくて、ちょっと涙が出ました。養護学校の子どもたちと恐らく初めて出会った街の子どもたちが、ここまでやってくれたことに、なんか感動してしまったのです。  世の中、希望が持てる、って子どもたちが教えてくれたのでした。             
  • 人生が何倍も楽しくなった気がして
     歯を磨きながら「アルゴリズム体操」を歌うツジさんのことを昨日書きましたが、こういう人がいるから世の中楽しいんだと思います。世の中には絶対に必要な人たちだと思います。  昔、養護学校に勤務し、彼らと初めてであった頃、なんて楽しい人たちなんだ、とつくづく思ったことがあります。こちらの言うことを全く聞いてくれなかったり、めちゃくちゃなことをやってくれたり、大変なことはいっぱいありましたが、そんなことをはるかに超える楽しさを彼らは持っていました。  彼らとおつきあいする毎日が楽しくて楽しくて、人生がそれまでの何倍も楽しくなった気がしました。こんな楽しい人たちを養護学校の中に閉じ込めておくのはもったいないと、せっせと外へ連れ出しました。学校の外の人に彼らと出会って欲しいと思ったのです。  知り合いが武蔵野の原っぱで子どもたちといっしょに「あそぼう会」というのをやっていて、日曜日に電車に乗って出かけたりしました。ここには養護学校の子どもたちをそのまま受け止めてくれる人たち、彼らとおつきあいする楽しさを共有できる人たちがたくさんいました。そういう人たちと出会えたことが、私にはとても大きな出来事でした。彼らといっしょに街へ出ることの意味を最初に教えてくれたのが武蔵野の原っぱの人たちだったように思います。  養護学校の子どもたちとただあそぶだけでは物足りなくなって、この楽しい関係をもっとクリエイティブなものに生かそうと、その2年後に彼らと地域の人たちで演劇ワークショップを始めました。プロの役者たちがたじたじになるほどの彼らの楽しい存在感は、ワークショップの場で、あるいは舞台の上で、本当に光っていました。  生活クラブのお店の前の駐車場で開かれていた「あおぞら市」には、彼らといっしょに手打ちうどんのお店を出したりしました。うどんもおいしかったのですが、やはり彼らがそこにいることで、うどん屋の周りが、なぜかホッと一息つける空間になったことが大きかったと思います。彼らがいると、そこがなんだか楽しくなる、ということです。宮澤賢治の「ポラーノの広場」のような雰囲気。  これは今のぷかぷかのお店と同じですね。  三ツ境養護学校で、全校生を巻き込んだ芝居作りを10年も続けられたのも、彼らが創り出すなんともいえない楽しさのおかげだったと思います。そこでやった芝居作りは、私がシナリオを書いて、その通りにみんなが動く、といったものではなく、みんなとの楽しいやりとりの中で、みんなで物語を少しずつ創っていく、というまさにワークショップのやり方でした。  三ツ境養護学校の30周年を任されたときのことです。養護学校の子どもたちが素直にお祝いできる30周年てなんだろうって、結構必死に考えました。そのとき思いついたのが、30周年というのは要するに学校の30歳の誕生日ではないのか、ならば「みつきょうようこ」さんの30歳の誕生会をやろう、ということになって、さっそく子どもたちに「みつきょうようこ」さんの絵を描いてもらいました。  楽しい絵がいっぱい出てきて、廊下に張り出したら、廊下を歩くのが本当に楽しくなりました。下はその当時書いていた「子どもとゆく」という雑誌のコピーですが、左下のような絵が廊下いっぱいにワンワンと張り出されたのでした。  こんな楽しい絵を元にお話を創っていくのですから、本当に楽しい1年でした。記念式典(?)に参加した地域の長老がのけぞるほどの楽しい30周年ができたのは、楽しさの塊のような子どもたちのおかげでした。    彼らの醸し出す楽しさはみんなの「宝」だと思います。    
  • 歯を磨きながらアルゴリズム体操
     ツジさんは歯を磨きながらなぜか「アルゴリズム体操」を歌います。歯ブラシでがしがし磨きながら歌いますから、すごく大変です。誰かに言われてやっているのでもなく、自分ではじめたわけですから、なんとも不思議な人です。しかも家でもこれをやっているそうで、もう、尊敬してしまいます。  何がきっかけでこんなことをはじめたのかよくわかりません。気がつくと、食事のあと、いつも洗面所から歌が聞こえ、のぞいてみるとツジさんが歯を磨きながら歌っていた、というわけです。   こんなオリジナリティあふれるパフォーマンスをやる人は、そういません。多分世界中に一人しかいないと思います。本当に貴重な方だと思います。こういう人がいるから、世界が豊かになっていくんだと思います。  今日、たまたま歯を磨いているところをビデオに撮りました。何遍見てもかわいくて、笑ってしまいます。 [http://]    
  • いいこと言うなぁ、と人ごとのように思って
     宮沢あけみさんの編集した「表現の市場」の映像を見ました。生の体験とは違う形で、あのときの熱い時間が伝わってきました。  冒頭、「表現の市場」の前座としてtuji-kunの歌があるのですが、それに「立ってるだけで様になるのはプロの役者を超えていますよ」という私のインタビューが重なり、彼の存在感、「味」がよく伝わってきます。  それにしてもtuji-kunはいい味出してますね。この味はもっともっと生かさないと、彼と同時代を生きるものとして、ものすごく「損」だと思いました。私は彼らといっしょに生きていった方が絶対「得!」と思っているのですが、その「お得感」が彼のパフォ−マンスを見ているとよくわかります。  パンの外販先で彼のファンが多いのは、この「お得感」を感じている人が多いからだと思います。その「お得感」こそが、外販の売り上げを底上げしている、というのがおもしろいと思います。  売り上げの伸びはですから、「いっしょに生きていった方が得!」となんとなく思い始めた人たちが増えてきた、ということだと思います。商売がうまくいき、おまけにそう思う人たちが増えるということは、まさに一石二鳥。  養護学校の教員やっている頃は、彼らを社会に合わせていかないと、彼らは社会の中で生きていけない、なんて思っていて、社会のルールみたいなことを一生懸命教えていましたが、tuji-kunと売り上げの推移を見ていると、そのまんまでいいじゃん、なんて思うのです。  ワークショップとか表現の市場は、まさに「そのまんま」で勝負した「場」でした。社会のルールにあわせなければ、お互いが「楽」であり、お互いが「自由」になれます。そして「そのまんま」の彼らといっしょにワークショップやると、こんなにおもしろいものができあがる、ということを具体的に差し出せたと思います。  そのことが素直に伝わってくる映像だったと思います。37分間の舞台の時間を彼らはいっしょに生きて、いっしょに生きることで、すばらしい作品を作り上げていました。日経新聞の「ソーシャルイニシアティブ大賞」のいちばんの課題でもある「新しい価値の創造」そのものだと思いました。  いっしょに生きていった方がいいよ、というのは、「いっしょに生きていくことの価値」の提案でもある、と思います。どちらかと言えば、彼らとは別々の方がいいと思っている人が圧倒的多数の中にあって、これは今までにない「新しい価値」といっていいと思います。  30年ほど前、ワークショップで創り出したものは新しい文化だと言っていたのですが、何言ってんだ、という雰囲気で、誰も認めてくれませんでした。それがここへ来て「エイブルアート」などが新しい価値として話題を呼ぶ時代になり、時代がようやく追いついてきた、という感じです。  映像を見て発見したのは(というのも変ですが、感覚的にはそうとしか言いようがないのです)、表現の市場の終了後、宮沢さんのインタビューを受け、それがうまく映像の中に組み込まれていて、いいこと言うなぁ、と人ごとのように思ったことです。元々しゃべることは苦手で、ましてカメラの前でしゃべるとなると、しどろもどろになり、今回も、もう少しうまく言えなかったのかと、反省することしきりでした。ところが映像の中に組み込まれると、私のおしゃべりがしっかり生きていて、自分の言葉なのに、そうだよなぁ、と頷いたりしていました。  もう一つ。はっぱ隊の舞台の映像に、私がぷかぷか日記に書いた言葉が重ねられていて、これも自分で書いた言葉とは思えないくらい光っていました。やっぱり時々他人のフィルターを通して、自分の言葉を客観的に見る機会があった方がいいなと思いました。(ブログやFacebookでうれしい評価はいただいているのですが、映画になると全く違う感じでした)    今回宮沢さんからお預かりしたのは「表現の市場」で発表した舞台だけの映像でしたが、そこに至るまでのワークショップの映像がまとまれば、「いっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージが、もっともっと具体的に伝わる気がしています。  この映像をどんなふうに広げていけばいいのか、今、宮沢さんと思案中です。一人で見るのもいいのですが、できれば何人かで見ていただいて、いっしょに生きていくことについていろいろな感想が出てきたり、話し合いができたりする方がいいなと思っています。できれば私なり、宮沢さんをその場に呼んでいただければ、映像では語りきれなかった部分についてもお話しできるかと思います。  こんなやり方がいいよ、っていう提案がありましたら、ぜひお知らせください。      
  • クリスマスパン教室
     クリスマスパン教室がありました。今回は生クリームてんこ盛りのクリスマスケーキを焼くこともあって、地域の方が5家族15人も参加されて、大変な賑わいでした。  いつものパンに加えて、ケーキを4台も焼いたので、段取りが大幅にずれて大変でした。パン3種類、具だくさん豚汁、ケーキのトッピングなど、すべて終わったのが1時過ぎ。小さな子どもたちも、おなかすかせながら最後まで頑張りました。    卵ときび砂糖をハンドミキサーでホイップします。   粉をさっくりと混ぜます。湯煎したバターを加え、すぐにオーブンへ。   ここからいつものパン教室。粉をこねます。   いちばん楽しいときです。こういう時間をぷかぷかのメンバーさんと地域の人たちが共有できるのがパン教室のいいところです。   きよちゃんは、お父さんの大きな手にはさまれて。大きな手には愛情がいっぱい。   生地がまとまっていなくて、手にくっつきます。   兄弟で仲良く   コンノさんのちびまる子ちゃんのお話に小さな子どもたちも聞き入って   みんなで寄ってたかって豚汁作り   この集中がいい!   干し椎茸でだしを取ったあと、小さく切って。   あんパンに入れる手作りあんこに水飴を溶かして入れます。この面倒くさいことをするのがぷかぷか流   お肉と野菜を入れて炒めます。   あんこがだんだんできあがって。写真がごちゃ混ぜになっているのは、すべて同時進行で進めているからです。これに加えて生地の発酵具合をいつもチェック。だから、進行役は、すごい大変。   別のテーブルでは肉まん作り。   地域のおじさんに具の包み方を聞いて   あんこができあがって、こっちのテーブルではあんパン作り。   ケーキが冷めたので、いよいよ生クリームで飾り付け   製菓学校に行っていたユキコさんはイチゴを切るのがすばらしくうまい。   この真剣な顔。集中している子どもの顔は美しい。   生クリームてんこ盛り   みんなでトッピング   一つ一つに思いを込めて   バターロールの焼き上がり   ほかほか肉まんのできあがり   具だくさんの豚汁   ケーキを12等分。   お母さん、大丈夫?と心配そうに見つめて。   やっと席に着きました。今日のメニューは肉まん、バターロール、あんパン、ケーキ、豚汁でした。考えてみればすごい組み合わせ。でもおいしかったですよ。   こんなにたくさんの子どもたちが集まりました。ぷかぷかのメンバーさんたちと、なんの抵抗もなく、当たり前のようにいっしょにパンを作りました。この子どもたちがやがて社会を担うようになります。今日よりもいい明日がきっときます。                                                        
  • 新しい事業のモデル
     瀬谷区役所での外販の売り上げが、今日はなんと63,000円もありました。もうびっくりです。  売り上げた分だけ、たくさんのお客さんがぷかぷかのメンバーさんと知り合ったわけで、二重にうれしい気がしました。NPO法人ぷかぷかは、障がいのある人たちの社会的生きにくさを少しでも解消しようという思いで立ち上げました。メンバーさんを知る人が増えることは、彼らを取り巻く社会的環境が少しずつよくなることを意味します。言い換えれば、ぷかぷかの設立目的の社会的課題が少しずつ解決するということです。  売り上げが増えることで、社会的な課題も少しずつではあっても解決の方向に向かうなら、これほどいいことはありません。ビジネスの手法で社会的な課題を解決する「ソーシャルビジネス」そのものです。    日経新聞が「ソーシャルイニシアティブ大賞」の原稿を募集しているので、さっそく応募してみようと思っています。次の三つの要件を満たしている事業所がエントリーできます。  1,社会性  社会的課題の解決を事業のミッションにしている。  2,事業性  ビジネスの手法を用いて継続的に事業活動を進めている。  3,革新性  新しい事業モデルや社会的価値を創出している。     1,2は問題なくクリアー。3については後で述べます。    具体的には 1.社会性について  事業の目的、ミッション、解決を目指す課題とそのインパクト、 2.事業性について  事業の実績、規模、収支状況、成長率、今後の計画など 3.革新性について  事業やモデルの特徴、新しさ、優れている点、   を書きます。結構ハードルは高いです。これをまとめていく作業も大変です。でも、こういったことにあえてチャレンジしていくことで、ぷかぷかでやっている事業がさらに磨かれると思っています。  瀬谷区役所の外販は、とにかくパンを販売させて欲しい、というただそれだけのところから出発しました。ソーシャルビジネスなんて、考えたこともありませんでした。ところがスタートから5年、気がつくと、これはソーシャルビジネスそのものじゃないか、というわけです。しかもその中心にいて、事業を支え、お客さんとのいい関係をどんどん広げてきたのはメンバーさんたちだった、というところがすごくおもしろいと思うのです。  これは十分、エントリー要件の三つ目にある「新しい事業のモデルや社会的価値の創出」になるのではないかと勝手に思っているのです。「勝手に」と書くのは、まだ今のところ、この外販の事業が「新しい事業のモデルや社会的価値の創出」とは、ほとんどの人が思っていないからです。だからこそチャレンジする価値があると思っています。新しい物語が、ここから始まると思っています。どんな物語が描けるのか、すごく楽しみにしています。
  • 退屈な乗車時間が、とても楽しくなります。
     先日書いた「苦情の電話と希望の物語」 http://pukapuka-pan.hatenablog.com/entry/2014/12/16/160534 を読んだ方から感想が送られてきました。    私は、何度かツジさんと同じ電車に乗ったことがあります。  退屈な乗車時間が、とても楽しくなります。  ツジさんのつぶやきを聞きながら  作曲家の名前を挙げているんだな、とか  国名をいっているな、とか  よくこれだけ覚えているな…などなど思い、楽しんでいますよ。  でも、これは、ぷかぷかさんを通してツジさんのことを知っているから、  素直に楽しめるのかな…とも思います。   そして、ぷかぷかさんと通して、ツジさんや、アサノさん、ダイちゃんなど  いろいろな方を知ることができて、楽しいことが増えたことに、とても感謝してい  ます。    ツジさんはパン屋でも電車の中でも、のべつしゃべりまくっています。そのおしゃべりを「うるさいな」と思うひとと、感想を送ってくれた方のように「楽しい」と思う人がいます。その分かれ目は、ツジさんを知っているかどうか、です。感想を書いてくれた方は、緑区役所のパン販売でツジさんと知り合いました。その後、仕事の上でもおつきあいする機会があり、ぷかぷかのメンバーさんたちと、とてもいいおつきあいをしています。  ツジさんと同じ電車に乗り合わせると、 「退屈な乗車時間が とても楽しくなります」  とまで書いていただき、とてもうれしい気がしました。  「うるさい、なんとかしてくれ」と苦情の電話を入れる関係よりも、こうやって、おしゃべりを楽しめるような関係の方が、お互い気持ちよく社会の中で生きていけます。そういう関係をもっともっと広げていきたいと思っています。    ぷかぷかのパン販売は毎週水曜日のお昼休みに緑区役所(現在は仮庁舎)、毎週木曜日に瀬谷区役所、第2,第4月曜日に旭区役所で行っています。ぜひおいでください。おいしいパンをいっしょに、あたたかなお土産をいっしょにお持ち帰りください。
  • 笑顔Tシャツをいっぱい描く理由
     ケンさんがパン屋のカウンターで、天気予報に洗濯指数のTシャツを描いていました。ケンさんのTシャツはみんな笑っています。見ているだけで、幸せな気持ちになります。気象庁発表の洗濯指数のTシャツ見ても、当たり前ですが、こんな気持ちにはなれません。  笑顔を描き込み、それをいっぱい並べるアイデアはケンさんが考え出したもの。  ケンさんはやっぱり世の中に幸せを振りまいてるんだと思います。みんな幸せになって欲しいって思ってるんだと思います。だから笑顔のTシャツをいっぱい描くんだと思います。こういう人とはやっぱりいっしょに生きていった方が絶対「得!」だと、あらためて思うのです。
  • 苦情の電話と希望の物語
     先日、通勤のバスでとても迷惑している、という苦情の電話が入りました。社会人も学生も、毎日一刻を争って通勤している。それなのにお宅に通っている人たちは、平気で横入りして、並んで待っている人たちはみんな迷惑している。始まりの時間を少し遅くするとかできないのですか?という電話でした。  迷惑をかけていることについては謝罪しました。時々横入りしている利用者さんにはあらためて厳重注意しました。ご家庭にも連絡し、注意していただくようお願いしました。これでも改善が見られない場合は、ゆっくり出勤するのではなく、いつもより30分くらい早く出勤してもらうことも検討しています。  ただ、いくらこういうことをやっても、絶対大丈夫、ということはあり得ません。ここから先はやはり社会に任せるしかありません。つまり、社会が彼らとおつきあいしていくしかないと思うのです。  彼らは社会から隔離されているのではなく、社会の中で生きています。ですから、いつだって彼らと遭遇する機会はあります。遭遇したとき、彼らのことを少しでも知っていると、対応が多分違ってきます。今回も、順番を無視して横入りする彼らをその場で注意すれば済んだ話です。全く相手を知らないと、注意することも躊躇してしまいます。それでぷかぷかに電話してきたのだろうと思います。  ただそれで問題が解決するか、というと、どうもそうではない気がします。  バスに乗るときは列に並んで待つ、というルールを守らなかった彼ら自身の問題は確かにあります。ただ「彼らだけが問題」とする限り、今回のような「不幸な遭遇」は、どこまで行ってもなくなりません。今のこの社会の中でいっしょに生きているわけですから。  「不幸な遭遇」は、お互い知り合う機会あれば、避けることができたと思います。そうであれば、お互い知り合う機会を作ることは、お互い気持ちよくこの社会の中で生きていく上で、とても大事なことになります。    彼らとのいい出会いから始まった素敵な物語を紹介します。  ある区役所での外販の売り上げが4年で10倍に伸びました。パンがおいしいことはもちろんあるのですが、スタッフだけで売りに行ったのではとてもこんなには伸びません。売り上げの底上げをしたのは、やはり利用者さんたちの、なんともいえない魅力でした。  外販のある木曜日をとても楽しみにしているお客さんがたくさんいます。彼らのにぎやかな声を聞いただけで、「あっ! きたきた!」とわくわくするそうです。彼らと会って、何か話をするわけでもなく、ただひとことふたこと言葉を交わしたり、「やぁ〜!」って楽しそうにハイタッチしたり、リエさんに今日のおすすめを聞いたり、計算王子ことtuji-kunに値段を暗算で計算してもらったり、たったそれだけのおつきあいを、みんなとても楽しんでいるのです。  どちらかといえば社会から疎外されている彼らと、毎週会うのを楽しみにしている人がいるって、なんかすごいことだな、と思うのです。しかも、そういう関係をスタッフではなく、彼ら自身が自然に作った、というところが、ほんとうにすごいと思うのです。  こういう関係が広がっていけば、社会はお互いが生きやすい方向へ少しずつ変わっていきます。彼らがパンの販売をすることで、少しずつでも社会が変わっていくなら、これほどすばらしいことはありません。  ある区役所でのパン販売は、そんな希望の物語を私たちに見せてくれたように思うのです。                                          
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