ぷかぷか日記

タカサキ日記

  • オペラ『おぐりとてるて』
     7月9日(土)午後2時からみどりアートパークでオペラシアターこんにゃく座のオペラ『おぐりとてるて』が上演されます。中世の農民たちが楽しみにしていた説教節をオペラにしたものです。説経節は村の辻つじで語られ、人々は物語を聞き、涙を流し、日々の苦しみから一時解き放たれた、といいます。現代の閉塞感で、オペラの力は一時私たちを解放してくれます。ぜひご覧ください。 www.youtube.com   ★来年3月25日(土)にはオペラ『ロはロボットのロ』をもう一度やります。詳しくはまた後日アップします。楽しみにしていて下さい。
  • お兄さん達はものすごーく楽しそうでした。
     7月2日(土) パン教室がありました。 メニューは    パン教室は今回で56回目になります。ですからメンバーさんはみんなすばらしくうまくなり、何も言わなくてもメンバーさんが小さな子ども達にいろいろ教えていました。   ハシムラさんは、女の子にとても丁寧に優しくメロンパンの成形を教えてあげていました。お母さまもその様子を見守られて、いい感じでした。橋村さんも「優しく教えてあげられました!」と嬉しそうでした。   恐る恐る、手で粉を混ぜます。お兄さん達はものすごーく楽しそうでした。   クッキー生地作りのボウルに男性4人が群がっていました。大きいボウルが小さく見えました。   コンノさんはいつものようにお客さん相手におかしい話を延々していました。   ナガシマさんのこの姿、感動的。   美しい包丁さばき   急遽焼いたスコーンでお茶もできて、満腹のパン教室でした。   ピタパンがすごく美味しかったです。香ばしくてモッチリした生地と、スパイシーなタンドリーチキンが最高に合って、夏にぴったりだと思いました。   パン教室ではあり得ない雰囲気 www.youtube.com ツジさんは絵本の朗読ももやってくれました。ほとんど暗記している感じでした。 www.youtube.com     そうして、できあがり!        
  • こどもだからといって   戦争は よけてとおらない
     7月1日(金)、職場の研修として『不思議なクニの憲法』の上映をしました。今の社会情勢の中の「日本国憲法」に真っ正面から向き合った映画です。  職場では普通こんな政治的な映画の上映なんてしません。でも、参議院選挙を1週間後に控え、やむにやまれぬ気持ちで上映会をやりました。選挙結果によっては、70年かけて作り上げてきた平和な国、戦争をしない国が、「戦争のできる国」「戦争をする国」に変わってしまうからです。  こんなに大変な結果を生む選挙、こんなに緊張感のある選挙は、私ははじめてです。  政治には興味がない、とか、政治の話はしたくない、関わりたくない、あるいは、選挙なんか行っても、何も変わらない、と選挙に行かなくても、選挙の結果は国民すべてに降りかかります。結果が出てから、驚くような事態になっても、何も文句は言えません。  子どもには選挙権がありません。それでも選挙の結果は子ども達にも降りかかります。戦争をする国になれば、子ども達も戦争に巻き込まれます。こんな理不尽なことはありません。だからこそ、私たちは子ども達に対して責任ある選択をする必要があります。どういう未来を私たちは選ぶのか、子ども達も戦争に巻き込まれる可能性のある未来を選ぶのかどうか、です。    オペラシアターこんにゃく座の作曲家萩京子さんのソング集『HELP!』にこんな歌が入っています。   「はじめのことば」 さねとうあきら     こどもだからといって     戦争は よけてとおらない     泣こうが わめこうが     だれもたすけてくれない戦争     かぼそい手足を つっぱらせ     ありったけの チエと勇気を ふりしぼって     こどもたちだって たたかったのだ     やせこけた ふたつのうででは     とてもささえきれないほどの     平和のおもたさを たしかめた     その日まで…     泣こうが、わめこうが、だれもたすけてくれないのが戦争。たすけようと思っても、だれもたすけられないのが戦争。  そして、結果によっては、その戦争に突き進むことになる今回の選挙。    自民党政調会長の稲田朋美は講演会でこんなことを本気で言っています。  「国民の一人一人、皆さん方一人一人が自分の国は自分で守る。そして自分の国を守るためには血を流す覚悟をしなければならないのです!」  子ども達の顔を見ながらこんなことがいえるのか、と信じがたい思いでいますが、政権与党の政調会長がこんなことをまじめに言っている以上、彼らは選挙に勝てば堂々とこの方向へ日本を引っぱっていくでしょう。    子ども達の未来がかかった選挙。子ども達が戦争に巻き込まれるような時代には絶対にしたくありません。  
  • 日本国憲法 前文
      日本国憲法 前文は朗読するとこんなにすばらしいものなんですね。民進党が発信したものですが、こういうセンスもあったんですね。少し見直しました。 とにかく日本国憲法を作った人たちの思いがまっすぐに伝わってきます。感動するほどにすばらしいです。   www.youtube.com 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。     7月1日(金)午後3時と、午後6時の2回、アート屋わんどで「不思議なクニの憲法」の上映をします。 pukapuka-pan.xsrv.jp
  • 新しいカタチのソーシャルイノベーション
    ぷかぷかのプロモーションビデオのプロデューサーが「ぷかぷか」についてこんなふうに語ってくれました。     大きな考え方として、「ぷかぷか」という団体は、他の就労支援施設では考えられないようなカタチで、物事を解決していますよね。  障がい者の存在価値や障がい者への偏見を、障がい者自身が勝負することで、地域社会の豊さへと変換させているのですよね。  ここには、これからの就労支援や福祉というものへの大きなヒントがあると思うのです。     物事を解決する、というのは、彼らの生きにくさ、社会における疎外を、今までにない新しいカタチで解決しようとしている、ということです。  一般的には「なんとなくいや」と思われている彼らも、よ〜くつきあってみると、人としての魅力に満ちあふれていて、その魅力で勝負するところから「ぷかぷか」は始まりました。  と書くと、なんだかかっこいいのですが、お店を開店する時、接客の仕方が全くわからなかったので、講師を呼んで、接客マニュアルの講習会をやりました。ところがマニュアル通りにやろうとする彼らが、なんだか気持ち悪い気がして(要するに彼らのいいところがちっとも見えなくて、無理してマニュアル通りにやろうとする彼らの姿が気持ち悪かったのです)、こんなことなら、そのままの彼らを出して方がずっといい、と接客マニュアルをやめて、彼らの好きなように接客してもらうことにしたのです。これが思いのほかお客さんに受けたんですね。「なんとなくいや」と思われている彼らが、「ぷかぷかが好き!」というほどのお客さんをたくさん作ってしまったのです。   これは何か「戦略」があったわけではなく、全く想定外の結果でした。  いろんな人がいることが地域の豊かさだとすれば、「ぷかぷかが好き!」という人が増えることは、彼らがいた方がいい、と思う人が地域で増えることであり、それは地域が豊かになっていく、ということになります。  ま、こんなことも、はじめからそう思ってやったことではなく、最初は「彼らの社会的生きにくさを解消する」ことを目的に「ぷかぷか」をはじめたのですが、「ぷかぷかが好き!」というお客さんが増え始めた頃から、これって、地域を豊かにしていることじゃん!て気がついたのです。  こういったこともすべて彼らのおかげなのです。彼らが毎日地域社会をせっせと耕し、少しずつ社会を豊かにしてきたのです。  これが「ぷかぷか流」の、新しいカタチのソーシャルイノベーションです。   新しいカタチのソーシャルイノベーター。こういう人こそが社会を変えるのです。政治家ではないのです。   www.youtube.com    
  • 私たち一人ひとりが個として大切にされる自由な社会を守りたい。
      7月1日(金)15時〜、18時〜の2回、アート屋わんどで「不思議なクニの憲法」を上映します。   憲法には「私はどう生きるべきか」が書いてある。 この映画は、憲法論議が政治によって進められるのでなく、主権者である 私たち国民の間に広がることを願ってつくられたものです。 国のかたちをきめる憲法に、誰もが当たり前に関心を持ち、正しい知識を得、 そして理解を深めるために、歴史的事実を重んじながら 「意見」よりも日常に根ざした「人びとの声」に耳を傾けます。 怒りや憎しみから出発する議論は広がっていきません。 対立よりも冷静な選択を—。 私たち一人ひとりが個として大切にされる自由な社会を守りたい。 映画にメッセージがあるとすれば、その一点の「希い」のみです。 <映画の内容> ●立憲主義って何? ●歴史に学ぶ(敗戦から日本国憲法の成立まで) ●Peopleを主役に(国民主権) ●侵されてはならぬもの(基本的人権の尊重) ●封建的家族制度からの解放(男女平等)●進む憲法の空文化(9条・戦争放棄をめぐって) ●戦後の日米外交史 ●沖縄は憲法を手にしているか ●未来に向けて—18歳選挙権と若者の政治参加 ●そしてあなたは何を選ぶのか?(自民党の改憲案・護憲派の主張・護憲的改憲派からの提案)        映画の中で水野スウさんが「私たちが自分らしく生きられること。これがいちばんすばらしい」と話すところがあって、 それも憲法に書いてあるからなんだとあらためてそのありがたさを思いました。  基本的人権の一つに「自由権」があります。「私たち一人ひとりが自分らしく生きる権利」です。ふだんはそんなこと当たり前、と思っているのですが、自民党の憲法改正草案をみると、《国民はこれ(基本的人権)を乱用してはならず、自由及び権利には責任及び義務がともなうことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない》とあって、「私たち一人ひとりが自分らしく生きる」ことすらままならなくなることがわかりました。憲法が変わるって、こういうことなんだと、映画見ながら気がつきました。    朝8時からのNHK「とと姉ちゃん」は戦時中の息苦しい雰囲気を描いています。改憲されるとどういう雰囲気になるか、よくわかります。ぜひ見てください。   pukapuka-pan.xsrv.jp    
  • 社会的インパクト評価
     ぷかぷかのプロモーションビデオのプロデューサーといっしょに日本財団まで行き、「映像のチカラ」について話をしてきました。NPOの活動に共感してもらう上で、映像のチカラはとても大きい、といった話をプロデューサーにしてもらいました。  話の資料にあった「社会的インパクト評価」という言葉は、初めて聞いたのですが、とても新鮮に響きました。   《今後の日本では、社会課題に取り組むNPO法人をどのように評価していくかが課題となります。その評価基準が社会的インパクト評価と呼ばれているもので、映像が果たす役割が今まで以上に大きくなっていくと思います。  社会的インパクト評価とは、短期、長期の変化を含め、事業の活動の結果として生じた社会的・環境的な変化、便益、学び、その他効果を定量的・定性的に把握し、事業や活動について価値判断を与えることです。  社会的インパクト評価をおこなう目的は、大きく二つ「事業や活動の利害関係者に対する説明責任を果たすこと」及び「事業や活動における学び、改善に活用すること」があげられます。》    社会的・環境的な変化を定量的・定性的に把握するというのは結構むつかしい気がしますが、それでもそういったことを機会あるごとに評価していくことは利害関係者への説明責任でもあり、それは事業の改善に活用できると思います。  たまたまですが、地域活動支援事業の申請に昨年の活動報告書を書いたのですが、ある意味「社会的インパクト評価」だったのかなと思いました。    ①パン屋、カフェ、お惣菜屋、アートスタジオの売上合計は約3,800万円。前年に比べ、約800万円の増加。おいしいもの、いいものを作り、お客さんが増えたことが大きい。  ②お客さんが増えると、利用者さんのモチベーションが上がり、笑顔が増える。事業所全体が明るくなる。ぷかぷかに見学に来た多くの方が「ぷかぷかは明るいですね」といわれるが、お客さんが増えたことの効果は大きい。  ③「人に喜ばれること」「人の役に立つこと」は仕事の喜びにつながる。お客さんが増えることは、そのまま仕事の喜び、日々の充実につながったと思う。  ④ぷかぷかの利用者さんと地域の子ども達、大人たちがいっしょに大きなクジラの絵を描くワークショップを「アート屋わんど」でおこなった。横3.6m縦2mの大きな紙にわずか1時間でダイナミックなクジラの絵を描いた。みんなのエネルギーがワンワンと渦巻くようなクジラの絵ができあがった。利用者さんが地域の子ども、大人と一緒にひとつの作品を作るという試みだったが、予想をはるかに超えるダイナミックなエネルギーがその作品からは生まれたように思う。単なる「交流」といったものをはるかに超えたものがそこにはあったように思う。 pukapuka-pan.hatenablog.com    ⑤地域の人たちと協力して子ども達にオペラをプレゼントした。オペラはひとときの夢の世界。その夢の世界を子ども達にプレゼントし、子ども達の世界を、そして地域の未来を豊かにしていこう、という企画。オペラの公演前には歌役者を呼んで、ぷかぷかの利用者さんと地域の子ども達が一緒にオペラの中の歌を歌う「歌のワークショップ」をやったりした。地域の大人たち、子ども達と、新しい関係がずいぶんと広がった。 pukapuka-pan.hatenablog.com pukapuka-pan.hatenablog.com      ⑥緑区民まつりで地産地消ブースのデザイン、チラシのデザインを引き受け、50張りくらいあるテントの中でダントツのデザイン、と好評だった。またテントの横に貼り出した地産地消サポート店の大きな絵地図(横3.6m縦2m)も大好評で、後日緑区役所のロビーに飾られることになり、区長が出席して除幕式までやった。2015年2月に活動をはじめた「アート屋わんど」が大活躍した。 pukapuka-pan.hatenablog.com      ⑦緑区の区長、副区長が利用者さんの描いた似顔絵を名刺に使った。ほっこりあたたかい気持ちになる似顔絵の入った名刺は、相手との関係を解きほぐし、何よりもこういうところで障がいのある人たちの働きが評価されることに大きな意味がある。 pukapuka-pan.hatenablog.com      ⑧緑区役所の人権研修会に利用者さんに登場してもらった。利用者さんはただ会場の質問に答えただけだったが、それでも出席した方たちの心に響くものがあったようで、人権研修会でこんなにアンケートが集まったのははじめてです、といわれた。人権問題の当事者に登場してもらったことの意味がアンケートにはよく現れている。 pukapuka-pan.hatenablog.com    ⑨9月から翌年2月まで月一回地域の人たちといっしょに演劇ワークショップをやった。新しい関係、クリエイティブな関係を作り、あたらしい文化を生む活動として定着してきた。 「表現の市場」のチラシ制作は「アート屋わんど」。みどりアートパークの館長さん、演劇デザインギルドの代表が絶賛するくらいのできばえだった。 pukapuka-pan.xsrv.jp pukapuka-pan.hatenablog.com      ⑩演劇ワークショップの試みが新しい文化を生み出していると評価され、読売福祉文化賞を受賞。 pukapuka-pan.hatenablog.com   ⑪パン教室は昨年度11回やった。地域の子ども達、大人たちとたくさんの関係を作り上げることができた。 pukapuka-pan.xsrv.jp   ⑫7月から季節ごとにマルシェをはじめた。たくさんのお客さんを集め、地域との関係がまた広がったように思う。 pukapuka-pan.xsrv.jp     ま、それにしても、こうやって並べると、よくやったなという気がしました。
  • 私たちは何かとんでもない岐路に立たされている
     この日記ではあまり政治的なことは書かないようにしているのですが、7月10日(日)参院選挙を結果を考えると、私たちは何かとんでもない岐路に立たされている気がしています。選挙の結果次第では、私たちが今まで経験したことのない社会になって、しかもそれが後戻りできない状態になります。  改憲派が2/3取ると、すぐにでも改憲の方向へ動きます。  その具体的な中身。自民党憲法改正草案は憲法の三原則が変わります。    日本国憲法の三原則は  ①国民主権  ②戦争放棄  ③基本的人権の尊重    自民党憲法改正草案は  ①国民主権の縮小  ②戦争放棄の放棄  ③基本的人権の制限    自民党の中枢にいる人たちは「国民主権」も「戦争放棄」も「基本的人権」もない方がいいとはっきり言う人もいるくらいですから、怖いです。「縮小」とか「制限」どころではないのです。   稲田朋美自民党政調会長が講演会で 「国民の一人ひとり、みなさん方一人ひとりが、自分の国は自分で守る、そして自分の国を護るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです!」 といいました。国を護るためには、血を流す覚悟をしなければならない、とまで言い切っているのです。なんという感覚か、と思います。でもこれが安倍首相はじめ、自民党中枢の考えです。    そして彼らがいちばん狙っているのは災害を理由にした「緊急事態条項」です。  99条 《緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分をおこない、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる》  これは簡単に言えば「内閣は国会を無視して、自由に法律(と同じ効力を持つ政令)を作ることができます、予算も自由に使えます、知事や市長村長に命令も出せます」ということです。  安倍内閣がそんなことを手に入れたら、日本はどうなると思いますか?考えただけでぞっとします。      99条には更に《緊急事態の宣言が発せられた場合には…国その他公の機関の指示に従わねばならない》  人権は制限されるか、停止されます。  法の下の平等、思想良心の自由、信教の自由、学問の自由、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、教育を受ける権利、特に表現の自由、私たちが自分らしく自由に生きる権利が真っ先に制限されます。  《緊急時の活動を妨げる情報やインターネットの情報は規制する》という制令を出せば、情報はすぐに遮断され、私たちは情報にアクセスできなくなります。世界で何が起こっているのか、全くわからなくなります。      98条 《特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態を宣言することができる》  「必要があると認める」のは、総理大臣です。「緊急事態の宣言をしよう」と閣議で決定されれば、いつ、どんなときでも、緊急事態宣言は出せるというわけです。しかも内閣の判断だけで100日まで続けることができ、国会を味方につければ、いつまでも続けることができます。  改憲派が2/3取ることの意味は、ここに集約されます。緊急事態条項が生み出す窒息するような社会が、もう、後戻りできなくなります。      「自民党案では国家緊急権の中に全権委任条項が入っているので、国家緊急権を憲法に創設して発動すれば、直ちに独裁が確立してしまうのです。これは《独裁条項》というべきものです。つまりナチスの場合の国家緊急権よりも危険な内容です」  「国家緊急権は人権を守るためにあるのではなく、国家を守るために人権を制限し、または犠牲にする制度です」          永井幸寿『憲法に緊急事態情報は必要か』(岩波ブックレット)    本当に頭がくらくらしてきます。くらくらしつつも、ここであきらめるわけにはいきません。      IWJ Independent Web Journal    の岩上さんはこんなふうに書いています。少し前の記事で、ちょっと長いのですが、そのまま転載します。緊急事態条項で安倍政権が何を狙っているかがよくわかります。      参院選までとうとう3週間を切りました。まだまだ、やれることがある。この選挙の真の争点は間違いなく改憲です。そのことを、1人でも多くの有権者に伝えたい。 真の争点を国民が知れば、改憲勢力は大敗するでしょう。だからこそ、安倍総理はここへきて、争点ぼかしに必死になっています。「どの条項を改正するのか、まだ決まっていない」などとトボケているのです。トボけるのは、トボケなくてはいけない理由があるからです。選挙前に真の狙いを説明したら、国民の大多数が反対することでしょう。だからトボけるのです。自公ら改憲勢力の狙いは緊急事態条項です。それをここへきてごまかし続けている。なぜか、中身がわかって同意する人間は普通はいないからです。改憲は、一条ごとに、改憲の発議を衆参両院がそれぞれ行い、国民投票にかけられます。だから、9条がかけられ、自衛隊の存在を認めていない形の2項だけ改められても、現行の憲法のすべてが否定されることはありません。国民主権も基本的人権も権力分立も残ります。平和主義も9条だけでなく、憲法の前文にも明記されており、決して自衛隊が合憲的存在になったからといって平和主義まですべて否定されるわけではありません。自民党の憲法草案はトンデモないシロモノですが、これを全面的に実現しようとしたら、何回も憲法発議を行い、何回も国民投票にかける必要があります。大変手間と時間がかかり、その間に、国民に憲法に関する情報が行き渡って、自民党の改憲草案は酷すぎないか?と理解が進むでしょう。理解されてしまうと、この国を全面的に改造することは難しくなる。だから一挙にやってしまいたい。そこで、彼らが目論んでいるのが緊急事態条項です。僕は緊急事態条項を導入しようとする彼ら改憲勢力を、繰り返し、睡眠薬強姦強盗に例えてきました。緊急事態条項が改憲で導入され、実際に発令されると、現行の憲法秩序はまるごと眠らされ、麻痺して、無効化されます。人権が停止され、圧倒的な力を手にした独裁権力は、政令という名前の実質的な法律を国会にかけることなく好き勝手に乱発し、この国の法体系をまったく別のものに変えていきます。これは、睡眠薬強姦強盗の手口そのものです。よく考えてみてください。「これ、お試しでのんでみて。そのあと、ボクが何を君にするかはまだ決めてない」と変な男に言われて、女性の方は、それが強力な睡眠薬だとわかっていてのみますか? 緊急事態条項は国民全員の人権をスリープさせる睡眠薬です。眠ってしまって、抵抗できない間に、モノを取られたり収用されても(財産権の侵害)、身体を好きなようにされたり(人権の侵害)、命を奪われたり(生存権の侵害)しても、抵抗しようがありません。司法に訴えても、緊急事態条項には国民は公権力に服従する義務があると刻まれているのですから、異議申し立てする側が違憲になってしまいます。司法による救済も期待できず、言論の自由もなくなるので、声をあげることもできません。しかも、この独裁条項には、出口も期限もありません。いつまででも期限の延長ができてしまいます。睡眠薬の追加投与ができて、永遠に目覚めることができなくなるのです。我々国民の人権は終わりなき眠りにつかされ、終わりなき独裁がその上に君臨します。こうなれば、どんな意味のない、無謀な戦争の遂行も可能になります。自衛隊は米軍の指揮下にあり、属国の二軍として動かされますが、そんな馬鹿げた米軍のための戦争に反対しようにも、緊急事態条項によって、終わりのない人権スリープ状態におかれてしまえば、何が起きているのかもろくに知らされないまま、服従を強制され、抵抗できず、隷従するほかなくなります。我々は眠りこけた奴隷と化すのです。だから、そんなクスリ(改憲の条項)は、のませる前には中身を明かさない。睡眠薬強姦強盗の手口ですね、これは。参院選で議席の3分の2を取り、改憲の発議が可能になるまでは絶対に明かさない。これは犯罪者の手口です。ちなみに、憲法9条本丸論も、間違いです。緊急事態条項はお試し、とっかかりで、本丸は9条だと、いう言い方は、悪気はないのかもしれませんが、誤解を招きます。民進党の岡田さんはしきりに本丸は9条だ、という言い方をしますが、多くの人に、決戦は今回の参院選ではなく次回だと勘違いさせてしまう可能性があります。一番大切な本丸は9条で、緊急事態条項は出城だから、この前哨戦は負けても次の戦いに勝てばいいなどと、油断を誘ってしまうのです。9条は心臓だとして、何よりも大切に守りたいと思っていても、睡眠薬をのんで、全身が麻痺したあと、心臓を守れますか? 守れません。財布も守れません。操も守れません。脳も守れません。自分の命も守れません。家族も守れません。ほかの国の人々の命も守れません。緊急事態条項をのんだら、もうその時点で終わりなのです。そして卑劣極まりない政治的睡眠薬強姦強盗は、何をのませるかは、ごまかしながら、3分の2確保にひっそりこっそり邁進しています。何が入っているか、国民に教えないでコップに睡眠薬入りのドリンクを注いでいるわけです。自分は立法府の長である、とか、最高権力者である、などと、国会で叫んでいる安倍晋三氏こそ、この卑劣極まりない睡眠薬強姦強盗の首魁なのです。      まだやれることがある、というところで「不思議なクニの憲法」という映画の自主上映をやります。 fushigina.jp 7月1日(金)午後3時からアート屋わんどです。鑑賞券は1000円です。会場が狭いのでメールで予約してください。 pukapuka@ked.biglobe.ne.jp  
  • セノーさんは、実は仕事人
     朝、セノーさんと郵便局に前日の売り上げを入金しに行きました。セノーさんはぷかぷかのはんこを押すスタンプ台を受付のお姉さんに借ります。  手を振り上げ、目を閉じて「あ〜、あ〜、あ〜…おねーさん、あ〜、あ〜…ちょっと待って…、あ〜、あ〜、スタンプ台貸して下さい」と、用件を伝えるのにものすごく時間がかかります。 でも、この間合いの取り方が実に微妙で、なんともいえないおかしさを生みます。受付のお姉さんは、その微妙な間合いがだんだんわかってきて、笑いながらずっとセノーさんの言葉を待っています。スタンプ台を借りることがわかっていても、セノーさんの言葉をずっと待っているのです。この、文句ひとついわずに、ずっと待っているところがすごくいいなと思うのです。  帰りがけは、今日はお姉さんたち全員に手を振り上げて「あ〜、あ〜、あ〜…おねーさん、あ〜、あ〜…ありがとうございました」といい、お姉さんたちみんなが笑いながら「ありがとうございました」なんていってました。    セノーさんは、どちらかといえばあまり仕事をしません。でも、郵便局のこんなあたたかな雰囲気を自然に作ってくれます。私が一人で郵便局に行っても、こんな雰囲気は絶対にできません。  お姉さんたちをほんのひととき、あたたかな気持ちにさせるなんて、誰にでもできることではありません。これはですから、セノーさんの立派な仕事なのです。あたたかな気持ちの中で、セノーさんがいることの意味、ぷかぷかが街の中にあることの意味をしっかり伝えています。セノーさんはこうやって街を耕しているのです。  郵便局に行くたびに、こんなポーズで「あ〜、あ〜、あ〜…おねーさん、あ〜、あ〜……」といいながら、街を耕し、街を、みんなの心を、豊かにしているのです。セノーさんはだから、ああ見えて、実はすばらしい仕事人なのです。社会を変える仕事人、ソーシャルイノベーターなのです。    いろんなことがみんなと同じようにできなくても、こんなすばらしい仕事をやっているのです。そんなふうにみんなが思えるようになれば、社会はもう少し楽になるように思うのです。  
  • ありのままの彼らが、社会に貢献
     昨日、NHKの「あさいち」で「発達障害児」のことを話題にしていました。2歳、3歳になっても言葉が出ないとか、目が合わないとか、いろいろ悩みを抱えている若いお父さんお母さん向けの内容でした。こういうトレーニングをするといいとか、何かできたときは必ずほめてあげるとか、障がいのある子どもを抱えてどうしていいかいろいろ悩んでいるお父さんお母さんにとっては、支えになる情報だったと思います。  ただ、いろいろできなくても、いっしょにいるといいこともいっぱいありますよ、という、発想の違う支えがあっても良かったかなと思いました。できないことをできるようにするという方向での支えではなく、そのままでもいいんだよ、いっしょにいるといいことはいっぱいあるよ、という支え方。子どもへの目線が多分変わります。できないことはだめだ、という思いから解放され、気持ちがものすごく楽になります。子どもといっしょにいることが、もっと楽しくなります。  ぷかぷかは「彼らとはいっしょに生きていった方がいいよ」というメッセージを日々ホームページ、Facebookページなどで発信しています。 pukapuka-pan.xsrv.jp  ぷかぷかは彼らのできないことをできるようにする、という方向ではなく、そのままの彼らがいい、そのままがいちばん魅力的、と、そのままの魅力で勝負するお店を街の中に作り、結果、地域社会で「ぷかぷかが好き!」とか「ぷかぷかのファンです」という人を増やしてきました。  そのままの彼らが地域を耕し、地域を豊かにしてきたのです。  「はじめは上から目線で彼らのことを見ていましたが、彼らに耕されたおかげで、今は彼らのことを普通に見られる(フェアに見られる)ようになりました」と言うお客さんがいます。お客さんの視線を変えたのは、彼ら自身です。何かができるようになった彼らではなく、そのままの彼らです。  上から目線で見ていた人を、フェアな目線で見られる人に変えるって、すごいことじゃないかって思います。しかもああだこうだと説明したのではなく、彼らのありのままのふるまいが人を変えたってことが。  人が豊かになるって、こんなふうに変わることだと思います。「そのままの彼らが地域を耕し、地域を豊かにしてきた」というのは、そういう人を地域の中で増やしてきたということです。  ありのままの彼らが、社会に貢献しているのです。      
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