ぷかぷか日記

タカサキ日記

  • 迷惑を掛け合いながらも、人は一緒に生きているのだと思います
    今朝の朝日新聞「折々のことば」にいい話が載っていました。   《抑圧はいつも「人の迷惑だ」という発言から始まります。》 泣く子を抱く母に「すみません」と言わせる社会はおかしい。「元気な赤ちゃんでよかったですね」と笑って言える社会でなければ。    障がいのある子どものお母さん、お父さんたちは「人に迷惑をかけない」というところで、日々追い込まれるほどに苦労しています。  辻さんのお母さんは 「 …私に関していえば恥ずかしながら何十年もカツヒロのできないことをできるようにしよう、何とか社会に迷惑をかけないようにしよう、と見当違いの努力をしてきました。率直にいって、それが学校や作業所から求められてきたことだからです。…」  「社会に迷惑をかけないようにしよう」とがんばってきたのは、「学校や作業所から求められてきたことだから」と書いていました。「人の迷惑だ」の発言が、こういうカタチで、障がいのある人たちを追い込んでいます。  でも、ぷかぷかへ来て、ありのままの姿で働けている息子さんの姿を見て、今までやってきたことが「見当違いの努力」だった、と語るのですが、そのことをダウン症の子どもを育てている若いお母さんたちに話したとき、涙をぽろぽろこぼした方がいました。  「何とか社会に迷惑をかけないようにしよう」という思いに、日々追い込まれていたのだと思います。辻さんのお母さんの《見当違いの努力》という言葉に救われた気持ちになったのだと思います。  今朝の「折々のことば」のタイトル《抑圧はいつも「人の迷惑だ」という発言から始まります。》を見たとき、真っ先に思い浮かべたのは、その若いお母さんの涙でした。  「人の迷惑だ」という発言は、必ず誰かを追い込むことになります。そのことに私たちは気がつきたいと思うのです。気がつくことで、社会は人間を取り戻していくのだと思います。  社会はお互いが迷惑を掛け合って成り立っています。迷惑を掛け合いながらも、どこかで相手と出会い、折り合いをつけ、お互い許し合っています。  昔ナオちゃんという子どもがいました。ナオちゃんはとにかくものを壊すのが好きでした。家からはテレビを窓からぶん投げたこともあったといいます。ナオちゃんの家は団地の3階でしたから、けが人が出なかったのが幸いでした。家庭訪問したとき、ベランダに頑丈な網が張ってあって、その理由を聞いたとき、お母さんが教えてくれました。しょっちゅう家から逃げ出すので、玄関のドアには鍵が三つもついていました。それでも逃げ出して、家の近くのスーパーに入り込んでは、商品をめちゃくちゃにしたといいます。店員さんは本当に泣きたいくらい困っていたと思います。  ナオちゃんは4年生の時、夜、家から逃げ出した際、電車にはねられ亡くなるという痛ましい事故がありました。葬儀の日、お母さんから、スーパーの若い女性の店員さんが大泣きしたという話を聞きました。あれだけ迷惑をかけていながら、それでもナオちゃんは店員さんに愛されていたのだと、そのとき思いました。  迷惑を掛け合いながらも、人は一緒に生きているのだと思います。それが社会の豊かさだと思います。      
  • 相模原障害者殺傷事件を超える豊かな社会を実現したい
     日本財団の助成金で映画を作ろうと思っています。プロモーションビデオよりももう少しメッセージ性のある映画です。20分くらいの映画で、上映会のあといろいろ議論をしようと思っています。ぷかぷかが地域で創り出してきたもの、障がいのある人たちへの思い,相模原障害者殺傷事件等々、よりよい社会に向けての議論です。そのたたき台になるような映画を作りたいという趣旨で申請書を書きました。  今回私がたたき台を書き、pvプロボノの方にアドバイスをいただきながら、何度も何度も手直しし、ようやく今日、いちばんキモになる部分が完成しました。pvプロボノの方は、昨年プロモーションビデオを作ることがきっかけで、ぷかぷかとかかわるようになり、撮影している間に「ぷかぷかウィルス」に感染したようです。かなり重症で、そのおかげで今回、ぷかぷかの活動に対する熱い思いのこもったアドバイスをいただきました。   日本財団 映画製作のための助成金申請   (1)事業目的   「障害者はいない方がいい」と相模原障害者殺傷事件の容疑者は言いましたが、それを支える社会の雰囲気があります。効率一辺倒の社会にあって、生産性の低い障害者は社会の負担になっている、と多くの人たちが思っています。障害者の存在を否定的に見る社会は、どんどんやせ細っていきます。  いろんな人がいること、それが社会の豊かさです。障がいのある人も一緒に生きていくことで社会は豊かになっていきます。そういう社会をもっともっと広げ、相模原障害者殺傷事件を超える豊かな社会を実現したいと思っています。「障害者はいた方がいい」とみんながやさしく思えるような豊かな社会を福祉事業所を起点に作っていきたいと考えています。   (2)事業目標   「ぷかぷか」は「障がいのある人たちの魅力=チカラで社会を豊かにする」という今までにない新しい発想、カタチでの福祉事業をやり、地域社会を変えてきました。お店(パン屋、カフェ、お惣菜屋)では接客マニュアルを使わず、障がいのある人たちの魅力をそのまま差し出すことで、「ぷかぷかが好き!」とか「ぷかぷかのファンです」というお客さんをたくさん作り出しました。お店で彼らの魅力に出会い、障がいのある人たちや、彼らが作り出すお店の雰囲気が好きになった人たちです。そういった人たちを増やすことで、地域社会を少しずつ豊かにしてきました。  社会から疎外され、社会のお荷物とされてきた障がいのある人たちが、彼ら自身の魅力=チカラで地域社会を豊かにしたことは、社会をよりよい方向へ変えていく上で、大きな希望であり、大きな可能性を秘めていると思います。  この新しい発想、カタチを映像化し、あちこちで上映し、これをたたき台にみんなで議論をしていけば、この希望と可能性が大きく広がっていきます。障がいのある人たちは、何かをやってあげる「支援の対象」から、社会を変える主体になります。社会の彼らを見る目線が変わります。「障がいのある人たちは社会に必要」という風に。社会が,そんな風にして豊かになっていきます。   (3)事業内容  1)計画:11月~2月 企画作業・絵コンテ制作,検討 2月〜3月 ぷかぷかのファンの方たちのインタビュー映像。パン販売に行列を作って買う人たちのインタビュー、障がいのある人たちの働く姿、日々の活動、地域の人たちとのおつきあいなどの映像を撮ります。 4月 映像の編集  20分程度の映画に仕上げます。 5月以降、あちこちで「上映会+講演会」をやり、議論の輪を広げます。 2)成果測定: ●編集のほぼ終わった段階で関係者(製作関係者、ぷかぷかスタッフ、地域の人たち,行政、福祉関係者など)の試写会をやって、映画の内容、今後の展開について意見を集めます。集まった意見は製作サイドにフィードバックし、編集、今後の展開に生かします。 ●「上映会+講演会」の議論の記録は映画のサイトにアップし、たくさんの人たちと共有し,意見も求めます。 3)継続・発展性: ●「上映会+講演会」をあちこちでおこない、議論の輪が広がるように,議論のまとめと広げていく宣伝を同時進行でおこないます。 ●今回のこの映画を使い、クラウドファンディグで次回の映画製作費の捻出を考えています。全国から映画制作の寄付をつのることで、映画をとおして新たなネットワークを作ります。これは上映のネットワークになり、議論を広げていくネットワークになります。障がいのある人たちを取り巻く様々な社会的問題を取り上げる映画を更に作り、このネットワークで上映、議論の輪を広げていきます。新しい映画を作り続けることは、議論を継続させ、社会を変えていく力になります。 4)連携とその効果: ●企画制作過程においては、PVプロボノ、サービスグラントといったプロボノ主体のNPOとコラボレーションを考えています。それは今まで障がいのある人と関わりのなかった様々な人たちを巻き込むことになります。彼ら自身の障がいのある人への意識の変容、及び、感じたことの発信をおこなってもらいます。彼らの言葉は障がいのある人の関係者以外の方々へ届きやすい言葉であり、共感の輪を更に広げていけると思います。 ●障がいのある子どもを育てている親たちと連携し、子ども達がありのままの姿で生きられる社会を作っていくための議論を広げていきます。 5)戦略的な広報:ぷかぷかのホームページ、Facebookページを皮切りに、福祉関係、行政、映像クリエイター、障がいのある人たちの親のネットワークなどを使って「上映会+講演会」の情報を広げていきます。 
  • 「レクイエム」聞いてください。
     10月22日(土)のぷかぷか秋のマルシェで、日本フィルハーモニーのチェロ奏者江原さんによる「レクイエム」の演奏がありました。相模原障害者殺傷事件で犠牲になった方たちに捧げる曲として弾いてもらいました。これを聞きながら亡くなった方たちに思いを寄せたいと思うのです。「あなたたちのこと、ずっと忘れないよ」って。 www.youtube.com  ちょっとだけ考えてみてください。なんの罪もない彼らが、どうして殺されなければならなかったのか、どうしてこんな事件が起こってしまったのか、容疑者の特異性だけの問題なのか、それともこんな事件が起こるほどに社会は病んでしまったのか、 だとすれば社会の何が問題なのか、この社会はどこへ向かっているのか、私たちは何をすればいいのか、何ができるのか、等々。  とても重い問題です。でも、殺された彼らのことを思うとき、この重さに向き合っていくことが、この社会を作ってきた私たちの、せめてもの償いであり、責任だろうと思うのです。
  • この時代を救うのも、障がいのある人たち
    ぷかぷか日記の読者の方がマルシェに見えたようで、こんなコメントを寄せてくれました。   土曜日は楽しませて頂きました。私の事情で早く到着いたしまして、ヒカリさん達と沢山おしゃべりが出来ました。お仕事のお邪魔をしてしまったと思います。すみませんでしたm(__)mヒカリさんはFBで存じ上げていたので刺繍のお話をしましたらご自分の作品を見せて下さいました。そして女子ならでは秘密のトークも^^初対面なのにぷかぷかメンバーさん達はすぐに仲良くなれます。もちろん恥ずかしがり屋さんもおられると思いますが^^これが地域を耕してきた人たちなんだな~って再び納得です。セノーさんにもお会いできました。風を感じておられたようです。なのでお声はかけませんでした。りえさんともお会いでき少しだけお話が出来ました。とても良い思い出になりましたありがとうございました。    「ぷかぷかさん」たちとの、こういう出会いがすごくうれしいです。メッセージを発信し続けることの大切さを、あらためて思いました。メッセージを受け止めるだけでなく、ぷかぷかまで足を運んでくれたことが、ほんとうにうれしいです。メッセージはこうやって人を動かし、社会を少しずつ変えていくのだと思います。これがメッセージの持つチカラだと思います。  相模原障害者殺傷事件の容疑者が、このコメントを寄せてくれた方のように、彼らとちゃんと出会っていれば、事件は起きなかったと思います。今の、この時代、彼らと出会うことは、それくらい大事なことなんだと思います。  「今の、この時代」とあえて書かねばならないほど、「今の、この時代は」病んでいるのではないかと思います。だからあんな事件が起きてしまったのだと思います。  そして、あんな事件が起きてしまったこの時代を救うのも、障がいのある人たちであることが、救いのような気がするのです。そしてそこにこそ希望があるような…
  • 希望があるからまた書ける
     土曜日、マルシェの合間を縫ってNHKのインタビューがありました。  「相模原障害者殺傷事件について、どうしてこんなにもたくさんメッセージを出すのですか」と何度も聞かれました。事件直後、たくさんの団体が様々なメッセージを出しましたが、ほとんどは一回きりです。ぷかぷかはなんと17本もブログをアップしています。  pukapuka-pan.xsrv.jp     これはどうしてなのか、と。  なんかね、あれだけの大事件が起きて、一回だけ何か書いて済むとは思えないのです。書いても書いても、まだ足りない、という感じで書き続けてきました。  ぷかぷか日記を書いたぐらいで、世の中は変わりません。でも書かないともっと変わりません。書けば、何人かの人が読んでくれます。ひょっとしたら、障がいのある人たちとのおつきあいについて、彼らが社会にいることの意味について、彼らと一緒に生きていくことについて、新しい気づきがあるかも知れません。その気づきは、ひょっとしたら新しい動き、行動,生き方、障がいのある人たちとのつきあいを生み出すかも知れません。  そういったことで社会は少しずつ少しずつ変わっていくのだと思います。社会全体を見渡すと、ほんとうに気の遠くなるような作業です。時に無力感に襲われるときもあります。  それでも、先日のマルシェにはいつも以上にたくさんの人が来てくれ、「レクイエム」の演奏に涙した人もいました。  ね、だから希望はあるのです。希望があるからまた書けるのです。  23日に放送されたNHKアーカイブス「この子らを世の光に~ともに生きる社会をめざして~」がネット上で話題になっています。私も昔本を読んで、本当にそうだと思いました。  ただ、今ぷかぷかで「この子らを世の光に」なんて言ったら、なんか違和感というか、気恥ずかしさが先に立ちます。やっぱり糸賀一雄さんの言葉を受け継ぐ新しい言葉、今の時代にあって、新しい歴史を切り開くような新しい、力のある言葉を私たちが創り出せなかったのだろうと思います。そこに相模原障害者殺傷事件が起こった気がします。すきがあったのだと思います。  「この子らを世の光に」ではなく、ぷかぷかはもっと泥臭い言葉で勝負します。「秋コレ・ぷかぷかファッションショー&ハロウィン仮装パレード」見ましたか?あのちゃんちゃらおかしいパレードこそがぷかぷかのやり方です。ああやって障がいのある人たちも含めてみんなで楽しむこと、その事実を積み重ねること、そうやってぷかぷかのまわりの社会が少しずつ変わりつつあります。  なんて書きつつ、実は、あのちゃんちゃらおかしいパレードやりながら、お金もしっかり稼いだんですよ。今までのマルシェでいちばん稼ぎました。お金稼ぎながら、社会的課題もしっかり解決するソーシャルビジネスをぷかぷかはやっているのです。先日取材に来たNHKのラジオ深夜便のディレクターの方はソーシャルビジネスをやっていく上での苦労を聞いていましたが、ちゃんちゃらおかしいパレードやりながら、しっかりお金稼いだ話をすればよかったと今思いました。  こうやってたくさんお客さんを呼び込んで、パンは早い時間に完売しました。  
  • 旋律から全身に響く哀愁と何とも言えないダイちゃんの表情に涙が溢れました
     10月22日(土)ぷかぷか秋のマルシェがありました。オープニングイベントの江原さんのチェロとダイちゃんの太鼓のコラボは、リハーサルの時からNHKのテレビとPVプロボノの取材が入りました。 「レクイエム」は当初、江原さんのソロ演奏の予定でしたが、急遽、江原さんが海外で仕入れた太鼓をダイちゃんがたたくことになり、練習しました。江原さんのチェロの演奏が終わったあとも太鼓の音が鳴り響き、すばらしい余韻を残してくれました。 そして本番。  江原さんとダイちゃんのアイコンタクトがすばらしかったですね。  「愉快な馬車屋」「上を向いて歩こう」「八木節」のあと、「レクイエム」を演奏しました。相模原障害者殺傷事件で犠牲になった方たちで捧げる曲です。事件から三ヶ月たった今、あらためて犠牲になった方たちへ思いを寄せよう、という企画です。「何もしていない私たちが、どうして殺されねばならないの?」という思いで死んでいったのだと思うと、話ながら涙が出てきてしまって困りました。見た人からはこんなメールが来ました。「高崎さんからもらい泣き…そして、旋律から全身に響く哀愁と何とも言えないダイちゃんの表情に涙が溢れました。これからも様々な場面で伝えていきたいですね…忘れないために。」おひさまの台所でレジを売っていた人も、司会の人も涙が出そうになって困ったといってました。  相模原障害者殺傷事件のことで、そんな時間をみんなで共有できたことがとてもよかったと思います。どうしてあんな事件が起こってしまったのか、もっともっと考えていきたいと思っています。  後日、PVプロボノの信田さんが撮った「レクイエム」演奏の画像をアップします。楽しみにしていてください。    ぷかぷかマルシェが始まります。   緑区民まつりでブースの屋根に使った赤い段ボールを緋毛氈の代わりにしてファッションショーのお姉さんたちが歩きます。 パレードが進むにつれ、6,7枚用意した段ボールをどんどん前に運びます。みんな息を切らしながら段ボールを運んでいました。こういうばかばかしいことを息を切らしながらやるところがぷかぷかです。 ヒカリさんは手を腰に当て、かっこよく歩いていました。テレビに映ると張り切っていました。   花岡さんは魔女の宅急便の「大人になったキキとhanaジジ」をやりました。   団地の中でこんなパレードをやっちゃうところがぷかぷかの楽しいところです。こんな楽しいことができるのも「ぷかぷかさん」たちのおかげです。彼らに感謝!です。   ぷかぷかの近くにある学童の子ども達もクッキーをもらいました。 パレードお疲れ様でした。 辻さんのパフォーマンスはヨッシーのリコーダーとのコラボ。ずいぶん盛り上がっていました。  
  • 何もしていない私たちが、どうして殺されなければならないの?
     すでに何度もお知らせしていますが、今日のぷかぷかマルシェで日本フィルハーモニーのチェロ奏者江原さんに「レクイエム」を演奏してもらいます。 www.youtube.com   「レクイエム」をみんなで聞きながら、静かに、相模原障害者殺傷事件の犠牲になった人たちのことを思いたいのです。   死の間際、「何もしていない私たちが、どうして殺されなければならないの?」と思ったと思います。そう思うと、なんともやりきれない思いがするのです。犠牲になった方が、死の間際に発した、その重い問いに、私たちは答える義務があると思っています。  私たちの社会はどうして「障害者」というだけで殺すところまで行ってしまったのでしょう。容疑者の特異性に原因を求めるだけで、問題が解決するのでしょうか?  横浜市瀬谷区で、住民の反対運動で「障害者」のグループホームの計画がつぶされました。「障害者」には来て欲しくない、と地域社会から締め出されたのです。  「障害者はいない方がいい」という容疑者と同じ発想です。容疑者とは、一線を越えるかどうかの差であって、社会全体が病んでいる気がします。  この病んでいる社会とどう向き合っていけばいいのか。何が問題で、どうすれば解決するのか。それをみんなで必死になって考えることが、私たちに課せられた義務だろうと思います。   相模原障害者殺傷事件で犠牲になった人たちのことを思うことは、やりきれなさの中で、考えて、考えて、考え抜く作業を続けることです。「何もしていない私たちが、どうして殺されなければならないの?」の問いを,自分にむけられた問いとして、考え続けることです。それは、この病んだ社会の中で私たち自身が人間を取り戻す作業でもあると思っています。              
  • 「レクイエム」を届けて欲しい
     朝日新聞の記者が取材に来ました。前田さんという方で、以前、(記者有論)というコラム欄に相模原障害者殺傷事件のことを書いた方です。 《掲載の翌日、葬儀に参列した。棺の中でほほえむ小さな顔を見て思った。「この人だけにしかない人生がある。それが理不尽に奪われていいはずがない」》 というところが印象に残って、感想を書き送ったことでつながりができました。今日は22日のぷかぷか秋のマルシェの「レクイエム」の演奏のことを紹介したいので、と取材に見えました。 digital.asahi.com  事件当日、朝4時半に電話で起こされ、現場に急行し,何日かほとんど寝ないで取材し続けたそうです。上のコラムはそのまとめのような記事です。  棺の中で小さくほほえむ顔や、生前のたくさんの写真を見て、この人にもすばらしい人生があったんだって、そのときあらためて思いました、とおっしゃってました。  障がいのある人たちのおかれているいびつな社会的状況が一挙に吹き出した事件でした。取材した前田さんにとっては、障がいのある人たちとの、ほんとうに強烈な出会いだったのだろうと思います。でも、この強烈な出会いを何度も何度も反芻し、今は時々うめいたりするようなこともあるかも知れませんが、若い前田さんにとってはこの先、今回の出会いは人生の大切な財産になるような気がしています。    似顔絵の名刺を作ることになり、画伯に絵を描いてもらいました。  似顔絵の名刺ができたら、取材先でぜひ使って欲しいと思っています。事件の遺族の方も、こんな名刺受け取ったら、ほんのちょっと、心がなごむかも知れません。  と、書きながらふと思うことがあって今、前田さんに電話しました。22日にもし取材に来れたら、「レクイエム」の演奏を録音して、遺族の方に届けて欲しい、という依頼です。事件から三ヶ月たって、ほとんど話題に上らなくなっているのですが、こうして「レクイエム」をみんなで聞いて、犠牲になった方のこと思っています、というメッセージを届けて欲しいと思ったのです。  
  • とけたひもを引きずるように
    10月15日(土)第三期第3回目のワークショップがありました。今回はデフパペットシアターひとみの人たちに第一回表現の市場でやった「雨にも負けず」の朗読をしてもらいました。エノさんの手話がとても力強かったですね。賢治の人形の存在感。やなせさんの音が入ると、とたんに舞台の世界がグンと深くなったように感じました。 www.youtube.com 「風ニモマケズ」を体でやってみました。  ネコのシーンは原作では「インドの虎刈り」という音楽なのですが、「アルゴリズム体操」をやってみよう、ということになり、まずは「東北楽天のみなさんと一緒に」のYouTubeを見て振り付けの研究。 なかなか楽しい振り付けになりました。 様々な動物が訪ねてきてプレゼントを渡し、「アルゴリズム体操」をリクエストします。  今回はネコのシーンとカッコウのシーンをやったのですが、最終的にどういうまとめ方をするかが議論になりました。ゴーシュが練習に練習を重ね、最後の演奏会が大成功で終わった、というのでは単なる努力成功物語になって面白くありません。  最初の練習のシーン。ゴーシュは「セロが合わない」「とけたひもを引きずって…」と楽長にしかられます。みんなと合わせろ、もたもたするな、というわけです。「ぷかぷかさん」たちがふだん言われていることです。  でもねぇ、「みんなとあわなくてもいいじゃん」「とけたひもを引きずるように、もたもたしててもいいじゃん」と思うのです。そしてそういうメッセージこそ出したい、と。  相模原障害者殺傷事件の背景には効率,生産性を求める社会にあって、障がいのある人たちは役に立たない、社会の負担、だからいない方がいい、といった論理があったように思います。  ぷかぷかはふだんの活動で、それをひっくり返すような事実を作ってきました。役に立たないどころか、ぷかぷかは彼らが支えています。そしてぷかぷかは地域社会を支えています。ぷかぷかがなかったら、霧ヶ丘はとてもさびしい街になります。社会の負担どころか、彼らは日々地域社会を耕し、社会を豊かにしています。彼らにかかっているお金以上のものを彼らは生み出しているのです。  そういったことを『セロ弾きのゴーシュ』という物語の中で、どんな風に語っていけるのか、ということです。ものすごく大変なテーマですが、こういうものこそ面白いですね。昨年もむっつり大王をどうやって超えていくのか、ものすごく悩みましたが、最終的には彼らが救ってくれました。今年も多分ぎりぎりのところで彼らが救ってくれるのではないかと密かに期待したりするのですが、彼らに寄りかかってはだめですね。自分たちで悩み抜くしかないです。ま、楽しみにしていてください。発表は来年1月29日(日)みどりアートパークのホールです。
  • ラジオ深夜便
     NHKラジオの「ラジオ深夜便」のディレクターが取材に来ました。深夜放送なので、軽い話題かと思っていたら、ぷかぷかのことをものすごく調べていて、今まで取材に来た記者の中ではいちばん調べている感じがしました。ですから、ぷかぷかについていろんな話をしたのですが、言葉が吸い込まれるようにしっかり届いている気がしました。こういう方とは話していて本当に気持ちがいいですね。  放送時間は40分。ラジオですから映像はありません。しゃべる言葉だけでぷかぷかを伝えます。ほんとうはぷかぷかでしゃべりたいと思ったのですが、雑音が多いので、NHKのスタジオまで行って話をすることになりました。ディレクターがいろいろ質問し、それに応える形です。今日は1時間半くらいしゃべったのですが、だいたい構想はできた、とおっしゃっていました。話を聞きながら40分の番組の組み立てをするなんて、プロですね。  11月にスタジオに行き、放送は12月半ばです。時間は午前4時からだそうで、誰も起きてないないなと思いました。日にちが正式に決まりましたらお知らせします。ぜひ録音して聞いてください。  深夜放送ではあるのですが、相模原障害者殺傷事件についても質問します、とおっしゃっていたので、すごい番組だなと思いました。  深夜にもかかわらずリスナーは200万人もいるそうで、どんな反響があるのか楽しみです。    似顔絵名刺を作ることになり、ヨッシーに似顔絵を描いてもらいました。
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