6月15日。でんぱた初田植え。
6月15日。 「でんぱた」のはじめての田植えをしました。 その日は、快晴で気温は30度以上の蒸し暑い日となりましたが、 同じ青葉区で活動をされていて「でんぱた」に協力してくださっている方々や農業をやっている福祉作業所の職員さんなど、15名程の方が参加してくだいました。 でんぱたのメンバーさん4名と、ぷかぷかの畑班のメンバーさん3名、そしてスタッフ5名が、参加してくださった方々と一緒になって作業をしていきました。 泥だらけになって、楽しくおしゃべりをしたり、お互いに助け会いながら一本一本手植えをしていったのです。 メンバーさんのほとんどは、田植えは初めて或いはほんの少しだけやったことがあるということでした。 そういった場合、初めてメンバーさんへは、スタッフが一緒になってフォローしていくのが普通のやり方だと思います。 ですが、いきなり最初から、お互いに初対面同士の、メンバーさんと参加してくださった方が1組になっていただいて、田植えをすすめていってもらいました。 普段、階段を降りるのも怖く人の支えを求めるメンバーさんもいましたが、 田んぼ足袋を履いてもらい、勢いよくスタッフと田の泥の中に入っていきました。 スタッフの勢いつられて、つい一緒に入ってしまった、という感じにも見えましたが、 入ってしまったからには、もう、やるしかないと覚悟を決めたのでしょうか。 緊張した面持ちで、田の泥のなかゆっくり足を運んで、真剣に手に持った苗を植えていました。 メンバーさんも、参加してくださった方も、皆さん、お互いに初めての相手とは思えないチームワークで作業をすすめていました。 泥だらけで、暑いですし、力を合わせて助け合いながらすすめていく以外の方法はない、ということもあったとは思いますが。 そうやって、皆が力を合わせすすめていった作業の出来ばえは上々で、真っ直ぐキレイな苗の列に仕上がりました。 そして、作業が終わってからの、皆さんのたくさんの素敵な笑顔。 メンバーさん達も、スタッフの勢いにつられて入ってしまったメンバーさんも、参加してくださった皆さんも。 作業後のお昼ごはんは、おひさまの台所のぷかぷか弁当を、参加した皆さんで一緒にいただきましたが、皆さん、おいしい、おいしいと言いながら召し上がっていました。 でんぱたの田植えは今回がはじめてでした。 はじめてでしたが、作業としても上出来でしたし、でんぱたの考えるメンバーさんといろいろな人達が一緒にやっていくことを体現できていたと思います。 下の文は、去年の夏前頃、私がまだぷかぷかのスタッフになる前のことですが、 田んぼについて書いた文書です。 これは、でんぱたのような場所を創りたいと思い立った時に書いたものです。 想いばかり先走った文で恥ずかしいのですが、読んでいただければと思います。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 春になり暖かさが増す頃、いよいよ田植えの準備がはじまる。 小さな種籾を、288穴のポット一穴に一粒ずつ、手にとって蒔いていく。 こういった地道な繰り返しに、集中を発揮する仲間がいる。 無言の時間が過ぎ、頭は空になり、手は一定のリズムで動き続ける。 水路が開き、田に水が放たれる。水を張った田を皆で手をつないで歩いて代かきをしよう。 足を取られ転びそうになるが、仲間に助けられた。手を離したらダメだよ。 腕や顔までも泥んこで、足は重く歩くのはしんどい。でも、仲間と一緒だとなぜかそれが楽しい。 田植え定規で田面に筋をひく。畦に沿って縦と横に定規を引っぱると、田面が碁盤の目のようになり、手植えの目印となる。仲間から筋引き名人と呼ばれるKさんの出番。彼の引く筋は見事に真っ直ぐだ。筋が曲がっていると、皆それにならって植えちゃうからね。 そして、丹精込め育てた苗を、皆で手植えをする。 手植えは、重労働。だから、ここでは、お互いに力を合せ助け合うこと以外の仕事はない。子供も、大人も、若者も、高齢者も、障がい者も、街の人も、皆が集まり、同じ場所で同じことのために働く。畦で苗を配る人。お茶を配る人。田を歩くのがたいへんな人と一緒に歩く人。応援する人。見守る人。 少しずつだが着実に、苗の列が長くなり、そして列が増えていく。 そのことが、皆を励まし活力をあたえる。 谷戸田が金色に輝く秋。 稲刈り。 機械好きの仲間たちが、バインダーを、競うように交代で、誇らしげに、バンバン刈っていく。 刈った稲束を、稲木まで運んで掛け干しする仕事は、皆でおしゃべりをしながら、人海戦術ですすめる。 ここでは、障がいのある仲間が、良き見本となり良き先生である。 ほら、あそこで、0さんが、商店街のおじさんの落とした稲束を拾ってあげているよ。 面倒見のいいSさんなんかは、田んぼの歩き方を教えている。切り株やぬかるみもあって結構歩きづらいから。 わたしたちは、夏の暑い日も冬の寒い日も、仲間と野良で働いているのだ。 少しバテ気味の体のおおきな学生さん。大丈夫だよ。無理しないで。わたしたちがどんどん運ぶから。 稲はそのまましばらく天日干しする。 そうするとお米が甘くおいしくなる。 晴れの日に、皆で谷戸田に集まって、 秋の日ざしと風を楽しみ、でんぱたのお米のおにぎりを食べ、のんびりしよう。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ でんぱたはまだスタートしたばかりですが、ここに書いてあるようなことを、全部ではありませんが、おこなうことができていることをとても嬉しく思います。 皆で泥だらけになり、手で苗を植えていると、 昔から人々が、田に集い、自然と向き合い、ともに生きてきたこと、 脈々と続く大きな営みのようなものを身体と心で感じることができます。 その大いなる流れのなかで、メンバーさん達と、集まってくださった方々の協力と協同が自然にうまれ、体が自然に動き、作業がぐんぐんすすんでいくような感覚をもちました。 種籾まき、育苗については、今年はできませんでしたが、来年以降やっていきたいと思っています。 そして、今年の秋には、皆で再び谷戸田に集まって稲刈りをして、そして働きの実りを祝い味わいたいと思っています。