映画『どうすればよかったか?』を見てきました。統合失調症になった姉を巡る家族の物語です。
訳のわからないことを叫んでいる姉の姿は、精神を病んだ私の娘が荒れた頃と重なり、見るのがとても辛かったです。多分監督も辛い思いをしながらカメラを向けていたのだろうと思います。
ある日精神科を予約し、姉を待っていたのに母だけが来ます。父が受診する予定の精神科医の論文を読み、娘を見せるのを止めたといいます。ちょっと驚きましたが、そういうお父さんです。その一方で家の玄関には鍵をかけ、娘が外に出ないようにしていました。
といって、何か解決方法があるわけではありません。「どうすればいいのか」悶々とする日々だったのではないかと思います。精神を病んだ娘と、どうやっていっしょに生きていくのか。
ひどい状態の中で、精神科病院に3ヶ月ほど入院。よく合う薬が見つかったようで、見違えるように元気になります。カメラの前でおどけたりもしていました。その姿にちょっとホッとしたのですが、肺がんが見つかります。そして数年後、姉は亡くなります。
お姉さん、いい人生だったのだろうか、とふと思いました。翻弄された家族たちも。みんな「どうしたらいいんだろう」って悩み続けた人生だったのではないかと思います。
あれがもし何か解決方法が見つかってハッピーエンドになっていたら映画にはならなったのではないかと思います。「どうしたらいいんだろう」って悩み続けたこと、それが人生をある意味深みのあるものにしたのではないかと思うのです。だからある家族の物語として一本の映画になった。
娘が精神を病んで荒れた頃、ほんとうに「どうしたらいいんだろう」って悩みました。でもそれがあったから、精神を病む人達の苦しみを多少とも想像できるようになりました。それまで想像もしなかった世界でした。娘のおかげです。感謝!
映画『どうすればよかったのか?』、おすすめです。ぜひお近くの映画館で。