先日九州でぷかぷかの映画の上映会、簡単な演劇ワークショップ、討論会をやってきました。その時の参加した方の感想のひとつにこんなのがありました。
「ぷかぷかさん」というあたたかい響きが素敵だなぁーと思います。
ぷかぷかは団地の中にあるので、どっちを見ても同じような建物が並んでいます。なので、はじめの頃、ぷかぷかしんぶんをポストに配布するとき、時々迷子になる人がいました。
あるとき、その迷子を見つけた地域の人から電話があり、その方も迷子の人をどう呼んだものか困ったようで、
『ぷかぷかで働いている人なので、「ぷかぷかさん」ていうのでしょうか、近くで迷子になっています。私見ててあげますので迎えに来て下さい』
咄嗟に出たことだったと思いますが、「ぷかぷかさん」という言葉にはなんとも柔らかい響きを感じました。何よりも親しみが感じられます。
ああ、そんな風に地域の人達は感じてたんだ、と思いました。
パン屋を始めた頃、「おいしいパンいかがですか」と店頭で大声で叫んでいた方がいて、それに対し「うるさい!」と苦情の電話が入ったことがあります。この時はちょっとめげましたね。
「迷子になっています」という電話はその苦情の電話の数年後だったと思います。毎日元気に、楽しそうに働くメンバーさんの姿を地域の人達は目を細めながら見ていたのだと思います。
その優しい目線が「ぷかぷかさん」という言葉を生み出したのだと思います。
障がいのある人達を見る目が、最初の頃は「この人達大丈夫なんだろうか」「暴れたりしないんだろうか」と不信感一杯だったのですが、それが数年後、「ぷかぷかさん」と呼んでくれるようになったのです。こんな風に呼んで下さい、と頼んだわけではありません。気がつくと地域の人達がそんな風に呼び始めた、という感じです。
障害者はなんとなくいや、そばに寄りたくない、という雰囲気がまだまだある中で、「ぷかぷかさん」という呼び方が定着したのは、ぷかぷかと地域社会の関係をそのまま物語っているように思います。