看護学校の精神科看護で授業をすることになりました。中身はお任せということだったので、『不安の正体』という、精神障害者のグループホームの建設反対運動を取り扱った映画を上映し、自分の関わっている精神障害の人がそういった問題に直面した時、どういった言葉をかければいいのかを考える授業をやろうと思っています。こういった社会的な問題は教科書に載っていないし、看護学校では多分取り扱わないので、貴重な授業になると思います。
映画の中に反対住民の怒号が入っていますが、精神障害の人達に対する偏見が満ち満ちています。その偏見にどう向き合うのか、というのが授業のテーマです。
精神障害はそれ自体、幻聴、幻覚をはじめ、体が動かなくなるなど、生きることに私たちが想像できないほどの困難さ(=生きにくさ)をもたらします。精神障害者への地域の人達の偏見は、社会的生きにくさを生みます。ですから彼らは二重に生きにくさを背負い込むことになります。
障害そのものが生み出す幻聴、幻覚などの生きにくさは私たちには手に負えません。でも偏見から生じる社会的生きにくさについては、社会を構成する私たちの問題であり、何か私たちにもできることがあるはずです。そこでは何が問題であり、どうすればいいのかを授業の中で考えてもらおうと思っています。
精神障害者への偏見はどうして生まれるのか、どうすれば偏見は解消できるのか。反対住民の怒号を聞いていると、心がとがっていることを感じ、本当に悲しくなります。そのとがった心を丸くするにはどうしたらいいのか。そういったことを考える授業です。
私たちの生き方そのものが問われるような授業になると思います。