先週 土曜日の「折々のことば」
私は、養護学校の教員になった時、まごまごというか、毎日想定外のことをやってくれる子ども達を前に、どうしていいかわからず、ヒャ〜、どうしよう、どうしよう、とオロオロしていました。
一緒に芝居を作った時は、私が台本を作って、その通りにやるのではなく、どこまでも一緒に作っていったので、この先どうなるのかなかなか見えてこなくて、途方に暮れてしまうことがしばしば、というより、しょっちゅう。
ま、でも、その途方に暮れるような状態が、なぜか楽しかったですね。着地点がわからないからこそ、この先どうなっちゃうんだろうって、わくわくしながら先へ進めます。
全校生200人くらいと一緒に芝居を作った時も、「これ、どうなっちゃうんだろう」というハラハラ感、わくわく感をみんなで共有できたことがよかったと思います。4月にスタートして11月末の文化祭での発表まで8ヶ月にわたる長期間、200人も引っ張っていけたのは、着地点が見えないことの不安であり、それ故のドキドキ感であっただろうともいます。着地点が見えていたら、8ヶ月もわくわくしながら引っ張っていけなかったと思います。
発表会は体育館のフロアが舞台、全校生、保護者、教員、総勢400人くらいが取り囲む舞台で芝居をやります。緊張感のあまり、主役の女の子が本番で泣き出したこともあります。う〜、困った、と思いましたが、お客さんが取り囲む真ん中で芝居やっているので、助けに行くわけにも行かず、もう役者さんにまかすしかありません。400人くらいがハラハラしながら見守っていましたね。女の子がなんとか頑張って泣き止んだ時は、自然に拍手が起こりました。
みんなすごい経験したと思います。こんなにハラハラ、ドキドキする芝居は初めて。あ、こんな風にしても芝居が作れちゃうんだ、という経験、自信。
あのころ、こんな格好で芝居やってました。このいい加減さ満載の雰囲気が、ハラハラ、ドキドキを生んだのだと思います。こいつ大丈夫か、って。