昨日「不安の正体」の上映会に行ってきました。精神障害の人たちのグループホーム建設を巡って地域で反対運動が起こりました。その記録映画です。
グループホームの説明会会場に飛び交う怒号は、ほんとうに聞くに堪えないものでした。こんなふうにして障がいのある人を地域から閉め出すと、快適な地域社会が実現するのだろうか。その問いを怒号を発する人たちは自分に向けて欲しいと思います。
社会の貧しさをひしひしと感じる怒号でした。その怒号とどう向き合えばいいのか。それを超える言葉を私たちはどうやって紡ぎ出せばいいのか。
「障害者差別解消法」で、住民に対する説明、住民の合意は必要なくなった、と弁護士の方はおっしゃってましたが、といって反対住民がそれで納得するとは思えません。じゃぁ、どうすればいいのか。上映後のトークイベントで、そのあたりの掘り下げがなかったのはとても残念でした。
ぷかぷかは「障害者差別はイカン!」とか「障害者差別をなくそう」みたいなことは言ったことがありません。そういう思いはあっても、もう少し違う方法で、障害者差別のまん延する社会を変えていこうと思っています。
ぷかぷかが一番大事にしていることは「ぷかぷかさんたちといっしょにいい一日を作る」ということです。そうすることで生まれる豊かさこそが社会を変えていくと考えているからです。実際、その豊かさに気づく人が少しずつ増え、ぷかぷかのまわりの社会はずいぶん変わりました。つい先日の金曜日にはそういった人たちがぷかぷかの話を聞く講演会を開いてくれました。ホームページアクセス数は100万を超えます。
彼らと作り出す豊かな日々は、あのやまゆり園事件を超える社会をどうやって作っていくのか、といったことにもつながってきます。事件を批判するだけでは社会は変わらないのです。
たまたま上映会の日の午後、オペラシアターこんにゃく座のオペラ「あん」を見に行きました。
物語の舞台となったどら焼き屋であんこ作りの得意なおばあさんが働くことになります。あんこがおいしくて行列のできるお店になります。ところがおばあさんは昔ハンセン病を患い、指が曲がっていました。その噂が広まり、客足は途絶えます。
その深刻な差別の問題に作品はどう向き合ったのか。
おばあさんの生きた世界の豊かさを差し出すのです。そうやってハンセン病の差別を超えようとしたのだと思います。豊かさを歌い上げる歌には、ちょっと涙がこぼれました。
グループホームの話に戻ります。
グループホームができれば、地域でいろんな新しいおつきあいが生まれます。精神障害の人ってこんな人たちだったんだ、っていう出会いもあります。出会いは、人間の幅を広げます。それが地域社会を豊かにしていきます。
そういったことをグループホームを運営する側がきちんと語っていく、発信していく、出会いの場、機会を積極的に作っていく、そういったことが大事ではないかと思います。そういうことの積み重ねが、映画の中のあの「怒号」を超えていく社会を作っていくのだと思います。
★5月7日(土)午後1時半よりみどりアートパークのリハーサル室で上映会をやります。問い合わせはNPO法人ぷかぷかの高崎まで。takasaki@pukapuka.or.jp