昨日の朝日新聞「折々のことば」
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磨くということは、何かと何かを擦り合わせること。擦り合わせないと磨かれない。(関口怜子)
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物は他の物と何度もこすれ合うことでぴかぴかしてくる。人も同じ。自分とは異質な人、理解しにくい人、話がうまく通じない人との摩擦をくり返し体験する中で人として艶(つや)やかになってゆく
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障がいのある人たちといっしょに生きていくと、私たち自身が豊かになる、とぷかぷかは創設当初から言い続けています。彼らといっしょに生きていくとは、お互いフラットな関係で向き合うということ。自分とは違う人、何を思っているのかよくわからない人、話がうまく通じない人たちといろんな摩擦がおきます。それを回避するのではなく、全部引き受けること。裸で格闘すること。そうすることで私たちは自分の世界を広げ、成長し、豊かになっていきます。何よりもそこから、今までにない新しいものが生まれます。そういったことを昨日の「折々のことば」は言っているように思いました。
福祉事業所によくある「支援」という上から目線の一方的な関係では、こういった摩擦は起きません。支援する側が絶対的に正しいことになっているのですから。そういう関係からは新しいものは何も生まれない気がします。
演劇ワークショップは演出家の書いた台本をやるのではなく、みんな「フラットな関係」であーだこーだ話し合いながら芝居を作っていきます。いろんな人がいればいるほど、考え方も違うので、摩擦が絶えません。ほんまにこれでまとまるんだろうか、どうなっちゃうんだろう、といつもハラハラしています。でも、だからこそおもしろいものが生まれます。今までにない新しいものが生まれます。何よりもその過程で、みんながお互い成長します。これがいっしょに生きること。
下の写真は第一期演劇ワークショップでやった「森は生きている」のラストシーン。わがままな人間たちをどうやって懲らしめるかの場面です。この場面を作るためにものすごい時間をかけてみんなで話し合ったことを今でも覚えています。みんなが納得する、というのはほんとうに時間がかかります。みんなが納得しないと、いい芝居はできません。だからとことん話し合いました。正直、結構しんどい時もありました。でもその時間の大変さこそがぷかぷかさんたちといっしょに生きる面白さであり、豊かさだと思います。
相手との摩擦こそがお互いを磨き、新しいものを生み出します。