「自分自身を輝かせ、周りに人をも幸せにする力は、人としてとても魅力的」
先日、緑区役所の人権研修会で出てきた言葉です。障がいのある人に対するイメージをひっくり返すような素晴らしい言葉だと思います。
日々障がいのある人たちに接している津久井やまゆり園の現場でこんな言葉が出てきていたら、あのような事件は起こりませんでした。日々接していながら、どうして出てこなかったのだろうと思います。事件後もどうして出てこないのでしょう。そここそもっともっと問われるべきだと思います。
「支援」は相手を、あれができないこれができない、とマイナス評価するところから出発します。その関係の行き着く先が、あの事件だったのではないかと思っています。「支援」が作る関係性を、やはりどこかできちんと問う必要があるのではないかと思います。
多様性の求められる時代です。日々障がいのある人たちに接している福祉事業者は、今こそ、彼らとおつきあいすることで生まれる豊かさを社会に向けて発信していかないと、時代に取り残される気がします。
今朝、朝日新聞に台湾のオードリー・タンさんのすばらしい話が載っていました。
――多様性のある社会の長所は何だと考えますか。
「個人の運命が性別で決められてしまわないことだと思います。性別による制限は一方の性を持つ人に、別の性の人が体験できるものを共有できなくさせる。そんな社会から生まれる政策は、様々な人々が抱える問題を解決できません」
「例えば、デザイナーやプログラマーは性別の制約を受けずに作品をつくれます。その結果、多くの人が楽しめる作品ができあがります。多様性のある社会では、個人が生活のなかで性差によって受ける行動の制限が減り、編み出される政策も、多くの人の状況を踏まえた内容になるのです」
「性別」を「障がいのあるなし」に置き換えると、障がいのある人たちとのおつきあいが生み出す豊かさが、社会の中でどのような役割を果たすか見えてきます。
――どうすれば社会の多様性を促せますか。
「簡単な方法は、一人一人がちょっとずつでいいので、色んな考え方を受け入れてみることです。新型コロナの感染が広がり始めたころ、台湾でつくられたマスクはピンク色で、男の子が着けるのを嫌がるという声が寄せられました。すると、台湾のコロナ対策本部の幹部たちはみなでピンク色のマスクを着けて記者会見に臨み、『ピンクパンサーは僕たちが小さな時に一番好きだったヒーローなんだ』と話したのです」
――驚きです。
「この男の子にとってだけでなく、社会全体のピンク色に対する固定観念を壊すとてもよい機会になったと思います。こうした小さな事柄を積み重ねていくことで人々の偏見が減り、社会の多様化が進んでいくのではないでしょうか」
日本の社会において、障がいのある人たちへの偏見はまだまだ根強いです。その偏見をなくすには、障がいに対する固定概念(マイナスの評価)を壊すことです。それを壊すことができるのは、日々彼らといいおつきあいができている福祉の現場からのメッセージです。
冒頭に紹介した
「自分自身を輝かせ、周りに人をも幸せにする力は、人としてとても魅力的」
といった言葉を、全国の福祉事業が発信できるようになれば、障がいのある人たちへのイメージは大きく変わります。
ともに生きるかながわ憲章を実現させるのは福祉事業所のこういう前向きのメッセ−ジです。
目の前の障がいのある人たちとどういうおつきあいをするのか、今、問われています。
障がいのある人に対して
「あなたが必要」「あなたにいて欲しい」
と言えるような関係こそ、作っていきたいと思うのです。
3月6日の福祉フォーラムではこんなことも話題にしたいと思っています。