昨日は尾野一矢さんの陶芸教室。でも、全く気が向かなくて「やめとく〜」の連発。クリエイティブな活動を全くしなかったやまゆり園の後遺症かも知れません。
介護の方が「やってみようよ」と何度も声をかけるのですが「やめとく〜」
今日も大きな声を出していましたが、アパートで大声出されると本当に困るといってました。上の部屋から苦情が来るそうです。苦情は一矢さんにではなく、一矢さんに介護者を派遣しているNPOの苦情窓口に行くそうです。これも考えてみれば変な話で、苦情窓口に苦情を言ったところで、介護の人は一矢さんの大声を止められません。上の部屋に迷惑をかけているという問題はなにも解決できません。では、どうしたらいいのか。
地道におつきあいを作っていくしかありません。
驚いたのは、苦情を言ってくる人が一矢さんと会ったことがないこと。ただ大きな声が聞こえるだけで、どんな人が声を出しているのか全く知らないというのです。それでは苦情が来るだろうと思いました。大声出す人がどんな人かわからない、というのは怖いものです。
どうも自立生活を始める時に、介護する事務所の人があいさつしただけで、一矢さん自身は同行してなかったようです。
ならばこの際、陶芸教室で小さな植木鉢を作って、それに花を植え、おわび方々それを持って 一矢さんと一緒に苦情の出てるうちへあいさつに行ってみませんか、という提案をしました。
やっぱり一矢さんの顔を見せることが大事です。顔を見せながら、一矢さんはどういう人で、どうしてここで自立生活しているのかを丁寧に説明するのです。大声を出さないようにすることは本人にとってはかなりむつかしいことも正直に話しましょう。そういった問題を抱えながらも、本人は施設ではなく、街で暮らしていきたいと思っていること。その思いを私たちは支えていきたいこと。それは重い障がいを持っていても、みんなと同じように街で暮らせる社会を作っていきたいから。重い障がいのある人が暮らしやすい街は、誰にとっても暮らしやすい街です。そういう街作りに、協力していただけるととてもうれしいです。といったことをとにかく正直に話しましょう。正直に、ていねいに、誠意を込めて話すしかないと思います。
顔を見て、本人の様子、事情、そしてこちらの思いが多少とも伝われば、問答無用に出て行け、という人はそんなにいないと思います。花の植わった手作りの植木鉢をもらったりすれば、誰しもうれしいものです。あとは持続するきめ細やかなおつきあいです。植木鉢を作ったのはぷかぷかというところで、そこではおいしいパンも焼いていて、今度持ってきますから、といっておきましょう。で、次は食パンと一緒にぷかぷかしんぶんも届けましょう。
以前から提案していた「かずやしんぶん」も、こういうときに渡しましょう。「かずやしんぶん」はまだできていないのですが、一矢さんはどういう人で、どういう経過で自立生活をすることになったのか、自立生活の中で毎日どんなことをしているのか、どんなことが好きなのか、今週はどんなことをしたのか、晩ご飯は何を食べたのか、テレビは何を見たのか等々を書いた手作りのしんぶんです。それを見ると一矢さんの生活ぶりがリアルタイムで伝わります。連絡先、Facebookなども書きましょう。ぷかぷかしんぶんみたいに楽しいしんぶんがいいですね。できれば月間で発行し、街で会う人にどんどん渡していきます。情報はどんどん更新します。おもしろい情報を載せれば、「かずやしんぶん」を楽しみにする人も多分出てきます。
レストランやファーストフードなどで「うるさい人だなぁ」っていわれたら「すみません」ていいながら素早くしんぶんを渡します。苦情は出会いのチャンスです。しんぶん読んで「あ、そうか、こういう人だったのか」って気がつく人も出てきます。とにかく街で会う人にどんどん渡しましょう。一矢さんを知る人が街の中にどんどん増えてきます。
自立生活って、ただアパートで暮らすだけでなく、こうやって街に出て知り合いを増やしていくことだと思います。アパートと作業所の往復、あるいは買い物をするだけでは知り合いは増えません。「かずやしんぶん」は街に知り合いを増やす強力なツールです。知り合いを増やしておけば、きっとどこかで一矢さんを支えてくれます。それはまた街を耕すことでもあるのです。
街を歩く時は神奈川県自立生活実践者第1号のTシャツを着ていきましょう。シャツの絵と文字はぷかぷかさんが描いたもの。