「必要なのはそれぞれの生きる場所で、課題をひとつひとつ具体的に解決していく覚悟だろう。」
ぷかぷかは福祉事業所なので、障がいのある人たちの支援をする、といったことはもちろんあるのですが、彼らといっしょに生きていく中で「障がいのある人たちの社会的な生きにくさ」という課題が解決できないだろうかと考えていました。
障がいのある人たちは、社会に合わせないとやっていけない、ということをいつも言われます。これは「自分を押し殺さないと生きていけない」といわれているようなもので、そのために当事者はもちろん、その家族、関係者はみんな大変な苦労をしています。障がいのある人たちの社会的な生きにくさの代表のようなものです。
障がいのある人たちは社会に合わせないとほんとにやっていけないのか。ぷかぷかは、実際に運営していく中で、その問いに向き合いました。
いろいろやっていくうちに、別に社会に合わせなくても、そのままでやっていけるじゃん!と気がついたのです。「やっていける」というのは、お店としてやっていける、ちゃんと収益が上げられる、ということです。
お客さんを相手にするお店で、社会に合わせなくても、ちゃんとやっていける、という事実を作ったことはとても大きかったと思います。区役所の外販でも、ぷかぷかが一番お客さんを集めています。
ありのままの彼らが一番ステキ、ということにお客さんが気がついたのです。そのままの彼らの魅力に気がついた人たちがぷかぷかのファンになり、その人達がぷかぷかの売り上げを支えています。
無理して社会に合わせなくてもやっていける、という気づきは、ぷかぷかさん達の生きることを、ものすごく楽にしました。自分を押し殺すことなく、そのままの自分で働けるのですから。こんなに幸せなことはありません。
生産性が重視される社会にあって、そういったことが苦手な障がいのある人たちの立場はとても弱いです。あれができないこれができない、効率が悪い、生産性が低い、等マイナス評価ばかりで、障がいのある人たちの社会的生きにくさが一番よく現れるところです。
できるできないではなく、彼らがいること、そのことに価値がある、というそういう見方を確立しないと生産性の論理には太刀打ちできません。何よりも彼らの社会的生きにくさが解消できません。
ぷかぷかを10年やってきて、「ぷかぷかさんが好き!」というファンがたくさんできました。何かができるからではなく、ぷかぷかさんたちが醸し出す雰囲気、空気感が好き!なのです。彼らがいること、そのことに価値を見いだしているのです。
いつも居眠りをする人がいて、その人の寝顔の写真を撮ってFacebookにアップすると、「今日も癒やされました」という書き込みがたくさんあります。その人が居眠りしていること、そのことに価値を見いだしているのです。
ぷかぷかは、生産性に変わる新しい価値を作ってきたと思っています。
ぷかぷかは社会的な課題と向き合う中で、たくさんの物語を生み出しました。それが『ぷかぷかな物語』です。ぜひ読んでみて下さい。なんだか気持ちがふわっと楽になります。