おもしろい記事を見つけました。
とても長い記事ですが、後半部分に、障がいのある人たちの働く意味を問い直そうという動きが出てきているという話を見つけました。
福祉事業所には「目標工賃達成加算」というのがあって、利用者さんに支払う工賃(給料)が地域の最低賃金の三分の一を達成できたかどうかで、福祉サービスの報酬に加算がされます。売り上げを上げ、給料を上げた事業所に、報酬の加算がされる、という仕組みです。
でも仕事には直接お金は生まないけれど、大切なものがたくさんあります。
たとえば何度か書きましたが、セノーさんが郵便局に入金に行き、窓口で「あ〜、あ〜」と毎日繰り返すことで、郵便局で働いている人たちがセノーさんのファンになり、セノーさんが来ることをとても楽しみにするようになりました。
障がいのある人たちを排除することの多い今の社会にあって(津久井やまゆり園事件はその象徴的なもの)、セノーさんが来ることを楽しみにする人を作り出したことは特筆すべき出来事のように思います。しかもそれをセノーさん自身が作り出したのです。
そういった地域社会を豊かにするようなことも、障がいのある人たちの仕事として評価していこうという動きがあるというのです。
6年ほど前、歌の好きなミズキさんの実習の反省会があったときのことです。ミズキさんはひと時代前の加山雄三や千昌夫などの古い歌が好きだというので、一人暮らしのお年寄りのところへお弁当を配達して、ついでに古い歌を歌ってあげるような「歌付き弁当」ができたらおもしろいね、みたいな話をしたことがあります。
懐かしい歌を聴いて、多分お年寄りの方は大喜びです。おいしいお弁当食べて、懐かしい歌が聴けるなんて、すごくお得な弁当です。単調な暮らしにあっては、とても生き生きとした時間になります。またお弁当頼もうかな、という思いは、小さな楽しみを未来に作ることです。
ミズキさんにまた来て欲しい、という思いは、障がいのある人たちのイメージをひっくり返します。「歌付き弁当」はこうやって弁当の価格以上の働きをするのです。
ミズキさんの優しい接客にふれた人たちがファンになって、時々贈り物が届きます。私たちにはまねできない貴重な働き方です。
「おひさまの台所」が開店する前、スチームコンベクションを買うための助成金の申請書に「歌付き弁当」の企画を書いて、それが評価され、なんと100万円の助成金をもらうことができました。今、「おひさまの台所」の厨房で大活躍しているスチームコンべくションは、その100万円で買ったものです。
パン教室、大学での授業、区役所の人権研修会、津久井やまゆり園事件をテーマにした上映会など、ぷかぷかは社会を耕す活動をたくさんしています。いずれもぷかぷかさん達が大活躍しています。そういった活動を、障がいのある人たちの大切な仕事として評価されるようになれば、すごくうれしいです。
福祉の業界が障がいのある人たちの働く意味を見直す動きが出てきたことはすごくいいことです。ここから社会が変わります。