ぷかぷかのお店はぷかぷかさんたちが働いていることで、ほかのお店にはない価値を生み出しています。楽しい、心温まる雰囲気、ほっと一息つける、等々です。
障がいのある人が働くことが、ただそれだけで、そこに新しい価値を生み出すということ、それはぷかぷかをやっていくなかで気がついたことでした。彼らが働いていることはお店だけでなく、街の価値をも上げているということを街の住民の方から教えてもらいました。
昨年8月のぷかぷか上映会の時の感想です。
《 4年前に霧ヶ丘に引っ越してきました。毎朝、ぷかぷかのパンを食べています。娘は保育園でもぷかぷかのパンを食べています。この街にぷかぷかのパン屋があることが、この街の価値を何倍にも上げています。映画を見て、それをますます感じました。霧ヶ丘の街が、ぷかぷかが、ますます好きになりました。》
「霧が丘の街がますます好きになりました」とありますが、なんともうれしい感想です。ぷかぷかさんたちの活動が、そんな風に思う人を作り出しているって、なんかすごいなと思います。
昨年見学に来られた大阪大学で都市のデザインを研究している先生は、街の中に福祉事業所があることで緩やかな流れが生まれる、とおっしゃっていましたが、霧が丘に引っ越されてきた方は、その緩やかな流れを日々の暮らしのなかで感じたのだと思います。その緩やかな流れこそ、ぷかぷかがあることで生まれた街の価値です。
穏やかな流れは居心地の良さを生みます。街にとってはとても大事な要素です。
障がいのある人たちといっしょに生きていく、というのは、こういうものを生み出すのだとあらためて思います。
街の価値を上げているというのは、街の所有者であるUR都市機構にとってもうれしい話だと思います。街の設計当初にはなかった価値です。ぷかぷかさんたちが活動することで生まれた街の新しい価値です。
ぷかぷかは UR都市機構の団地の商店街に4軒もお店を借りていて、月々50万円ほどの家賃を払っています。これが貧乏なぷかぷかにとっては大変な負担で、経営を圧迫するほどになっています。これだけ街の価値を上げているので少し家賃をまけてくれないかと、昨日URまで行って話をしてきました。
思いのほか話をよく聞いてくれました。参考資料として『ぷかぷかな物語』『pukapukaな時間Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』も持って行きました。
「障害者施設ということで割引を検討してみます」
という話が出たので、そうではなくて、ぷかぷかの活動が街の価値を上げている、ということをもっと評価し、検討して欲しいことをしつこく言ってきました。
URはあちこちで街のデザインをしています。そうであるなら、今回の霧が丘の街の価値について検討することは、今後の街のデザインの視線を豊かにするはずです。大阪大学の都市デザインの先生が言っていたように、街に福祉施設があると流れが緩やかになる、といった視線。ぷかぷかとの今回の話し合いで出てきた「障がいのある人たちの活動が街の価値を上げている」といった評価は、URの人たちにとっては今まで考えもしなかったことだろうと思います。だからこそ検討する価値があると思います。
ぷかぷかが霧が丘にあることで「霧が丘の街がますます好きになりました」という人が現れたということは、とても大きな意味を持っています。そのことを街をデザインする視点で考えて欲しいと思うのです。みんなが暮らしやすい街、居心地のいい街を作る上で何が大事なのかが見えてくるはずです。
私の話を聞くだけでなく、ぷかぷかさんたちが働いている様子をぜひ見に来て欲しいのですが、コロナウィルスのこともあってそれが難しいのがなんとも歯がゆいです。
資料としておいてきた『ぷかぷかな物語』『pukapukaな時間Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』にぜひ頑張って欲しいなと思いながら帰ってきました。
この人がこうやって働いていることが街を豊かにする。