以前市会議員の方がぷかぷかに見学に見え、アート屋わんどに展示されているぷかぷかさんの作品を見ながらこんなことを言いました。
「いい作品ですね。指導が大変だったでしょう」
と。それに対し、
「いえ、指導なんかしていません。指導すると、こんなに素晴らしい作品はできません」
といいました。
ぷかぷかさんの作品は、作品を通してのぷかぷかさんとの新しい出会いであり、ぷかぷかさんたちが作り出す新しい価値そのものです。今までにない新しい価値は社会を豊かにします。
下の作品は、彼らの文字がそのまま味のある作品になる、ということがよくわかります。これが彼らが作り出す新しい価値です。私たちが書いても、こんな価値ある作品になりません。そんな私たちが指導なんか入れたりしたら作品が台無しです。
ところが、アートをやっている福祉事業所で、作品には必ずスタッフがこうした方がいい、ああした方がいい、と指導を入れるところがあるそうです。そうしないと売り物にならない、と考えているそうです。
彼らの作品に対する考え方が、ぷかぷかとはまるっきり違うみたいですね。というか、メンバーさんとスタッフの関係そのものが違うのだろうと思います。
ぷかぷかでは「一緒に生きていく関係」です。それは、作品も含め、相手のそのままがいい、と思う関係です。だから一緒に生きていく。
指導を入れるところは「支援する関係」です。支援する関係は、相手のそのままを認めない関係です。支援をしないと一人前ではない、そのままでは価値がない、と考えています。だから指導を入れる。
それがいいかどうかはお客さんの評価を見ればわかります。ぷかぷかで作品に指導を入れたりしたら、ぷかぷかのファンは、多分、もう来なくなります。ぷかぷかのファンは、彼らの作品が好きなのです。彼らの作品に価値があると思っているのです。
指導を入れているところでも作品の売り上げは落ちているそうです。なぜ落ちているかをどう評価しているのか知りませんが、多分指導が足りないからだ、という風に受け止めているのではないかと思います。
一番困るのは、いつも指導を入れられて思うように表現できないメンバーさんです。思うように表現できないと、創作意欲がなくなっていきます。作品がどんどんだめになっていきます。さらに売れなくなる、という負のスパイラルになります。
よかれと思って支援をしていると思うのですが、支援をすることで、作品をだめにしてしまったり、メンバーさんの創作意欲をそいでしまうとしたら、それはやっぱりまずいんじゃないかと思います。社会の財産、といっていいものがなくなっていくわけですから、社会の損失です。