NHKの津久井やまゆり園事件の裁判を伝える記事に
《 「お母さん、幸せだったよ」〜法廷に響いた“反論” 》
というタイトルがついていました。あえて反論という言葉が入っています。多分被告のいった
「障害者は不幸しか生まない」
という言葉に代表される被告の発想への反論なのだと思います。「不幸しか生まないんじゃない、私は幸せだったよ」という、ストレートな反論です。
「お母さん、幸せだったよ」
人間は、どんなに悲惨な中にあっても、こうやって希望を感じる言葉を紡ぎ出すんだと思いました。
事件を超える社会、というのは、このお母さんのように
「あなたがいて、幸せだよ」
って思える関係を障がいのある人たちと作ることだと思います。共に生きる社会、というのは、お互い「あなたがいて、幸せだよ」と泥臭く思える社会です。
それは遠い未来の社会の話ではありません。関係の作り方一つで、すぐにでもできる話なのです。
ぷかぷかができたのは、代表のタカサキが、養護学校の教員になったころ、重度障害の子ども達に惚れ込んだことが、そもそものきっかけです。惚れ込んだ、つまり、彼らのそばにいて、私は幸せを感じていたのです。「共に生きる社会」という言葉すらなかった時代、私は彼らに惚れ込み、彼らのそばにいて幸せを感じていました。
街の人たちにも、その幸せ感を感じて欲しいと、10年前、障がいのある人たちとの出会いの場としてぷかぷかを街の中に作ったのです。たくさんの素敵な出会いがあり、たくさんのファンができたことはすでに何度も書きました。
『ぷかぷかな物語』を読んだ人がこんな感想を書いてくれました。
「あなたが好きだから♪」
これがぷかぷかを作った理由なの。最高じゃないかなー?
「好きだから♪」会いに行きたくなる。
「好きだから♪」会うたび元気をもらう。
「好きだから♪」笑顔が続くことを願う。
・・・そういうことなんだよね。
読んだら会いたくなっちゃったよーん。ぷかぷかさん。
「あなたがいて、幸せだよ」と思える関係は、こんなふうにぷかぷかのまわりにいっぱいできているのです。事件を超える社会、共に生きる社会が、すでにぷかぷかのまわりにはできているのです。
そういった関係を作るコツは何か。それは彼らとフラットなおつきあいをすることです。上から目線で「何かやってあげる」とか「支援する」といった関係では「あなたがいて、幸せだよ」と思える関係は出てきません。
「障害者は不幸しか生まない」という言葉は、支援の現場の空気をいっぱい吸い込んだ被告から出てきた言葉です。「お母さん、幸せだったよ」なんて言葉が想像もできなかった現場だったんだろうと思います。
だからこそ「お母さん、幸せだったよ」の言葉は、忌まわしい事件を裁く法廷にあって、小さな希望をともすように輝いていたと思います。NHKの深い読みに拍手!です。
1月26日(日)の「表現の市場」では、演劇ワークショップの中で「あなたがいて、幸せだよ」と思いながら作った芝居を発表します。あなたにもそれを感じて欲しいと思っています。ぜひ見に来て下さい。